フォトグラファー・ヨシダナギが撮る 立ち姿に表れる「人生のドラマ」

アフリカや南米、オセアニア、そしてアイヌ民族などの世界各地の少数民族。ほかにもドラァグクイーンの作品を発表し、その直感的な生き方も絶大な支持を集めるフォトグラファー・ヨシダナギさん。ヨシダさんのこれまでのキャリアや仕事への考え、自身のブランディングのあり方を聞いた。

 

ヨシダナギさんプロフィール

ヨシダナギさんプロフィール

1986年生まれ、フォトグラファー。独学で写真を学び、2009年より単身アフリカへ。以来アフリカをはじめとする世界中の少数民族を撮影、発表。唯一無二の色彩と直感的な生き方が評価され2017年日経ビジネス誌で「次代を創る100人」へ選出。また同年、講談社出版文化賞 写真賞を受賞。

23歳。「片想いにケリをつけに」アフリカへ

23歳。「片想いにケリをつけに」アフリカへ

2009年、23歳の日本人が単身アフリカへと渡った。名前はヨシダナギ。現在では写真展を開催すれば約10万人を動員し、作品だけでなくその生き方も大きな支持を集めるフォトグラファーとなる人物だ。

転校した10歳の頃から中学2年生までの間いじめにあい、両親の離婚を機に不登校となり学校をドロップアウト。インターネットの掲示板で出会った人に作ってもらったホームページがきっかけで、芸能事務所にスカウトされグラビアアイドルに。そこからイラストレーターやフィリピンで母親が携わる仕事を手伝いながら、アジア各国を渡り歩いたりもした。

 

「当時は『やりたいこと』を探していたという気持ちでもなくて、1日1日を消化するために生きていました」

 

しかし、そのような生活の中で、ヨシダさんの脳裏に時折思い浮かぶ光景があった。幼少期にテレビで見たアフリカの光景だ。雄大な大地の上、真っ青なマントを身に纏う少数民族が、槍を持ち高く飛び跳ねている様子を、当時5歳のヨシダさんは目に焼き付けていた。

以来、アフリカに対して憧れを持っていたが、具体的な行動は起こせずにいた。当時の心境を、ヨシダさんは「片想い」と形容する。アフリカへの強い興味を持ち続けているのに、いまだに足を踏み入れることができず、少数民族にも会えていない。そのようなモヤモヤが、日増しにヨシダさんの中で膨らんでいった。

 

「アフリカに行かなければ自分が納得しないだろうと思っていました。アフリカ以外の国に行っても、結局頭の中に『アフリカ』という単語が浮かんできたんです」

 

行くだけ行ってダメだったら、早くこの気持ちを手放そうと決心した。行先は、エジプトとエチオピア。当時は今ほど英語も話せず、現地にコネもなかったが、その時の心持には、不思議と大きな不安はなかった。

 

「1人で行動することがとても苦手だったので、そういった不安はもちろんあったのですが、とにかく片想いという状況が耐えられなくなった。当時は『早くこの気持ちを捨てたい』ということだけにしか頭が行っていなかったです(笑)」

人に紹介するからには、被写体を120%素敵な姿で撮る

人に紹介するからには、被写体を120%素敵な姿で撮る

 

2010年5月、ヨシダさんの姿は再びエチオピアにあった。ヨシダさんの「片想い」は、ケリをつけるどころか、より強い想いとなって花開く。1回目の旅でヨシダさんを出迎えたのは、感情表現がストレートで、しかも思いやりのある人々だった。

 

「現地の人とのコミュニケーションはとても新鮮でした。私は人との距離を詰められないので、どう仲良くしていくかが、最初は分からなかった。でも、アフリカの人たちはとりあえず近づいてきてくれて、私を家族としてすぐに受け入れてくれる。その器の大きさや警戒心のなさというのに、私はとても魅力を感じたんです。『こんなに人ってシンプルに仲良くなれるんだ』という驚きがありました」

 

ヨシダさんは現地の人びとの姿をカメラに収め続けた。

「アフリカの人びとのかっこよさを伝えたい」――。アフリカの人びとへの憧れ、そしてリスペクトが被写体の輝きを捉える。その時々の気持ちと共に、ヨシダさんはブログで写真を投稿し続け、それが徐々に注目を集め始めた。

2015年、TBSのテレビ番組『クレイジージャーニー』への出演を機に「フォトグラファー・ヨシダナギ」を世間が認知するようになる。ヨシダさんの作品に、人々は釘付けとなった。多くの仕事が舞い込み、被写体もアマゾンやオセアニアの少数民族、北海道のアイヌ民族と、世界中の少数民族を撮影する機会にも恵まれた。生きる場所も文化も違う被写体だが、ヨシダさんのカメラは、その誇り高き姿を克明に捉えた。

 

「今も昔も、写真を撮るときは、モデルになってくれた人が120%素敵に見えるような表情や姿で撮ろうと思っています。私が今まで会って写真に収めてきた人たちは、みなさんが人生を生きているうちに一度も会うことがないかもしれない人たちだと思うんですよね。

そういった人が初めて見る少数民族が、かっこよくなかったら『大したことないな』と思って生涯を終えてしまうわけじゃないですか。それってすごくもったいない。人に紹介するからには、素敵に見える姿で世に紹介できればと思っています」

「自分らしく生きること、なりたい自分に生きること」

「自分らしく生きること、なりたい自分に生きること」

そんなヨシダさんが2020年5月に出した作品集『DRAG QUEEN – No Light, No Queen -』(ライツ社)は、大きな話題を呼んだ。被写体に選んだのは、ニューヨークとパリで活躍するドラァグクイーン。雄大な自然に生きる少数民族と大都会を拠点とするドラァグクイーン。表面的に見れば、これまでとは相反するモチーフであるように思えるが、ヨシダさんを撮影に駆り立てた動機とは、どのようなものだったのだろうか。

 

「撮影するうちに『私はなぜ少数民族に惹かれるのだろう』と疑問に思うことがありました。全員に共通するのが、立ち姿がかっこいいということ。少数民族の人びとは、内からにじみ出る自信を持ち、誇りを背負っている。『生き様がかっこいいと立ち姿がかっこいいんだ』という結論にたどり着きました。

逆に私はコンプレックスだらけで、自分のコンプレックスの1つが立ち姿なんです。自分の内面の弱さが立ち姿に現れているような気がして、すごく嫌なんですが、自分がコンプレックスを抱えている部分が満たされている人を見ると、私は惹かれるんだなと思います。人生のドラマが立ち姿となって表れている人を撮影したいと思ったとき、それがドラァグクイーンでした」

 

自身へのコンプレックスを抱えているというヨシダさんだが、ドラァグクイーンの撮影は、ヨシダさんに自信をもたらすものだったという。ヨシダさんは、彼女たちとの交流を「セラピーを受けているようだった」と振り返る。

 

「彼女たちは『私が美しいと思うことはもちろん美しいし、あなたが思う美しさも、もちろん美しい。みんな違くて、みんな素敵』という器を持っていて『私も自分の好きな姿で生きていくから、あなたも好きなように生きればいい』という感覚で私と接してくれました。

彼女たちに『ドラァグクイーンとはなんなのか?』と聞いたのですが、言葉は違えど口をそろえて『自分らしく生きること、なりたい自分に生きること』と言われ、すごく腑に落ちました。『ナギだって、やりたいことをやって、楽しく自由に生きていれば、あなただってドラァグクイーンなのよ』とも。『このままでいい』と言われたことが、とてもうれしかったです」

