
さくらインターネットでは、さまざまな業界のお客さまに当社のサービスをご利用いただいています。
本記事では、2026年2月・3月に当社ホームページに掲載した導入事例8件をご紹介します。
お客さまの課題に対し、当社ソリューションの導入プロセスと成果をご覧いただけます。
伝統祭事「唐津くんち」を支えるガイドアプリ ─ 「さくらのAI Engine」で巨大イベントの安全運営を自動化

■導入企業:株式会社アイネットマコト さま
■業種:WEBサービス&アプリ提供者
■導入サービス:さくらのAI Engine
株式会社アイネットマコトさまとadams株式会社さまは、佐賀県唐津市で開催される伝統祭事「唐津くんち」において、公式ガイドアプリ「曳山ナビ」を共同で開発・運営されています。「唐津くんち」は400年以上の歴史をもち、毎年のべ60万人が訪れる巨大イベントであることから、狭い城下町に人が集中するなかでも安全かつ円滑な運営をおこなうための情報提供基盤が求められていました。
その一環として提供されてきた「曳山ナビ」ですが、約10年にわたる運用により、レガシーコードの蓄積による保守負荷の増大が課題となっていました。さらに、生成AIを活用した新機能が想定以上の反響を呼び、会期中にはアクセスが急増。通信遅延や一時的なサーバー負荷、APIコストの高騰といった問題が顕在化し、持続可能な運営のために基盤の全面的な最適化と刷新が必要となりました。
検討の結果、レスポンス性能とコストパフォーマンスを重視し、生成AI向け推論基盤として「さくらのAI Engine」を採用。RAG(検索拡張生成)を活用した構成により、すべての情報を外部に送信せず、独自のナレッジベースを参照する仕組みを構築したことで、APIリクエスト時のトークン量を抑え、従来構成と比べてコストを約10分の1に削減できる見込みが立ちました。
採用後は、生成AIを前提とした開発手法により、コーディングや修正作業の工数が従来の約1か月から最短1日へと大幅に短縮。低レイテンシで安定した応答が可能となり、来訪者を能動的に誘導することで、危険な人流集中を抑制する仕組みも実現しています。また、国産AI基盤としてデータが国内で完結する点も、自治体が関わるプロジェクトにおいて安心材料となっているそうです。
全ゲノム解析の時間を大幅に削減 ─ テンクーが「高火力 VRT」で実現したゲノム情報の高速解析と開発体制の強化

■導入企業:株式会社テンクー さま
■業種:WEBサービス&アプリ提供者
■導入サービス:高火力 VRT
株式会社テンクーさまは、がんゲノム医療を支えるトータルソリューションソフトウェア「Chrovis(クロビス)」を開発されています。がんゲノム医療において、保険収載以降、一定の成果が得られたというがんゲノムプロファイリング検査では、解析対象が限られるため、希少がんなどでは十分な理解につながらないという課題が指摘されています。全ゲノム解析の推進を見据え、株式会社テンクーさまでは「全ゲノム解析検査」に対応するChrovisの新システム開発を進めていました。しかし、解析データの急増により、自社環境のGPUでは必要な計算リソースの確保が難しくなっていました。
こうした背景から、株式会社テンクーさまでは、計算処理性能を大幅に向上させるとともに、研究内容や要件の変化に柔軟に対応できるGPU基盤の検討を開始。オンプレミス環境では増強や運用負荷の面で限界があることから、クラウド上で高性能なGPUリソースを安定的に利用できる構成が求められていました。
検討の結果、GPUを活用した高性能計算基盤として「高火力 VRT」を採用。必要なタイミングで適切な規模のリソースを利用できる環境を構築することで、全ゲノム解析にかかる処理時間を大幅に短縮し、解析業務の効率化を実現されています。
また、インフラ構築や運用の負担が軽減されたことで、研究開発により多くのリソースを集中できるようになり、新たな解析手法やサービス開発への取り組みも加速。高速な解析環境と柔軟な開発体制の両立を支える基盤として、「高火力 VRT」が重要な役割を果たしています。
厳格な要件が求められる金融・行政分野を支える独自AIエージェントに採用された「高火力 VRT」

