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利用料金の高騰や為替の変動、生成AIの普及などにより、クラウドを取り巻く環境は大きく変化しています。 こうした変化を受け、「いまのクラウド環境をこのまま使い続けてよいのだろうか」と考え、クラウド構成を見直す企業も増えています。
しかし、構成の見直しには多大な工数がかかります。とくに、現在の構成を続けなければならない事情があったり、別のクラウドサービスへの全面移行が現実的ではなかったりする場合は、構成の見直しは難しくなります。
じつは、クラウド構成を見直す方法は「全面移行」だけではありません。
本記事では、クラウド構成でよくある課題を整理しながら、構成を見直す際の考え方を解説します。全面移行だけではない、自社に合った構成を考えるヒントをご紹介します。
なぜいま、クラウド構成の見直しが必要なのか
クラウドを導入した当時、多くの企業は自社の要件やコストを踏まえて、もっとも適した構成を選んだはずです。5年後、10年後の技術トレンドを予測し、将来の変化にも対応できるよう備えていたのではないでしょうか。
実際、「少し古くなってはいるが、導入時の構成をそのまま使い続けても、当面の業務を回すぶんには問題ない」という状況は珍しくありません。企業にとって、もっとも重要なのは、収益を生むための日々の業務と、それを支える運用体制の維持です。それらの刷新にはコストをかけ、リスクをとる必要があります。現在順調に運用できているのであれば、現状の構成を使い続けるのは、十分に現実的な選択肢といえます。構成の見直しというと「全面移行」の印象が強いため、ハードルの高さを感じてしまう企業も少なくありません。
しかし、そのようななか、クラウド構成の見直しを検討する企業が出ています。
その背景にあるのが、社会情勢や国際経済の不安定化、技術トレンドの急激な進化といった、数年前の予想を超える大きな変化です。
これらを踏まえると、「当時は最適だった構成が、現在も最適とは限らない」可能性があります。また、現状は維持したまま、「良いところ取り」で一部の構成を最新化する方法が有効な場合もあります。これからくわしく説明していきます。
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いまのクラウド構成、こんな状態になっていませんか?
環境が変化しているとはいえ、自社の構成を見直すべきかどうかは、なかなか判断しにくいものです。ここでは、クラウド構成でよくある課題を4つご紹介します。自社の状況と照らし合わせながらご覧ください。
①コストが増えている
気づかないうちにクラウド利用コストが増えているケースがあります。その要因は、料金改定や円安だけではありません。サービス拡大にともない、データ転送量やリソース使用量が増え、想定以上の費用になっていることもあります。「気づいたら想定よりコストが増えていた」「請求書を見て驚いた」という状況は、クラウド利用では珍しくありません。
②特定のクラウドから離れにくくなっている
特定のクラウドサービスの独自機能を活用すると、開発や運用の利便性は高まります。一方で、その機能への依存が強くなるほど、ほかのクラウドサービスへの移行や構成変更が難しくなる場合があります。将来的な構成変更のしやすさも踏まえ、ベンダーロックインをどこまで許容するかは、あらかじめ考えておきたいポイントです。
③可用性に不安がある
すべてのシステムを単一のクラウド環境に集約している場合、その環境に障害が発生すると、影響が全体におよぶ可能性があります。過去数年間でも、特定サービスの大規模障害によって、多くの企業のWebサービスに広範な影響が及んだ例があります。BCP(事業継続計画)の観点から、単一の環境にどこまで依存するかは、あらためて考えておきたいテーマです。
④用途ごとに最適なサービスを選べていない
クラウドサービスには、それぞれ異なる強みがあります。コストを抑えやすいもの、特定の機能が充実しているもの、国内でのサポートが手厚いものなど、その特徴はさまざまです。すべてのシステムを1つのサービスでまかなっている場合、用途によっては、より適したサービスがあるかもしれません。
以上のなかで、1つでもあてはまるものがあれば、現在のクラウド構成を一度見直してもよいかもしれません。
クラウド構成を見直したい。でも、それって大変?
