
「AIに仕事を奪われる時代が来る」と言われる一方で、実際にエンジニアの仕事はどう変わっていくのでしょうか。
本記事では、さくらインターネットでクラウドエバンジェリストを務める亀田 治伸が、AI時代におけるエンジニアの役割や働き方の変化、そしてこれからのエンジニアに求められる力について語ります。
※本記事は、さくらインターネットのYouTubeチャンネル「さくらのデジタルインフラ学校」で2026年4月16日に公開した動画をもとに執筆しています。

亀田 治伸(かめだ はるのぶ) プロフィール
さくらインターネット株式会社 ソリューション本部
兵庫県伊丹市出身、米国州立南イリノイ大学卒業。認証系独立ASP、動画・音楽配信システム構築、決済代行事業者、外資クラウドエバンジェリスト数社を経て現職。得意領域は、認証、暗号、ネットワークを中心としたセキュリティ、映像配信、開発手法に見る組織論、クラウドアーキテクチャ、プレゼンテーション。
AIは仕事を奪うのではなく、変えていく
AIが人間の仕事を奪うという議論はよくありますが、少なくともIT業界においては少し見方が違うのではないかと思っています。
これまでにも、私たちはさまざまな技術革新を経験してきました。FAXが普及したときも、メールが登場したときも、多くの人が大きな衝撃を受けました。さらにクラウドの登場によって、かつて1か月かかっていたインフラ構築が10分程度で完了するようになりました。
しかし、そのたびにITエンジニアの仕事がなくなったわけではありません。技術によって効率化された分、人はより創造性の高い仕事へとシフトしてきたのです。
現在のAIも同じだと考えています。
定型作業やパターン化された回答を返すなど、 AIが対応できる業務の範囲は広がっています。一方で、何を作るのかを考えたり、状況に応じて判断したり、人に価値を伝えたりする役割は、引き続き人間が担います。
もちろん、いまおこなっている仕事の一部はAIに置き換えられるでしょう。しかしそれは悲観すべきことではなく、人間にしかできない仕事へ向かっていくためのチャンスだと捉えています。
今後も技術はどんどん発達していき、AI以外にもさまざまな技術が登場すると思います。その際になくなってしまう仕事はたくさんあるので、むしろ技術の進化を楽しみ、うまく使いこなしていく人こそが、今後の社会や企業を支えていくのではないでしょうか。
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エンジニアの仕事はなくならない
私は「職業そのものが消える」というよりも、「仕事の内容が変わる」と考えています。
これまでも、時代とともにエンジニアの役割や肩書きは少しずつ変化してきました。職業単位でなくなるということは、そう簡単には起こらないでしょう。
一方で、多くの時間がかかるが誰がやっても似たような品質にしかならない作業は、今後AIに置き換わっていくと思いますし、それが正しい時代の進化だと考えています。
だからこそ、新しい技術を恐れるのではなく積極的に取り入れ、使いこなす姿勢が重要になります。
これからのエンジニアに必要なのは「好奇心」
現代はインターネットやSNSなどを通じて日々大量の情報に触れる時代です。江戸時代の1年分、平安時代の一生分の情報量を、現代人はわずか1日で摂取しているとも言われています。
そんな時代だからこそ重要なのは、膨大な情報のなかから自分がおもしろいと思えるものを見つけ、自分なりに理解し、それを言語化して他人へ伝える努力をすることです。
私は、今後ますます「好奇心を持ち続けられるエンジニア」の価値が高くなると考えています。
過度な自動化がもたらすリスク
多くの企業でAI導入の対象として挙がるのがサポート業務です。
ただ、これは慎重に進めるべきだと私は考えています。自然言語で問い合わせができ、必要な情報を瞬時に取得できることは、お客さまにとって非常に大きなメリットになります。その部分に課題があるなら、AI活用は積極的に進めるべきでしょう。
ただし、過度な自動化によって、お客さまが本当に困っている状況を人間が感知できず、機械しか対応できなくなってしまうケースもあります。こういった点には十分に配慮しつつ、「ユーザー体験をいかに向上させられるか」を主眼にAIに置き換えていったほうがいいと思っています。
生産性向上の先にある、人の役割
さくらインターネットでは、もともとリモートワーク前提の裁量権の大きい働き方をおこなっています。
そのため、調査や学習にどれだけ時間を使うかは各社員に委ねられています。そんな環境のなかで感じるのは、AIを活用している人ほど短時間で質の高い調査結果を出せるようになっていることです。AIは業務全体の生産性を底上げする強力なツールだと感じています。
今後も自動化によって個人の生産性は上がっていくでしょう。ただ、成果物の最終的なインターフェースの部分においては、人が人に説明し、価値を伝える場面は残り続けます。そういった意味では、AIによって劇的に何かが変わるということはないと思っています。
労働人口減少社会におけるAIの可能性
日本では生産年齢人口の減少が続いています。そんななかで、誰がやっても同じ品質になる業務については積極的にAIへ任せることで、人間はより価値の高い仕事に時間を使えるようになります。
個人的には、自動運転などの倫理的な判断や社会的な合意形成が必要になる技術を、日本社会がどのように受け入れていくかにも注目しています。
創意工夫を促進できる社会を目指して
日本は、「がんばる人が偉い」という風潮が非常に強いと思います。私自身、若いころは月曜日に会社へ来て木曜日に帰るような働き方をしていました。当時は「長時間働くことこそ価値がある」と思っていましたが、このような感覚はいまのAI時代とは合っていません。
とくに経営層やベテラン世代は、AIなどを活用してうまく手を抜きながら効率的に成果を出す若手を、正しく理解し、正しく評価する必要があります。
がんばることそのものではなく、こういった創意工夫を促進できるような社会を一緒に目指していきたいと思っています。
好奇心を武器に行動してみよう
最後に、エンジニアを目指す方や若手エンジニアのみなさんへ伝えたいことがあります。
それは、自分の好奇心に正直でいてほしいということです。
多くのエンジニアの方は日々いろいろな情報収集をしていると思います。そのなかでもう一歩踏み込んで、おもしろい技術や流行りかけているフレームワークを見つけたなら、1時間でも2時間でも触ってみてください。
いまはAIのおかげで学習コストが劇的に下がっています。実際に取り組んでみたあとに、それが自社や自分の仕事に役立つかどうかを考える。その繰り返しが、将来の大きな差につながります。
技術がどれだけ進歩しても、好奇心を持ち続ける人の仕事はなくなりません。むしろ、その価値はますます高まっていくはずです。
より深く理解したい方は、ぜひ動画もあわせてご覧ください。
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