男性の育休はあくまで手段。3か月の育休を取得した人事部社員が語る

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奥畑 大介(おくばた だいすけ)

2007年4月入社。ES本部 ES部 人事労務グループに所属。約10年データセンター勤務を経た後、現在のグループへ異動。育児休業を3か月取得。

さくらインターネットの中の人を知ってもらうため、さくマガではさまざまな社員にインタビューをしています。今回は、人事の奥畑大介に、業務のやりがいや、育休を3か月とった経験、今後育休をとる男性へ向けたアドバイスなどについて聞いてみました。

人事は責任感がともなう仕事

ーー本日はよろしくお願いします。まず今のお仕事について教えてください。

今は人事労務グループに所属していて、労務関係だと、タイムカード管理、健康診断の調整、労働契約書の管理運用などをやっていますね。労務以外では、新卒・中途採用もやっています。

 

ーー人事に異動する前は何をされていたんですか?

10年ぐらい、大阪のデータセンターで勤務していました。データセンターの仕事は、サーバーの運用・管理、構築・保守、そのほかにも在庫管理や入退室管理などいろいろあります。そういった業務を経て、人の管理をする仕事にだんだん変わっていきました。新人に業務を教えたり、シフト管理をしたりという仕事ですね。

その流れで、徐々に拠点の管理、拠点内の採用や教育プランを考えたり、評価をしたりということもやるようになったんです。その後、縁があって人事に異動しました。

 

ーー仕事をしていてやりがいを感じたこと、逆に大変だったことなどがあれば教えてください。

データセンターにいたころは、25~30人ぐらいの人員管理をしていたんですが、それが一気に20倍、およそ600人という規模(全従業員)になりました。それはやはり、会社の根幹となるような部門ということで、「しっかりしないとな」と思いますし、そういう意味ではすごくやりがいを感じますね。

あと、データセンターのころと比べて、会社の外に出る機会がすごく増えました。もちろん、自主的にそうした、というのもあります。

 

さくらインターネットの人事担当という肩書は、社外の方にとっては思ったより魅力的に見えているのかもしれません。社外のイベントに参加していると、「さくらさんって面白い働き方をしている会社ですよね」という感じでよく話しかけていただけるんです。

なので、自分もちゃんと会社のことを話せるようにならないといけない。「今ある制度をより深く知ろう」「社長は社外でどういうことを話しているんだろう」といったことは、おのずと勉強するようになりました。「さくらインターネットの人事の話を聞かせてください」と言われるとうれしいんですが、それと同時に、責任感もともなう仕事だなと思います。

 

大変だなと思っていることは……業務上、全社員にお知らせしたり、お願いしたりすることがとても多いんですが、ひとつのことをきちんと全員に伝えて浸透させることですね。人事に異動して3年になりますが、いまだに難しいなと思っています。

本当にいろいろな人がいて、いろいろな価値観がありますし、以前に比べたら、伝えるための手段も増えていますしね。どういう手段で、どう伝えるのが全社員にとってより良いのか、というのはずっと考えています。

 

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3か月の育休を取得

ーー育休を3か月取得されたと聞きました。取得しようと思った理由などについてお話いただけますか?

はい。正確に言うと、有給休暇も組み合わせてとりました。というのは、育休は出産した日から計算することになるんですけど、僕の場合、実際には出産が予定日より大幅に遅れたんです。もともと出産予定日から休もうと決めていたので、有休をとって出産までずっと妻と一緒にいました。その期間も含めて3か月ということですね。

 

育休をとろうと思った理由は2つあります。まずはシンプルに、会社として男性も育休をとっていいという制度ですので、子どもが生まれることになったらとろうと決めていました。

もうひとつは、僕が人事の社員ということ。人事の社員がきちんと制度を利用するということは、会社にとってとても大事なことだし、社内外へのアピールにもなるだろうと思いました。3か月というのは、当時のさくらインターネットの男性社員の中では最長なんです。人事の社員が男性の中でいちばん長く育休をとった事実を作りたい、というのも実はありました(笑)。だいたい、男性だと1か月取得する方が多いんですよね。

 

ーーそうなんですね。3か月休むとなると結構長く感じるのかなと思うのですが、実際はいかがでしたか?

体感的にはめちゃくちゃ早く過ぎ去っていきましたね。本当にやることだらけだったので(笑)。初めての子どもでしたし、ああでもないこうでもないといろいろなことを調べながらという感じでした。育児に関することって、事前に調べられることも、もちろんあるんですけど、やってみないとわからないことってたくさんあるじゃないですか。思ったよりすごい速度でオムツが無くなっていくぞ、とか(笑)。本当に、バタバタしてあっという間の3か月でしたね。

 

ーーよくわかります(笑)。まだまだ日本では育休をとる男性は少ないようですが、ご家族など周囲からの反応はいかがでしたか。

妻からは「とてもありがたい」と言ってもらえました。自分でも、それなりに役には立ったのかなとは思っています(笑)。妻の家族や僕の家族からも「男性でも育休がとれるって、いい会社なんだね」と言われたりしましたね。

 

