さくらインターネットでは、多様なバックグラウンドを持つ女性エンジニアが活躍しています。本シリーズでは『さくらの女性エンジニア Real Voice』と題し、これまでの経歴や現在の業務内容、めざすキャリア、ワークライフバランスのリアルなど、さまざまな角度から「さくらインターネットの女性エンジニア」を紐解いていきます。
第2回は、クラウド事業本部 プラットフォーム部 販売管理グループに所属し、販売管理システムを担当する柳田理菜にインタビュー。業務内容や仕事のやりがい、子育てとの両立などについて聞きました。
柳田 理菜(やなぎだ りな) プロフィール
クラウド事業本部 プラットフォーム部 販売管理グループ 販売管理ユニット所属
SES企業のエンジニアを経て、2016年にさくらインターネットへ入社。以来、販売管理システムを担当。2020年には第一子を出産。2021年4月に時短勤務で復帰し、現在はフルタイムで勤務している。
さくらに転職して、「家族の病気」で休みを取る人が多いことに驚いた
――さくらに転職するまでの経緯を教えてください。
大学は生物系だったのでITを専門で学んでいたわけではなく、授業で少しコンピューターをいじる程度でした。ただ、当時は研究職以外の理系女子学生の就職先としては、IT系が比較的多かった印象でした。私自身、いくつか面接を受けていくなかでIT系の企業に興味を持ち、最初の会社に入社しました。そこはSES企業で、直接ユーザー企業の部署に常駐して勤務していました。
5年間働いたのですが、お客さまのビジネスを手伝う働き方よりも、自社でサービスを提供している会社で働いてみたいと思うようになって。それで、さくらインターネットに転職しました。転職エージェントから「さくらは女性も働きやすいですよ」と言われたことも決め手の1つです。
――「女性も働きやすい」というのは、子育てとの両立がしやすいといった意味でしょうか?
そうだと思います。当時はまだ独身でしたが、将来的には結婚して子どもを持つことを視野に入れていました。だから転職活動しているときも、「子育てしながら働きやすいかどうか」を重視していましたね。
前職は激務だったため、子どもがいる人が少なかったんですよ。有期のプロジェクトが多いと産休や育休も取りにくいし、家族計画に影響が出る不安もあって……。それも転職の動機の1つでした。
――さくらに入ってみて、前職とのギャップに驚いたことはありますか?
定時で帰る人が多いことに驚きました。あと、「妻や夫、子どもが熱を出した」など、家族の体調不良で休む人が多いことにも、いい意味でギャップを感じましたね。前職は、家族が体調不良でも休めない環境だったので……。さくらはすごく理解がある職場だな、と感じました。
――業務内容について教えてください。
販売管理グループに所属し、お客さまが会員登録をする画面や、お支払い情報の管理などを行っているチームに所属しています。私個人としては、おもに請求や入金などを管理するシステムを担当しています。
――さくらに入社して、業務にはすぐに慣れることができましたか?
前職では、プログラミング言語はJavaを使っていたのが、さくらに入ってPHPに変わったので、多少の勉強は必要でしたね。本を読んだりWeb上で情報を探したりして勉強しました。
また私が入社したとき、さくらは創業20周年を迎えようとしたころですが、古いプログラムがまだ残っているような状況でした。当時開発した人が残っていないのに、ドキュメントもなく過去の経緯がわからないような古いVisual Basicプログラムが残っていたりして(笑)、それをメンテナンスしていくのは少し難しかったですね。
育休から復帰しやすかったのは「さぶりこ」のおかげ
――さくらに転職して4年後に産休・育休を取得されたそうですね。
はい、さくらは、産休・育休を取りやすい環境で助かりました。女性社員はもちろん、男性社員にも、みんな当たり前に「育休取るんですか?」と聞きます。私も恵まれたらもう1人子どもがほしいと思っているので、そのときはまた産休・育休を取得しますが、さくらはそれを言い出しやすいんです。
――子どもを持つことで、今後のキャリアに不安は感じましたか?
実際に子どもを持つまでは、仕事と子育てをちゃんと両立できるのかとても不安でした。販売管理チームには女性の先輩がいなかったですし……。
ただ、同じ部署にはいなくても、社内には先輩ママさんがたくさんいました。社内のSlackにも「#papa-and-mama」というチャンネルがあるんです。あとは私が妊娠中、お昼休みに集まって、子育てについて雑談しながら子ども服のお下がりを譲渡する会があったんです。そこでいろいろ質問できました。
――その後、ご出産されたんですね。育休から復帰したときはどんな感じでしたか?