■導入企業:株式会社インフォメーション・ディベロプメント さま、SBI R3 Japan株式会社 さま
■業種:WEBサービス&アプリ提供者
■導入サービス:高火力 VRT
株式会社インフォメーション・ディベロプメントさまとSBI R3 Japan株式会社さまは、金融・行政分野など、とくに厳格な要件が求められる領域での活用を想定した、逐次学習型AIエージェント「SAPHI」(サフィー)の開発に取り組まれています。AIで自社データを活用するにあたり、安全性やガバナンス、透明性を確保した学習環境の整備が重要な課題となっていました。
開発において、大規模な学習処理を高速かつ安定的におこなう必要がある一方、自社でGPUサーバーを調達・運用することは、調達難やコスト、納期の面で現実的ではありませんでした。また、学習データを扱う環境として、データの保存場所が国内で完結し、日本の法規制や商習慣に沿った運用ができることも重要な要件でした。
こうした条件を踏まえ、両社はGPUを活用した学習基盤として、国産クラウドサービスである「高火力 VRT」を採用されました。クラウド上で高性能なGPU環境をすぐに利用できるようになったことで、従来は長時間を要していた学習や検証の処理時間が短縮され、開発スピードの向上につながっています。また、データを国内に保管できる点や、請求書払いへの対応など、エンタープライズ企業に求められる内部統制や運用要件にも適合。金融・行政分野での活用を見据えたAIエージェントの学習基盤として、「高火力 VRT」が開発と検証を支えています。
「さくらのクラウド」へ移行しインフラコストを最大1/6に削減 ─ absが推進する葬儀DX基盤を構築

■導入企業:abs株式会社 さま
■業種:WEBサービス&アプリ提供者
■導入サービス:さくらのクラウド
abs株式会社さまは、互助会向け葬祭基幹システム「ZEBRA」などをはじめとしたITソリューションを提供されています。さらなる事業拡大を見据え、同社ではこれまで大規模法人向けに展開してきた基幹システムの知見を活かし、一般葬儀社向けの新たな葬儀基幹システム「ZEBRA SLIM」を開発されました。
従来、abs株式会社さまが提供するサービスのインフラ基盤は大手外資系クラウド上で運用されていましたが、円安の影響などによりインフラコストが継続的に増大。加えて、設計情報が十分に整備されていないレガシー環境がブラックボックス化し、近代化や改善を進めにくい状況が課題となっていました。新プロダクトの開発にあたり、コストを抑えつつ安定したサービス提供を実現できるインフラ基盤への見直しが求められていました。
こうした背景のもと、abs株式会社さまは、導入支援を担当したNorth Torch株式会社さまの提案を受け、インフラ基盤として「さくらのクラウド」を採用。新たなシステムでは、アプリケーション構成や技術スタックを刷新し、IaC(Infrastructure as Code)を活用したインフラ構築を進められました。
その結果、インフラコストは従来比で最大1/6程度まで削減され、費用の安定化を実現。運用負荷の軽減にもつながり、小規模事業者にも提案可能な価格帯でのサービス提供が可能となっています。一般葬儀社向け市場への展開を支える基盤として、「さくらのクラウド」がabs株式会社さまの葬儀DX推進を下支えしています。
数百万規模の防災情報配信を支えるインフラ ─ アールシーソリューションが「さくらのクラウド」で実現した高い信頼性と経済性

