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紙チケットのデジタル化を支援。経済を街に還元することで地域活性化を促進する「e街プラットフォーム」 

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景気対策、地域・観光振興対策などを目的に行政が発行しているプレミアム付き商品券。購入額に上乗せ分が付与されるため、お得に買い物ができることから人気を博している。株式会社ギフティ(以下、ギフティ)は、そんなプレミアム付き商品券のデジタル化など、さまざまな行政施策を支えている企業の1つだ。ギフティはいち早くeギフトを軸とした事業を展開し、培ってきた技術と経験で、自治体・地域課題を解決するデジタルプラットフォームサービス「e街プラットフォーム」を提供。同サービスの開発を担当している市川颯人さんに、サービスの詳細、開発の経緯、今後の展望などについて聞いた。

市川 颯人(いちかわ はやと)さん プロフィール

株式会社ギフティ第四事業本部Regional事業部 Product Unitマネージャー。IT、スポーツエンターテインメントなどの分野におけるコンサルタントとして研鑽を積み、2021年に株式会社ギフティに入社。サービス開発の企画やディレクションを担当している。

高い拡張性で行政のニーズを幅広くカバー

株式会社ギフティは2010年に創業し、現在は「eギフトを軸として、人、企業、街の間に、さまざまな縁を育むサービスを提供する」をビジョンに掲げ、eギフトの発行から流通まで一気通貫で提供している。eギフトの特徴としては、ユニークURL(※1)生成と、アプリをダウンロードせずともブラウザで完結できることが挙げられる。

※1 eギフト1件ごとに異なるURL

ギフティでは、「e街プラットフォーム」のほかに、個人向けeギフト販売サービス「giftee」、デジタルギフトを活用した法人および自治体向けサービス「giftee for Business」、といった各種サービスを展開し、さまざまな領域でeギフトを流通させている。チェーン店やECサイトなど、全国どこでも利用可能なeギフトを販売する「giftee」や「giftee for Business」に対し、「e街プラットフォーム」は地域での消費につなげることを目的に、特定地域で利用可能な電子商品券やポイント、クーポン等を発行。プレミアム付き商品券事業や子育て支援事業、観光誘致施策など、行政や地域に根ざした民間企業での施策で活用されている。

「e街プラットフォーム」は、住民や観光客が利用する電子商品券、電子チケット・クーポン・ポイントの発行から、決済処理に必要な電子スタンプや二次元コード、売上管理、ポイント付与、など施策運営に必要な機能を一気通貫で提供。行政・地域施策の運用に必要な機能を備えており、各種機能を自由に組み合わせられる高い拡張性が特徴だ。

デジタル化のメリットは、「行政・地域・住民や観光客」の三方が利便性を享受できることだろう。紙のチケットの場合、行政は券種の製造、在庫管理、配送、集計、振込手配などをおこなう必要がある。また、地域の店舗や施設等の加盟店においては、券種の受領、裏書、集計、保管、行政への使用報告といった工程が発生。さらに住民や観光客目線でいえば、持ち歩く手間や紛失の可能性がある。よってチケットなどがデジタル化されれば、これらの手間やリスクが減り、さらなる利用をうながせる。

一方で、住民や観光客等の利用者のなかには、デジタルツールの利用に不安を感じている方が、取り残される懸念もあるだろう。しかし、「e街プラットフォーム」であれば、紙券に二次元コードやシリアルコードを印字して配布する「ハイブリッド型」での運用も可能だ。利用者が従来通り紙券として利用したあと、加盟店がコードを読み取ることで利用実績が自動でデータ化されるため、加盟店で従来発生していた煩雑な作業を軽減することができる。また、アプリのダウンロードなどの手間もないため、広い層をカバーできる。

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プレミアム付き商品券のデジタル化を国内で初めて実施

ギフティでは行政向けのサービス提供を進めており、『e街プラットフォーム』の原点は2016年までさかのぼる。

電子スタンプの使用イメージ

最初の事例は、長崎県内関係離島市町で共通利用できるプレミアム付き地域通貨「しまとく通貨」のデジタル化支援だ。この商品券は県内の離島に観光客を誘致するために発行されたもので、地域通貨のデジタル化は国内初の試みだった。この施策で導入されたのが、「e街プラットフォーム」の前身のサービスである「Welcome!STAMP」だ。

電子スタンプは、スタンプをスマートフォンの画面に押すことで消し込み(※2)ができるツール。押印には静電気を使用するため、スタンプは電源が不要。通信はユーザーの携帯電話でおこなうことから、Wi-FiやBluetoothのような無線の設定もいらず、スタンプ1つあたりの価格も安価で、地域の経済的負担も少ない。