 

ドラァグクイーンの撮影の後、コロナ禍で一時期撮影の仕事は激減した。現在はヨシダさんへの撮影オファーは戻りつつあるが、それでもオファーを断ることのほうが多い。ヨシダさんにとって、仕事を受ける、受けないの判断基準は明確で、シンプルだ。

 

「『やりたくないな』と思ったら断る。そのスタンスは最初から変わっていません。『ヨシダナギ』のクオリティーが出せないと、それはブランド毀損となり、仕事をくれた人の信頼を失ってしまう。私にとって、それはとても怖いことだと思っています。そうなると二度と他の仕事も来なくなってしまいますから」

 

たとえ社会的なステータスが高く、謝礼も高いオファーであっても、やりたくない、できない仕事は受けない。その代わり、「ヨシダナギ」として仕事を受けたからには心血を注ぐ。それがヨシダさんにとっての仕事への向き合い方だ。

 

「仕事として『ヨシダナギ』を評価してくださっていると考えると、最低限のノルマがあり、かつ『ヨシダナギ』の作風で世に出さなければなりません。それが私にできるのかを考えながら、できる仕事だけは受け、受けた限りはちゃんと『ヨシダナギ』として撮影に臨もうと思っています」

サイトの世界観がヨシダナギの「仕事の姿勢」を示す

ヨシダナギ公式Webサイト

ヨシダナギ公式Webサイト

 

現在、ヨシダさんの公式Webサイトは「さくらのレンタルサーバ」を利用している。サイトを作るうえで、ヨシダさんがリクエストしたことはただ1つ。

 

「とりあえずかっこいいの作ってくださいと(笑)。他はおまかせしました」

 

公式Webサイトのディレクションを行ったのは、ヨシダさんのマネジメントを担うキミノ マサノリさんだ。今回の取材にも同席したキミノさんに、サイトの構成の意図を聞いた。

 

「奇をてらったものよりも、ヨシダナギのパーソナリティと写真作品が同列になるように、あまりごちゃごちゃしないようにする。それと来た人がどんな作品を撮っているのかを分かりやすくしてほしいとリクエストしました」

 

ヨシダさんはモノトーンを好む。写真の派手さとモードな印象が同居するよう、建付けはシンプルさを心がけ、1枚のページで完結することを意識している。アーティストにとって、公式Webサイトは名刺であると同時に、自身の作品や世界観を示すポートフォリオでもある。

無料のポートフォリオサイトもある中で、サーバーを借りて自身のサイトを構築することの意義を、キミノさんは次のように説明する。

 

「ヨシダナギという存在に興味を持っていただいた方がサイトを見たときに、世界観をしっかりと表現できていることが、ブランディング上とても重要です。名刺もそうかもしれませんが、アートはこだわりや生き方を示すものです。それなりにお金をかけてサイトを作ることは、仕事の姿勢の表し方だとも思っています」

 

ヨシダさんは、自身を「インターネットに拾われた人生」と振り返る。写真が注目を集めたきっかけも、現在も更新を続けるブログの投稿からだった。ヨシダさんは「『やりたいこと』があるのならば、それをすべて発信したらいい」と語る。

 

「私は言葉で『あれをやりたい、これをやりたい』と言うのは得意ではありません。しかし、ブログでもSNSでも、自分のやりたいことや思考、世界観を表現すれば、インターネット上でそれに賛同する人は必ずいます。

そこから形になるものもあると思うんですよね。写真にしても、絵にしても、音楽にしても、まずは『やりたいこと』をすべて発信する。見せたり、やったり、伝えたもん勝ちではないでしょうか」



ガバメントクラウドとは?概要や自治体の導入メリットや課題、対象クラウドサービスなどを解説

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ガバメントクラウドとは?意味や目的、先行事業の内容をわかりやすく解説

デジタル化のメリットを実感できる「デジタル社会」を実現するためには、デジタルガバメントの推進は重要です。社会全体のデジタル化を進めるため、国や地方の行政がデジタル技術やデータを活用し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する必要があります。DXについては「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 意味や定義をわかりやすく解説」をご覧ください。

この記事では、ガバメントクラウドの意味や目的、自治体の導入メリットや課題、対象サービスを解説しています。

ガバメントクラウドとは?

ガバメントクラウド(Gov-Cloud)とは「政府共通のクラウドサービス利用環境」のことです。デジタル庁のホームページには、ガバメントクラウドについて次のように記載されています。

政府共通のクラウドサービスの利用環境です。クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、かつセキュアでコスト効率の高いシステムを構築可能とし、利用者にとって利便性の高いサービスをいち早く提供し改善していくことを目指します。地方公共団体でも同様の利点を享受できるよう検討を進めます。

(引用:デジタル庁 ホームページ

クラウド・バイ・デフォルト原則

ガバメントクラウド導入の前提となる考えが、「クラウド・バイ・デフォルト原則」です。クラウド・バイ・デフォルトの原則とは「政府情報システムを整備する際、クラウドサービスの利用を第一候補として検討する」基本方針です。オンプレミス中心となっていた行政システムにクラウドの柔軟性を取り入れ、コストの削減や効率化、セキュリティの向上などを図ります。

ガバメントクラウドを使うユーザーは?

ガバメントクラウドは政府共通のクラウドサービス利用環境ですので、ユーザーは政府や地方公共団体となります。国の行政機関は1府2庁11省、地方公共団体は47の都道府県と1,724の市町村があります(2024年2月現在)。

ガバメントクラウドで利用が想定されているクラウドサービス

ガバメントクラウドで利用が想定されているクラウドサービスは、次のとおりです。

クラウドサービスの種類

クラウドサービスの内容

IaaS(Infrastructure as a Service)

インターネット経由でハードウェアやICTインフラを利用できる仕組み

SaaS(Software as a Service)

インターネット経由でソフトウェアを利用できる仕組み

PaaS

インターネット経由でソフトウェアの開発・運用環境を利用できる仕組み

ガバメントクラウドに認定されているサービスを使えば、クラウドサービスが提供する高いセキュリティと可用性、スケーラビリティを利用できます。

 

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ガバメントクラウド移行のスケジュール

ガバメントクラウド移行は段階的に実施されています。これまでのおもなできごとや今後の予定は以下のとおりです。

年月

おもなできごと・今後の予定

2020年12月

「デジタル・ガバメント実行計画(改定)」閣議決定。「クラウド・バイ・デフォルト原則」を踏まえた政府情報システム整備が周知される

2021年1月

「地方自他体によるガバメントクラウドの活用について(案)」発表。「地方自治体の業務システムの統一・標準化に向けたスケジュール(イメージ)」が公開される

2021年10月~2024年2月現在継続中

「ガバメントクラウド先行事業」公募実施。8事業者を採択し、現在も継続的に検証中。

2022年10月

令和4年度におけるガバメントクラウドの対象となるクラウドサービスを決定

  • Amazon Web Services(AWS)
  • Microsoft Azure
  • Google Cloud
  • Oracle Cloud Infrastructure

2023年11月

令和5年度におけるガバメントクラウド整備のための新規クラウドサービスを決定

  • さくらのクラウド(※2025年度末までにすべての要件を満たす条件付き)

