さくらインターネットが提供する、安心の国内完結型AI基盤サービス「さくらのAI」
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新潟県長岡市は、ChatGPTが一般公開された翌年である2023年から行政の業務に生成AIを取り入れ、活用を進めてきた。AI活用ハッカソンやセミナーも定期的に開催し、地域ぐるみでAIとの向き合いかたを模索している。
その一翼を担うのが、「ながおか・若者・しごと機構」だ。同機構は、「長岡で学ぶ・働く魅力の創出」を目的に、学生同士の交流や若者が地域で挑戦できる機会づくりに取り組んでいる。2024年より運営している中学生向けの生成AI講座も、そうした活動のひとつだ。
この講座に、株式会社USEN WORK WELL (U-NEXT.HD) の法人向けAIチャットツール「U-Buddy Chat」が導入された。同ツールには、さくらインターネットが提供するAI基盤「さくらのAI Engine」が実装されている。
なぜ、中学生の学びの現場に法人向けのAIツールが選ばれたのか。ながおか・若者・しごと機構で地域おこし協力隊を務める桑原崚介さんと、USEN WORK WELLでAIプロダクトの企画開発を担当する芝田龍正さんに話を聞いた。

芝田 龍正(しばた りゅうせい)さん プロフィール
株式会社USEN WORK WELL AI Lab 企画部長 兼 開発部長
2023年に株式会社U-NEXT HOLDINGSへ入社し、2024年に発足した株式会社USEN WORK WELLへ異動。AI Lab 企画部長に就任し、法人向け生成AIサービス「U-Buddy Chat」、社内生成AIツール「Buddy」の企画・開発に注力する。専門領域はデータサイエンスや生体情報、スポーツ工学。

桑原 崚介(くわばら りょうすけ)さん プロフィール
ながおか・若者・しごと機構 地域おこし協力隊 デジタル人材教育支援員
2015年よりゲーム開発会社にてゲームプログラマーとして、スマートフォン、パソコン、コンシューマーゲーム機向けのゲーム開発に従事。2023年からは専門学校教員として、ゲーム系学科の担任や教育環境の整備を担当。2025年より現職。
初学者が「ゲームをつくる楽しさ」を知るまでのハードルの高さ
「ながおか・若者・しごと機構では、2024年度から中学生向けの生成AI講座を実施してきました。当初は『Webサイトの制作』を課題にしていたのですが、2026年度からは、アンケートで要望の多かった『ゲームの制作』をおもな課題にしています。プログラミングの入口としても取り組みやすい題材だと考えました」(桑原さん)
桑原さんは当初、Googleの生成AI「Gemini」を使っていたという。しかし、運用のなかで、初学者ならではの課題を感じていた。
「受講する中学生の多くは、プログラミング言語の文法を習ったことがありません。『Scratch』に触れたことがあっても、『Scratch』のブロックと、目の前のソースコードの対応関係が理解できない。そのため、『関数を差し替える、変数を書き換える』といったアレンジのハードルが高かったようです」(桑原さん)
受講生たちは、ソースコードをまるごと生成AIに「コピペ」で渡し、修正内容を自然言語で指示しながらプログラムをつくっていく傾向があったという。トークンの消費が激しいうえ、会話が長引くとコンテクストの保持がしきれなくなり、AIの回答が的外れになったり、出力コードが途切れたりしてしまう。
しかし、文法を理解していない受講生は、出力が途中で切れていることにも気づけない。何がおかしいのかわからないまま、失敗する経験だけが残ってしまっていた。
「生成AIに初めて触る人もいるため、コピペで使えるプロンプト集やマニュアルもつくっていました。しかし、パソコンの利用自体に慣れていない受講生にとっては、あちこちツールを切り替えながら操作する作業も簡単ではありません。生成AIのWebページのウィンドウと、プロンプトの解説を載せたPowerPointファイルと、プレビューウィンドウを行き来するだけで疲れてしまう。それでAIやIT技術に苦手意識を持ってしまうのは、もったいないと思っていました」(桑原さん)
また、セキュリティー面でも懸念があったという。機密情報を生成AIにアップロードしてしまうリスクへの対策だ。
「たとえば、ゲームスコアを記録するためにデータベースと連携しようとして、接続用のパスワードなどの機密情報をAIに渡してしまう可能性があります。また、AIに質問をする過程で、自分の氏名や住所などの個人情報をそのまま入力してしまうケースなども考えられます。初学者がやってしまいがちなミスですが、講座を安全に運営するうえでは、仕組みで対策する必要がありました」(桑原さん)
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U-Buddy Chat導入で環境が一変、自主制作にも活気
2026年度、講座は「ミライエデジタルクラブ」として大きく更新された。課題がゲーム制作に切り替わり、使用するAIチャットツールも、USEN WORK WELLの「U-Buddy Chat」になった。
現在の講座は、桑原さんがあらかじめ作成しておいたサンプルゲームのアレンジから始まる。サンプルゲームのコードはU-Buddy Chatのテンプレート機能に組み込んであり、受講生はテンプレートのコードを呼び出し、自然言語で指示してゲームを「改造」できる。受講生は、何を変えれば何が変わるのか、を部分的に試しながら学習を進められる。U-Buddy ChatのUIが、初学者の直感的な操作を可能にしているのだ。

