国内クラウドの強みは?海外クラウドと徹底比較
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クラウドは、いまや社会やビジネスの基盤として欠かせない存在になりました。 しかし、その“当たり前”の裏側には、技術の変遷や構造的な課題、そして日本が直面する新たな問いがあります。
長年クラウドの最前線で活躍してきた日本初のクラウドソリューションアーキテクト・荒木 靖宏に、クラウドの本質と、いま国産クラウドが求められる理由を聞きました。
※本記事は、さくらインターネットのYouTubeチャンネル「さくらのデジタルインフラ学校」で2025年12月18日に公開した動画をもとに執筆しています。

荒木 靖宏(あらき やすひろ) プロフィール
さくらインターネット クラウド事業戦略本部 プロダクトマネージャ
株式会社インターネットイニシアティブ、ネットビレッジ株式会社(現:株式会社fonfun)を経て、ヒューレット・パッカード研究所でモバイルネットワークおよびサービス基盤の研究に従事。2010年、東京大学基盤情報学専攻 博士号取得(科学)。その後、DeNA(株式会社ディー・エヌ・エー)を経て、2011年にアマゾンウェブサービスジャパン合同会社(AWS)へ入社し、13年間ソリューションアーキテクトとして活動。2024年9月、さくらインターネットに入社。
X(旧Twitter):@ar1
クラウドってそもそも何?
まずはクラウドの基本から教えてください。あらためて「クラウド」とは何でしょうか?
「クラウド」という言葉が広く使われ始めたのは、2006年ごろです。Googleの元CEO エリック・シュミット氏が“クラウドコンピューティング”という言葉を使い出したことがきっかけでした。
さくらインターネットでもVPSやレンタルサーバーを提供していましたが、世の中で「クラウド」と言われるものは、単に“サーバーを貸す”ことではありませんでした。企業がコンピューターを使ってやりたいことは、計算やデータの保存、ネットワークを通じてお客さまにサービスを届ける、といったことですよね。サーバーの配線やネットワークの契約といった面倒な準備をしなくても、クレジットカードさえあれば10分で環境が手に入る。いつでもどこでも、欲しいときに欲しい計算リソースを借りられる――それを「クラウド」と定義しました。
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クラウドでできることは“使う人次第”
クラウドでは何ができるのでしょうか?
結局のところ、本当に「使う人次第」です。仮想マシンやデータベースを借りるといった下位レイヤーのサービスだけではなく、近年は機械学習モデルを使ったチャットボットや音声合成など、上位レイヤーのサービスが増えています。昔であれば専門のプログラミングスキルが必要だったものが、いまはAPIを呼ぶだけで実現できるんです。良いサービスをつくるには、「どんなサービスが存在しているか」を知っていることが重要です。知らなければ単純なものしかつくれませんが、知っていれば、数年分の努力を一気に飛び越えられます。
「どう使うか」「何を組み合わせるか」が大事ということですね。
たとえば、携帯電話がどのように動いているのか知らなくても使うことができますよね。内部の仕組みがどうなっているかは関係ない。クラウドもそれと同じなんです。
エンジニアのクラウドへの向き合い方―― “知っている”ことが最短ルートになる
エンジニアは、実直に技術を学んでコードを書くよりも、まずはどういったサービスがあるのかを調べるほうが大事なのでしょうか。
もちろん、自分で書いたプログラムがどのように動くのかなどは勉強してほしいですね。ただ、時間は有限です。本来3年かかるような実装でも、あるサービスやライブラリーを使えば3日でつくれることがあります。「知らなかったからできなかった」という状況はもったいないですよね。そういった意味ではやはり知っていたほうがいいですし、それにかける時間は決して無駄にならないと思います。
自分で書くことも大事にしながら、しっかり情報収集もしていく必要があるんですね。
そうですね。
いま、世の中のおもしろいサービスはだいたいがクラウドで作られているんです。だから知っておくことは大事だし、興味を持って調べると意外なところに発見があって楽しいですよ。
クラウドの進化の現場
長年IT業界で働いてこられたなかで、クラウドの進化をどのように見てきたのですか?
じつは、最初は私も「クラウド」という言葉はバズワードだと思ったんです。いままでもレンタルサーバーやコンピューターの時間貸しサービスはあったわけですし。コンピューター1台、サーバー1台で完結するようなシステムであれば、それは単に名前を付け替えただけです。
でも、コンピューター100台、10万台にアクセスがたくさん来たらサーバーが自動で増えるといったことは、レンタルサーバー1〜2台でできるものではありません。それで、「どうやらクラウドコンピューティングは、レンタルサーバーとは違って物事をもっと自由に簡単にできる、社会を変えるようなものだ」と思ったんですよね。
コンピューターの時間貸しや、仮想マシンで分割して貸し出す技術を安く安定させられるようになったのが2002〜2003年ごろです。そこから、ストレージも分けて使おうとか、10Gbpsのネットワークを1人あたり100Mbpsずつに分けて何万人にも配ろうとか、そういうことができるようになってきました。
気がつけば、最初からデータベースを提供する、メール配送を提供する、といったサービスが次々と増え、現在のクラウドサービスの形につながっていますよね。
なぜいま、国産クラウドが必要なのか?
クラウドが広く使われるようになったことで、見えてきた課題もあったのでしょうか?
クラウドを使うことが世のなかの当たり前になった一方で、「このサーバーはどこで、どんな仕組みで動かしているのだろう」と疑問に思う人が増えていきました。
アメリカの企業がクラウドコンピューティングを大きく進めていたなかで、「日本でも同じようなことはできないのだろうか」と考える人もいれば、「もし海外の提供事業者の方針変更や国際情勢などにより、使用を禁止されてしまったらどうなるのか」と不安を感じる人も出てきました。自国のなかにそういったクラウドの技術がなかった場合、今後どうなってしまうのか、多くの人が心配しはじめたんです。
こうした流れのなかで、日本政府も「ガバメントクラウド」に着手しました。「日本の技術を日本で使いたい」と考える人が想像以上に多いということがわかってきたので、さくらインターネットも国産クラウドの開発にチャレンジしたんです。
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国産クラウドがないと“いざ”というときどうなる?
いざというときに自国内でクラウドを作れる状態にしておく必要があるという課題があるかと思いますが、その“いざ”はどういったときなのでしょうか。
多くのクラウドは海外にあるコントロールプレーンにつながっていることが前提で動いています。もしそれが長時間切られてしまった場合、日本で動くようにするのはすごく難しいことなんです。日本は海底ケーブルで世界とつながっているので、何らかの要因で切断されてしまうリスクがあります。動かしたくても動かせない状況になってしまうと困るので、せめて日本のなかでちゃんと動くものをつくることが必要だと思います。
より深く理解したい方は、ぜひ動画もあわせてご覧ください。
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