皆さん、はじめまして!! さくらインターネットの石井と申します!
さくらインターネットが新しく始めた「さくマガ」に同じ会社で働いている者として、ぜひ記事を出したいと思い記事を書きました。
私の連載では、業務で利用しているマーケティングオートメーションツール略してMAツールに関することやインサイドセールス・MAツールでよく話題に上がる「THE MODEL」について、私の業務経験などをもとに考えていることをお伝えします。
まず、私が何者か?です。
2019年5月から、さくらインターネットの営業部でインサイドセールスのマネジャーをやっています。それ以前は、2年ほどマーケティング部でデマンドジェネレーションと呼ばれる見込み顧客の獲得からメールなどによる育成、営業部への見込み顧客の供給をしていました。
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、会社ごとに意味合いが異なりますが、おおむね非対面営業とクオリファイという見込顧客の絞りこみや電話・メールによる顧客の育成を行うのが役割です。さくらインターネットのインサイドセールスは、そこにデマンドジェネレーションの機能も含んだ部署です。
最近、このインサイドセールスが注目を浴びていますが、私はとても大事な要素として「テクノロジー」があると考えています。効果的にテクノロジーを利用することで、組織力強化や効率化を実現できると考えています。
そのテクノロジーを利用した業務で顧客の育成やクオリファイ、それぞれに設定されたKPIなどを管理するためにMAツールを利用しています。
さくらインターネットでは、MAツールの「マルケト」というサービスを利用していて、そのマルケトの利用者が毎年表彰されるマルケトチャンピオンというものがあるのですが、私は、2019年のチャンピオンに選ばれました!
■マルケトとは?
Adobe Marketo Engage – マーケティングオートメーション(MA)基盤 | Adobe
■チャンピオンページ
Adobe Marketo Engage Champion 2016-2021
MAツールを利用したメリットは?
さて、本題に入ってMAツールを利用したメリットについてです。
このMAツールでは、どのようなことができるかというと、リードや顧客それぞれの方に対して適切なタイミングで適切な情報を提供できるOneToOneコミュニケーションを実現するプラットフォームです。
簡潔に言うと、アクセスログをもとにリードや顧客単位でどのようなことに興味があるのか?などを可視化することができるツールです。私が考えるメリットは、短期目線で言うとメールマーケティングの部分や営業によるナーチャリング活動を効果的・効率的にできることです。そして、長期目線で言うと、マーケティングの費用対効果の可視化や組織的にプロセス管理し、組織力を高めることができるツールといえます。
具体的な事例
では、具体的にさくらインターネットで行ったMAツールを利用した課題解決の事例をお話していきます。 さくらインターネットでは、マーケティング系のチームがイベントやオンラインなどでリードを獲得して営業部に渡すことをミッションの一つとしており、以前、私はそこを担当していました。
しかし、営業部にリードを渡してもリードがどのようになったかがわからなかったり、そもそも対応されないことが多くありました。なぜ、対応されないのか?調べてみると、すでに対応しているお客様がいたり、問い合わせをされている方がいるため、獲得したリードはプライオリティが低い状態でした。
なぜ、プライオリティが低いか?それは、電話すると現状案件がなかったり、どうしても可能性が低いものが多いためでした。
そこで、供給したリードのプライオリティの低い状態の改善を含めて、営業効率を上げることを目的にMAツールを活用していくことにしました。 MAツールは、メール配信システムともいえますが、単純なメール配信システムと違うのは、リード単位でどのようなことに興味関心があるのかがわかるようになることです。 そのため、獲得したリードに対してメールを配信し、自社のどのようなサービスに興味があるか?そもそも興味がないのでは?などを判別しプライオリティを決めることができます。
また、興味がある場合に、さらに詳しい紹介メールを送付することで、サービス理解をさらに深めていただくことができ、そのうえで、営業部から電話をしてもらうことで、案件がなかった、サービスのことをあまり知らなかったという可能性を減らし、電話口で一からサービスを説明する必要もなくなります。
