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【適応障害にならないために】 環境が変わるこの春、”立ち止まる勇気”を持ってほしい

環境が変わるこの春、”立ち止まる勇気”を持ってほしい【適応障害にならないために】

 

フリーランス国際協力師の原です。

心の『本音』に耳を傾けよう。適応障害になり、僕は大好きだった仕事を辞めた。」の記事でも紹介しましたが、僕は大学を卒業して2ヶ月が経った頃、2018年5月末に「適応障害」という心の病を発症しました。

 

学生時代からアフリカなどの発展途上地域に飛び出し、慣れない異国の環境で国際協力に取り組んできた僕は、「それなりにはメンタルが強い人間だ」と自負していました。

しかし、そのメンタルが強いはずの僕でも、生活環境や対人関係の変化に大きなストレスを感じ、適応障害を発症してしまいました。

 

就職や異動など、身の回りの環境が大きく変わる春。僕の実体験をもとに、「立ち止まる勇気」の話をさせてください。

卒業から2ヶ月で適応障害に

すでに別のコラムで適応障害の経験談は紹介しているので、この記事では詳細は割愛しますが、僕は大学を卒業して2ヶ月が経とうとしていた2018年5月末、「適応障害」という病気を発症しました。

適応障害とは、環境の変化に適応することができず、そこから生まれるストレスによって心身に何らかの症状が現れ、生活や仕事に支障がでる病気を指します。僕の場合、それは強い抑うつ症状でした。

 

環境が変化した時にはどんな人にでも起こり得るものであり、有病率は5~20%とも言われるそうです。僕自身、卒業してすぐに発症したのは、環境の変化が大きな原因だったと考えています。

僕は大学4年生でNPO法人を起業し、在学中から組織の代表として働いてきました。周りからは「NPOの若手リーダー」「国際協力業界のホープ」とチヤホヤされ、もちろんプレッシャーを感じてはいましたが、正直悪い気はしていませんでした。

当時僕がSNSにアップした投稿を振り返ってみても、あの頃はイケイケの起業家だったと思います(笑)。

 

ただ、起業したNPOを離れ、フリーランスに転向した今になって振り返ってみると、自分の性格や気質が果たして「組織のトップ」に向いていたのかどうか、わかりません。

周りから向けられていた期待や、代表という立場から生じる責任が、自分のキャパシティを超えていて、それに無理して合わせるように働いていたのではないかとも思います。

大学卒業という生活環境の変化も、大きなストレスに繋がっていたはずです。学生という、良くも悪くも「甘え」が効く身分から解放され、仕事中心の生活が始まったことで、感じるプレッシャーも増えました。

 

また、ちょうどその頃に僕は実家から離れ、節約のためにも友人らとシェアハウスを始めました。表面上は新しい生活の始まりにワクワクしていた一方で、共同生活を始めると一人になって落ち着ける時間は少なくなります。

いろんな環境変化からストレスを感じ、結果的に大学卒業から2ヶ月が経ったタイミングで、僕は適応障害を発症しました。

春だから、時々立ち止まろう。

適応障害は、原因となるものから離れると、長くても半年ほどで症状が無くなると言われています。適応障害を発症した僕は仕事から離れ、また生活面に関しても、家族や恋人など、本当の意味で心を落ち着けられる人とだけ過ごすようになりました。

その結果、5ヶ月ほどで抑うつ症状はなくなり、今ではこうして当時の経験を記事で書けるほど元気になっています。

冷静になってあの頃の自分を振り返ると、「生き急がず、ゆっくり進めばよかった」と後悔させられます。

 

新生活が始まる春は、身の回りで様々な環境の変化が起こります。自分の性格や気質、キャパシティを正しく把握できている人はそう多くありません。表面上はワクワクしていたり、楽しんでいるように見えても、自分でも気づかないうちにストレスを感じている人はたくさんいます。

また、周りから見れば「そんなことで…」と思えるような些細な環境の変化であったとしても、その人に合わないものであれば、想像以上のストレスを感じることもあります。

 

そういったストレスが蓄積されていった結果、僕のように適応障害を発症してしまったり、そのストレスがあまりに長い間続いてしまえば、うつ病などにも発展していくことがあります。

 

もちろん、すべて自分の思うような環境で過ごし続けられる人は、ほんの一握りです。特に春から新社会人として会社勤めを開始するような人であれば、多少のストレスには耐えながら、新しい環境に身をならしていく必要があると思います。

だからこそ、時々「立ち止まる勇気」を持ってほしいのです。

今起きている環境の変化は、自分の身の丈を超えてはいないか? 感じているストレスは、問題のない範囲で収まっているか?無理して自分の性格を変えようとはしていないか?

自問自答するのもいいですし、休みの日くらいは仕事のことを忘れて、温泉でのんびりボーっとするのもいいです。(今はコロナの影響で気軽に外出できなくなっていますが…)

立ち止まる時間を作る

仕事や生活が大きく変化する春は、せわしない日々を送りがちになってしまいます。「五月病」という、ゴールデンウィークの連休明けに突然やる気が出なくなったり、気分が落ち込んだりと鬱症状が出てしまう人がたくさんいますが、これは環境変化の大きい4月に無理をし過ぎて、そのツケが5月に出てしまうからではないかと僕は思います。

 

忙しい時期は、立ち止まる時間を作ることが難しいです。僕自身、起業家として働いていた時は、休むことに罪の意識すら感じてしまう自分がいました。

しかし、一度病気になってしまえば、もっと多くの時間を休むことに使わざるを得なくなります。何より、苦しむことになるのは自分自身です。

 

だからこそ、無理をして生活環境の変化に自分を合わせるのではなく、時々立ち止まりながら、少しずつ自分を「適応」させていくようにしましょう。

 

 

 

執筆

原貫太

1994年生まれ。フリーランス国際協力師。早稲田大学卒。 フィリピンで物乞いをする少女と出会ったことをきっかけに、学生時代から国際協力活動をはじめる。これまでにウガンダの元子ども兵や南スーダンの難民を支援。出版や講演、ブログを通じた啓発活動にも取り組み、2018年3月小野梓記念賞を受賞。

編集

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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