
はじめに
AI技術の急速な進化と普及により、誰もが日常の中でAIを利用できる時代になりました。文章作成や情報収集、アイデア出しなど、さまざまな場面で活用が進んでいます。
一方で、日本ではAIの導入が進むなかでも、業務で活用できる人材の不足や、適切な運用に関する前提理解が十分に共有されていないといった課題が指摘されています。
本記事では、こうした日本のAI活用の現状を整理するとともに、さくらインターネットが2026年3月に立ち上げた「さくらのAI検定」の取り組みについて紹介します。
AI活用について①
AIを業務活用できる人材の不足
近年、企業におけるAIの導入が急速に進む一方で、AIを扱う人材の不足が大きな課題となっています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査によると、日本ではAI研究者やAI開発者といった高度人材について「十分にいる」と回答した企業が少なく、米国やドイツに比べてもAI関連人材が幅広く不足していることが示されています。
具体的には、日本では「先端的なAIアルゴリズムを開発したり、学術論文を書けたりするAI研究者」および「AIを活用したソフトウェアやシステムを実装できるAI開発者」といった研究・技術領域の人材について、「自社には必要ない」と回答した割合がそれぞれ56.4 %、40.7 %にのぼりました。しかしながら、米国はそれぞれ15.7 %、14.3 %。ドイツでは23.1 %、19.7 %と、日本と比べて低い水準となっています。これらの結果から、日本企業はAIを自社で開発するよりも、外部のサービスを活用して事業や業務への適用に重点を置く傾向があることが読み取れます。1

一方で、「現場の知見と基礎的AI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる従業員」については、「不足している」と回答したのは日本が71.6 %と高く、米国(18.5 %)、ドイツ(26.6 %)と比べても大きな差が見られます2。

この2つの結果から、日本ではAIを外部サービスとして活用する前提のもとで導入が進んでいる一方で、実際に業務で活用できる人材は不足している状況にあります。
また、個人の学び直し(リスキリング)に対する意欲は高まっており、日経HRが2025年に実施した調査では、AIの基礎知識や業務活用能力を認定する「AI検定」が、取得したい資格ランキング<総合>で1位となり、AI分野の学び直し需要の高まりが示されています3。