課題を認識していても、実際に構成の見直しへ踏み切るのは簡単ではありません。
すべてのシステムを別のクラウドサービスへ移行するとなれば、データ移行やアプリケーションの改修、運用手順の再整備など、多くのコストと労力がかかります。また、移行にともなっては、日常業務に影響が出るリスクも無視できません。これまで構築してきた既存の資産を活かしたいケースや、現在利用しているクラウドにしかない機能を使い続けたいケースもあるでしょう。
「見直したい気持ちはあるものの、全面移行は現実的ではない」と感じるのは自然なことです。ただし、構成の見直しは全面移行だけではありません。次の章では、構成を見直す際の考え方をいくつかご紹介します。
クラウド構成を見直す方法は1つではありません
クラウド構成の見直しには、大きく次のような考え方があります。
①1つのクラウドに集約する
現在利用している複数のシステムを、1つのクラウドサービスへまとめる考え方です。管理する環境が1つに集約できる点がメリットになります。運用効率や管理のしやすさを重視するケースで採用されます。
②既存環境を活かす
現在利用しているクラウドやオンプレミス環境、物理サーバーなどの既存資産を活かしながら、必要な部分だけを見直す考え方です。すべてを置き換えなくても、課題のある部分に絞って構成を見直せる場合があります。
③用途ごとにサービスを使い分ける
システムや用途ごとに、求める機能やコスト、可用性などに応じて最適なサービスを選択する考え方です。必ずしも、すべてのシステムを同じクラウドサービスで運用する必要はありません。
こうした考え方の1つとして、複数のクラウドサービスを組み合わせて利用する「マルチクラウド」があります。たとえば、基幹システムは現状のクラウドで運用を続けながら、コストを抑えたいシステムは別のクラウドで運用する、といった構成です。
マルチクラウドを採用することで、それぞれのサービスの強みを活かしながら、コストや可用性、運用面の課題に対応しやすくなる場合があります。すべてを置き換える必要がないため、既存資産を活かしながら段階的に構成を見直せる点も特徴です。
どの考え方が適しているかは、企業が抱える課題や目的によって異なります。全面移行を前提とせず、自社にとって無理のない、有効な手法を検討してみてはいかがでしょうか。
まずは自社のクラウド構成を整理してみよう
自社に合った構成を考えるための第一歩として、まずは現在のクラウド構成を整理してみることをおすすめします。たとえば、次のような観点で書き出してみるとよいでしょう。
- 利用しているクラウドサービス
- コストの構成(固定費・変動費の内訳など)
- システムの構成(どのシステムがどの環境で動いているか)
- 現在感じている課題
現状を整理することで、「どこにコストがかかっているのか」「どの部分に課題があるのか」が見えやすくなります。そのうえで、自社の課題や目的に合った構成を検討していくことが重要です。
その1つの選択肢として、複数のクラウドを組み合わせる「マルチクラウド」があります。具体的な考え方やメリット・デメリットについては、以降の記事でくわしくご紹介します。
まとめ
本記事では、クラウド構成を見直す際の考え方についてご紹介しました。
- 為替の変動やクラウドサービスの進化など、環境の変化によって、当時は最適だった構成が現在も最適とは限らなくなっている
- クラウド構成を見直す方法は、「全面移行」だけではない
- 1つに集約する、既存環境を活かす、用途ごとに使い分けるなど、複数の考え方がある
- 「マルチクラウド」もその選択肢の1つである
もし現在、クラウドの利用料金や構成に課題を感じているのであれば、一度、現在のクラウド環境を見直してみることをおすすめします。 まずは自社のクラウド構成を整理し、有効な手段を考えることから始めてみてはいかがでしょうか。
マルチクラウドについてくわしく知りたい方は、ハイブリッドクラウドとの違いやメリット・デメリットを解説したこちらの記事もご覧ください。
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