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次世代教育に注力しているさくらインターネットでは、複数のロボコンチームに、さくらのレンタルサーバをはじめとするインフラの無料提供など、さまざまな支援をおこなっています。
そのなかの1つである「SAZANKA Robotics」(サザンカロボティクス)は2020年に設立された中高生のロボコンチームで、FRC1に過去4回参加。2023年よりさくらインターネットによる支援が始まり、2024年12月1日には、SAZANKA Roboticsとさくらインターネットの協業で、さくらインターネット社員の子ども向けプログラミング&ロボットづくり教室「SAZANKA Robotics Presents プログラミング&ロボットづくり教室」を開催しました。
今回は、社員の子どもたちにプログラミングとロボットづくりを教えてくれたSAZANKA Roboticsのメンバーと、本企画を担当したさくらインターネット 社長室の福島 あゆ美に、イベント企画に対する想いや、当日の様子、今後やってみたいことなどをインタビューしました。
「親子で楽しめる場」をつくろうと中高生ロボコンチームに相談

福島さんが「SAZANKA Robotics Presents プログラミング&ロボットづくり教室」を開催しようと思った経緯を教えてください。

2024年の1月ごろ、さくらインターネットの東京支社で従業員向けのたこ焼きパーティーが開催されました。私は運営メンバーとして関わっていて、参加者の方に事後アンケートを取ったところ「子どもと一緒に参加できるイベントがあるとうれしい」という声がいくつか上がっていたんです。
私自身も3歳の子どもがおり「親子で楽しめる場があるといいな」とは思っていました。そんなときに、SAZANKA Roboticsが参加された昨年度のFRCの大会が終わり、実施報告と代表代替わりのご挨拶で、新代表の奥村さんと菅家さんにお会いする機会がありました。
SAZANKA Roboticsが子ども向けイベントの開催経験があるとうかがっていたので、お二人に「さくらインターネットと組んでロボットづくり教室のようなことはできませんか?」とご相談したところ、ご快諾いただき開催することになりました。
福島 あゆ美(ふくしま あゆみ) プロフィール
さくらインターネット株式会社 社長室 特務グループ所属。営業職、営業事務、企画職などさまざまな職種を経て、2019年4月にさくらインターネットに中途入社。協賛担当としてさくらインターネットの認知向上や社会的貢献を目指し、その他にもイベントの運営などにも携わる。
>>さくらインターネットのたこ焼きパーティーとは?記事を見てみる
SAZANKA Roboticsのみなさんは、子ども向けイベントの経験が豊富だったのですね。

じつは、経験者の先輩たちが卒業していて、私たちの代で子ども向けイベントを企画するのは初めてだったんです。けれども、声をかけていただいたことがうれしかったですし、「やりたい!」と思ったのでお引き受けすることにしました。
奥村 春葉(おくむら はるは)さん プロフィール
桜蔭中学校3年生、2024シーズン共同代表の1人。小学生のときに電子工作を体験し「楽しい!」と感じる。ものづくりができる場をインターネットで探したところ、FRCやSAZANKA Roboticsの存在を知り、中学2年生のときに加入。担当は資金集めや渉外。ロボット製作においては、ソフト面、プログラミングを担当。

僕たちが参加しているFRCでは”More Than Robots”といって、ロボット製作で得た経験を社会に活かしていくことを重要視しています。なので、僕たちが代表のときにそのような機会がいただけてむしろありがたかったです。すぐ「こんなことをしてみたい!」というアイディアも浮かびました。
菅家 惟智(かんけ よしとも)さん プロフィール
栄光学園中学校3年生、2024シーズン共同代表の一人。仕組みを考えることやものづくりが好き。中学入学後、ロボット競技会に出場して視野が広がり、FRCの存在を知る。SAZANKA Roboticsには中2より加入。現在はロボットの設計・製作を担当。

この代のみなさんが、子ども向けイベントは初めてだったということをお願いしてから知ったので、ゼロから考えさせてしまったのが大変申し訳なかったです…。それでも、1ヵ月くらいあとにしっかりとした企画書を持ってきてくださって、そこからどんどんブラッシュアップされていく様子も見せてもらったので、安心してお任せできました。
「ロボットの中身と外側を両方つくる体験」にこだわった

この企画で、SAZANKA Roboticsのみなさんが大切にしたのはどんなことですか?

