ガバメントクラウドとしての「さくらのクラウド」の強みは?
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2026年現在、公共分野で求められるクラウド基準は、民間企業のクラウド選定にも影響を及ぼし始めています。いまやクラウドは単なるインフラではなく、信頼性や運用体制まで含めて評価される時代へと移り変わっています。
2026年4月9日に開催された「クラウド活用最前線セミナー~2026年のクラウド選定はこう変わる~」では、ガバメントクラウドに採択された「さくらのクラウド」の最新動向をもとに、公共分野で求められる要件と、それが民間利用にもたらす価値について解説しました。本記事では、その内容の一部を抜粋してご紹介します。
※本記事は、さくらのクラウドを一般用途で活用する際の参考情報として、ウェビナー内容の一部を紹介しています。ガバメントクラウドとしての利用をご検討の場合は、デジタル庁の公式情報をご確認ください。

亀田 治伸(かめだ はるのぶ) プロフィール
さくらインターネット株式会社 クラウド事業本部
兵庫県伊丹市出身、米国州立南イリノイ大学卒業。認証系独立ASP、動画・音楽配信システム構築、決済代行事業者、外資クラウドエバンジェリスト数社を経て現職。得意領域は、認証、暗号、ネットワークを中心としたセキュリティ、映像配信、開発手法に見る組織論、クラウドアーキテクチャ、プレゼンテーション。

荒木 靖宏(あらき やすひろ) プロフィール
さくらインターネット株式会社 クラウド事業本部
株式会社インターネットイニシアティブ、ネットビレッジ株式会社(現:株式会社fonfun)を経て、ヒューレット・パッカード研究所でモバイルネットワークおよびサービス基盤の研究に従事。2010年、東京大学基盤情報学専攻 博士号取得(科学)。その後、DeNA(株式会社ディー・エヌ・エー)を経て、2011年にアマゾンウェブサービスジャパン合同会社(AWS)へ入社し、13年間ソリューションアーキテクトとして活動。2024年9月、さくらインターネットに入社。@ar1
クラウド市場の現状とさくらのクラウド
さくらインターネットは、1996年の創業以来、主にレンタルサーバーやVPSなどを中心としてビジネスを成長させてきました。2011年には、パブリッククラウド「さくらのクラウド」をリリースしています。私たちの強みは、創業から一貫してデータセンター関連のサービスを提供してきたことで、ハウジング・ホスティングを含むデータセンター事業も手掛けています。
現在、国内企業ではクラウドコンピューティングが広く受け入れられています。一方で、市場のシェアは大きく変動しておらず、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud、 Oracle Cloud Infrastructureといったサービスが大きな割合を占めているのが実情です。こうしたなか、さくらインターネットは、これら4社に次ぐ5社目を目指し、ガバメントクラウド採択に向けて取り組んできました。
ガバメントクラウドの要件と取り組み
ガバメントクラウドとは、国や地方公共団体に行政システムを移行するための共通クラウドとしてデジタル庁が定めるもので、以下の厳格な要件が設けられており、それを満たした企業・サービスのみが採択されます。
採択の主要要件
- ISMAPへの登録(セキュリティ要件)
- 地理的冗長性・データ耐久性の確保
- マネージドサービスの充実(IaaS/PaaS)
- 国内におけるデータ管理体制の整備
参考: ISMAPとはどんな制度?取得メリットや登録申請の手順をわかりやすく解説
さくらインターネットでは、ガバメントクラウドの採択を見据えた機能開発を進めてきました。これらの機能はリリース時点で、民間のお客さまにも活用できる形で提供されています。2025年度には500回を超えるバージョンアップが実施され、開発体制も大きく拡大しています。
また、ガバメントクラウドには、2023年度時点で305項目もの技術要件が設けられています。さくらインターネットではこれらを達成するために、3年間かけて1つひとつクリアしていきました。
具体的には、ガバメントクラウドの技術要件を、「すでにさくらのクラウドに備わっているもの」「少しの労力でクリアできるもの」「1年間を使って取り組まなければいけないもの」と3段階に分け、各段階でセキュリティー統制を維持しながら、段階的に開発を進めてきました。

