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2025年12月11日に開催された、国産AIの共創をテーマにしたさくらインターネット初のカンファレンス「SAKURA AI Conference」内にて、株式会社ティアフォー 代表取締役 執行役員 CEO 加藤 真平さんと、さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中 邦裕が登壇。
自動運転の未来を切り開くティアフォーと、クラウド・AI基盤を支えるさくらインターネット──単なる技術共有ではなく、産業の常識を変える可能性を持つ「オープンソース」を核に成長してきた2社のトップが、世界と競い続けて得た経験をもとに、生成AIがもたらした変化とビッグテックとの向き合い方を語りました。本記事ではその内容をレポートします。
※本記事の内容は、2025年12月の登壇時点での発言をもとに構成しています。

加藤 真平(かとう しんぺい)さん プロフィール
株式会社ティアフォー 代表取締役 執行役員 CEO
自動運転技術のためのオープンソースソフトウェアを進化させたパイオニア、コンピュータサイエンスの国際的な専門家。東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 特任准教授。2012年から2016年まで名古屋大学大学院情報科学研究科の准教授を務め、世界初の自動運転技術のためのオープンソースソフトウェア「Autoware」を開発した。

田中 邦裕(たなか くにひろ) プロフィール
さくらインターネット株式会社 代表取締役社長
1996年、高専在学中にさくらインターネットを創業。クラウドやAI向けインフラサービスを提供。自社の経営に加え、若手起業家やエンジニアの育成に積極的に取り組むほか、デジタル関連の業界団体や経済団体の役員を多数担い、内閣府AI戦略専門調査会委員としても参画。
ビッグテックに挑む2社──その立ち位置と勝算

最初に、ティアフォーとさくらインターネットの共通点を掘り下げたいと思います。両社とも、世界中が力を入れているビッグテック領域に、日本から挑んでいます。正直なところ、勝算はあるのでしょうか。

答えのひとつは「オープンソース」です。両社は国内では一定の存在感のある企業だと思いますが、規模でいうと海外のビッグテックにはかなわない。同じ土俵で戦っていると、差がどんどん開いていきます。すでに100点を取っているビッグテックが101点、102点と得点を重ねていくわけですね。
でも、オープンソースはここに楔を打ち込める。オープンだから「ちょっと使ってみようかな」と思ってもらえる。さらにそこから「一緒にやりましょうよ」という流れもつくれます。本来なら101対0になるところを100対1にできる。これを繰り返せば、いつかビッグテックに追いつけるんじゃないか。まずはこの勝ち筋をオープンソースでつくることが、もっとも現実的で合理的な方法だと思います。

実際、私も創業時からオープンソースを活用するとともに、そこに自社の知見をフィードバックしてきました。みんなでひとつのものをつくるという考え方ですね。
最近では、米国企業になかなか追いつけなかったDeepSeekが、オープンソースとして出したことで一気に世界中に普及しました。少し乱暴な言い方になってしまうかもしれませんが、オープンソースには先行のソフトウェアの価値を相対的に下げてしまうような側面もあるんでしょうか。

そうですね。オープンソースが登場すると、「こっちに誰でも使える技術がある」という状況になる。ビッグテックの競争力を削ぎながら、自分たちの経済圏を拡大していく。これがオープンソースの本質だと思います。

Linuxなんかは代表的な例ですよね。各社がUNIXベースでOSをつくっていましたが、いつの間にかLinuxが中心になった。Windowsもオープン戦略を取らざるを得なくなった。オープン化によって、ビジネス領域をつくっていけるわけですね。
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なぜいま、「技術を公開する」のか? OSS戦略に至った背景と決断

加藤CEOは最初からオープンソースにするつもりだったんですか?

最初からそのつもりでした。私はコンピューターサイエンスの研究をしていて、まさにいま話に出たLinuxとWindowsの関係性にかなり影響を受けているんです。
ちょうどWindows 95が出てきたころにプログラミングを始めました。ビル・ゲイツはすごいなと思っていたところに、あとからLinuxが登場し、いまやMicrosoftの基盤技術もLinuxで開発されています。私が自動運転を始めようとしたとき、すでに先行する企業がいたので、現実的な勝ち筋をつくろうとすると、オープンソースという選択になりました。

ティアフォーでは、どのようにオープンソースの強みを活かしているんですか?