さくらインターネットとSAZANKA Roboticsだからこそできるロボットづくりやイベントを、どうしても形にしたいと思いました。ただプログラミングを教えるだけなら、既存のソフトや製品を使って簡単にできます。でも、僕たちはロボットの中身も外側も作っていて、さらにFRCは他の海外チームと協力して戦う競技です。だから、こういう要素をすべて交えたうえで、楽しいイベントができないかを考えました。
市瀬 友基(いちのせ ゆうき)さん プロフィール
東京都立多摩科学技術高等学校2年生。電子工作や3Dプリンターを使ったものづくり、ロボコンの動画視聴を個人で楽しんでいたが、高校1年生のときに日本科学未来館でボランティアに参加。そこでSAZANKA Roboticsのメンバーに出会いチームに加入。2024シーズンはおもにマシンの設計・製作と操縦者を担当。
小学生にもFRCのエッセンスを体験してもらいたかったのですね。企画を進めるうえでなにが一番大変でしたか?

手の平にのるくらいの小さな「SUMOMOちゃん」というロボットを、形になっていないところから組み立て、中身をプログラミングし、「あ、動いた!」という感動を味わってもらいたいと考えました。すると「本当にこの形にするのか」「キットを使った方が早くないか」など懸念点がたくさん出てきて、「どんなふうにするか」という最初の踏み出しが大変でした。

最初の企画書では、ロボットはSUMOMOちゃんとは違うものでした。何回か話し合いを重ねるごとに、SAZANKA Robotics側の課題が出てきたり、さくらインターネットで開催するにあたって準備するものや、提供できるものなどを洗い出していくなかで、ロボットが研ぎ澄まされ、洗練されていくのに驚きました。今回のイベントでは、さくらインターネットの執行役員である江草 陽太が技術部分のアドバイザーとして参加しています。江草もロボコン経験者なのですが、「SUMOMOちゃんのコロンとしたフォルムがとてもいい!」と絶賛していました。
事前準備の段階では、SAZANKA Roboticsの3人でどのように役割分担をしましたか?

「どういうものをつくるか」という部分は市瀬と菅家に任せ、私は当日に小学生にわかりやすく説明するための資料準備を担当しました。また、ロボットのSUMOMOちゃんを動かして競技をするため、コースシートもつくりました。「みんなで盛り上がるためにどうすればいいか」を考えて準備をしていきました。
年齢や経験の差にとらわれず楽しんでくれた子どもたち。部署を超えた親同士の交流も

当日はどのような学年のお子さんたちが参加してくれましたか?

1年生から6年生のお子さんたちで、5年生以外のすべての学年の子が来てくれました。また、小学生を想定して募集していたのですが、「参加したい」と言ってくれた5歳の子がいて、枠も空いていたため一緒に参加してもらいました。男の子が4人、女の子が8人と、女の子の参加率が高かったですね。
SAZANKA Roboticsとして心配していた点はありましたか?

「プログラミングやロボットづくりの楽しさを知ってもらう」ことが大きな目的だったので、用意していたものに不具合が出ないかが心配でした。当日はちょっとした不具合はあったものの、小学生たちが自分の頭で考え、まわりに相談して解決してくれたため困ることはありませんでした。
ロボットの中身と外側をつくり、競技もおこなう、と当日はやることが盛りだくさんでしたが、時間通りに進められましたか?また、小学生はみなさんの説明を理解してくれましたか?