~2025年度末

地方自治体の基幹業務システムを標準化し、原則すべての地方自治体で活用開始を目指す

ガバメントクラウド 検証のための先行事業

地方自治体の基幹業務システムについては、令和7年(2025年)度末までにデジタル庁が調達するガバメントクラウドを活用し、標準準拠システムを市町村が安心して利用できるようにする方向です。その前にガバメントクラウドを安心して利用できると実証するために、「ガバメントクラウド先行事業」がおこなわれることになりました。

先行事業の目的

先行事業の目的は、以下3つです。

  • ガバメントクラウドや回線を市町村が安心して利用できるか検証するため
  • 標準準拠システムの移行方法検証のため
  • コストパフォーマンスの検証のため

令和3年(2021年)に公募がおこなわれ、2024年2月現在も継続して実施されています。先行事業の内容は下記のとおりです。

  • 市町村に対して、市町村の基幹業務システム
  • 都道府県に対して、地方自治体のセキュリティシステム

先行事業へは52件の応募があり、そのうちの8件が採択されました。

先行事業に採択された団体

採択された8団体の規模やシステム構成、採択理由を具体的に見ていきましょう。

団体名

団体規模

システム構成

採択された理由

神戸市

20万人以上(政令指定都市)

マルチベンダー

政令指定都市で影響度の高い住基・共通基盤が対象。ほかの大規模単体へのモデルとなりうるため

倉敷市(高松市、松山市と共同提案)

20万人以上

マルチベンダー

3団体が同じアプリを使用。共同検証実施によって構築・移行方法などの検証結果が得られるため

盛岡市

20万人以上

オールインワンパッケージ

現在はハウジング運用のため、クラウド利用経験のない団体のモデルケースになるため

佐倉市

5万人以上20万人未満

マルチベンダー

主要17業務をすべて含む合計27システムに加え、マネージド型のPaaSサービス及びクラウドが提供するテンプレート機能を積極利用し構築・移行するため

宇和島市

5万人以上20万人未満

オールインワンパッケージ

低コストで、主要17業務をすべて含む合計55システムの検証が可能なため

須坂市

5万人以上20万人未満

オールインワンパッケージ

ガバメントクラウド接続に県域WANを共同利用する接続検証を実施。既存のインフラを活用した移行のモデルとなりうるため

美里町(川島町と共同提案)

5万人未満

オールインワンパッケージ

クラウド移行について、複数の方式を検討・試行。費用、移行時間、品質、セキュリティ、作業負担等の観点から比較し、他団体が移行方法を検討する際のモデルとなりうるため

笹置町

5万人未満

マルチベンダー

フレッツ光対象外の地域ならではとして、安価に接続できる回線のあり方を検証。同様の事情を抱える団体のモデルケースとなりうるため

出所:デジタル庁 ガバメントクラウド先行事業の採択結果について(市町村の基幹業務システム)

この中でも神戸市は政令指定都市で、人口が150万人程度(2024年1月時点)という大規模な自治体です。神戸市の先行事業内容について確認しましょう。

ガバメントクラウド 神戸市の先行事業

ガバメントクラウド上に「住民記録システム」と「共通基盤システム」を移行し、ガバメントクラウドや回線が安全に利用できるか、またその投資対効果も検証。検証中は既存システムを並行稼働させているようです。

神戸市はシステム運用コストや、制度改正時の改修コストの削減などといった効果を期待し、この先行事業に手を挙げたそうです。

地方自治体がガバメントクラウドを導入するメリット

ガバメントクラウド利用のメリットを4つ紹介します。利用する各自治体だけではなく、住民である私たちにもメリットがあります。

1.コスト削減

ガバメントクラウドを活用すれば、サーバーやOS、アプリを共同利用できます。行政や自治体が個別に開発したり、サーバーを自前で調達する必要がなくなります。

たとえば、民間企業がガバメントクラウド上で開発したアプリを行政や自治体などが選べるようになり、開発コストや運用コストの削減につながります。

2.住民がサービスを使いやすくなる

ガバメントクラウドを活用すれば、情報システムの迅速な構築と柔軟な拡張が可能です。行政手続きのオンライン化や、サービスのワンストップ化などが実現しやすくなります。こうしたことが実現すると、従来よりも行政サービスが使いやすくなり、住民がサービスを使いやすくなります。

3.データ連携しやすくなる

ガバメントクラウドを活用すれば、アプリ移行のデータ移行が容易になります。

しかし、データ連携をしやすくするためには、データの標準化が必要となります。現在、国は地方公共団体の情報システム標準化を推進しています。地方自治体は、このデータ要件・連携要件の標準に適合したシステム利用が、標準化法によって義務化されます。

4.個別のセキュリティ対策や運用監視が不要

セキュリティ対策や運用監視をガバメントクラウドがまとめておこなえば、各団体が個別に対応する必要がなくなります。そのため専門知識のない団体でも、最新のセキュリティ対策が可能となります。

ガバメントクラウドの要件

ガバメントクラウドの要件として、まずは政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)のリストに登録される必要があります。

ISMAPについては「ISMAPとは?制度の概要やクラウドサービスリストについてわかりやすく解説」でくわしく解説しています。

デジタル庁はISMAPのリストに登録されたサービスから、基本要件や技術要件を満たしているか審査し調達します。

ガバメントクラウドの対象クラウドサービス一覧(2024年2月時点)

現在ガバメントクラウドの対象となっているクラウドサービスは以下の5つです。

  • Amazon Web Services(AWS)
  • Microsoft Azure
  • Google Cloud
  • Oracle Cloud Infrastructure
  • さくらのクラウド

「さくらのクラウド」が国内初のガバメントクラウドに条件付きで認定

2023年11月に、さくらインターネットが提供するIaaS型クラウドの「さくらのクラウド」が、2023年度にデジタル庁が募集した「ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」(ガバメントクラウド)に国産サービスとして初めて認定されました。本認定は、2025年度末までに技術要件をすべて満たすことを前提とした条件付きの認定です。

経済安全保障上、安定供給が必要な「特定重要物資」にクラウドサービスが指定される流れもあり、国産クラウドへの期待が高まっています。

今後は「さくらのクラウド」の開発強化に加え、周辺機能の一部はMicrosoft社の製品などのサードパーティ製品を用いて開発を実施し、2025年度中にガバメントクラウドとしての機能拡充を目指します。

>>さくらインターネット、ガバメントクラウドサービス提供事業者に選定

 

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さくらインターネットガバメント推進室へのお問い合わせ

 

※2024年3月4日 一部内容を更新

 

「AIが俺を超える日は来ない」と断言する、とあるパティシエもどきの信念

「AIが俺を超える日は来ない」と断言する、とあるパティシエもどきの信念

 

「カヌレを探してるの」

 

友人から一通のメッセージが届いた。カヌレ(Cannelé)とは、フランス・ボルドー地方の伝統的な焼菓子。フランス語で「溝がついた」という意味のカヌレは、その名の通り縦の溝がついた王冠型を用いて作られる。カリッと焼き上げられた表面とは対照的に、内側のもっちりとした食感が特徴。

どうやら大切な客人の訪問があるらしく、カヌレ好きな先方のために最高の逸品を用意したい、という趣旨らしい。しかし友人はスマホやパソコンの操作が不慣れなため、代わりに私が検索システムとなり候補を探すこととなった。