オープンソースの良いところは、相手の競争力を削ぐことに加え、仲間を増やせることです。しかも、Waymoへの対抗だけが目的で集まるわけではありません。
事実としてWaymoはタクシーしか展開していません。

たしかにタクシーだけですね。

タクシーは、自動運転の領域のほんの一部にすぎません。私たちは、せっかくやるならタクシーだけではなく、バスもシャトルもトラックもやる。工場内搬送もダンプカーも建設機械もやって、マイニングもレースもやるというように、幅広い分野に自動運転を展開することが勝ち筋だと思っています。
仲間を増やせるのは、オープンソースだからです。Linuxがまさにそうでした。組み込みからサーバー、スーパーコンピューターまで幅広く使われています。ティアフォーもその「全取り」を狙っています。自動運転をつくりたいという人が出てきたら、一緒にやりましょうというビジネスになっているんです。

以前、ふたりで登壇した際に「AIの要素は3つだ」という話をしましたよね。アルゴリズム(ソフトウェア)、データ、そして計算資源。この3つのバランスで勝敗が変わってくるのですね。
アメリカのビッグテックでは、その3つを自社で占有する形態が取られています。一方、オープンソース化では、アルゴリズムやソフトウェアはオープンにしつつ、データと計算資源は各々が調達します。オープンソースにしたほうが面が広がりますし、ソフトウェアをつくる側がデータと計算基盤の両方を揃えなくても済むという意味でも、大きなメリットがありますね。
生成AIが事業にもたらした「劇的な変化」と今後の展望

生成AIはわずか3、4年でかなり普及しました。これは事業にどのような変化をもたらしたのでしょうか。また、これからの課題は何でしょうか。

2025年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で、NVIDIAのジェンスン・フアンさんは、AIの進化が「ジェネレーティブAI(生成AI)」から「エージェントAI」へ、そして最終的に「フィジカルAI」に進んでいくと述べていました。
現時点で生成AIはコードの記述など、仕事においてかなり役立つようになりました。ただ、フィジカルなものを動かすのはこれからだろうと思います。生成AIは社内でも積極的に活用していますが、次のフィジカルAI領域のプラットフォーマーはまだいないと思っています。
だからこそ一番大きなチャンスですし、オープンソースで勝ち筋をつくれる、これからのマーケットだと思っています。

先週アメリカに行ってきましたが、向こうでは「AI」や「データセンター」という言葉が一般化していますね。誰の口からも聞かれるほどです。ただ、いまはLLMが主流でも、その次をどうしていくのかというところは、さくらインターネットの課題でもあります。
日本は製造業が強いですから、今後は「◯◯×AI」という、製造業や物流との掛け算が来るでしょう。LLMはいまの中継点だというのが、世界の一般的な常識になりつつあるように感じました。
では最後に、加藤CEOからみなさんにメッセージをお願いします。

これからも、さくらインターネットとティアフォーでコラボレーションを進めていきたいですね。オープンソースはひとつのキーワードです。
さきほどの3つの要素のうち、アルゴリズムはオープンソースで共有し、勝負がつかない世界にしていきます。残りはデータと計算資源です。
LLMの時代までは、ビッグデータ志向、つまり膨大な情報を持っている人が勝つゲームでした。しかし、フィジカルAIはまだデータの蓄積がありません。「いまどれだけ持っているか?」ではなく、「これから2、3か月でどれだけ蓄積できるか?」というスケールアップスピードが勝負です。
計算資源については、専用チップ分野などにおけるコラボレーションをぜひご期待ください。

実際、アメリカでは「AIが学習するためのデータがほとんど食い尽くされた」と言われています。Webサイトはほとんどクロールされ、新たに学習するためのデータをAI自身が生成せざるをえない「共食い」状態だというのです。
新しいデータを自社から生み出して、それをもとにAIをつくることによる差別化が、これからの大きな強みになってくると感じました。
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