「講座内では自由に創作できる時間も設けているのですが、子どもたちは野球盤や操作系ゲームといった、思い思いの作品に挑戦するようになりました。やりたいことがいろいろあったのでしょう。私は受講生たちについていくのに精いっぱいです(笑)」(桑原さん)
生成AIによってコーディングから始めなくても開発ができるようになったが、それでもソースコードの構造に慣れる必要はある。ミライエデジタルクラブでは、効率よく、完成度の高い作品をつくるためのAI活用が進められている。
USEN WORK WELLを通してさくらのAI Engineと出会う
USEN WORK WELLは、ビジネスパーソンの長岡定住を推進する協定「NAGAOKA WORKER」を通じて、長岡市と接点を持っていた。
「U-Buddy Chatはもともと、生成AIの実務利用を進めたい企業に向けた製品です。そのため社会人向けの取り組みであるNAGAOKA WORKERで紹介していたのですが、ツールの強みが学生向けのAI教育にもマッチしました」(芝田さん)
「入力・出力の制限が少なく、長いソースコードを渡しても出力が途中で切れにくい。出力内容を安全に制御する機能もあり、講座運営の悩みの種だった課題の多くを、一度に解消できました」(桑原さん)
管理者ダッシュボードでは、受講生の利用状況を確認できる。企業が求める「適切な管理のもとでのAI業務活用」を支える機能が、はじめてAIを学ぶ学生にも有効だった。
「国産・円建て」の安心感
U-Buddy Chatには、さくらインターネットが提供する生成AI向け推論API基盤「さくらのAI Engine」が実装されている。
「行政の事業は、徹底した予算管理を求められます。為替レートや従量課金による料金の変動は極力避けたい。その点、円建てのため為替変動の影響を受けにくく、料金が安定しているサービスは大きな魅力でした」(桑原さん)
コストの安定感に加え、桑原さんと芝田さんはセキュリティー上の安心感も強調する。AIやクラウドに関して「本当に大丈夫なのか」「くわしくはないものの、不安だ」という懸念を持つステークホルダーは多い。そうしたなか、国内データセンターで運用されるセキュアな基盤を利用することで、顧客に安心して利用できる環境であると説明できることも、大きなメリットだという。
「ユーザー企業からは、セキュリティーの不安や、『このモデルは本当に大丈夫なのか』といった問い合わせが日常的に寄せられます。各ベンダーが公式に発表している内容以上は把握しにくく、海外サービスの場合は日本固有の要件に沿った情報を確認するのが難しいこともあります。そのようななかでさくらのAI Engineを利用していることは、安心感を持っていただく要素になっています」(芝田さん)
U-Buddy Chatへの実装の際も「手探り感はなく、とくにストレスも困ったこともなく実装できた」(芝田さん)という。日本の商習慣への適合や安定性、レスポンスへの満足度も高い。
3Dモデル、マルチプレイ、そして全国へ

「受講生のみなさんは、もう『次のゲーム』のことを考えているようです」(桑原さん)
桑原さんは今後、3Dモデルやテクスチャの追加といったクオリティの向上のほか、マルチプレイ機能の実装やアプリ化なども視野に入れているという。用途に応じてさくらインターネットの複数のサービスを活用しながら教育コンテンツを用意しており、受講生の挑戦の幅も広がっている。
一方の芝田さんは、今回の長岡市での取り組みをモデルケースとして、全国の教育機関や自治体へとAI教育の輪を広げていきたいと考えている。
「U-Buddy Chatを通じて、誰もが当たり前にAIを使いこなし、自らの可能性を広げられる社会の実現をめざします。教育現場から得られたフィードバックをプロダクト開発にも活かし、より使いやすいAIツールの提供を続けていきたいです」(芝田さん)
桑原さんは、自然言語によるコーディングを「これまでのプログラム言語を内包した、もう一段上のレイヤーの技術」と位置づける。生成AIによって、プログラミングの入口は大きく変わりつつある。
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