ガバメントクラウド採択において、さくらのクラウドが提供する価値
さくらのクラウドはガバメントクラウド採択を通じて、どんなことができるようになったのでしょうか。さくらのクラウドで得られる「3つの価値」について紹介します。
1.セキュリティー・コンプライアンス
今回、ガバメントクラウドの採択を得るため、厳しい基準である「ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)」をクリアしました。さくらのクラウドは、国内のデータセンターのみで運用されているため、データを国外に持ち出さない仕組みになっています。
2.ガバメントクラウドのために追加したモダンなマネージドサービス群
実際にガバメントクラウドを利用する立場から見ると、「コンプライアンスは理解したが、日々の業務で使うアプリケーションやサービスに対して何ができるのか?」という疑問が出てきます。ガバメントクラウドでは、セキュリティーだけでなく便利さも同時に求められる高い基準が設定されています。そのため、各サービスについて調査・精査をおこない、不足している機能や必要な対応を洗い出し、2025年2月に13のサービスを、β版として新たに追加しました。そのなかでも、セキュリティーに関連するサービスについては、先行して8月から正式提供を開始。11月から12月には、ほぼすべての13サービスを順次正式化しました。
さらに、2026年2月には新カテゴリーとしてCR版(新バージョン)も追加しています。 このCR版は現時点ではガバメントクラウド上では利用できませんが、一般のお客さまはご利用可能な状態です。
3.統制された「いますぐ使えるサービス」
ガバメントクラウドでは、公共のお客さまが利用可能なサービスが「ISMAP言明書」として公開されています。これにより、どのサービスが要件を満たしているのかを明確に確認できる仕組みとなっており、公共分野だけでなく、民間にとっても判断材料として活用できます。
クラウドの考え方
※以下は講演内で紹介されたクラウド活用に関する一般的な考え方であり、ガバメントクラウドの制度とは別の観点での内容です。
クラウドは、いまや社会インフラの一部になりつつあります。そのなかで、データの管理や運用主体のあり方といった観点も、重要なテーマとして議論されるようになっています。
こうしたなかで、データの管理に関する考え方の一つとして「データ主権」が議論される場面もあります。自国で適切に管理できる状態を維持するという考え方は、日本に限らず世界的にも関心が高まっています。
さくらインターネットでは、大きな技術的必然性がない限りOSSを採用し、自社で維持・改修できる基盤を構築するというポリシーを掲げています。「国産」にこだわるポイントがここにあります。
さくらのクラウド、さらなる進化を目指して
ガバメントクラウドの採択を目指し、多くの機能やサービスを開発してきました。
セキュリティーとコンプライアンスは国が認めた水準をクリアしていますので、一般の方にもより選んでいただきやすいクラウドになったのではないかと思っています。
ガバメントクラウドではすぐにマネージドサービスを使う、あるいはすぐにサーバーレスになる、という話はよく聞きますが、そういったことに対応できるようなマネージドサービス群をひとそろえ用意しているので、これからもどんどん使いやすくなるように改善していく予定です。
さくらインターネットはガバメントクラウドだけを提供しているわけではありません。ガバメントクラウドには多くの基準があり、その基準をクリアしてからサービスを提供していては間に合わないのが民間のスピード感です。そのスピード感に対応するためのサービス基盤も整えています。たとえばGPUのサービスやさくらのAI Engine も、当然さくらインターネットが提供するサービス間で連携して利用できるようにしています。
最後に、将来のガバメントクラウドについて、お話ししたいと思います。2026年2月、非常に重要なβ版のサービスを3つリリースしました。それは、ネットワークスイート β版、バックアップスイートCR版、シンプルAI CR版です。

ネットワークスイート β版は、サーバー間をセグメント越えでL3の接続をするというサービスで、他社サービスではVPC、VNETと表現されることが多いのですが、われわれは、サーバーとネットワークあるいはサービスとネットワークの関係においてL2の線を意識しなくても使えるようにしています。そういった汎用的あるいは他社のクラウドと近いような概念を導入するものが、このネットワークスイートです。β版でリリース直後ですので、ISMAPはクリアしていませんが、すぐにご利用いただくことは可能です。
こういったサービスを未来のガバメントクラウドのために準備しており、1年後くらいに正式にリリースできるようになるかと思います。
今後もユーザーの要望を積極的に取り込みながら、サービスの継続的な改善と進化を進めていきたいと考えています。ガバメントクラウドは、多くのクラウドサービスのなかからデジタル庁が求める基準を満たしたものですが、それ以外の部分についてもみなさまの声を広くお聞かせいただければ幸いです。
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