とはいえ、カヌレなど好きでもなければ食べたこともない。もちろん見たことはある。だが特段の魅力を感じることなく、なんの接点も持たぬまま今日まで過ごしてきた。その結果、一切の不自由や不都合もなく現在に至るわけで、それはつまり、今後もカヌレとは相まみえることはない、ということだ。

 

(…さて、困った)

私を頼って相談してくれた友人を助けるためにも、なんとか「最高のカヌレ」を探し出さなければならない。しかしあいにく私はカヌレ素人だ。うぅむ、どうするべきか…。

その時、とある1人の男性が思い浮かんだ。

 

(とある男性作のシュークリーム)

(とある男性作のシュークリーム)

カヌレ検索システム「兄さん」

私は彼を「兄さん」と呼んでいる。当然ながら実の兄ではないが、寸胴で筋肉質なフォルムが私と瓜二つ!ということで、兄さんと呼ばせてもらっている。その兄さんは、職業こそ違えど裏の顔は「パティシエ顔負けのパティシエ」と評される人物。

――兄さんしかいない。

 

そこで私は兄さんへメッセージを送った。

「兄さん、最高のカヌレを教えてください」

数分後、

「それはギフトとして? どんな相手に贈るのかにもよるけど、VIRON(ヴィロン)渋谷店やPAUL(ポール)、ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブションなんかは、間違いのない美味しさだよ。あとは単店で希少性を出すなら、表参道のデュヌ・ラルテや、ラ・メゾン・ジュヴォー広尾店とかがオススメかな」

という返信がサラッと送られてきた。パン屋で有名なPAULくらいしか、私には理解できない内容だ。

そして、カヌレの候補を挙げるにあたって、兄さんから鋭い質問があったことに驚く。たしかに何の目的で「最高のカヌレ」を欲しているのか、用途によっては「最高」が異なる可能性もある。

私に「カヌレを探している」と告げた友人、じつは料理人なのだ。だが本人が甘いものを食べないため、スイーツ好きの私にアドバイスを求めてきたという流れ。そこでとりあえず、

「金額やブランドにこだわらず、味で選ぶとしたらどこがいいかな? ある料理人がカヌレを探しているんだ」

と、追加情報を兄さんへ送る。すると間をあけずに返信が届いた。

誰にとっての美味しさなのか

「好みによるんだよね。料理のプロが何の目的で聞いているのか。たとえば売り物にする参考としてならば、ピエール・エルメ・パリか、尾山台にあるAu Bon Vieux Temps(オーボンヴュータン)あたりがオススメ」

なるほど。言われてみればその通りだ。私はただ単に「美味しいカヌレ」を紹介してもらいたい、ということしか頭になかった。兄さんに聞かれるまでは、その「美味しい」が、いったい誰にとっての美味しさなのかなど、考えもしなかった。

そこで今一度、カヌレを探している友人へ質問をした。そしてその答えが冒頭の内容へとつながる。

さらに付け加えると、友人は大病を患ったせいで内臓が弱い。そのため、加工食品などに含まれる添加物は一切NG。不用意に添加物まみれの食品を食べると、体が受けつけずに戻してしまうのだそう。

そのため、彼女が作る料理は調味料からすべて自家製。食材は自らの足で探し、生産者の元まで会いに行っては五感を頼りに選び抜いているのだ。

(きっとこれも大事なポイントになるだろう)

 

これらの情報をかいつまんで兄さんへ伝える。すると、

「なるほどね。カヌレはもともと余計なものは入っていないけど、フレーバーとして使うバニラが天然ではなく、化学合成されたバニラエッセンスの場合もあるから、そこだけ注意が必要かな。それを踏まえて、ピエール・エルメかオーボンヴュータンならば安心だと思う」

と補足した上で、最終選考を通過した2ブランドを推薦してくれた。

さっそく私は、兄さんとの会話を友人へ伝えた。現実問題として、約束の日までに店舗へ買いに行けるかどうかの不安もあるため、兄さんが最初に提案してくれた5ブランドを含む、7ブランドのカヌレを紹介することにした。

案の定、店舗まで出向くことができない友人は、インターネットで購入ができる「ロブション」のカヌレを選んだ。

 

(カヌレ型とカヌレ/兄さん作)

(カヌレ型とカヌレ/兄さん作)

今回の提案が、果たしてAIにもできるのだろうか?

一連のやり取りを通じて、私には思うところがある。今回の「最高のカヌレ」の提案について、果たしてAIにも同じクオリティーでの提案ができるのだろうか――。

まずは検索サイトで「カヌレ オススメ」「カヌレ 東京」「カヌレ 美味い」などキーワードを入力してみる。しかし驚くことに、兄さんが挙げてくれた7ブランドは一向に出てこない。無論、「ブランド名+カヌレ」と入力すれば、たくさんのヒットがある。だがインターネットで上位にくるカヌレは、いわゆる人気店・有名店ではあるが、イコール最高のカヌレであるかどうかは別の模様。

各種グルメサイトやグルメブログ、ユーザーの口コミやランキングなどが参考になる場合もあるが、

「あなたのオススメを教えてほしい」

と友人から聞かれた際に、このようなネット情報を鵜呑みにすることは私にはできない。なぜなら、友人は「私」というフィルターを通してオススメ商品の担保をしているからだ。そのため、私自身は不得意分野であるカヌレという洋菓子について、ネット検索ではなく信頼できる友人=兄さんに尋ねたのだ。

さらに兄さんは、私の先にいる見ず知らずの「誰か」のために、限られた情報から即座に最適解を導き出した。――こんな連係プレーがAIにできるのだろうか。

 

そこで兄さんに、

「美味しい食べ物を紹介することについて、兄さんがAIに負ける日は来ると思う?」

と単刀直入に尋ねた。すると兄さんは、

「負けないでしょ、狭義的には」

と断言した。その根拠はこうだ。

「いわゆる一般的な食べ物のマッチングはAIでもできるけど、深い内容になれば無理。なぜなら、たとえばレストランなんかは7割が接客で左右されるわけで、これは数値化できない。あとはその人に会うか合わないかといった、ニュアンスの判断は難しいものだから」

さらに続ける。

「その人がどれくらい『食べこんでいる人』なのかも重要。さっきのカヌレなら、王道なのか進化系なのか、はたまたブランド好きなのか実直派なのか、加えて、その時の気分や状況によっても勧めたいカヌレは変わるからね」

AIにはできない体験談

たしかにここまで来ると、どれほど莫大なデータを蓄積したとて、AI任せでベストな選択ができるとは思えない。そして最後に、極めつけの体験談を語ってくれた。

 

「魚肉類が一切ダメな母親の元で育った男の子がいてね。食べ盛りの時期に、その母親から『何か作ってやってほしい』って頼まれたことがあるんだ。それで男子の定番・トンカツを提案したら、『それ、知らない』って言われちゃって。

でもエビフライは食べたことがあるって言うから、エビが豚肉になった感じの…って説明したら、『豚肉って??』ってキョトンとしてるんだ。だから『モリモリ食べるとうめぇ! ってなって、体の中から力が湧いてきて元気になる食い物だよ!』って言ってやった。その時点では伝わっていなかったけど、実際にトンカツを作って食べさせたら『うめぇうめぇ』って、泣きながら食べてたね。これ、AIにできると思う? つまりはそういうことだよ」

 

 

人間は自らの嗜好について、自覚する以上に知らないことが多い。なぜなら、これまで口にしたことのあるものでしか判断できないからだ。前出の「豚肉を知らない男の子」は、トンカツを食べて初めて豚肉の美味さを知ったわけで、その「体験」をAIが提案できるだろうか。

当事者間の関係性や親密度にもよるが、ヒトだからこそ慮れる想いや願い、期待のようなものは、やはりヒトにしか伝わらない感情ではないかと思う。DXが急速に実現されつつある今、それぞれの棲み分けについて、「ヒト側」がわきまえておくべきだろう。

 

おうち時間を幸せに!お取り寄せグルメ特集〜夏編〜

弊社サービス「さくらのレンタルサーバ」をご利用中のお客様が提供しているお取り寄せグルメをご紹介いたします。

今回の特集では「夏」グルメの掲載です。
過ごしにくい夏をすっきりと乗り切れるようなグルメが大集合!涼しいお部屋とお取寄せグルメで幸せな時間を過ごしてみませんか!?