以上より、企業側のAI活用構造とAIを業務で活用できる人材の不足、そして個人の学習意欲の間にはギャップが存在しており、AIを業務で適切に活用できる人材の育成が重要な課題となっています。
AI活用について②
AI活用において考慮される課題
AIを業務で活用する際には、技術そのものだけでなく、その前提となる環境や条件も議論されています。AIはおもにクラウド上で提供されており、構築の速さ・必要な分だけ使えるコスト管理・保守の負担軽減など「使いやすさ」を背景に、企業における活用が広がっています。
一方で、近年では以下のようなリスクや課題が指摘されています。
- 地政学リスク
国際情勢の不安定化により、「海外にデータを預けて安全か」という懸念 - 法規制
EUのGDPR法や米国によるCLOUD法など、データ管理に関する各国の規制
また、これらに加えて、AIやクラウドの利用拡大に伴う構造的な課題も指摘されています。
- デジタル貿易赤字
クラウド・AIサービスの多くを海外事業者に依存することで、利用料が国外へ流出する構造
上記のリスクや構造的な課題を踏まえ、AIを活用する際は、「データがどこに保存されているのか」「どの国の法律が適用されるのか」「入力した情報が意図せず流出することはないか」といった点を理解したうえで利用することが課題となっています。
こうした課題を背景に、データを他国や他社に依存している状態からの脱却を目指す動きとして「ソブリンAI」という考え方に関心が高まっています。AIの利用においてデータの扱いや管理主体を意識し、どのような前提のもとでAIが運用されているのかを理解したうえで活用することの重要性を示す概念です。
>>「ソブリンAI」についてもっと知りたい方はこちら
ソブリンAIとは?日本企業が導入すべき理由と最新動向・活用法を解説
さくらのAI検定について
こうした状況のなか、当社は実務において適切にAIサービスを選択し、安全に使いこなせる判断力・スキルを身につけられる人材の育成を目的に、「さくらのAI検定」を設立しました。
「学ぶだけで終わらせない。AIをサービスとして使いこなす力を」をキャッチコピーに掲げ、AIの基礎技術の理解にとどまらず、実務での活用を見据えた知識や考え方を学べる内容としています。
当社ではこれまでも、国立高等専門学校機構との連携をはじめ、デジタル分野の教育機会を社会に広く提供し、人材育成に継続的に取り組んできました。今回の「さくらのAI検定」は、こうした取り組みをAI領域へと拡張するものです。
さくらのAI検定で学べること
「さくらのAI検定」では、AI技術の基礎から、当社が提供するAI基盤サービスの活用までを網羅した設問を予定しています。
検定の特徴
本検定は、非エンジニアでも理解できる内容設計となっていて、AIの基礎に加えて、当社が提供するAIサービスの理解、さらに「さくらのAI Engine」や「高火力 DOK」を用いた実践までを一貫して学べます。
技術的な背景を理解しながら、国内で安全にAIを使いこなす力を身につけられます。
おもに以下の内容を扱います。
- AIの種類や基本的な仕組み
- 生成AIの代表的技術や拡張構造
- 生成AIの課題と今後の展望
- さくらインターネットのAIサービスの紹介
- 「さくらのAI Engine」および「高火力 DOK」の実践(ハンズオン)
教材
受検に必要な学習教材は、株式会社zero to oneが提供するオンライン学習プラットフォームにて、無料で公開しています。
シラバスに沿った体系的な教材に加え、専門用語の解説や各セクションの確認問題を用意しており、初心者でも理解しやすい構成です。また、「さくらのAI Engine」を使ったハンズオンも含まれており、実務を意識した学習が可能です。

初回試験
初回試験の日程および形態は以下のとおりです。
| 初回試験 | 2026年9月18日(金)15:00~16:00 2026年9月19日(土)15:00~16:00 |
| 申込期間 | 2026年8月17日(月)12:00~2026年9月11日(金)23:59 |
| 受検資格 | 制限なし |
| 試験概要 | 試験時間:60分間 多肢選択式:50問程度 オンライン実施(任意の場所で受検可能) |
| プラットフォーム | 株式会社zero to oneが提供するプラットフォームを使用 |
>>詳細は下記をご参照ください。
さくらのAI検定 2026年第1回試験の日程を公開しました|さくらのAI検定
おわりに
AI活用が進むこれからの時代において、求められるのは一時的なスキル習得ではなく、技術を学んで理解し、活用し続ける力です。さくらのAI検定は、そのための基盤づくりの一歩として位置づけています。
>>ニュースリリース:さくらインターネット、AI人材育成のための「さくらのAI検定」を設立(2026年3月4日発表)
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025 ― AI時代のデジタル人材育成 ―」p.37図表 2-8 AI 人材の充足度(国別)(2025年10月)を基に記載(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/tbl5kb0000001mn2-att/dx-trend-2025.pdf) ↩︎
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025 ― AI時代のデジタル人材育成 ―」p.37図表 2-8 AI 人材の充足度(国別)(2025年10月)を基に記載(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/tbl5kb0000001mn2-att/dx-trend-2025.pdf) ↩︎
- 日経HR「日経転職版 資格と学び直しに関する意識調査」p.3取得したい資格ランキング<総合>(2026年1月20日公開)を基に記載(https://www.nikkeihr.co.jp/news/2026/0120621.html) ↩︎
執筆
社長室 広報グループ
「『やりたいこと』を『できる』に変える」という企業理念のもと、さくらインターネットの取り組みや技術、サービスの価値を社内外へ発信しているチーム。国産のデジタルインフラを提供する企業としての責任や挑戦について、各種チャネルを通じて日々情報発信を行っている。
>>さくらのデジタルインフラ学校(YouTube)
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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