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「Win-Winの関係を築いていきましょう!」と言われて発生した違和感の正体を考えてみた

 

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お疲れ様です!たけもこです。

今月で6回目の連載になります。

 

「Win-Win」という言葉は誰でも1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。私は言葉の存在こそ知っていたものの、言葉の本質を理解したのは大学生のころ。スティーブン・R・コヴィー氏の著書『7つの習慣』を読んだからです。

 

出会いのきっかけは、バチェラーシーズン1のバチェラー、久保さんのインスタ。 フォロワーからの「おすすめの本を教えてください!」という質問に対する久保さんの回答が『7つの習慣』でした。久保さんのファンだった大学生もえこは、すぐさま本屋に行って購入したのです。

まさかこの数年後、久保さんと一緒にお仕事ができるようになるなんて、このときのもえこは知る由もありません。大感謝。

 

(久保さんとわたし)

(久保さんとわたし)

 

『7つの習慣』といえば、アメリカで原著が発売されてから今年で30周年記念だそうです。30年間売れ続けるなんて、本当にすごいことですよね。売れ続けるということは、それだけ普遍的な、本質的な価値があるという証拠です。まだ読んだことがない方は、是非。

 

Win-Winについての体系的な内容は、本を読んでいただくとして……。

 

さて、今回は

  • 「Win-Win」をテーマにした背景、ならびに違和感
  • 意味は分かるけど、結局Winってどう考えればいいんだ。

について書いていきます。

鼻息の荒さに吹き飛ばされそうだ

「Win-Winの関係を築いていきましょう!」

と、はじめて言われたのは、私が個人でお仕事を請け負うようになって少し慣れてきたくらいの頃。

SNSについてインタビューを受けることも多く、記事を見てくださった方からは「インフルエンサーとしてSNSに詳しい」という前提でお話をいただくこともありました。

 

ある日届いた1通のメールの内容は、

  • 仕事の依頼
  • 質問(依頼内容とはほぼ関係ない仕事の相談)
  • 質問(依頼内容とはほぼ関係ない仕事の相談)

というもので、とりあえず依頼の内容についてのみ返信。

 

その後、

  • 仕事の依頼の続き
  • 質問(依頼内容とはほぼ関係ない仕事の相談)
  • 質問(依頼内容とはほぼ関係ない仕事の相談)

 

といったように、意図がわからない質問がくっついて送られてきました。質問の内容は、まったく仕事に関係ないわけでもないのですが…。

まだ一緒に仕事をするかもわからない状態で聞くには、唐突な感じでした。

 

本筋の話を進めたかったので、違和感は持ちつつも質問に回答。 持てる知識を活かしつつ「○○はいかがでしょうか?」と提案を含めてみました。

そして返ってきたお返事のうちの1文が、

「たけもこさんには、今後もいろいろお願いしたいです! Win-Winの関係を築いていきましょう!」

 

ブォア!!

 

私はまだ、スタートラインにも立っていない感覚だったので、その言葉の鼻息で画面越しに吹き飛ばされそうになりました。

もちろん一緒にお仕事をしていくなら「Win-Win」の関係が理想だと私も思っています。でもいざ言われてみると、そんな簡単に使えるような言葉ではないのでは…という気持ちになりました。

 

いや、正直に言います。言われた瞬間

「今のところWinなのはあなただけなのでは…」と思ってしまいました。

 

「今後もお願いしたい」という言葉をいただいて、お仕事⇔情報提供という関係図は一見「Win-Win」のはずなのに、止まらない強烈な違和感。

この違和感の正体を探りつつ、どうすれば「Win-Win」の関係を築くことができるのか。私なりに整理してみました。

 

「Win-Winの関係を築いていきましょう!」と言われて発生した違和感の正体を考えてみた

「Win-Winの関係物語」のシナリオを作る

結論、相手のWinを考える際に重要なのは「物語」だと気づきました。

私は休みの日には大抵、本を読むか映画を観るかゲームをしています。もちろんエンタメとしても楽しみますが、どんな物語(ストーリー)にも多角的な学びがあるなあと常々思います。

「Win-Win物語」を作るために必要な要素を分解していくと、

  1. 登場人物の整理
  2. 欠落感の認識合わせ
  3. エンディングのタイミング確認

以上の3つが挙げられます。

1つずつ説明していきます。

1.登場人物の整理

一言で言うと「Win」の主語はだれか。という話。

Win-Winという言葉通りに考えると、登場人物は2人だけなのですが、実際にはもっといるはずです。

 

例えば、主語が私で、仕事の内容はSNSを活用したPRだとします。この場合、私にとってのWin物語の登場人物には、私自身以外にフォロワーさんも含まれます。

インフルエンス=影響なので、影響を与えるべき相手はフォロワーさん(さらに言うと、フォロワーさんのフォロワーさん)になります。

 