気になるグルメは「#さくらのお取り寄せグルメ特集」を付けてツイートしていただけると嬉しいです。

 

過去記事

おうち時間を幸せに!お取り寄せグルメ特集〜晩夏〜秋編〜 - さくマガ

おうち時間を幸せに!お取り寄せグルメ特集〜冬編〜 - さくマガ

おうち時間を幸せに!お取り寄せグルメ特集〜春編〜 - さくマガ

 

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お品書き

 

お魚系

【和歌山県】勝浦のまぐろ3缶ギフトセット|勝浦の鮪

紀州勝浦漁港水揚げの生まぐろを、和歌山県の特産品を使って和イタリアン風に仕上げた缶詰の3種セットです。

 

 

【北海道】海鮮おせんべい「ほたての心」3パックセット【トマリナオリジナル商品】|トマリナ

北海道産ほたての貝柱も耳(ひも)も丸ごと贅沢に、熟練の職人が手作業で焼き上げた海鮮おせんべいです。

 

 

スイーツ・果物

【山梨県】【送料無料】 大玉 桃 2kg箱 山梨県産|山梨百貨店

日本一の桃源郷「山梨県」から、厳選された極上の白桃・白鳳をお届けします。 生産農家直送でしか実現できない収穫枝指定で厳選された極上桃をお召上がりください。★予約商品★7月上旬~中旬ごろより順次発送開始予定(天候などによって前後します。)

 

 

【香川県】禾 米糀の甘酒ジェラート6個入(WEB限定)|おこめのおかし 禾nogi

香川県産の米麹の甘酒をふんだんに使った滑らかな舌触りの乳製品不使用のジェラートです。

 

 

【福岡県】ココナッツ × 塩キャラメル 無添加|KIND TABLE SBF ONLINESHOP

クナリナッツに最高品質のバリのカカオにスマトラのシナモンを加えコーティングした「クナリナッツ カカオシナモン」は添加物、保存料一切使用しておらず、グルテンフリー食品。おやつやおつまみに最適。

 

 

ドリンク系

【岡山県】岡山果汁ものがたり 丸搾りジュースセット|elims life net

岡山県産の白桃、ピオーネ(ぶどう)、マスカット、みかん、レモンを自社工場で搾汁、瓶詰したストレート果汁のジュースです。香料、保存料を使用しておらず、果物の優しい香りをお楽しみいただけます。飲み切りしやすい100mlサイズの10本入りセットです。

 

 

【静岡県】味ざんまい 赤(袋)|カネカ北川製茶

カネカ北川製茶ベストセラーアイテム「味ざんまい」。新茶時期に収穫された上質な茶葉を使用した”荒茶づくり”と呼ばれる特別な煎茶です。40年近く変わらない味を守り続けているカネカの味を代表するお茶でもあります。

 

 

【京都府】水出しもも緑茶ティーバッグ|宇治香園

天然の桃をブレンドした緑茶です。ティーバッグに水を注いでかき混ぜるだけで、甘い桃の香りとさわやかな緑茶の味を楽しめます。「もも」の成分を含んだ原材料を使用しています。

 

 

【京都府】水出し煎茶ティーバッグ|宇治香園

暑い夏にごくごく飲める水出し煎茶のティーバッグです。かんたんに作れて旨みたっぷり。苦みが少ないので小さなお子様でもお召し上がりいただけます。すっきりした味わいが特徴です。

 

 

【京都府】京都飲料 ひやしあめ・あめ湯200ml|京のおばんざい祇園藤村屋

「ひやしあめ」は、主に関西圏から中国地方で愛されている清涼飲料水です。甘めの飲物でありながら生姜の効いたその味わいは、夏は冷やしてスッキリと、冬は温めてほっこりと、1年を通して楽しめる飲物です。香料等は無添加です。炭酸水で割っていただくと、和風ジンジャエールとして楽しめます。

 

 

以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました!!

 

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DXがうまくいかないのは、新しい商売を考えるより、電子化を先にやってるから

DXがうまくいかないのは、新しい商売を考えるより、電子化を先にやってるから

 

あらためて言うまでもなく「デジタル」の本来の意味は、webやコンピュータとは関係なく存在しています。

「日本国語大辞典」によれば、デジタルとは

データを有限桁の数値で表現する方法、連続量で表現するアナログに対して用いる

とあります。定義からして、デジタルとは、データの表現方法に過ぎません。

では昨今登場する、「業務のデジタル化」や「デジタルトランスフォーメーションの推進」といった文脈でつかわれる際の「デジタル」とはいったい何を示すのでしょうか。

 

業務で使うデータをデジタル化しましょう、という意味でとらえるのが本来の意味だと思いますが、おそらくこれは多くの場合、「人の力」に対して「デジタル」という意味で用いられることが多いでしょう。

この場合のデジタルは、冒頭のデジタルの定義とは異なり、「コンピュータ」という意味で使われることが多いと思います。つまり、業務を人の手で進めるのではなく、コンピューターを使って進める。そのために業務改革をおこなう。

そういう意味では「デジタル化」というのは、新しい概念ではなく、「IT化」やら「ERP」やあるいは、「電子化」やらで、もう数十年も前からある概念だと言えるでしょう。

ただし、DXは電子化の先にあるわけではない

ビジネスモデルの変更を伴うようなDXは更に難易度が高い

 

しかしこれは広義での「デジタルトランスフォーメーション」の目指すところではありません。というより、電子化の先にDXがある、という考え方のほうが、間違っています。なぜそう言えるのでしょう。

考えてみれば、単純です。「DXの目的は何?」と聞かれたとき、貴社であれば、なんと答えるでしょうか。

「業務改善?」

「ペーパーレス?」

それとも「人減らし」?