1年2か月ぶりにパソコンに向かったのですが、最初はパソコンに向かうだけでしんどかったです。労働ってこんなに疲れるんだっけ、みたいな(笑)。
また、私が休んでいた間に変わった部分も多くて、それをキャッチアップする必要がありました。でも、「教えてください!」と言えばみなさんが教えてくれるので、そこまで困らなかったです。
――復帰直後は時短勤務で、少しずつ勤務時間を延ばしていったそうですね。
最初は最短の6時間から始めて、自分と子どもが慣れてきたら30分延ばして、しばらくしたらまた30分延ばして……というふうに、様子を見ながら少しずつ勤務時間を延ばしていきました。
さくらには「さぶりこ」という制度があるんですよ。「Sakura Business and Life Co-Creation」の略で、働き方の多様性を尊重するさまざまな取り組みをおこなっています。この制度にはかなり助けられましたね。業務を早く片付けたら定時30分前に退社OKという「ショート30」や、勤務時間帯を10分単位で調整できる「フレックス」など。子育て中の社員に限らず、すべての社員が使える制度です。休みの取りやすさもそうですが、柔軟な働き方が「全社員にとって当たり前」な環境なんですよね。
――全員が使える制度ということで、周りに遠慮せず使えるのがいいですね。
はい。ほかにも、チームメンバーの配慮にずいぶん助けられました。たとえば保育園のお迎えがある夕方にミーティングを入れないようにしてくれたり、子どもの発熱で休むときも「無理せずにね」と声をかけてくれたり……。ほかのメンバーも家族が体調不良のときには休む雰囲気があるので、あまり「自分ばかり申し訳ない」と思わずに済みますね。
――育休から復帰したばかりのころ、大変だったことはなんでしょう?
子どもが発熱して仕事を休まなければいけないことがけっこうあって、それが大変でした。この日までにレビューを終わらせてこの日にリリースする、といったスケジュールを立てていても、それが崩れてしまうので……。
ただ、私が開発していたものはリリース時期の調整ができたので、上司から「そんなに無理して早くリリースしなくていいよ」と言ってもらえて、気持ちが楽になりましたね。
――産前と産後で、変わったことはありますか?
残業ができなくなったことです。子どもを持つ前は、定時で仕事が終わらなければだらだら残業してしまうこともあったんですけど、いまはできない。だからこそ、業務時間内にタスクをこなせるよう、しっかり優先順位をつけて集中して仕事するようになりました。
やりたいことをやらせてくれるのが、さくらの魅力
――さくらインターネットの魅力はどんな点にありますか?
「やりたい!」と主張すれば挑戦させてもらえるところです。「いいよ、やってみなよ」と背中を押してもらえる。いろんなことにどんどん挑戦できる雰囲気があります。
――柳田さん自身、何かを「やりたい!」と主張したことはあるのでしょうか?
あります。まだ時短勤務だったころ、さくらの社内でのピッチイベントで、スタートアップ企業のプレゼンを聞く機会があり、保育園の離乳食用のミールキットを提供する会社と出会ったんです。その会社が「手伝ってくれる方を募集中です」と言っていたので、やってみたいと思いました。
先方は副業として働いてほしいとのことだったんですけど、「育児中で時短勤務なので副業は無理です」と言ったら、さくらの当時の担当の方が「じゃあ、さくらの業務時間内でできるように調整しましょう」と言ってくれて。数か月間、業務委託アドバイザリー契約を締結し、週3~5時間ほどそのスタートアップの業務を手伝わせてもらいました。
――「時短勤務だから」と諦めさせるのではなく、柳田さんのやりたいようにやらせてくれたんですね。ところで、さくらは男性に比べると女性エンジニアは圧倒的に少ないそうですね。
そうなんです。そもそもエンジニアという職種に女性が少ないこともありますけど、もっと増えたらいいのになと思いますね。「さくらは女性エンジニアも働きやすいよ!」と、もっとアピールしていきたいです。
――そのために取り組んでいることなどはありますか?
インターネット上で、女性エンジニア同士で勉強したり相談したりするコミュニティに入っています。子育てと仕事の両立や、技術的な質問など、話題を投げかけたら誰かしら返事をしてくれるんですよ。最近はそのコミュニティで、「うちの会社は働きやすいよ!」と発信しています。
――さくらインターネットのビジョンは”「やりたいこと」を「できる」に変える”ですが、柳田さんは今後やりたいことはありますか?
エンジニアとしてもっと成長したいです。とくにさくらのように20年以上続いている会社だと、「長く動くプログラム」の価値がとても重要になってくる。だから、いま快適に動くことはもちろん、将来を見据えて保守運用できるようなプログラムを開発したいですね。
また希望としては、さくらにもっと女性エンジニアが増えてほしい。そのためにも、私自身が女性エンジニアをエンパワーメントできる存在になりたいし、女性エンジニアに向けてできることがあれば実行していきたいです。昔は女性がプログラミング好きだと「変わってるね」と言われることもあったけど、いまはそうじゃないと思います。技術の魅力を、そしてさくらの魅力を、たくさんの人にお伝えしていきたいですね!