さくマガ公式SNS
お問い合わせ

AIが溶け込む社会への挑戦 Idein中村社長✕さくら田中対談

AI、IoTが溶け込む社会への挑戦 Idein中村社長✕さくら田中対談

「経営者に聞く!変化を追い風にする企業の過去/現在/未来」イベント第二弾。

第一弾:サイボウズ青野社長との対談記事はこちら

今回はソフトウェアの力でAI/IoTの世界に破壊的イノベーションを起こした、Idein代表・中村晃一さんと、さくらインターネット代表・田中邦裕との対談が実現。

エッジコンピューティングの技術は社会に何をもたらすのか、自社のビジネスにおいて意識しているキーワードについて、おふたりに語ってもらいました。

 

Idein株式会社の紹介 

中村 晃一さん(以下、中村):Idein(イデイン)は2015年に創業されたスタートアップ企業です。私たちのミッションは「実世界のあらゆる情報をソフトウェアで扱えるようにする」。社名の由来ですが、ギリシャ語で「アイデア」の語源になった言葉からです。世界中のソフトウェアデベロッパーのやりたいこと、アイデアを実現できる会社にしたくて、この社名にしました。

具体的なプロダクトを紹介します。Ideinでは「Actcast(アクトキャスト)」という開発者向けプラットフォームサービス(PaaS)を提供しています。

※PaaS・・・Platform as a Service

 

Actcast(アクトキャスト)

 

Actcastを使っていただくと、エッジコンピューティングによって高度なAI解析を利用したIoTシステムが、手軽に安価に構築可能です。

※IoTについては「IoTの意味とは?社会が変わる技術の仕組みをわかりやすく解説」でくわしく紹介しています。

 

Actcast(アクトキャスト)

たとえばコンビニやスーパーなどで、お客さまの年齢・性別・マスクの着用などの属性情報の収集や、デジタルサイネージの視聴率の計測で利用されています。これまで見られなかった物理世界の情報を、データとして見られるわけです。

AIをテーマにしている会社も多いですが、私たちは他社と比べて何が違うのか。いくつかご紹介します。

【Idein株式会社の強み】

  • エッジデバイスでデータを収集、変換して活用できる
  • プライバシーの配慮
  • ランニングコストの削減
  • マーケットプレイス&遠隔・大量運用
  • 安価の汎用デバイスでAIを動かす

これまでに自社が世界や市場を変えたと感じることはありますか?

中村:Ideinはスタートアップ企業でまだまだ小さいため、世界を変えたというのはおこがましいフェーズです。Actcastをローンチして、まだ1年ほどですから。ただ、この1年でも状況はとても変わっています。

ディープラーニングやAIがブームになり、現在は落ち着いている段階です。これが少しずつビジネスユースに変わってきています。 

当社を採用していただけるお客さまは、別の会社で一度AIの活用をトライしていて、コストなどの理由で断念しているケースが多いです。断念したものを当社のプラットフォーム上で実現しています。

アイデアはすでにあっても、それを支えるインフラなどが必要になります。良いAIサービスがあっても、多くの人が使えるわけではないんです。そうしたサービスを拡大するためのお手伝いをしています。数年後には、Ideinが世界を変えたと言われるようにしたいです。

 

田中 邦裕(以下、田中):Ideinさんがすばらしいのは、コスト面です。通常はディープラーニングだと数十万円する高価なサーバーが必要になるのですが、数千円程度のRaspberry Piなどを活用できるので、二桁安くなりますよね。

 

中村:ありがとうございます。コストにも関連しますが、AIを運用して維持するのは難易度が高いんです。

昨年、Actcastをローンチした直後に新型コロナが流行しました。

お客さまが一斉にマスクをしたので、認識できるはずの年齢も性別もわからなくなってしまいました。そこで、あとからマスク着用に考慮したアプリをアップデートしたんです。

Ideinはソフトウェアの会社なので、お客さまのやりたいことが変化することに対応する仕組みを事前に作っていました。年数かけてしっかり作り込んでいたので、これが武器になりましたね。

 

田中:まさにアップデートは重要です。ソフトウェアだと、あとからアップデートができるから良いですね。まさにIdeinさんのミッション「実世界のあらゆる情報をソフトウェアで扱えるようにする」につながります。安価なハードウェアがソフトウェアによってバリューアップされるので、ビジネス的にも可能性を感じます。

 

中村:ミッションのほかに、ビジョンとして「世界をソフトウェア化する」というものを掲げています。ソフトウェアでできることを増やしたい、ソフトウェアが活躍できる場を広げたい。それが創業初期からのモチベーションです

 

田中:Ideinさんのミッションやビジョンと似ていると思うのですが、さくらインターネットの社是は「やりたいことをできるに変える」です。インターネットで挑戦するすべての人を応援しているんですね。単なるハードウェアではなく、ソフトウェアが中心になってインターネットとつながっていることで、これまでできなかったことが、できるようになるのが重要です。 

ソフトウェアは、作ったらそのままにして更新されないケースが多いですよね。ソフトウェアという名前のわりには柔らかくないんです。Ideinさんがやっている、ソフトウェアによってハードウェアをバリューアップすることは、まさにソフトウェアとインターネットによって変えられた世界ですね。

サブスクなどの言葉が流行っていますが、自社のビジネスにおいてはどんなキーワードを意識されていますか?

中村:「XaaS」と「サブスク」にはこだわりを持っています。ActcastもPaaSでサブスクです。マーケットプレイスにあるアプリケーションを、1日単位で課金しています。

なぜそのようなビジネスモデルにしているかというと、ソフトウェアは変化するからです。世の中の変化も早いですよね。そこに対応できるビジネスモデルを考えたら、必然的にそうなりました。さくらインターネットもサブスクですよね?