いずれも間違いではないですが、それは従来の、「電子化」と何ら変わりません。わざわざDX、と呼称するまでもないはずです。わざわざ、従来の言い方と異なる「DX」という単語を使うのは、もっと別の目的があるはずです。

それは何か。

 

おそらく途中を省略して、身もふたもない言い方をすれば、「Google」や「Amazon」、あるいは「Microsoft」「Netflix」のような、デジタル化そのものが、会社の競争力を生み出す仕組みを作りたい、という話ではないでしょうか。

そもそも、以前の記事でも紹介しましたが、経済産業省によれば、DXの定義は

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

引用:経済産業省「DX 推進指標」とそのガイダンス p.1

だとすると、多くの会社でDXプロジェクトが難航している理由もわかります。ある人は単なる「電子化」の延長だと捉え、ある人は「Googleのような会社に生まれ変わる」ことを目指し、またある人は「人減らしの口実」だと捉え、更にある人は「目先の業務改善」だと捉える。

だから、DXはまず、目的を統一することが非常に難しいのです。

ビジネスモデルの変更を伴うようなDXは更に難易度が高い

ビジネスモデルの変更を伴うようなDXは更に難易度が高い

 

仮に「DX」の本来の目的に、組織の意思が統一されたとしても、経産省の推進する「ビジネスモデルの変更を伴うようなDX」を実現するのは、更に困難が伴います。というのも、会社には目の前の仕事を回さなければならない、という制約があるからです。

現場は目の前のミスを減らし、品質を保つことが第一であり、海のものとも山のものともつかない、DX推進にほとんどの人が懐疑的であり、一度作り上げてしまった、業務の流れや、現場の価値観を覆すのは、ゼロから構築するよりも更に難しいでしょう。

また、そもそも、「新しいビジネスモデル」とは何なのか。それを示せている経営者はほとんどいません。

 

私が半年ほど前にお邪魔した会社では、ちょうど「DX」を推進しており、その一環で、コンテンツマーケティングを導入しようとしていました。

DXの目的は、「デジタル化で、競争力を高めること」でしたが、結局やっていることは旧来の商売とかわらず、単に「webからの問い合わせを増やす」ことを、DXと呼称している状態でした。

残念ながら、それはDXの一部ではありますが、DXそのものとは異なります。それは、「電子化」と変わらないレベルでの業務改善にとどまってしまいます。

しかしながら、経営陣からは「DXを進めよ」という指示は出ているのです。これでは、現場は途方に暮れてしまうでしょう。

本来のDXと、現実の乖離

しかし、本来のDXの進め方は、そんな難しい話ではありません。とてもシンプルに表現すれば、

新しい事業を示す

現在やっていることの差異を示す

必要に応じてデジタル化をすすめる

検証する

というこれだけの話です。でも、難しいのは、「新しい事業を示す」のところです。日本の大手企業の経営者は、ほとんどがサラリーマン経営者で、起業経験や、事業創造の経験もありません。

「既存事業を伸ばす」「顧客を開拓する」「社内調整する」ということには優れていますが、「新規事業を立ち上げる」「顧客を変える」「改革を断行する」は苦手な人が多い。

しかも、日本において特徴的なメンバーシップ経営の中心である「合意形成」に長けたタイプが多く、多少の反対意見は無視してDXを推進する力もありません。そのため、「新しい事業とはなにか?」を作ることをせず、目先の業務をデジタル化することで、お茶を濁そうとしているケースも多いのです。

 

DXが持つ本来の意味において、DXを推進したいのであれば、従来の「ボトムアップ」ではなく、強力なトップダウンのもと、血を流しながらビジネスの変更をおこなうか、全く新しい会社を作り、スタートアップのように経営していくことです。

そうでなければ「DX」は単なる「電子化」と何ら変わるところはありません。DXがうまくいかないのは、新しい商売を考えるより、電子化を先にやってるからです。

真剣に取り組むなら、順番は、間逆なのです。

デジタル技術は中華LGBTQたちの「虹の懸け橋」となるか?

デジタル技術は中華LGBTQたちの「虹の懸け橋」となるか?

中国と台湾、香港はひとくくりに中華圏といっても政治制度から価値観に至るまでさまざまな違いがあり、そこにはLGBTQに対する意識も含まれる。アジアで最初に同性婚を認めた台湾に対し、1997年まで同性愛が違法だった中国。そして、自由や民主だけでなく多様性などの価値観までも当局によって日々抑圧されていく香港。それぞれの地域でLGBTQが置かれている立場は大きく異なる。

とはいえ元は同じ民族であり、基本的に言語も同じくする以上、大陸部と台湾のLGBTQシーンはしっかりと繋がっているはず。とりわけデジタル技術が進んだ今、相互交流はかつてに比べ、はるかに容易であるに違いないーー。

 

いわば、DXとは中華圏の政治的分断を乗り越える「虹の懸け橋」になり得るのではないか。そのような予断のもと、筆者は中国で暮らし始めて数年間、この国におけるLGBTシーンの取材を続けてきた。その中で感じたのは、情報技術によって世界がこれほど小さくなっているにも関わらず、中台には未だ大きなギャップが存在するという厳然たる事実である。

大まかに言えば、台湾ではITが多様な価値観を広めるために活用されているのに対し、中国本土ではLGBTQたちが、言い方は悪いが「お上の目を盗んで」自分らしく生きる上での自衛ツールとなっている感がある。

なぜこのような現象が生まれているのか。今回は香港在住ジャーナリストであり、『「中国人の9割が日本が嫌い」の真実』(IWJ books)『ブラック企業やめて上海で暮らしてみました』(扶桑社)などの著書を持つ初田宗久氏に話を聞いた。

中国はLGBTQの権利主張を警戒している?

中国はLGBTQの権利主張を警戒している?

(画像:筆者撮影)

 

中国というのは暮らしてみると分かるが、世の中をよくしたい、社会はこうあるべきといった問題意識を持たない限りにおいては、割と気楽に生きていける部分がある(筆者が外国人だからかもしれないが)。より正確に言えば問題意識を持ってもよく、自国民にとっては奨励すらされるのだが、それは必ず政府と同じ方向であることが求められる。

では、中国のLGBTQに対するスタンスはいかなるものかといえば、限りなく否定的。とりわけ昨年以降、LGBTQ団体の社会活動を封じ込めるなど、さまざまな抑圧が進んでいる*1

その理由には伝統的な儒教的価値観もあれば、少子化が社会問題となる中で同性愛を目の敵とする向き、ひいては「男は男らしく、女は女らしく」といった美意識の押し付けなどさまざまな要素がある。だが、中国の政治・社会に精通する初田氏に言わせれば、最も大きいのは権利主張に対する当局の恐れだという。

 

「香港で起こった2019年からの民主化デモでは、LGBTQが無視できない役割を果たしました。同性愛者とカミングアウトしている歌手のデニス・ホー*2がその代表格ですが、デモを主導した人々の中にはLGBTQの議員もいたんですね。

もともとは性的マイノリティの権利のために戦っていた人々が、公然と当局を批判したわけです。中国にしてみれば、そのような動きが本土にまで波及することは絶対避けたいはずです。中国国内のLGBTQ団体が単に性的少数者の権利を主張しているだけだとしても、それを黙認してしまえば、他の人々が自由や民主といったものを声高に求め出すかもしれない……そのような懸念が抑圧の理由のひとつとなっていると見ています。

もともと香港にはさまざまなLGBTQ関連の団体があり、プライドパレードもたびたびおこなわれてきました。中国に比べればはるかに多様性への理解があり、私自身、過去には地下鉄の駅構内でピンクドットというLGBTQイベントの広告を見かけたこともあるほどです。しかし香港の中国化が進む中、今後はどうなるか分かりません」

「中華圏のLGBTQの心はひとつ」と言いたいが……

実際の狙いはそれこそ中央にいる人々の頭の中を覗いてみなければ分からないとはいえ、中国で近年、性的マイノリティへのプレッシャーが強まっているのは紛れもない事実。そこで抜け道として生きてくるのがIT技術だ。

