さくらインターネットのガバメント分野への取り組みとは?
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2026年3月、さくらインターネットが提供する「さくらのクラウド」は、デジタル庁が募集した「令和5年度・令和8年度ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」に採択されました1。2022年のガバメント推進室発足から約4年。2023年の条件付き認定を経て、多くの課題を乗り越えてここまでたどり着きました。国産企業として唯一のガバメントクラウド正式採択を果たしたいま、さくらインターネット 代表の田中と公共営業部 部長の小松はなにを感じ、どのような未来を目指しているのか。ガバメントクラウド正式採択に至るまでの道のりや今後の展望などを語ってもらいました。
田中 邦裕(たなか くにひろ) プロフィール
さくらインターネット 代表取締役社長 最高経営責任者
大阪府出身、沖縄在住。舞鶴高専在学中の18歳の時にさくらインターネットを起業。自らの起業経験やエンジニアというバックグラウンドを生かし、若手起業家やITエンジニアの育成に取り組んでおり、現在は、複数の企業の社外取締役やIPA未踏PMも務める。さらに、業界発展のため、SAJ会長・JAIPA副会長 ・JDCC理事長・BCCC副代表理事など多数参画。最近は、多拠点生活を実践するなど、自ら積極的に新しい働き方を模索している。
小松 沙羅(こまつ さら) プロフィール
さくらインターネット 営業本部 公共営業部 部長
2017年、さくらインターネットへ新卒で入社し、フィールドセールス職として活躍。2022年度からガバメント推進室(現:公共営業部)の室長に就任。2026年4月より現職。
ガバメントクラウドに正式採択された、いまの心境
2026年3月27日に「さくらのクラウド」が、ガバメントクラウドに正式採択されました。いまの率直な心境をお聞かせください。

2023年に条件付き認定をいただいてからこのたびの正式採択に至るまで、自治体や各府省庁の方々から本当にたくさんの応援の声をいただきました。最初は自分たちがやりたくて進めたものが、これほど多くの方に期待していただけて、非常にありがたく感じています。ただ、私たちはガバメントクラウドに関して、これから貢献していくフェーズに入ったばかりです。正直なところ安堵感はなく、いただいた期待をきちんと結果で返していかなければという気持ちです。

私は安堵感がありますね。うれしいというよりは「やれなかったら大変だった、とりあえず良かったな」という気持ちです。先行投資をして機能開発をしたのに、もしガバメントクラウドに採択されなかったら、みなさまの期待を裏切るうえにすべて無駄になってしまうところでした。そういう意味で、ほっとしています。
ガバメントクラウドとしての「さくらのクラウド」の強みは?
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組織が発足した4年前に語った目標の振り返り
2022年にガバメント推進室が発足した際のインタビューで、小松さんは「デジタル・ガバメントの推進に取り組む方々とリレーションを構築し、提案できる事業者に成長すること」を目標に掲げていました。手応えはいかがですか?

できたことは着実に増えていると感じます。 最近、日本ビジネスシステムズ株式会社と行政システムのデジタル化推進における活動の基本合意書を締結しましたし、株式会社三菱総合研究所とデジタルガバメント×ソブリン領域での協業を発表しました。まだお話しできない部分もありますが、本格的にこの領域を推進していくうえで欠かせない大手事業者さまとも、さくらのクラウドの検証を進めていただいています。
中央省庁でも各省庁のPMOに対する課題ヒアリングや個別勉強会をおこなうなど、支援体制を拡張しています。自治体に関しても、複数の団体様と直接会話をしており、岐阜県飛騨市様とのAI活用に向けた実証に取り組み、事例を公開しました。正式採択を受けてから、お問い合わせいただく件数も増えていますし、今後もさまざまな方との関係構築を進めていく意向です。
もう1つ掲げていた目標の「ガバメント領域での存在感を強めること」についてはいかがですか?