■導入企業:アールシーソリューション株式会社 さま
■業種:WEBサービス&アプリ提供者
■導入サービス:さくらのクラウド
アールシーソリューション株式会社さまは、緊急地震速報アプリ「ゆれくるコール」をはじめ、訪日外国人向け災害情報提供アプリ「Safety tips」や、企業の事業継続を支える「BCP-PREP」など、多角的な防災ソリューションを提供されています。これらのサービスは、大規模災害時に数百万規模のアクセスや通知が発生する特性をもち、確実かつ遅延のない情報配信が求められていました。
同社では、災害発生時に急激にアクセスが集中する「バースト」に耐えうるインフラ基盤の確保が大きな課題となっていました。人命に関わる防災情報を扱う以上、通知遅延やシステム停止は許されず、シンプルで信頼性の高い運用環境が求められていたといいます。一方で、過剰な設備投資によるコスト増加も避ける必要がありました。
こうした課題に対し同社は、インフラ基盤として「さくらのクラウド」を採用。アクセス急増時にも柔軟にリソースを拡張できるクラウド環境と、データ転送量無料の料金体系を活かし、安定稼働とコスト面の両立を実現しました。また、エンジニアによるきめ細かな伴走支援を受けながら、最適な配信基盤を構築されています。
現在は、直感的に操作できるコントロールパネルを活用し、運用負荷を抑えた安定運用を継続。長期にわたり止まらないインフラ環境を実現し、防災情報を確実に届ける基盤として、「さくらのクラウド」が同社のサービスを支えています。
医療AIの社会実装を加速 ─ 北海道大学が選んだ「高火力 DOK」の信頼性と安定感

■導入企業:北海道大学 電子科学研究所 生体データサイエンス研究分野(藤原幸一研究室) さま
■業種:公的機関・研究機関
■導入サービス:高火力 DOK
北海道大学の電子科学研究所生体データサイエンス研究分野では、心電図や脳波といった生体信号を解析し、疾患の早期発見や治療に貢献する研究に取り組まれています。なかでも同大学電子科学研究所の藤原幸一教授の研究室では、機械学習を用いた医療データ解析の研究を進められています。
生体信号は画像データとは異なり、波形を読み解くために高い専門性が求められるうえ、患者数の少なさや検査実施機会の限界などから、取得できるデータ量も限られるケースが多く、解析の難易度が高い分野です。そのため、データを収集しながら試行錯誤を重ね、モデルのパラメーターを調整・検証していくプロセスが欠かせませんでした。
従来利用していた学内計算機や国の研究インフラとして提供されているスーパーコンピューター環境では、ローカル環境で作成したDockerイメージをSingularityなどの別の実行形式に合わせて調整する必要があり、その手間が研究の心理的なハードルになっていました。また、共有リソースであるがゆえに、ほかのジョブの優先状況によって研究が中断されることもあり、研究のスケジュールに影響が出ていたそうです。
こうした課題に対し、同研究室ではGPUを活用した計算環境として「高火力 DOK」を採用されました。ローカルで使用していたDocker環境をそのままクラウド上で動かせることで、環境差異による手戻りが減少。Jupyter Notebook※を用いた対話的な試行錯誤もおこないやすくなり、研究の効率が向上、学生が環境構築でつまずかなくなりました。また、「高火力 DOK」では計算リソースを専有できるため、外部要因による制限を受けにくく、必要なタイミングで安定して計算を実行できる環境を確保できました。これにより、試行錯誤のサイクルがスムーズになり、研究スケジュールが安定しています。
さらに、医療データというセンシティブな情報を扱ううえで、データの保管場所や管理体制を明確に説明できることも重要な要件でした。国内で完結するクラウドサービスである点は、データ提供元への説明やコンプライアンス対応の面でも評価されており、研究を進めるうえでの負担軽減につながっているそうです。
医療AIの実用化と社会実装を見据えた研究基盤として、「高火力 DOK」は、生体信号解析における研究と検証を安定的に支えています。
※ ブラウザ上で動作する対話型プログラム実行環境で、データ分析や機械学習に広く使われるオープンソースツール
国際電子ビジネス専門学校が「さくらのクラウド」で育む、社会を担うIT専門人材

