総務の働き方がDXで変わる! トドケールのスマートな郵便物・配達物管理

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DXを積極的に推進する企業でも、総務はまだまだアナログ業務というケースは多い。筆者が働いていた会社も、リモートワークが推進されているにもかかわらず、総務だけは毎日出社していた。在宅ワークをしながら、「私の郵便物、届いていますか?」と総務へ何度も問い合わせるときの心苦しさといったらない。

株式会社トドケール(以下、トドケール)は、そのような総務の働き方に着目し、「郵便物・配送物管理」という観点からDXを支援する企業だ。活用事例や今後の展望などについて、代表取締役CEOの野島 剛さんに聞いた。

野島 剛さん(のじま つよし)さん プロフィール

早稲田大学法学部を卒業後、世界4大コンサルティングファーム(BIG4)の1つ、PricewaterhouseCoopersでコンサルタントとして10年勤務したのち、University of California, Irvine, Merage SchoolにてMBAを修了。卒業後、カリフォルニアの投資ファンドおよび宅配ロッカースタートアップにて勤務し、帰国後にトドケールを創業。公認会計士・税理士・日本証券アナリスト・応用情報技術者・運行管理士(貨物)。

総務の「不」を解決する2つのサービス

会社に郵便物が届いたとき、まずは総務が預かり、電話やメール、チャットなどで該当の部署や人物へ連絡するオペレーションをとっている企業は多いだろう。もともと手間のかかる受け渡し業務だが、出社とリモートのハイブリッドワークが進む昨今、その頻度は日に日に増え、煩雑化していると野島さんは話す。

 

「これまでは連絡すればすぐ受け取りに来てくれていたものが、社員の出社頻度減少により簡単に渡せるものではなくなり、オンライン上での管理になった企業もあるそうです。慣れない新しい管理方法により、紛失や受け取り間違いといった事故が次第に増加してしまっているのがいまの総務の課題です」

 

トドケールはそのような総務の郵便物管理にまつわる「不」を解決するために、「トドケール」「クラウドメール室」という2つのサービスを展開している。

「トドケール」と「クラウドメール室」(提供:トドケール)

 

「トドケール」は郵便物・配送物管理に特化したクラウドシステムであり、「クラウドメール室」はそのクラウドシステムを活用して管理している総務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスだ。

「トドケール」の使い方は簡単。専用アプリから写真を撮って画像をシステムに取り込めば、自動で宛先などの文字を認識し、データが反映される。荷物が登録されると、宛先の社員の連絡先(メールやチャット)へ自動で通知が送られる。

「トドケール」の利用イメージ(提供:トドケール)

通知メールにはボタンがついているため、「取りに行く」「PDFでほしい」「処分してほしい」といった指示が1クリックで出せるようになっている。受取署名もアプリからデジタルで可能。まさに、荷物が届いてから社員へ受け渡しされるまでの流れを、一気通貫してカバーするシステムといえよう。

「トドケール」は従業員1,000人以上の企業や、大きな病院など、いくつものビルや施設をもつ組織で頻繁に活用されている。一方で1,000人以下の中小企業では、BPOサービスの「クラウドメール室」がメインで活用され、人材不足や総務の働き方改善に寄与している。数名規模のベンチャーから数千人規模の大手まで、郵便物が届くすべての企業はトドケールのサービスを使った業務改善の余地があるといっても過言ではないだろう。

 

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学生寮での「荷物の受け渡し」経験をヒントに

公認会計士やコンサルタントなどさまざまな仕事を経験してきた野島さん。創業のルーツには、アメリカで過ごした学生時代の体験や物流業界での経験があった。

 

「アメリカにある不動産投資のファンドに勤務していたとき、物流施設担当になったことをきっかけに、物流に初めて携わり、おもしろい世界だと感じました。物流業界でなにかサービスを作れないかと模索するなかで気づいたのは、荷物の受け渡しに不具合・不都合を感じている人が多いという仮説です。すぐ思い浮かんだソリューションは『宅配ボックス』でしたが、じつはアメリカでは歴史の浅いものでした」

 

なぜ日本では当たり前の宅配ボックスが、アメリカには浸透していないのか。考えていくうちに気づいたのが、「リーシング・オフィス」というサービスの存在だったという。

 

「アメリカの学生寮に宅配ロッカーはなく、リーシング・オフィスという場所で管理人が住人の荷物を一括管理していました。荷物が届くと管理人から宛先の住人にメールが入るため、スムーズな受け渡しが可能です。実際に利用していて大変便利なシステムでしたが、日本では宅配ボックスがあるため広まっていなかったのかもしれません。逆に、日本でこのサービスのニーズがある場所を考え、気づいたのが『オフィス内での受け渡し』でした」

 

企業での需要があることに気づき、システム開発の前にウェブページを作って公開。すると1週間以内に大手企業3社から問い合わせが入り、1社が契約に至った。あまりのスピード受注に、これは本当に需要があるのかもしれないと実感したという。

 

「どの企業も困っていてじつはニーズがあるけれど、それが把握されていない領域なのだと思います。いまでも展示会に行くと、営業やマーケターの人からは『そんなシステムにニーズはあるの?』といわれてしまいます。しかし、総務の人が通りかかると、ものすごい熱量で興味を持ってもらえるんです。これまで総務系の人たちはITの恩恵をなかなか受けられていなかったのでしょう。本当に求めているものはこれだったんだと感じますね」