2022年にガバメント推進室を立ち上げて展示会に出展し始めた当時は、「レンタルサーバーを提供している会社でしたっけ?」と言われることが多かったんです。でもいまは、ガバメント領域に注力して活動していることを知ってくださる方が非常に増えました。ただ一方で、「ほかのクラウドと比べてなにが違うのか」「どういう場面でさくらインターネットを選ぶべきか」という差別化の認知にはまだ至っていない部分もあり、そこはこれからの課題です。

4年前からしっかり目標を持って取り組んで実現できたことは、非常に良かったですよね。プロジェクトをやり抜いたことは重要ですし、仕事のチャンスをものにしたことに敬意を表したいです。小松さんは新卒で入社してくれていますが、社内にネットワークをつくりながらチャンスを得ていく形は、会社にとっても本人にとってもメリットが大きい構造だと思います。
2026年4月1日から、ガバメント推進室は組織が変わり、営業本部の公共営業部になりました。狙いについて教えてください。

これまでのガバメント推進室は、ガバメントクラウドへの正式採択をミッションとして抱えながら、営業機能も持ちつつ、ガバメント領域の戦略立案を担う組織でした。ガバメントクラウドの正式採択が達成できたため、今度はそれをきちんとお客さまに提供していくことにコミットする段階に移ったという意味で、営業本部に加わり、部門名も変更することにしました。
ガバメントクラウド正式採択までの道のり
ガバメントクラウドの正式採択を進めるうえでもっとも大変だったことはなんでしょうか? また、それをどのように乗り越えたのかを教えてください。

プロジェクト全体としては、開発とセキュリティ対応を完遂することが大変でした。ただ、田中さんが最初から「自社でやりきる」と決めて、パブリッククラウドを国内で作りたいと考える優秀なエンジニアが次々にさくらインターネットに参画してくれたことで、無理なスケジュールでも「決める人が決めて、これで行こう」と意思決定できたのは大きかったです。
私個人でいうと、前例がないことが多く、誰に聞いても正解が返ってこないことがもっとも大変でした。乗り越えるために心がけたのは、契約でも技術でも横流しにせず、自分が間に入って自分なりに解釈して「こういう方向で進めませんか」と提案することです。「あなたのほうがくわしいから決めてください」と言ってしまうと、前提情報が足りず物事が止まってしまいます。一緒に考えるマインドが大事で、そうすることで周囲もどんどん一緒に動いてくれるようになりました。
田中さんが社長の立場で取り組んだことを教えてください。

全部ですよ。プロジェクトを進めるためには大幅な増員が必要で、社内から「人を雇えません、相当な費用がかかります」と言われたときも「それだけの費用を使っていい」と返しました。多くの会社は合議で話しているうちに制約が定数として固まってしまいます。でも、本当に必要であれば、その制約を変数に変えていけばいいんです。
「配慮はするけど、遠慮はしない」を実現
2022年のインタビューで、田中さんから「配慮はするけど、遠慮はしない意識で進めてほしい」とアドバイスがありました。「配慮はするけど、遠慮はしない」を実現できたエピソードはありますか?

この言葉は、私にとってはまさに行動指針になるほど大事なものでした。当時はまだ若手でしたし、いろいろな方におうかがいを立てながら進めようとしていたなかで、この一言がブレイクスルーになりました。
社内に対しては、たとえ田中さんであっても直接連絡して意見を伝えていましたし、直属のライン外の役員にも、必要であれば遠慮なく連絡していました。
社外のさまざまな関係者に対しても同じです。上司に同行してもらうと3日後になるけれど、自分1人なら今日行けるし、自分で責任をもって説明・判断ができる……という場面では、今日行くほうを選んでいました。大きな会議で質問しにくい空気が流れている場面でも、わからないことは「すみません、これはこういうことですか?」と遠慮せずに確認していました。そうして対話を重ねていくなかで、じつはみなさんにとっても盲点となっていた部分が見えてくることがありました。 体裁よりも決めるべきことにフォーカスした行動ができたのは、田中さんのこの言葉があったからです。

重要なのは、小松さんが「田中さんに言われたから」ではなく、自分の行動指針として受け取った点です。物事の本質を捉えて、自分の行動に変換できたのが成功要因だったと思います。
ガバメントクラウド正式採択後の社内外からの反応
ガバメントクラウドに正式採択されたあと、社内外からはどのような反響がありましたか?