■導入企業:学校法人KBC学園 国際電子ビジネス専門学校 さま
■業種:教育機関
■導入サービス:さくらのクラウド
学校法人KBC学園 国際電子ビジネス専門学校さまは、システムエンジニアや情報セキュリティー、ビッグデータ解析、医療ビジネス、ゲームプログラムなど、多彩な分野のIT人材を育成されています。同校の情報スペシャリスト科ではこのほど、「サーバー構築技術」の授業におけるインフラ基盤として「さくらのクラウド」を導入されました。
近年、IT業界全体でクラウド活用が急速に進むなか、学生からも「クラウドを本格的に学びたい」という声が高まっていました。一方、外資系クラウドは初心者にとって操作性や用語が難しく、教育現場で活用するうえでは学習効率や理解度の面で課題を感じていたそうです。また、データ転送量に応じた従量課金体系では、教育機関として予算の見通しを立てにくい点も検討課題となっていました。
こうした背景から、同校では複数のクラウドサービスを比較検討した結果、シンプルな操作性と純正の日本語UIを備えた「さくらのクラウド」を採用しました。コントロールパネル上で稼働状況が直感的に把握できる点は、初学者である学生にとって理解しやすく、授業への取り組みやすさにつながっています。
実際の授業では、学生がチームを組み、WEBシステムを構築から運用までおこなう実践的な内容となっています。「さくらのクラウド」を用いることで、学生自身が試行錯誤を重ねながらエラーを解決する環境を整えることができ、実務に近い経験を積める授業を実現しました。また、データ転送量が実質無料である料金体系により、教育コストを抑えつつ、柔軟なカリキュラム設計が可能になっています。
将来、ガバメントクラウドなど高いセキュリティー要件を満たすインフラを扱う人材育成を見据え、教育の現場から国産クラウドに触れられる点も評価されています。実践的な学びを通じて、社会を支えるIT専門人材の育成に、「さくらのクラウド」が活用されています。
建設業界のDXを「ImageFlux」がサポート ─ 国産SaaSで日本の工事現場を守る

■導入企業:現場Hub株式会社 さま
■業種:建築業
■導入サービス:画像変換・配信エンジン(ImageFlux)
現場Hub株式会社さまは、工事会社向けに業務管理SaaS「現場Hub」を提供されています。案件管理や予定管理、請求管理、現場報告までを一元化し、現場とバックオフィスをデータでつなぐことで、建設業界のDXを支援されています。
フィールド業務においては、現場の状況を把握するために大量の写真が活用されます。「現場Hub」では、工事前・工事中・工事後といった各工程で撮影された写真がアプリ経由でアップロードされ、モバイルアプリやWEB上で一覧表示されます。日常的に多くの写真を確認し、必要に応じて詳細を表示する運用がおこなわれているため、画像処理のパフォーマンスが業務効率に直結していました。一方で、従来の方法では画像をそのまま読み込むことでアプリがクラッシュしてしまうケースもあり、画像処理基盤の見直しが課題となっていました。
こうした課題を受け、同社では画像処理基盤の検討を進められました。一時的に海外製の画像変換サービスを導入することでアプリの安定化は図れたものの、従量課金制であることから、事業の成長にともなって画像処理コストが増加し、費用の見通しが立てにくい状況となっていました。
検討の結果、同社は、画像変換・配信基盤として「ImageFlux」を採用されました。要件を満たしながらも、シンプルな料金体系によりコストの予測が立てやすく、事業成長時の費用管理がしやすい点が評価されています。また、国産サービスであることから為替変動の影響を受けにくく、日本語でのサポートが受けられる点も安心材料となりました。
ImageFluxへの移行は数時間で完了し、その後は安定した運用を継続しています。大量の現場写真をサムネイル表示しながら快適に確認できる環境を実現するとともに、画像処理にかかる費用は移行前と比べて約10分の1まで削減されました。サービスのパフォーマンスと経済性を両立する画像処理基盤として、「ImageFlux」が現場Hub株式会社さまの成長を支えています。
まとめ
本記事では、当社サービスがどのようにお客さまの課題に応え、事業成長に貢献しているかを、実際の導入事例を通してご紹介しました。
さくらインターネットでは、今後もお客さまの課題解決を支える信頼性の高いデジタルインフラを提供し、社会全体のデジタルトランスフォーメーションに寄与してまいります。
執筆
社長室 広報グループ
「『やりたいこと』を『できる』に変える」という企業理念のもと、さくらインターネットの取り組みや技術、サービスの価値を社内外へ発信しているチーム。国産のデジタルインフラを提供する企業としての責任や挑戦について、各種チャネルを通じて日々情報発信を行っている。
>>さくらのデジタルインフラ学校(YouTube)
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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