極端な例で言うと、どれだけ高額の報酬があったとしても、フォロワーさんにとって価値のないPRを続けていては、まわりまわって私にとってLOSEの結果を招くことになるのです。インフルエンスの役割を果たせていないわけですから。

登場人物にとってのWinを果たすためには、当人以外だれのWinが必要になるのかまで想像しなければいけません。

 

さらに、登場人物に「自分が主人公だ」と思ってもらう力も必要だと思っています。

昔ドラえもんのマンガか映画かの中で、のび太が催し劇にて木の役をさせられていました。ただ、ひたすらに立っているだけです。基本的にのび太は良い役もらえません。

 

役を演じる側であれば

 

「よし、木の役でも一生懸命やろう!」

 

という心意気も大事だと思いますが、 もしも役を与えるキャスティング側、仕事で言うと発注側なのであれば、

 

「木の役がどれほどの意味を持つか」

 

というところまで考え、伝える必要があるのだと思います。

 

良い物語の登場人物は、それぞれが主人公になり得るほどの背景を持っている

 

良い物語の登場人物は、それぞれが主人公になり得るほどの背景を持っているものです。実際に表には出てこないとしても。

2.欠落感の認識合わせ

物語の基本には必ず欠落感があります。何か好きな物語を思い浮かべてもらうと分かりやすいのですが、主人公は大抵、何かを失って復讐の計画を立てたり、何かを得るために冒険に出たりと、欠落感を埋めるために活動しているのです。

 

欠落感をビジネス的に言うと「課題」ですね。

仕事が発生する場所には必ず課題があり、その課題を埋めることが目的になります。

 

この「課題」の認識がずれていると、物語はうまく進みません。前提として「Win-Win」という言葉を使う以上「Lose」(欠落感であり課題)を理解していなければ「Win」も知り得るはずがないのです。

 

今考えると、届いたメールに記載された「Win-Win」にはここがごっそり抜けていたから違和感を持ったのだと思います。「今後も何かお願いしたい!」という抽象的な仮の「Win」は、私のどんな「Lose」を満たしてくれるのかが全く見えなかったのです。

 

ここの認識を合わせるには結局「対話」しかないのだと思います。

3.エンディングのタイミング確認

映画や本の物語と大きく違うのはここです。

創作物であれば、作り手が登場人物をコントロールするので、エンディングのタイミングもコントロールできますが、リアルな仕事に置き換えるとそうはいきません。

 

エンディング、というのは先ほどの「欠落感」を埋めるための目的が達成されるタイミングです。

 

またまた例のメールで考えてみます。

価値の内容はひとまず置いておくとして、仮に私にとってのWinを「今後もお願いしてくださるらしいお仕事」、相手のWinを「私が持つ情報」だとします。

 

私から相手へのWinはすでに提供されている状況で、相手から私へのWinはいつ提供されるのか分からない。

最終的には一緒にハッピーエンドを迎えるはずの共演者が「お疲れ様でした!」と舞台を降りていく背中を見ている感じでしょうか…(?)

 

お互いへのWinのタイミングをそろえる必要はなく、バラバラだとしてもお互いに認識しておくことが重要なのです。

物語づくりは、誰かに何かをお願いするときには大切にしておきたい心構えだなあ、と書いている途中に考えていました。

 

例えば考えられるケースを挙げてみると「○○(ビジネス系)をやりたいと思ってるんだけど、誰か紹介してくれない?」という会話。これ、日常的な会話に見えて、まじめな人ほど悩んでしまうお願いなのではないかと思っています。

お願いするほうは特に重く考えずに言ってしまいがちですが、お願いされたほうは「紹介する人にもメリットがないといけない…」「もしうまくいかなかったら自分と2人との信頼関係も…」などいろいろ考えます。

(私は言ってしまったことも、言われたこともあるのでよくわかります)

 

もちろん双方の関係性で状況は変わってくるとは思いますが。

 

「Win-Win物語」のシナリオができていれば、最終的に話は早く進むと思うので、紹介のお願いをするときはざっくりとでもいいので考えておくことをオススメします。

それでは今月はこのあたりで。ありがとうございました(/・ω・)/

 

 

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執筆

竹本萌瑛子(たけもこ)

熊本県出身。現在はヤフー株式会社にてデジタル広告を扱う部署に所属。 SNSやイベントなど、マーケティングコミュニケーションを軸とした業務に従事する一方で、モデル・タレント・ライターなどパラレルワーカーとしても活動中。 X(@moeko_takemo)で、自身の野球少女時代の写真をユニークなコメントと共に投稿。大きな反響を呼んだことをきっかけに、活動範囲を拡大している。
Instagram : https://www.instagram.com/moeko_takemoto/

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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