実際に、イベントなどで獲得したリードに対して、まずは、MAツールを利用してプライオリティを付けたうえで、営業が対応するようにしたところ、営業工数の削減、また、効率的な案件化につながりました。
なぜ、マルケトを利用しているかというと、当社では様々なツールをマーケティング活動や営業活動で利用しており、利用中のツール群や今後利用する可能性のあるツールと簡単に連携できるところが決め手でした。
また、マルケトというツール自体は作りがとてもシンプルなことも採用するうえで、大きなポイントになりました。
ということで、MAツールを利用するうえでのメリットは、以下のようになります。
短期の部分で、ターゲット内のプライオリティを決めたり、営業の役割やリソースをMAツールが代わりに行い、戦術的に集中したい領域に人の手を投入できます。この辺りは、次回の記事でお話できればと思います。
長期の部分のメリットを具体化すると、獲得したリードの費用対効果や営業の方の嗅覚のみに頼らない体制を作るといったことに貢献できます。 最近では、どの会社でも営業の案件管理をしていこうと、営業の案件をSaaS系※のサービスを利用して管理しているところも多くあるかと思います。
※SaaSについては「SaaSとは?IaaS、PaaS、ASPとの違いは?サービス代表例も紹介」で詳しく解説しています。
この辺りの営業の案件管理とMAツールをうまく連携させる、デジタルに置き換えることで、このリードって受注したの?という問いに答えることができるようになるので、費用対効果などを可視化して判断できるようになります。
また、優秀な営業の方のプライオリティの考え方などを言語化して、それをツールに落とし込むことや顧客の興味関心を図ることで、組織的に一定以上のクオリティを持ったリードの確保やリードへの対応ができるようになり、組織的な営業対応力の向上につながります。この辺りまで行ければ、リード獲得から受注までの流れが数値的に可視化されるため、どこを組織的に強化しないといけないかを判断することができるようになります。
このようにMAツールを利用した場合、短期長期両面でメリットが出てきます。
最後に
しかし、今回の記事で最後にお伝えしたいのが、MAツールを導入しただけでは必ずしもうまくいくとは限らないということです。
最近は、MAツールを導入する会社も多くなりましたが、どこか単体の部署が利用しているだけでは、なかなか効果が上がりません。私の感覚ですが、成果がうまく出ていない会社の大半が、ある部署単独での施策や運用にとどまっているためだと思います。
特に営業が実際に販売する企業などは、ほぼ必ずオフラインで人が売ることになります。そのため、ビジネスフロー上MAツールの前と後にいる方の協力がないと決して成果が最大化しません。どの会社も組織の壁やマーケと営業の壁などあると思いますが、そこを何かしらで乗り越えてこそ、成果が出てきます。私がマーケティング部からインサイドに異動したのもその一環です。
まずは、ビジネスのフロー上MAツールの前や後ろにいる方と会話をしましょう。そこがとても大事です。そして、実際に一緒に画面を見る、どんなことができるかを理解すると必ず協力してくれる人が出てきます。
もちろん、社内に割く時間を社外に向けたいという意見もあると思います。しかし、社外に割く時間を一時的にでも社内に向けることで、数年後の社外に発信できる時間が変わってくると思います。
ぜひ、コミュニケーションをとっていきましょう!
ということで、今回の記事はここまでで終わりにしようと思います。もう知っているよということも多々あったかと思いますが、最後までご覧いただき ありがとうございました。
次回は、もう少し詳しく、さくらインターネットで行っている施策についてご説明したいと思います。ぜひ、次回もご覧ください。
執筆
石井 浩
2012年さくらインターネット入社。2017年よりマーケティング部に所属し デマンドジェネレーション担当として、マルケトへの切り替えや体制変更などを実施。 2019年5月よりインサイドセールスグループに異動。2019年度Marketo Champion。
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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