導入で宛先不明郵便がほぼ0件に! 郵便物3割減でSDGsにも貢献

「トドケール」を導入した企業では、郵便に関するムダを大幅に削減することに成功している。

 

「たとえば、台帳で管理していたときには多発していた宛先不明の郵便が『トドケール』を導入してほぼ0件になったり、毎月40~50件あった社員からの郵便物の問い合わせが0件になったりといった実績があります。また、不要な郵便物の差し止めも簡単にできるため、届く郵便物を30%減少させることに成功した企業もありました」

導入による郵便物削減の効果事例(提供:トドケール)

 

また、さまざまな企業での導入が増加していくなかで、郵便物に関するデータがトドケールに集まり、傾向や管理ノウハウが見えてきているという。

 

「たとえば、ある企業では郵便物を月に2通以上受け取る社員は全体の5~15%ほどに留まり、残りの大多数の社員は月1通以下。さらに、その残りの社員のうち約80%の社員は、年1通しか受け取らないということがわかりました。つまり、多くの社員は郵便物を受け取る機会がほとんどないということです。その企業では全社員にレターケースを用意していましたが、このデータをもとにレターケースを廃止。年1通程度の受け取りの場合は、メール室まで直接取りに来てもらうオペレーションに変更しました。結果、50坪ほどオフィススペースを創出できたそうです」

導入によるオフィススペース創出の事例(提供:トドケール)

 

DXにより、これまで見えていなかったデータが明らかになってきている。「データに基づく取り組みをおこなうことで、企業活動は効率化・正常化されていき、社会のムダもなくなります。まずは現状を把握することからはじめてみませんかと、各社へアプローチしています」と野島さんは話す。

企業と物流が交差する「総務」という場所を多面的に支援

トドケールが提供するのは、「郵便物の受け渡し」だけではない。野島さんは「総務は企業と物流が交差する場所」だと語る。

 

「だからこそ、オフィス内での郵便物受け渡しに限らず、総務の困りごとは積極的にサポートしていきたいと考えています。その取り組みの1つが、『ウェルカムパック』です」

 

トドケールが自社スタッフへ送っているウェルカムパック

 

ウェルカムパックは新入社員の入社時に送られる、企業ロゴ入りのグッズやパソコンなどを入れた箱のこと。リモートワークが広がる昨今、新入社員の帰属意識向上を目的として、導入している企業も増えているそうだ。トドケールは企業ごとにウェルカムパックのパッキングから、グッズの提案・制作に至るまで、総務の業務に付加価値をつけるべく、個別にサービスを提供している。

また、2~3年後の将来には、「オフィス内での受け渡し」だけでなく「送る」ソリューションを提供していきたいと野島さんは話す。

 

「『送ったものを管理したい』というニーズはお客さまからよくいただいていますので、近い将来に実装する機能として考えています。第一段階としては、DMなど定期的に送る郵便物の送り先リストの管理ですね。いまはリスト更新を手作業でやっている企業が多いですが、『トドケール』を使うことで『物を送る・受け取る』記録を一括で見られるようにしていきます。また、第二段階として社内便、第三段階として『トドケール』を利用する企業間での物流を考えています。郵便物を送る相手先企業のデータを照会できれば、はじめから個人名や部署を正しく記入して送ることができるかもしれないし、もう総務が都度確認する必要もなくなるかもしれない。企業間物流における総務の負荷がさらに軽くなる未来を目指し、大都市圏で数千社の導入を目標に『トドケール』を広めていく展望です」

元DXコンサルタントが考える、サステナブルなDX

トドケールを創業する以前に、DXコンサルタントとして働いていたという野島さん。さまざまな企業のDXを見届けてきた野島さんに、DXを推進するにあたり必要な考え方を聞いた。

 

「日本企業は『DXを導入することですぐにどのような利益が出るのか』を強く気にする傾向にあります。たとえば、自動で文字を認識して読み取る機能(OCR)を導入する場合、70%程度の読み取り精度になることもあります。30%は人力で修正しなければならないとなったとき、OCRの費用に加えて人件費も発生しますよね。計算してみると、最初からすべて人力でやったほうが安く収まることもよくあるんです。その試算を見て、『費用対効果が悪いのでやらない』という決断をする企業が非常に多いと感じます。

しかし、デジタルの精度は日に日に向上しています。70%の精度が90%にも、99%にもなる可能性がある。人力の場合は精度を高めるにも限界があり、業務が増えれば人材を採用し続けなければならないでしょう。そのうえで『DXをやらない』という判断は本当にサステナブルなものなのか……しっかりと考えていくべきだと思います」

 

DXにおいて目の前の利益を追い求めてしまうと、すぐに成果が出ないこともある。だが、少し先の未来に向けてトライしてみることで、得られるものがある。トドケールが収集している郵便物のデータはその最たる例だろう。DXによってこれまで見えていなかったインサイトが明らかになり、業務改善や売上アップにつながっていく。デジタルの機能を表面的に使うだけでなく、いかにその蓄積したデータを有益に活かせるか。トドケールはこれからも積極的にデータを活用しながら、総務の働き方改革を提案していく。

 

株式会社トドケール

 

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