パラレルキャリアとは「もうひとつのキャリア」を築く働き方です。
この記事ではパラレルキャリアの意味やメリット、実践での注意点などを解説します。さくらインターネットでも「さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creation)」という考え方があり、パラレルキャリアを推進しています。
会社に縛られるのではなく、個人の自由な意思でさまざまなキャリアに挑戦することで、スキル・経験・人脈などの幅を広げ、より幅広く活躍することが可能になります。
パラレルキャリアは多様性
最近はひとつの会社に勤めながら、いろいろな場所でいろいろな人と触れ合い、常に成長していきたいという人もいます。まさに生き方が変化し、多様化してきました。ひとつの会社で定年まで働くのが厳しい環境になった、という背景もあるでしょう。
そんななか、「パラレルキャリア」という生き方が注目を集めています。パラレルキャリアを正しく理解して実践すれば、さまざまなスキルをかねそなえた人間になることも夢ではありません。
経営学者のピーター・ドラッカーが著書『明日を支配するもの ~21世紀のマネジメント革命~』で提唱した働き方がパラレルキャリアです。パラレルキャリアの定義は本業とは別に「もうひとつのキャリア」を構築することです。
例えば平日は会社員として会社で働きつつ、休日はショップ経営もするなど、同時に複数の仕事をおこなうのがパラレルキャリアです。こうしたパラレルキャリアが注目され始めた背景として、終身雇用制度の崩壊が挙げられるでしょう。
もはや大企業に就職すれば一生安泰、という価値観が通用する時代ではなくなりました。組織に期待しているだけでは、生き抜けない可能性があるのです。しかも将来的に年金の支払いが危ぶまれるなど、日本人の老後が不安になるようなニュースが飛び交っています。
そんな現代においては、生活のためにひとつの仕事に執着するのではなく、自分の可能性を広げられるような働き方が主流になりつつあります。またインターネットの浸透がきっかけとなり、SNSなどを活用して自己発信が簡単になっているのも理由のひとつです。
SNSがきっかけで、選択肢が増えてパラレルキャリアをスタートした方も多くいます。
社内・社外問わずに、新しい仲間を募っての副業や起業をおこないやすくなったため、会社本位から自分本位でキャリアを考える人が増えてきたといえます。
さくらインターネットでは新卒1年目からパラレルキャリアをスタートしている社員もいます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
パラレルキャリアは副業やアルバイトと何が違うの?
副業やアルバイトとパラレルキャリアは混同されることが少なくありません。確かに、複数の仕事を同時進行でこなしていく点では、パラレルキャリアも副業も同じといえます。
ただし副業の主な目的が「収入の増加」であることに対し、パラレルキャリアは必ずしも収入にこだわりません。例えば、趣味として漫画を描いて発表することや、報酬がないボランティア活動をすることも、立派なパラレルキャリアです。
例として漫画を描いているうちにフリーランスとして活動をすることになった方のインタビュー記事をご紹介します。
こうした、やりがいや人脈形成などお金に換算できない目標のために、別の仕事を始めるケースもたくさんあります。また副業となるとどうしても「プライベートの時間を削って補助的におこなう仕事」という意味合いが強くなります。
しかし、パラレルキャリアは本業と同等か、あるいはそれ以上に大切な仕事を持つことを推奨する働き方です。
そのため、周囲に隠しておこなう場合も多い副業とは違い、基本的には公表しながら堂々と働く傾向にあります。パラレルキャリア用の名刺を同僚に見せる方もいるそうです。(私も実際に見せてもらったことがあります)
こうした特徴を反映して、日本ではパラレルキャリアを「複業」という言葉に言い換えることも増えてきました。
どれかひとつが本業というわけではなく、すべてを本業として取り組む意識にパラレルキャリアの醍醐味が含まれているのです。
パラレルキャリアが人生にもたらしてくれるメリット
社会人に多くのメリットをもたらしてくれるからこそ、パラレルキャリアは現代社会で受け入れられるようになってきました。以下、メリットの一部を紹介します。
やりたいこと・好きなことを仕事にできる
現在おこなっている仕事で収入を確保することにより、別の時間でやりたいことができるのはパラレルキャリアの魅力といえます。就職によって夢をあきらめるのではなく、空いている時間に興味のある分野の仕事をすることも可能です。
パラレルキャリアでは自分の気持ちに正直になり、豊かな生き方を選択できます。
さまざまな人と出会える
パラレルキャリアはひとつの仕事だけでは出会えなかった人脈を与えてくれます。しかも、会社やセミナーで知り合った人々とは違い、パラレルキャリアの絆は自力で生み出したものなので、価値が高く有効なものといえるでしょう。将来的なキャリア形成にもプラスになるかもしれません。
スキルアップを目指せる
視野を広げたり、未経験だった作業業務をおこなったり、パラレルキャリアはさまざまなスキルアップを促進してくれます。パラレルキャリアで得たスキルがそれぞれの現場でいい影響を与え合えれば、キャリアアップに繋がる可能性もあります。
結果的に社会人としての幅を広げることにつながるはずです。
パラレルキャリアを歩むうえでの注意点・デメリットとは?
パラレルキャリアを始めるなら、失敗しないためにもいくつかのポイントに注意しましょう。
会社の理解を得る
最近は副業OKの会社が増えてきました。ただし業界によっては副業NGという会社もあり、すべての会社がパラレルキャリアを認めているわけではありません。
企業側からすると「複数の仕事をしていると、生産性向上から遠ざかる」と考えるケースもあります。また競合他社へ知識やノウハウが流出することを恐れ、禁止しているケースもあるようです。
確かに注意すべき点があるので、社内で制度を整備する必要はあります。従業員の人生についても関心を持ってくれている会社で、理解を得ながらパラレルキャリアを歩みましょう。
さくらインターネットではパラレルキャリアを歓迎していますので、興味のある方は採用情報をご覧ください。
無理をしない
複数の仕事をすることでプライベートが削られ、ストレスがたまっていく場合もあります。そのような状況は、ワークライフバランスが崩れて、人生を充実させることを目的としたパラレルキャリアの本質といえません。
自分自身でタイムマネジメントをしっかりおこない、自己管理をしっかりする必要があります。
最初は収入の大きい仕事の合間で、短時間でも楽しんでできるレベルから、まずは2つのキャリアを始めましょう。いきなり3つ、4つとプロジェクトをはじめても失敗してしまう可能性が高いです。
すべての仕事に支障をきたさない
パラレルキャリアの構築で挫折する人の多くが、複数の仕事を両立できずにあきらめてしまいます。いずれかの仕事でミスが増えたり、モチベーションを欠いたりするのであれば、パラレルキャリアの配分が乱れている証拠です。
自身のライフスタイルやキャリアプランをしっかりと再確認をして、あらためて働き方を見つめ直してみましょう。
パラレルキャリアで充実した毎日を手に入れよう
ひとつの仕事だけを追及していても、将来が安泰とは限りません。自分の本当にやりたいことができないまま、年を重ねていくと後悔も残ります。
寿命が尽きるそのときに「あれをやっておけばよかったな……」と公開しないためにも「やりたいことをできるに変える」ためにも、パラレルキャリアを実践するのは大切です。
パラレルキャリアは社会人として成長し続けられる働き方であり、毎日に充実感を与えてくれます。会社の理解をしっかりと得たうえで、複数の仕事をしながら自分の可能性を広げていきましょう。