全体で4つのテーブルで作業をして、1つのテーブルに対しSAZANKA Roboticsのメンバーが1,2名ついて教える形にしました。ほぼオンタイムで進行できましたね。小学生は学年に関わらず、私たちが思っている何倍も理解してくれた子が多かったです。1回目の説明でわからなかったことも、2回目になったら吸収してくれて、とても助かりました。競技のパートでは、うまくSUMOMOちゃんを動かせずに落ち込んでしまった子がいましたが、ほかの小学生や、SAZANKA Roboticsのメンバーが励ましたことで気持ちを切り替えてもらうことができました。
イベント当日を振り返って、福島さんの印象に残っていることを教えてください。

SAZANKA Roboticsのみなさんが、低学年の子たちにも配慮してくださったのが素敵だなと感じました。1年生と6年生ではできることがまったく違うので、最後の競技では、どうしても年長の子が有利になってしまいます。そこでSUMOMOちゃんのボディーに子どもたちが自由にイラストを描けるようにポスカを準備し、オリジナリティーを出せた子に「デザイン賞」を授与してくれたんです。どんな子でも楽しめるようにと工夫してきた様子は見ていたのですが、「そこまで考えてくれていたんだ」と感動しました。
「親子で楽しめる場づくり」として、運営面で工夫されたことなどはありますか?

今回は、子どもがメインで作業をし、親が見守る、という座席の配置にしました。親御さんが一緒だと甘えてしまうお子さんがいるかな、と思ったのですが、お子さん全員がSAZANKA Roboticsメンバーの指示に従って試行錯誤してくれました。親御さんたちも残った資材を使って組み立てをしたり、普段の業務では関わらない部署同士の方でコミュニケーションを取ったりと、おもいおもいに楽しんでもらえたようです。また、食事の場も設けたことで、より交流が深まったのではないかと思います。たくさんの笑顔を見せていただけて、私も幸せな気持ちになりました。
FRCシーズン終了後、また子どもたちとロボットづくりに挑戦したい
SAZANKA Roboticsのみなさんは今回のイベントでどんな発見がありましたか?今後につなげていきたいと思うことも教えてください。

小学生が、知識がなくてもロボットを「こう動かしたい」と考えたり、「こういう動きをするんだ」と楽しんだり、熱中・集中してくれました。その姿を見て、自分もロボットをつくるうえで「こう考えればいいのかな」という気づきがありました。今後もさくらインターネットの方々にロボットのことをもっと教えていただきたいですし、また一緒にイベントを開催したいなと思っています。

私たちの代はイベント開催が初めてだったので、企画から本番までのプロセスを経験できてよかったです。みんなでなにをどう進めればよいか理解できたので、またイベントを開催するためのヒントがたくさん得られました。来年もこういったものづくりが一緒にできたらうれしいです。

今回みんなでつくったSUMOMOちゃんは、小学生だけでなく将来的に幅広い世代で使ってもらえるものにしようと考えています。このイベントで改善点が見えてきたので、反映していきたいです。また、せっかく僕たちはFRCで大きなロボットを製作しているので、それを使ってオープンに楽しんでもらえる機会をつくれたらいいなと思っています。
イベントに参加されたさくらインターネット社員の感想はいかがでしたか?今後の予定についても教えてください。

事後アンケートで「とても楽しかった」「体験できてよかった」という意見をたくさんいただきました。また、「SAZANKA Roboticsの活動をもっと知りたい」という声も上がっていたので、このような企画を継続していきたいと考えています。これから、SAZANKA Roboticsのメイン活動であるFRCのシーズンが始まりますので、まずはそこに向けてがんばっていただき、オフシーズンに入ったらまた一緒に新しい企画を考えていきたいです。今回の教室を通じて、ロボットづくりやプログラミングに興味を持った小学生がたくさんいて、「SAZANKA Roboticsのメンバーになりたい!」と言ってくれている子もいます。活躍の場を広げ、新しいメンバーを増やして発展していってほしいです。これからもさくらインターネットはSAZANKA Roboticsを応援しています!

- FRC(FIRST Robotics Competition)とは、世界35か国から約3,800チーム、9.5万人以上が参加している世界最大級の国際ロボットコンテスト。 ↩︎

執筆
仲間 麻美
1981年1月生まれ、秋田県出身。2006年よりフリーランスライターとして活動中。教育、ビジネス、資格、飲食、街歩き、占い、健康などの分野で記事を書いてきました。趣味は読書と41歳から始めたダンスです。
note:https://note.com/asmnkm0618
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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