SaaSとは?IaaS、PaaS、ASPとの違いは?サービス代表例も紹介

SaaSとは?IaaS、PaaS、ASPとの違いは?サービス代表例も紹介

SaaSとは、ネットワークを通じてソフトウェアを提供するサービス、あるいはそうしたサービスを提供するビジネスモデルを指します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の波によって、IT企業ではなくてもSaaSを利用するケースも増えているのではないでしょうか。

コロナ禍でリモートワークする方が増えましたが、オンライン会議ツールの「Zoom」やコミュニケーションツールの「Slack」もSaaSです。スマホやタブレットといった、マルチデバイスで利用できるSaaSも増えてきました。

この記事ではそんな「SaaS」について、IaaS、PaaS、ASPとの違いから、サービスの代表例まで、わかりやすく解説します。

SaaSとは?

SaaS(読み方:サース/サーズ)とは「Software as a Service」を略した言葉です。

近年、急速に「SaaS」と呼ばれる、インターネットを通じてソフトウェアを利用できる仕組みが増えています

SaaSを活用すれば、ユーザーは自社でシステム構築せずに必要な機能の利用が可能です。SaaS以前には、パッケージソフト型が主流でした。MicrosoftのExcelやWordなどをパッケージソフトとして購入し、インストールした方もいるのではないでしょうか。

SaaSの特徴

自社でシステム開発する場合やSIerに委託する場合には、ハードウェアやデータセンター設備、人件費といった費用がかかります。

SaaSの場合はこれらの費用が必要ないので、基本的に初期導入費用は安くなると考えられます。また、保守・運用費もかからないため、ランニングコストも安くすみます。

ただし、自社に合ったカスタマイズをする場合には、別途カスタマイズ費用がかかると考えたほうがよいでしょう。

SaaSは、企業規模と利用期間に応じたコストが定期的に発生します。しかし、経営者にとっては企業成長や戦略に合わせてシステムコスト計画が立てやすいです。

SaaSの市場規模

SaaSの市場規模は大きく増加しています。富士キメラ総研の調査によると、日本国内におけるSaaSの市場規模は2020年度見込で1兆332億円(2019年度比:123.7%)。2024年度予測では1兆6,054億円となっています。

2020年度は新型コロナウイルスが感染拡大した影響もあり、従来対面や紙でおこなわれていたアナログ業務のSaaS化が進んだようです。それだけSaaSを利用するメリットが大きいのです。

SaaS、PaaS、IaaSの違い

SaaSと似た言葉に「IaaS」と「PaaS」があります。これらの意味について説明します。

IaaSとは

IaaS(読み方:イアース/アイアース)とは「Infrastructure as a Service」を略した言葉です。インターネット経由でハードウェアやICTインフラを提供します。

IaaSでは、CPU機能、メモリ、ストレージ、ネットワークなど、基礎的な情報システムの構築に関わるリソースが提供されます。利用者はそのリソース上にOS(オペレーションシステム)や任意機能の構築が可能です。自由度が高い分、管理する知識が必要になります。当社が提供している「さくらのクラウド」は、まさにIaaSです。

PaaSとは

PaaS(読み方:パース)とは「Platform as a Service」を略した言葉です。インターネット経由でSaaSの開発・運用環境を提供します。PaaSでは、IaaS のサービスに加えて、OS、データベース、開発環境などもサービスとして提供されます。

当社でも、2021年8月に次世代PaaS「Hacobune」のオープンβ版を提供開始しました。

SaaS、PaaS、IaaSの提供範囲

SaaS、PaaS、IaaSの提供範囲

 

SaaS、PaaS、IaaSのいずれもインターネット上に設けたリソースを提供するクラウドサービスです。ただ、それぞれに提供範囲が異なります。

SaaSはアプリケーションからサーバーまでをサービス事業者(ベンダー)が提供します。PaaSはミドルウェアからサーバーまでをベンダーが提供し、IaaSはネットワークからサーバーまでをベンダーが提供します。

SaaSとASPとの違い

もうひとつ、SaaSとの違いがよくわからない言葉があります。それがASP(読み方:エーエスピー)です。ASPは「Application Service Provider」を略した言葉で、インターネット上でアプリケーションを提供するサービスベンダーを指します。SaaSと意味が非常に似ているとわかります。

少し古い資料にはなりますが、平成20年(2008年)に経済産業省が出している「SaaS向け SLAガイドライン」によると、SaaSはASPの進化系と捉えているようです。

SaaSの代表例

ここでいくつかSaaSの代表例を挙げていきます。実際に当社(さくらインターネット)でも使用しています。

Slack

チームコミュニケーションツールのSlack(スラック)。2021年にSalesforce(セールスフォース)社によって買収されました。

チャンネルを作成して、チャットベースでやり取りができ、オープンに情報共有可能です。全世界で、日間アクティブユーザー数(DAU)が1,000万人を突破しました(2019年1月時点)。

以前に、当社代表の田中邦裕とSlack CTO兼共同創業者のカル・ヘンダーソンさんが対談しています。

Tableau

ビジネス分析プラットフォームのTableau(タブロー)。2019年にSalesforce(セールスフォース)社によって買収されました。

Tableauは、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとして、多くの企業で利用されています。Tableauの目的は、ビジュアライゼーションを通じて、人々がデータを利用できるようにすることです。

