DX推進に補助金を活用するには? 一覧と流れを解説

「DX推進に補助金って使えるの?」と聞かれることがあります。
DX は、デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創出や業務効率化などによる企業変革を指します。今後、DX は企業活動におけるスタンダードになり、それをサポートする補助金等の支援は拡充していくものと予想されます。
本記事では、DX推進に活用できる補助金の一覧と、補助金を活用すべき理由、活用方法について、株式会社SoLabo 代表取締役 田原 広一がさまざまな補助金申請サポートをおこなった立場から解説します。

そもそも DX とは?

ビジネス分野における DX は、単にデジタル技術を活用した業務効率化を指すものではなく、企業の価値を一変させるまでの変化が認められなければ DX とは呼べなくなっています。
 DX(デジタルトランスフォーメーション、略称:ディーエックス)の基本となる定義、具体例をおさえておきたい方はデジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 意味や定義をわかりやすく解説を参考にしてください。
DX推進に際し、どのようにデータ活用をしていくべきかを悩んでいる方はDX事例のデータ活用から見る成功ポイントを解説を参考にしてください。

DX推進に活用できる補助金の一覧

DX推進に活用できる補助金や助成金の一覧をご紹介します。

名称

概要

事業再構築補助金

既存事業の再構築に取り組む中小企業・中堅企業向け。
新分野の展開や業態・事業・業種の転換、事業の再編を目的とした再構築が対象。
補助金額は 100万円〜1.5億円、補助率は 1/3〜3/4 と、申込枠や従業員数などで変動。

IT導入補助金

労働生産性の向上を目指す中小企業・小規模事業者向け。
DX の下地づくりとなる業務効率化、DX推進に必要なソフトウェアやアプリ、サービスなど ITツールの導入が対象。
補助金額は 5万円〜450万円、補助率は 1/2以内〜3/4以内と、申込枠などで変動。

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など制度の変更に対応する中小企業・小規模事業者向け。
革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善が対象。
補助額は 100万円〜4,000万円、補助率は 1/2〜2/3 と、申込枠などで変動。

サイバーセキュリティ対策促進助成金

自社の事業における秘密情報や個人情報などの漏えい対策をする中小企業者向け。
サイバーセキュリティ対策のための設備やサービスの導入が対象。
補助額は 10万円~1,500万円、補助率は1/2以内。

成長型中小企業等研究開発支援事業

成長可能性が高く、大学・公設試験研究機関などとの連携を求める中小企業向け。
精密加工、表面処理、立体造形等のものづくり基盤技術及びサービスの高度化などの研究開発を支援。
補助上限額は 4,500万円〜3億円、補助率は 1/2以内〜2/3以内と、申込枠などで変動。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(東京都)

東京都内に本店または主たる事業所を置く中小企業向け。
機械設備などの設備投資を支援。
補助上限額は 3,000万円〜1億円、補助率は 1/2以内〜3/4以内と、申込枠などで変動。

補助金制度は制度の統廃合や公募終了する可能性もあるので、詳細は公式の Webサイトや経済産業省の発信する支援施策の情報をご確認ください。(参考:デジタル・DX|経済産業省 関東経済産業局)

DX推進に補助金を活用するのであれば、まずは自社の業種や企業規模が申請条件を満たすかの確認が必要です。

また、補助金の金額は、補助金を使った事業計画と、それに基づいた見積書などの補助金額の根拠が審査されてから決定されます。そのため、DX推進のために補助金を申し込む場合、申し込みできる金額や補助率などの条件がかならず受け取れるわけではないことに留意しておきましょう。

なお、審査のある補助金のほかに、要件を満たせば原則、受け取れる DX に関する助成金もあります。所轄の地方自治体で DX に関する助成金があるか、確認してみてください。

補助金の基本や助成金の違いについて知りたい方は「補助金ってそもそも何?助成金との違いや活用時の注意点を解説」をご参照ください。

DX推進で補助金を活用する流れ

DX推進で補助金を活用する場合の流れをまとめると、次のとおりです。

補助金の申請から着金までの流れ

備考

①申請書や事業計画書などの必要書類を用意する

金額の根拠となる見積書を取得する必要がある

②補助金申請をする

認証登録に時間がかかるオンラインアカウントが必要となるケースが多いため、必要な準備は早めに済ませる

③補助金の審査を受ける

④採択されたら、交付申請をする

交付申請より前に補助事業を開始することは原則、認められないので注意

⑤補助事業の DX推進に取り組む

提出内容に不備があった場合、補助金が受け取れなくなる可能性がある

⑦補助金の支給額が確定する

お金の使いみちが事前の計画どおりでない場合など、減額される可能性がある

⑧請求書など提出し、補助金が口座に振り込まれる

上記のとおり、「交付申請」で「事業計画書どおりの補助事業を実行します」と約束したあと、DX推進に取り組むのが基本の流れです。

もし交付申請の前に、お金を使って DX推進の取り組みを始めたいという場合、補助金の事務局と事前に相談し、了承を受ける必要があるので、注意しましょう。

DX推進で補助金を活用すべきよい理由

DX推進に補助金を活用すべき理由は、3つあります。

  1. 補助金を活用すると、DX に必要なデジタル技術の導入費用の負担を抑えられる
  2. 補助金の申請に必要な事業計画書を作成し、計画の妥当性を見てもらえる
  3. 補助金を通して金融機関とのつながりができて、今後、資金調達しやすくなる

 

補助金は「補助事業」と呼ばれる、補助金制度のサポート対象の事業を実行し、計画どおり進めることで、あと払いで費用が補填される仕組みです。たとえば、DX の推進に 1,000万円必要な事業計画があったとして、補助金を使わなければ、1,000万円をすべて自前で調達する必要があります。一方、補助金を活用する場合、例えば、補助上限額 1,000万円以内、補助率 1/2以内の補助金制度を活用すれば、概算で 500万円を補助金でまかなえるでしょう。

また、補助金は審査があり、DX事業の将来性なども加味して判断されます。つまり、事業計画が妥当なものであるか、補助金に取り組むことではかることができるのです。

なお、補助金は、補助事業に取り組んだあとに払われるものであるため、補助金が振り込まれる前に、金融機関で資金調達をおこなう必要があります。銀行などの金融機関とのつながりの有無は、その後の資金調達にも影響するため、補助金の取り組みをとおして、早めに縁を作っておくとよいでしょう。

 

本記事では、DX推進に活用できる補助金の一覧と、補助金を活用すべき理由、その活用方法の流れについて解説しました。DX は企業が活動するうえで欠かせないものとなりつつあります。ぜひこれを機に、自分に適した補助金の活用をご検討いただき、DX推進の一助としていただければ幸いです。