おおっぴらな社会活動はできないが、ネット空間でコミュニティを作ったり、チャットグループで仲間を集めてイベントをやったりすることは、「現在のところ」という但し書き付きながら可能である。

デジタルネイティブの中国LGBTQにとって、アプリやSNSの活用はパートナー探し、さらには自己表現の上でも欠かせない。ただし、SNSは中国国内のものではなく、VPNを使って海外のプラットフォームにアクセスするのが主流となりつつある。

とはいえ、そこでゲイや女装子などのみなさんが何かを訴えかけるわけではない。これまで筆者自身、大陸に住む多くのLGBTQに話を聞いてきたが、雑談ならともかく取材となると、言葉を慎重に選ぶか、口をつぐむ人が珍しくなかった。

例えば、LGBTQの権利という面では、言うまでもなく台湾は中国のはるか先を行っている。しかし、中国に暮らす性的少数者の全てが手放しで「台湾こそあるべき姿」と言うかといえば、必ずしもそうとは限らない。

 

「例えば、知り合いの同性愛者が先日おこなわれた北京冬季五輪で、中国系アメリカ人のフィギュアスケート男子金メダリストのネイサン・チェン選手についてこんなことを言ったんです。『なんで中国国籍に変えなかったのかしらね。名誉も、お金を稼ぐチャンスも逃して、一体どうするのよ』

また、香港の民主化デモについても、一定の理解は示しつつも『香港は中国の一部』と言ったゲイの知人もいました。本来、LGBTQのムーブメントとは国境や人種などに縛られないものであるはずです。

しかし、愛国心のせいか、それとも教育のせいなのか、オープンな意識を持っているはずの人であっても敏感な問題では自国を支持するケースが見受けられ、『中華圏のLGBTQの心はひとつ』と簡単に言い切れない現状があります」(初田氏)

 

なぜそうなるかといえば、LGBTQに対するスタンスは今や中国と台湾、とりわけ台湾にとって相手との違いを鮮明に表す大きな政治的マターとなっているからだろう。台湾を肯定することは中国の人々にとって国内的に大きなリスクを伴うため、立場を鮮明にできない場合は確かにある。だが同時に、「それとこれとは別」とばかりに、やはり中国はひとつと考える方もいるということだ。

それでもいつかは台湾海峡に虹の橋が打ち立てられる、と信じたい

(画像:筆者撮影)

(画像:筆者撮影)

 

日本でも性的マイノリティに関してさまざまな議論がされているとはいえ、台湾の場合はまさに国論と呼ぶべき重みを持っている。

 

「台湾の蔡英文総統といえばデジタル担当大臣にトランスジェンダーのオードリー・タン氏を任じたことで知られています。他にも同性愛者であることをカミングアウトしているインフルエンサーの鍾明軒氏と対談をおこなうなど、この問題で積極的な取り組みをおこなってきました*3

また、同性婚に関する国民投票では一時反対の声が上回っていたものの、SNSを中心とした世論喚起も功を奏し、合法化が成し遂げられました。そうして自由、民主主義、人権といった価値観と並び、ダイバーシティは中国に対する台湾の明確なアイデンティティとなったのです」(初田氏)

 

台湾の人々の間でLGBTQに対する理解が一定程度あったのは事実だが、それだけでこの結果は得られなかっただろう。政治的リーダーシップと情報技術の活用、中国に呑まれまいとする危機意識が相乗効果を生み、台湾はアジアに誇る多様性の島となったのだ。

……と、ここまで書いてきたようなことを中国のLGBTQが自国のSNSで論じたらどうなるか。よくて投稿削除、責任ある立場の人なら職を追われるのは確実で、下手をすれば公安が家に来る。

それゆえに双方のLGBTQは個々の交流こそ盛んでも、連帯して大規模な社会活動をおこなうとなると、ハードルは限りなく高い。台湾海峡をつなぐ虹の橋、未だ懸からずというのが現状なのである。

それでも筆者は、この分断が永遠に続くものとは思っていない。かつて中国のクラブで知り合ったトランスジェンダーにみっちり数時間話を聞いた時、彼女は確かに政治について触れることはなかったが、現状に対する泣き言もうらみつらみも、ひと言として口にしなかった。

 

「ネガティブな感情は私たちには似合わないし、美しくないと思わない?」

ド派手メイクに全身金ラメのタイツをまとった彼女は、強がりというよりは確信に近い面持ちで、よりオープンなLGBTQシーンが中華の大地で育まれていく未来を見ているように見えた。

「上有政策,下有对策」(上に政策あれば下に対策あり)。中国の人々はお上が打ち出す理不尽な施策を、ありとあらゆる手立てでかわす知恵を持つ。そしてこの場合の「対策」とは、まさしく情報技術の活用である。

政治が生み出した人為的な壁を、進化し続けるIT技術がいつか必ず打ち破る。DXが生み出す未来については前出のトランスジェンダー同様、筆者もまた限りなくポジティブな思いを持っている。

両岸のLGBTQが今よりもっと深く混じり合う世界。それはきっとデジタル空間から始まるはずだ。

 

国産クラウドベンダーとしての挑戦!新組織「ガバメント推進室」の取り組み

さくらインターネットのガバメント分野への取り組みとは?
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2021年3月「さくらのクラウド」が、ガバメントクラウドの採択条件である政府のセキュリティ評価制度「ISMAP」に登録された。ガバメントクラウドについては「ガバメントクラウドとは?意味や目的、先行事業の内容をわかりやすく解説」をご覧ください。

さらに2022年4月からは、新たに「ガバメント推進室」を立ち上げた。ガバメント推進室は、官公庁や自治体にフォーカスして企画・提案をおこなっていく新組織だ。さくらインターネットは、国産クラウドベンダーの筆頭企業として行政機関から広く認知され、頼られる企業を目指している。

さくらインターネット代表の田中 邦裕(たなか くにひろ)と、ガバメント推進室 室長の小松  沙羅(こまつ さら)。2人が今後のガバメント領域への取り組みについて語った。

 

さくらインターネット 代表取締役 田中邦裕(右)  ガバメント推進室 室長 小松  沙羅(左)

さくらインターネット 代表取締役 田中邦裕(右)
ガバメント推進室 室長 小松  沙羅(左)

さくらインターネットが国産クラウドとしてガバメント領域へ取り組む意義

現在、日本政府の共通クラウド基盤「ガバメントクラウド」に採択されているのは、2社の海外メガクラウドのみ。経済安全保障上、安定供給が必要な「特定重要物資」にクラウドサービスが指定される流れもあり、国産クラウドへの期待が高まっている。国産クラウドを提供しているさくらインターネットが、ガバメント領域へ取り組む意義について、小松は”安心感”をキーワードに挙げた。

 

小松沙羅 2017年、さくらインターネットへ新卒で入社。  2022年度からガバメント推進室の室長に就任

小松沙羅 2017年、さくらインターネットへ新卒で入社。
2022年度からガバメント推進室の室長に就任

 

「データ管理を国内事業者がおこなうことで、官公庁や国民のみなさまに安心感を抱いてもらえると思います。さくらインターネットのように、ベンダーに縛られない独立系のクラウド事業者がパブリッククラウド※1で参入する意義はあると考えています」

※1 不特定多数がオープンな環境で利用するクラウド

 

一方、海外のメガベンダーと国内事業者との間には、コンピューティングリソースや人員など、さまざまな面で大きな差がある。安心感だけでその差を埋めるのは難しい。国策だからといって国内事業者を選択するのは、IT鎖国につながると田中は考えている。