当社でもカスタマーサクセス実現のためにTableauを活用しています。

Marketo Engage

マーケティングオートメーションツールのMarketo Engage(マルケトエンゲージ)。2018年にAdobe(アドビ)社によって買収されました。

全世界で5000社以上の企業に導入されています。顧客との関係強化を実践するために設計されているSaaSです。

当社でもMarketo Engageを活用しており、マーケティングと営業をつなぎ、ボトルネックの解消に成功しています。当社からはマルケトチャンピオンも誕生しました。

例に挙げたSaaS企業は、いずれも大企業によって買収されています。それだけSaaSに対する注目度が高いといえるのではないでしょうか。

SaaSのメリット・デメリット

続いてSaaSのメリット・デメリットについて説明します。

SaaSのメリット

ユーザー視点から、SaaSを利用するメリットを3つ紹介します。

SaaSのメリット1.システム運用・保守をしなくてよい

SaaSの場合、システム運用や保守もSaaSベンダーがおこなってくれます。そのため、社内にシステム運用や保守ができる人材がいなくても、サービス利用が可能です。セキュリティ対策や機能のアップデートも自動で更新されるため、常に最新の状態が保たれます。

SaaSのメリット2.コストが削減できる

SaaSは、開発されたひとつのシステムを多くのユーザーで共有するため、1ユーザーあたりの費用負担が軽くなります。また、導入にかかる設備投資(サーバーなど)が不要のため、運用コストの削減も期待できます。

SaaSのメリット3.試しやすい

SaaSは、インターネットに接続されている端末さえあれば気軽に試せます。一部機能を無料で使えるフリーミアムモデルを用意していたり、全機能を一定期間無料で利用できるケースもあります。また、SaaSは月額制や年額制のサブスクリプションモデルを採用していることが多いので、止めたいときに止めやすいです。

SaaSのデメリット

続いてユーザー視点から、SaaSを利用する際に意識しておきたいデメリットを2つ紹介します。

SaaSのデメリット1.セキュリティ面

SaaSを利用する際に、自社のデータをSaaSベンダーに預けることになります。まれにですが、情報漏えいが起こり、ニュースでも報道されています。

(参考:NHKニュース 富士通 不正アクセスでの情報漏えい 官公庁や企業など129に

しかし多くの場合、セキュリティ対策を十分に実施していない自社サーバーで運営するほうがセキュリティリスクは高いです。

SaaSを選ぶ際には、セキュリティレベルが高いものを選択する必要があります。具体的には、ホームページに記載してあるセキュリティ対策を確認してください。SaaSを扱う会社のほとんどが、セキュリティ対策に関することをホームページにまとめています。


また、ISMAP(Information Security Management and Assessment Program)という、日本政府による評価制度に登録されているかも判断基準になります。はじまったばかりのため、まだまだ登録数は少ないですが、今後はISMAP登録を目指すSaaSベンダーは増えていきそうです。

2021年7月30日の時点で、ISMAPに登録されているサービスを一部紹介します。

  • Google LLC「Google Workspace」
  • Cisco Systems, Inc.「Cisco Webex」
  • 株式会社セールスフォース・ドットコム「Salesforce Services」

(参照:ISMAP クラウドサービスリスト

SaaSのデメリット2.SaaSベンダーの倒産やサービスの停止

SaaSを提供している事業者が、何らかの理由で倒産したり、SaaSの提供を停止する可能性もあります。その場合、SaaSの利用はできなくなり、保存していたデータが消失する可能性もあります。

そうなると当然、業務に支障をきたすでしょう。これを回避するためには、契約前にSaaSベンダーの財務状況の確認や、データ出力が可能かを確認しておく必要があります。

2つのデメリットを挙げましたが、それを上回るメリットがSaaSにはあります。積極的にSaaSを活用していきましょう。

SaaSを開発してリリースするまでの流れ

SaaSを開発してリリースするまでの流れ

 

自社でSaaSを開発して販売したい。そう考えている企業も多いと思います。簡単にですが、開発からリリースまでの流れをまとめます。

SaaSリリースまでの流れ1.調査

提供したいSaaSが、ユーザーにとって本当に必要なのか? 競合となる会社はどこなのか? 同じようなSaaSの料金はいくらなのか? など、事前に調査をしていきます。

SaaSリリースまでの流れ2.プロトタイプ制作

調査を経て大きな方向性が決まったら、プロトタイプ(原型となる試作品)を作ります。それを潜在ユーザーに使ってもらい、フィードバックを得て改善を続けます。

SaaSリリースまでの流れ3.開発

プロトタイプで検証を終えると開発に移ります。開発の設計からUI/UXのデザインをおこない、プロダクトの開発を進めます。

SaaSリリースまでの流れ4.マーケティング、プロモーション戦略

開発と並行して、マーケティングやプロモーション戦略を練る必要があります。目標設定や販売戦略、サポート体制などをまとめて、プロダクトをユーザーに使ってもらえるようにしなければなりません。

SaaSリリースまでの流れ5.リリース

問題ないと判断されたら、リリース開始です。正式版前にベータ版をリリースして、テストユーザーに使ってもらうこともあります。正式版がリリースできても、そこがゴールではありません。プロダクトの改善をし続ける必要があります。

以上がSaaSを開発して販売するまでのざっくりとした流れです。詳しくSaaSの開発から販売まで知りたい方は、こちらの本をオススメします。プロダクトマネージャーの立場から、かなり細かく書かれています。

宮田 善孝 著,2021年『ALL for SaaS SaaS立ち上げのすべて』翔泳社

まとめ

SaaSを提供している企業の中には、さくらインターネットのクラウドコンピューティングサービスをご利用いただいているお客さまが、たくさんいらっしゃいます。これからSaaSを提供したいと考えている事業者様は、ぜひ当社までご相談ください。

 

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