本当に多くの社内の方から「おめでとう」や「ありがとう」と連絡をいただきました。4年間で、さくらインターネットが担う意義を理解してくれる人が増えたと感じています。
社外に関しては、ニュースになったときの反響が非常に大きくて、「応援しています」と言っていただけることが格段に増えました。実際に、さくらのクラウドを使ってみたいというお客さまからの問い合わせも増えています。日本のITインフラの未来を考えたときに、ガバメントクラウドの提供事業者にさくらインターネットがいるかいないかは大きな分かれ目なのだと、現場で実感しています。

ITインフラの領域でベンチャー企業は当社くらいしかいません。外資系企業と同じハードルで投資を重ねてクリアした国内のベンチャー企業が現れたことへの期待感は、党派を超えて政治家のみなさまにも応援いただけるものだと感じています。
今後、公共領域で実現したい2つのこと
今後、公共領域で実現したいことを教えてください。

2つあります。1つ目は、ガバメントクラウドに限らず、政府のIT基盤全体に関わることです。機密性の高いデータについては、パブリッククラウドに置けるもの、国内で特定の形で保全すべきもの、プライベートクラウドでなければならないもの、というグラデーションをもう少し明確に定義していく必要があると思います。国内に主体がある企業として、さくらインターネットは、クラウドにおける主権の観点で価値を出せると考えています。
2つ目は、中小規模の自治体への支援です。政令指定都市のように予算や人材の面で比較的体制が整っている自治体と比べると、中小規模の自治体では、システムの導入や運用に十分なリソースを割きにくい現実があります。なかには、大手ベンダーの支援が届きにくくなり、選択肢が限られているケースもあります。一方で、人口が減少しても、行政として担うべき業務がそれに比例して減るわけではありません。そうした自治体に対して、地場のベンダーやパッケージベンダーの方々と連携しながら、限られた体制でも安定して使える仕組みを提供できることが、私たちの役割だと考えています。

地場のベンダーと積極的に連携していくことは重要ですね。ただ、正直当社はまだ量的にできていません。営業も足りていませんし、自治体からの期待は強いのに応えきれていない点は課題です。これからまた新しく入ってくる社員たちが先導して、既存の組織を引っ張るくらいのことが必要だと考えています。
公共領域における、さくらのクラウドならではの強みとは?
公共領域において、さくらのクラウドにはどのような強みがあると考えていますか?

お客さまに評価いただいている点は、大きく2つあります。
1つ目は価格の安定性です。当社は日本企業であるため為替の影響を受けにくく、またOSSベースで自社開発しているため、外部ライセンス費用の影響も限定的です。加えて、データセンターからソフトウェアまで自社で担う領域が広く、サプライチェーンを垂直統合できている部分が多い。こうした要素によって、価格を安定的に提供しやすい体制を整えています。 また、転送量課金が発生しないサービスがほとんどであるため、予算が立てやすいと好評いただいています。
2つ目は、自治体が説明責任を果たしやすい支援体制です。パブリッククラウドの価値は、標準化や自動化によって安全で効率的に利用できる点にあります。一方で自治体では、導入にあたって議会や市民に対し、サービスの安全性や運用方針を説明する責任があります。当社では、営業窓口だけでなく、技術的な判断に関わるメンバーも含めて、仕様や設計思想の背景まで説明できる体制を整えています。クラウドの利便性を活かしながら、自治体が安心して説明できる状態をつくれることが、私たちの強みです。今後は、こうした支援体制に加えて、機能面でもさらに差をつけていく必要があると考えています。

さくらのクラウドの根本的な強みは、シンプルに大量のデータを安心して流せる使いやすいサービスであることです。サーバーを1つからつくれて、SIの基本を学んだ方ならすぐに使え、オペレーションも信頼できる体制になっています。なにか起きたときにも被害に遭いにくいインフラです。サービスをこれまでていねいに積み上げてきた結果、お客さまが過度に保護しなくても安全性を高められる点は、当社サービスの強みになります。
「鶏を割くに焉(いずく)んぞ牛刀を用いん」という、小さいことに対して大きすぎる手段を使うのは不釣り合いなことを意味する論語の言葉があります。オーバースペックな機能は使わず、さくらのクラウドでシンプルな構成を取ることによって、コストメリットも生まれるはずです。
お客さまが本当にやりたいことを実現するときに、さくらのクラウドを使っていただければ、簡単かつ結果として安くなるということを立証していきたいですね。
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