 

「小松さんが言うように”安心感”のような情緒的な価値は重要だと思います。ただ、情緒的な価値だけで国のシステムを選んではいけません。海外事業者のほうが技術力は高いのに、国策だからという理由だけで国内事業者を選ぶのは、得策ではありません。

基準を下げることなく、国内事業者が最先端の技術に追いつく覚悟を持つことが重要です。また、それと同時に、国として”クラウドを利用するだけの国”になるのか”クラウドを生み出せる国”になるのかを熟慮しなければなりません」

 

国産クラウドベンダーが本気で挑む「デジタル・ガバメント」とは?
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ガバメント領域におけるさくらインターネットの強み

ガバメント領域におけるさくらインターネットの強みは3つある。1つ目は「パブリッククラウド※2を開発していること」。2つ目は「自社開発・運用体制が整っていること」。3つ目が「経営体制」だ。

※2 一般のユーザーや企業など不特定多数のユーザーに提供するクラウド

 

1つ目の強みとして挙げた、「パブリッククラウドを開発していること」。なぜこれが強みになるのか。現状、パブリッククラウドは海外企業に先行されているが、プライベートクラウド※3は国内事業者も海外事業者と同等のサービスが提供可能とみる声もある。しかし、パブリッククラウドの提供を推し進めたほうが良い、と田中は主張する。

※3 組織が自社内でクラウド環境を構築し、組織内で利用・管理するクラウド



田中邦裕 1996年、国立舞鶴工業高等専門学校在学中にさくらインターネットを創業

田中邦裕 
1996年、国立舞鶴工業高等専門学校在学中にさくらインターネットを創業

 

「日本のITの良くないところは『個別開発』です。ソフトウェアというのはコピーできるので、1つのシステムを作れば多くのお客さまが利用可能となり、生産性を高められます。その点がパブリッククラウドを開発しているわれわれの強みです」

 

2つ目の強みは「自社開発・運用体制が整っていること」。当社では開発からサポートまで、一貫して提供している。この強みについて小松が語った。

 

「自社でデータセンターを持ち、回線まですべてを提供していることは大きな強みです。サポートも自社でおこなっているので、国の安全に関わるようなサービスでも責任を持って対応できます。フットワークの軽さは、国内事業者ならではの強みです」

 

さくらインターネットは、北海道石狩市に国内最大級の郊外型データセンターを保有している。2022年6月からは再生エネルギーなどを活用し、二酸化炭素の排出を実質的にゼロとした電力で運用を始める予定だ。こうした環境負荷への取り組みも進んでいる。

 

3つ目の強みが「経営体制」だ。高専在学中に起業した田中はエンジニア出身。オープンソースの活用やエンジニアリングへの知見や理解も深い。事業内容もストックビジネスのため、安定性がある。ガバメントのような長期的な運用が必要となる際に、安定性は欠かせない。

 

「われわれの事業はストックビジネスなので、日々の売上変動に悩まされません。中長期的に見ると、これは重要なことです。パブリッククラウドの場合、少額課金から高額課金までさまざまですが、経営層がその点を正確に理解していることも重要な要素であると思います」

海外メガクラウドとの棲み分け

日本のクラウド市場では、海外のメガクラウドが大きなシェアを占めている。こうしたメガクラウドとの棲み分けをどう考えているのか、田中に聞いた。

 

「海外VS国内という図式がありますが、じつは海外のパブリッククラウドと、われわれは同じ側にいるんですよ。どちらかというと、われわれが対立しているのは、日本の『古いやり方』です。今後も海外事業者がクラウド市場で70%くらいのシェアを占めていくと思っています。それでも攻めるポイントを絞れば、シェアの5%は狙えます。現状のクラウド市場の伸びを考えると、5%とはいえ非常に大きな市場です」

 

クラウドサービス市場の市場規模推移

▲出典:株式会社MM総研

 

攻めるポイントを絞ると答えた田中に、具体的にどのような分野を狙っていくのか質問した。すると、さくらインターネットが有利な部分もあると教えてくれた。

 

「クラウドネイティブでやるのであれば、メガクラウドが選択肢になるかもしれません。でも、すべての企業がクラウドネイティブを望んでいるわけではありません。いまのサーバーの置き換えであれば、われわれのほうが有利な部分も多いです。ほかにもネットワーク部分のクラウド化、いわゆる『NaaS』の分野は狙っていけるのではないかと考えています」

 

小松も田中の考えに同意し、重要なのは「お客さま」だと言う。

 

「私も海外事業者とシェアを奪い合うというよりは、お客さまにとっての選択肢が増えることが重要だと考えています。用途や規模、予算に応じてさまざまな選択肢から選べるようになり、どのクラウドを選んでも共通基盤として機能する世界を作っていきたいです」

ガバメント推進室設立の経緯と期待していること

ガバメント推進室を立ち上げたのは「ガバメント領域に注力する」という経営の意思の表れだ。専門の組織を立ち上げることで、社員は業務に集中できる。たくさんの仕事がある中で、兼務だとそうはいかない。専門組織があることで、コミュニケーションポイントがシンプルになり、相談もしやすくなる。新しい組織であるガバメント推進室へ期待していることについて、田中は次のように語った。

 

ガバメント推進室設立の経緯と期待していること

「”われわれはネット企業である”というアイデンティティを持ってやっていくことを、強く期待しています。そうすれば新しいデジタル社会において、強い立場でいられるはずです。幸いにして、日本国内でインフラに強いネット企業はうちしかありません。これまでの慣習に合わせながらも、新しいインフラを作っていってほしいです」

 

田中の期待に対して小松は次のように答えた。

 

「実際にガバメント関連の方とお話しすると、変革が起こっているタイミングだと感じます。私たちが、国の政策に向き合うパートナーになりたいと思っています」

 

ガバメントクラウド成功のために「国産クラウド」が担う役割とは?
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今後の具体的な取り組み

今後、ガバメント推進室はどのような取り組みをしていくのだろうか。具体的にやりたいことが3つある、と小松は語る。



今後の具体的な取り組み

 

「1つ目は、デジタル・ガバメントの推進に向けて取り組む方々としっかりとリレーションを構築し、提案できる事業者に成長していくこと。2つ目は、政府共通のクラウドサービス利用環境である『ガバメントクラウド』への登録です。『さくらのクラウド』はISMAPを取得しましたが、まだ要件を満たせていない部分があるので、やらなければならないことはたくさんあります。

3つ目は、さくらインターネットがガバメント領域での存在感を強めていくことです。これはガバメント関係者や国民のみなさんに対してもですし、社内に対しても熱を伝えていきたいと考えています。まずは小さい案件からでもコツコツ進めて、実績を作っていきたいです」

「配慮はするけど、遠慮はしない」精神で

最後に新組織へ田中がエールを送った。

 

「配慮はするけど、遠慮はしない」精神で



「ガバメント推進室のみなさんには、国や政府の方に対してもおかしいと思ったことは遠慮せずに『おかしい』と言ってほしいですね。これはすごく重要なことです。おかしいと思ったことを引っ込めずに言えるほうが、お互いのためにいいですから。経営に対してもリクエストがあれば、遠慮せずに言ってほしいです。『配慮はするけど、遠慮はしない』という意識で進めてほしいと思います」



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(撮影:ナカムラヨシノーブ)