 

田中:うちの場合はサーバー単位での課金なので、正確にはサブスクではなくてストックビジネスなんです。さくらもサブスクをしたいなと思っています。サーバー単位の課金から、さくらを使う課金に変えたいですね。たとえば、月にいくらか課金すると、さくらのサービスを自由に使えるイメージです。

 

中村:ストックビジネスからサブスクに移行するために大事なことって何でしょうか?

 

田中:組織です。サービスごとに組織が作られていると、サービスごとの行動になってしまいます。サブスクになると、自社そのものを売ることになるので、組織の壁をいかに取り除いていくかが必要です。

サブスクにする=組織改革に近いと思います。だから少人数のスタートアップは、サブスクのビジネスモデルを取りやすいんですよね。大きい会社ほど組織の壁がありますから。

表面上だけサブスクにしても、お客さまには伝わりません。最近、さくらインターネットでは改革に取り組んでおり、キーワードとして「カスタマーサクセス」を掲げています。なぜかというと、自社のサービスの都合ではなく、お客さまがいかに成功するかが重要だからです。

 

中村:カスタマーサクセスですか。まさに私たちの直面している課題がそこです。Ideinは完全に技術オリエンテッドな会社。いま社員数が50人なのですが、そのうち40人がエンジニアです。

いまは組織を転換したいフェーズで、事業開発部の人員をどんどん採用しています。ビジネスパイプラインを構築して、カスタマーサクセスにつなげられる組織にしていきたいです。

Ideinとさくらインターネットはインフラを売っているので、近い部分があると思うんです。インフラってお客さまにとってはわかりにくい部分ですよね。

どうやって私たちを知ってもらって、活動を理解してもらって、どのように使ってもらうかが課題です。そういう意味では「マーケティング」というキーワードも重要になります。さくらインターネットの初期には、どのようにマーケティング活動をしていましたか?

 

田中:一番大事にしていたのは「まずは使っていただくこと」。プロダクトが良くても使ってもらえなければ、知られることがありません。なので当時は、有名な同人作家さんとかに「無料でもいいから使ってください」とお声がけをしていました。

使っていただいて、お客さまのやりたいことがうまくいく。そうするとクチコミで広まります。新規のお客さま獲得は、既存のお客さまの成功から繋がります。まさしくカスタマーサクセスが重要です。

 

中村:非常に共感できます。AIを売るのは至難の技です。いきなり大きな契約を取るのは難しいので、1日単位、1デバイス単位の課金にしました。お客さまが少額からはじめられるようにしたんです。まずは使ってもらう。そういう思想で作っています。

実際、最初は数十台のデバイスだったのが、数万台になったケースもあります。それを事例として横展開していくことが大事です。

 

田中:まずは使っていただく。気軽に始められる。失敗のコストを下げることが大事です。世の中失敗しないようにしすぎていると思うんです。お客さまのためにも、失敗してもすぐに止められる工夫が必要かもしれません。

IoT/AIが当たり前の世界ってどんな世界を目指すべきでしょうか?​

田中:僕はすでにその世界だと思っていました。中村社長いかがですか?

 

中村:AIはバズワードではなく当たり前に使われていますよね。AIってソフトウェア技術のひとつでしかないです。私がもともとやりたかったのは「ソフトウェアでできることを増やす」なので、IoTやAIが広がるとできなかったことができるようになります。

IoT/AIを中小企業が活用するために必要なことは?

中村:中小企業に広めるにはコストが重要です。どんなに商品が良くても、それに見合ったコストでなければ使っていただけません。そこは当社の強みといえます。そのためにも、大きなエンタープライズに大量に使っていただければ、規模の経済が働いて1ユーザーの料金負担が下がり、導入コストが減ります。

あと、IoTではキッティングや施工が大事です。現場にカメラを置いて画角調整やAIのパラメーター設定などをする必要があります。すべての現場には行けないので、地元の業者にお願いしています。こうした仕組みを作ることで、コストを下げられました。

 

田中:大きなエンタープライズに使っていただきながら、システムやプロダクトは安価に中小企業の方にも使っていただける環境にするということですね。

これはソフトウェアビジネスやSaaSビジネスで重要なエッセンスだと思います。

※SaaSについては「SaaSとは?IaaS、PaaS、ASPとの違いは?サービス代表例も紹介」で詳しく解説しています。

日本の多くの会社は特定の会社向けにシステム開発してしまいますが、ほかの会社も使えるようにすれば、ビジネスとして広がります。

中村社長にとって変わらないものは?

田中:ここまで変わっていった世の中で、​中村社長にとって変わらないもの​ってなんでしょうか?

 

中村:「自分の好奇心を大事にする」。これは変わらないと思います。起業する前は大学で研究をしていました。起業するときは自分に経営なんてできるのか? と思っていたのですが、いまは経営や組織の仕組みを作ることが楽しいんです。

自分たちのプロダクトを使ってもらって、いままでわからなかったことがわかるとすごく楽しいんです。自分自身が変化することに喜びを感じるタイプなんですね。

Idein株式会社のホームページはこちら

さくらインターネットお役立ち資料ダウンロード

≫ 【導入事例やサービス紹介も】さくらインターネット お役立ち資料ダウンロードページ

 

 

執筆

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

編集

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

すべての記事を見る

関連記事

この記事を読んだ人におすすめ

おすすめのタグ

特集