IT基盤に最適な国産クラウドサービス「さくらのクラウド」
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近年、「ソブリンクラウド」や「ソブリンAI」という言葉を目にする機会が増えてきました。しかし、「ソブリニティ(Sovereignty)」という言葉自体には、まだなじみがない方も多いのではないでしょうか。
今回は、さくらインターネットの国産クラウドサービス「さくらのクラウド」のプロダクトマネージャーである田籠 聡に、ソブリニティの考え方や、なぜいま注目されているのか、そしてAI時代における重要性を聞きました。
※本記事は、さくらインターネットのYouTubeチャンネル「さくらのデジタルインフラ学校」で2026年6月9日に公開した動画をもとに執筆しています。

田籠 聡(たごもり さとし) プロフィール
大学卒業後、インターネットサービスプロバイダー、ITインフラ系のSIerで働いたのち株式会社ライブドアに入社し、インフラ担当やデータ分析関連を担当するプログラマーとして勤務。その後、トレジャーデータ株式会社に参画し、バイアウトなどを経験したあと離職。フリーランスとして技術顧問や個人サービス開発などに数年携わったのち、2024年8月にさくらインターネットに入社。現在はクラウド事業戦略本部 副本部長、「さくらのクラウド」のプロダクトマネージャーを務める。
ソブリニティとは何か?
ソブリニティとはどのような概念ですか?
ここ数年で、「ソブリンクラウド」や「ソブリンAI」といった言葉がニュースでも出てくるようになりましたね。ソブリニティの基本的な意味は「主権」です。ただし、クラウドサービスやAIの文脈で使われる場合、
- データ主権
- 法的主権
- 運用主権
- デジタル主権
- 技術主権
といった複数の観点から語られることが多いです。
明確な定義がある言葉ではなく、さまざまな主権の要素を含む概念と捉えていただくとよいでしょう。
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ソブリニティを構成するおもな主権
データ主権とは?
データ主権とは、データの保管場所やコントロール主体に関する考え方です。
法的主権とは?
法的主権は、サービス利用中にトラブルが発生した場合、どの国の法律が適用されるのかという観点です。
たとえば、契約上の紛争が起きた際、
「どこの裁判所が管轄するのか」
「どの法律が適用されるのか」
といった点が問題になります。
運用主権とは?
運用主権とは、サービスの運用を誰が担っているのかという観点です。
サービス提供企業の意思決定や運用体制は、その企業が属する国や地域の状況に影響を受けます。
利用者側からすると、運営元の事情によってサービスの仕様変更や方針転換が起きる可能性があり、自らコントロールできないリスクが存在します。
技術(デジタル)主権とは?
技術(デジタル)主権とは、自国や自組織がデジタル基盤や重要技術を主体的に管理・選択できるかという観点です。
クラウドサービスやAIは、さまざまなソフトウェアやハードウェア、外部サービスによって成り立っています。そのなかに「特定の企業や国が独占的に支配している技術」が含まれている場合、その技術の提供停止や方針変更がサービス全体へ大きな影響を与える可能性があります。
オープンソースは技術主権の解決策になるのか
オープンソースを使えばソブリニティは確保できますか?
技術主権を考えるうえで、オープンソースソフトウェアは有力な選択肢のひとつです。ただし、「オープンソースだから主権を確保できる」というほど単純ではありません。
重要なのは、そのソフトウェアを本当に自分たちでコントロールできる状態になっているかどうかです。トラブルが発生した際に何も対応できなければ、主権を持っているとは言いにくいためです。
また、オープンソースプロジェクトごとに開発体制や運営体制は大きく異なります。
「誰が開発しているのか
「どのように運営されているのか」
「自社の中核システムに組み込んで問題ないか」
といった点を個別に確認することが重要です。
なぜいまソブリニティが注目されているのか
最近になって注目されるようになった理由は?
大きな理由のひとつは、国際情勢の変化です。
クラウドサービスやAI基盤を提供する企業は、必ずどこかの国に拠点を置いています。そのため、政治や経済、安全保障などの変化がサービスへ影響を及ぼす可能性があります。
さらに近年は、特定企業の意思決定によって、多くの利用者が影響を受ける事例も見られるようになりました。
企業にとっては事業継続性の問題であり、行政機関や自治体にとっては社会インフラの継続運用という問題にもつながります。こうした背景から、ソブリニティは無視できないテーマになってきています。
「ソブリンクラウド」と「ソブリンAI」の違いや定義
「ソブリンクラウド」と「ソブリンAI」は何が違うのでしょうか?
「ソブリンクラウド」は、おもにデータ主権や法的主権、技術主権などが中心的なテーマになります。
一方で「ソブリンAI」は、モデル・計算基盤・運用・法制度・ガバナンスなどAIライフサイクル全体をテーマとして扱いますが、その中でもAIモデルがどのようなデータで学習されたのかという点が大きな論点になると思います。
AIは学習データによって回答傾向が変化します。そのため、
- 特定の国の価値観
- 文化的背景
- 宗教的背景
- 社会的価値観
などが回答に影響する可能性があります。
AIの利活用が広がるにつれて、学習データの出どころやバイアスを意識する必要性が高まっており、その文脈でソブリンAIが語られることが増えています。
自分の作ったサービスが、意識していないバイアスのかかった返答を利用者に返してしまう可能性もあるため、AIに関しては利用者も含めてすべての人が「ソブリンAI」を意識する必要があると思います。
また、企業が独自データをAIに利用するケースも増えています。コンプライアンス上機密性の高いデータを扱う場合、AIへ投入したデータがどこで管理されるのかも重要な検討ポイントになります。
日本におけるソブリンAIの可能性
日本発のAIの可能性をどう考えるべきでしょうか?
AIモデルの開発には大きな投資と計算資源が必要です。しかし、日本には人口規模や経済規模があり、日本語による豊富なデータも存在しています。
自国語だけで高等教育が成立する国は世界的にも珍しく、日本では日本語で蓄積された情報資産も豊富に存在しています。こうした日本語データを活用したAIによって、日本国内の業務効率化や生産性向上を支援できる余地は十分にあると考えています。
その意味で、「国産AI」や「ソブリンAI」は今後の重要な選択肢になり得るのではないでしょうか。
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エンジニアに求められるスキルとは
今後、ソブリニティ関連のスキルは重要になりますか?
ソブリニティそのものが、エンジニアの仕事に直接影響を与えることは多くないと思います。ただし、その重要性が今後急激に低下することも考えにくいでしょう。
とくにAIの分野では、
「AIモデルを適切に選択する能力」
「モデルの特性を評価する能力」
「バイアスやリスクを理解する能力」
が重要になります。
技術者には以前から「数ある技術のなかから最適なものを選ぶ力」が求められてきました。AIもその延長線上にあり、今後はソブリニティという観点を加味しながら技術選定をおこなうことが重要になっていくでしょう。
より深く理解したい方は、ぜひ動画もあわせてご覧ください。
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