産婦人科でも、妻が僕の育休について話していたようなんですけど、「話には聞きますけど、なかなか実際に育休をとる旦那さんは少ないですよね」「3か月というのはかなりすごいですね」と言われたようです。少なくとも、僕の周りではかなりめずらしいという感覚だったようですね。

 

ーー社内ではわりと当たり前のようになってきている感覚があります。

そうなんですよね。社内にいるとわからないんですけど、同じく男性で育休をとった東さんのインタビューにもあったように、さくらインターネットの男性育休取得率が40%を超えているというのは、実は結構すごいことだと思うんですよ。

さぶりこのショート30と、男性の育休取得率……この2つは本当に誇っていいものじゃないかなって人事内でも話していたりします。

 

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育休をとる目的を考えることが大事

ーーもう少し具体的に育休中のことについてお聞きしたいです。実際に育休をとってみて良かったこと、逆に大変だったことはありますか?

良かったことは、産まれてすぐの子どもと、つねに一緒にいられたことですね。これは実際のところどうなのかわからないんですけど、例えば父親のほうがずっと仕事をしていて、子育ては母親がメインという家庭の場合、子どもが何をするにも母親じゃないとダメ、というふうになってしまうというのをよく聞きます。

でも僕の場合は、産まれたときから母親と同じ時間、子どもと接することができていたので、そういうことは無いですね。子どもが「どっちも親なんだ」と認識してくれたのかな、と感じています。結果論なので、僕がずっと仕事してたらどうだったかはわからないんですけど、でも今みたいに子どもに懐いてもらっていたかどうか…というのは感じています。

 

大変だと感じたことは実はあまりないですね。職業柄かもしれませんが、子どもの泣き方、しぐさ、表情とかで、何をしようとしているのか、何を求めてるのかを探るのが楽しかったので。

もちろん、オムツをすごい頻度で替えなきゃいけなかったり、哺乳瓶でミルクを作って飲ませたり、お風呂入れて着替えさせたりというのは、やったことがないことなので大変といえば大変でした。

でも、普通にやるべきことだと思っていたので、そこまで苦ではなかったです。僕自身は子どもと過ごす時間をすごく楽しみましたね。どちらかというと、仕事に復帰してからのほうが大変だったかもしれないです(笑)。

 

コロナの影響もあってずっと在宅勤務をしていた時期もあったんですが、徐々に子どもに自我が芽生えてくると、子どもと同じ場所にいて、かつ仕事をするというのは本当に無理で……。あまりにキツくて、実は結構出社しているんです(笑)。いまは家庭と仕事は完全にわけさせてくれということで、妻と話し合ってそうさせてもらっています。

 

ーー確かに子どもがいる空間で仕事をするのは大変ですよね。復帰後のお話が出ましたが、仕事のブランクについてはどう感じましたか?

そんなに感じなかったですね。労務の業務を3か月で忘れるということもなく……身体に染みついていましたので。

人事のメンバーには、育休に入るときは快く送り出してもらったんですが、戻ってきたときも「さっそくやることいっぱいあるからね!」っていう感じで(笑)、スムーズに仕事に戻れました。

 

なので、育休をとる前と仕事自体はあまり変わりないです。でも、家に帰ったら子どもの世話があるので、休む時間は以前と比べると少なくなったかもしれません。そういった生活に慣れるのに少し時間はかかりましたね。

 

ーーこれから育休をとるかもしれない男性にアドバイスがあればお願いします。

最近、男性の育休義務化が話題になって、賛否あるようなんですが、僕自身は、育休はあくまで手段のひとつだと思っています。育休が必要かどうかは夫婦によって違うと思うので、しっかり話し合ったほうがいいですね。

ただ育休をとるだけで何もしないのであれば、家族にとって邪魔になるだけなので(笑)。育休をとることが目的ではないので、手段と目的がひっくり返らないようにしてほしいです。

 

育休をとるなら、家族でよく話し合って、どれくらいとるのか……制度上は子どもが1歳になるまで、1年はとれるので。必要であれば長い期間とればいいですし、そうでなければ1か月でもいいと思います。なぜとるのか、何のためにとるのか、ということをしっかり考えてほしいというのが僕からのアドバイスです。

 

ーーありがとうございました。最後に、さくマガのコンセプトが「やりたいことをできるに変える」なのですが、今後やりたいことを教えてください。

人事として3年間やってきた中で、人っていろいろいろな個性があるんだなと感じていて、社員の強みをもっと生かせるような施策をやっていこうとしています。子どもに関しても、基本的な教育はもちろん必要ですが、強みを育ててあげたいですね。

僕の想いとしては、子どものいいところをしっかり見つけて、そこを伸ばしてあげることを15年、20年ぐらいかけてやっていきたいです。ひとりで育てるわけじゃないので、妻とも相談しながら考えたいですね。でも、あくまで主役は子どもであるということは忘れずにいたいです。

 

仕事では、業務の省力化はどんどんやっていきたいです。そうしたら、仕事とプライベートのバランスをもっととれるようになって、今よりもっと仕事でやりたいことと家庭でやりたいことを両立していけるようになるのかなと思っています。仕事はしっかりしないといけないですけど、時間内にしっかり終われるようにして、家族との時間も今よりもっととれるようにしていきたいですね。