※2 発行された券種を使用済みとして処理すること

「島しょ部では高齢化が進んでいて、デジタルツールに抵抗を感じる方も多い。ですが、電子スタンプであれば、普段使用している印鑑やスタンプと同じ動作で使用できます。当時は決済方法として電子スタンプをご活用いただくケースが多かったことから、サービス名を『Welcome!STAMP』としました」

その後、2019年には、旅前・旅先でスマートフォンから簡単に寄附ができ、返礼品として導入地域の加盟店で利用可能な電子商品券を即時に受け取ることができるふるさと納税の新たな仕組み「旅先納税」の提供を開始し、初号案件として岡山県瀬戸内市に採用された。そのほか、「Go To トラベル」の地域共通電子クーポンの発行、受取管理システムとして活用され、さらにその他自治体のMaaS(※3)等にも導入され続けてきた。

※3 Mobility as a Serviceの略称。複数の交通手段と民間・行政サービスなどをICTで連携させること

「行政サービスのDX推進、コロナ禍などにおける急速な需要拡大に応じて機能を追加してきました。その過程で気づいたのは、抱えている課題は地域によって異なるということでした。固定した1つのサービスだと、行き届かないこともある。そこで、行政等のニーズに即した機能を洗い出して包括化し、各種機能を自由に組み合わせたり、パッケージ化したりして提供することにしました」

こうして2020年にリブランディングされたのが『e街プラットフォーム』だ。2026年3月31日時点で、全国246自治体、累計275事業で導入されている。

ポータルサイトで行政チケットを一括管理

長野県松本市では、子育て支援、消防団員向け福利厚生、物価支援対策のチケット等をe街チケットポータルで一括管理している

ギフティが現在、「e街プラットフォーム」において注力しているソリューションの1つが、2024年に立ち上げた「e街チケットポータル」だ。行政が運営する住民に向けたポータルサイトで、会員認証、配布・販売、チケットの保存、利用などを一元管理できる。

行政は縦割り組織で、施策も担当課、施策単位で実施されていることが多い。その結果、導入するシステムが統一されず、行政、地域、住民のそれぞれが複数のツールを使用しなければいけないという課題があった。また、行政の担当課や施策によっては予算などの問題で、システム導入ができずアナログで進めているケースもある。ところが、「e街チケットポータル」であれば、さまざまな施策を1つで管理し、担当課を横断して使用できる。拡張性の高いソリューションであるため、一度導入すれば、年度ごとにサービス調達をする必要がなく、単年度で予算を組むことが多い行政にとっても導入のハードルが低い。

UIとUXにも工夫を取り入れた。UIはデジタルに苦手意識を持つ層でも直感的に操作できるデザインを採用。さらには、他社の類似サービスが自社サービス色を打ち出す傾向にあるのに対し、「e街チケットポータル」では、チケット名・インターフェースのカラー・アイコンなどを変更可能なため、地域性を表現できる。

「e街プラットフォーム」および「e街チケットポータル」を2024年に導入した長野県松本市では、4つの担当課に横断していた子育て支援関連の申請・取得・利用を一元管理し、デジタル化を実現した。利便性向上により利用者は倍増し、対応する人員を追加するほどの反響を得ている。その後は松本市消防団の福利厚生施策や、内閣府が所管する物価高騰対応重点支援地方交付金を活用した生活者支援策でも、活用されている。また、新潟県柏崎市でも、子育て支援チケット、高齢者向け介護予防教室の回数券に関連したインフラとして導入。同市では、市職員が年間228時間、事業者が年間148時間(※4)の作業時間の削減を見込んでいる。

※4 「令和7(2025)年度 柏崎市DX推進計画 進行管理報告書 (令和6(2024)年度実績分)」より引用

「さまざまな施策で活用可能なインフラとして長く使用されるツールであるほうが、三方よしの仕組みであると自負しています。そういったプロダクトに成長させるべく、日々機能拡張、改良をしています」

誰も取り残されないデジタル化サービスを

機能拡張を続け、導入先を増やし続けている「e街プラットフォーム」。最後に、DX推進を担う行政担当者への想いを市川さんに聞いた。

「DXの成果は1か所に偏りがちです。行政が推進する場合、庁内の生産性の向上や業務効率化が進む一方、デジタルの利用に不安を感じる事業者や住民が取り残されることも。しかし『e街プラットフォーム』は紙との併用もでき、誰一人取りこぼされることなく使用できます。行政の職員の方々が、あらゆる施策のデジタル化や地域活性化における課題に直面した際、もっとも相談をしやすい存在になりたいですね」

株式会社ギフティ

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執筆

増田洋子

東京都在住。インタビューが好きなフリーランスのライターで、紙媒体とWebメディアで執筆中。ネズミを中心とした動物が好きで、ペット関連の記事を書くことも。
ポートフォリオ:https://degutoichacora.link/about-works/

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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