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「未来のゴミ箱」ゴミ箱が少ない日本で、自分で維持費を稼ぐ

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街中でゴミ箱が見つからず困った経験はありませんか?

初対面のエンジニア5名が3週間で作った、ハッカソン生まれの画期的なゴミ箱を紹介!

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未来ゴミ箱

なぜ未来ゴミ箱を作ろうと思ったか?

2019年の5月から6月にかけて開催された、ハードウェア系のハッカソン「デジットハッカソン2019」がきっかけでした。初日のアイデア出しで、”大阪市のイメージを列挙する”という作業があり「汚い」「ゴミが多い」など、ポイ捨てに起因するネガティブなイメージがたくさん出ました。

ポイ捨てを減らすために真っ先に思いつくのは、街中のいたるところにゴミ箱を設置することです。しかし現実は、訪日外国人の不満ランキングで「ゴミ箱の少なさ」が必ずランクインするほど、日本にはゴミ箱がありません。なぜ、ゴミ箱が少ないのでしょうか?

主な理由としては、以下の2つが挙げられます。

・維持費の問題  

ゴミの定期的な回収などで人件費がかかる。駅前3つのゴミ箱の維持費に年間1,800万円かかっている、という資料もあります。

・テロ対策の問題  

1995年の地下鉄サリン事件以降、ゴミ箱の減少が進んだ、という話があります。 G20大阪サミットの際は、ゴミ箱が撤去・封鎖されていました。

テロ対策の問題には、ゴミ箱の耐久度の向上、危険物の検知などのアプローチが考えられますが、ハッカソンでは、より直接的な「維持費の問題」を解決することにしました。そのため、「ゴミ自体の処理費を稼ぐ方法」と「回収に関わる人件費を削減する方法」を検討しました。

自分が、どういう時にお金を払っても良いかを考えると、街中でゴミ箱が見つからない時が思い当たりました。ゴミを持ったまま歩くくらいなら、お金を払ってでもゴミを捨てたい、という気持ちです。ゴミ処理にいくらコストが必要なのか調べると、諸条件で違いはありますが、おおよそ16,125円/㎥と分かりました。1ℓ換算で17円あれば維持費がまかなえます。

未来のゴミ箱の利用料金

実際には、ゴミ箱自体の制作費などもあるので、30〜50円くらいが妥当でしょう。そのくらいの金額であれば、払う人もいるのではないでしょうか?支払いは電子決済で完結できそうです。

回収コスト削減の先行事例は「ゴミ箱の満タン検知」「ゴミ収集車のルート最適化」などがあります。今回は、人が関わる部分を極力減らすため、「ゴミの満タンを検知したゴミ箱自身が、ステーションまで捨てに行く」ことにしました。

以上のアイデアを1枚のシートにまとめたところ、ハッカソン参加者の投票で多数の賛同(☆印)をいただき、作ることに決めました。

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アイデアシート

未来ゴミ箱でなにを実現したいか?

未来ゴミ箱で大阪のイメージを変えたいです。現状は、やっぱりポイ捨てが目立ちます。また、ポイ捨てといっても道のど真ん中に捨てているケースは少なく、大抵は人目につきにくいところや自転車の前かご、すでにゴミが捨てられているところなどが多いです。捨てる人も、近くにゴミ箱があれば、違った行動をしていたのではないでしょうか?

矛盾するようですが、街中に有料のゴミ箱が増えた結果、出来るだけゴミを出さないようにする意識も芽生えるのでは?と考えています。

これを買ったらゴミが出てしまう、なるべくゴミが出ないものを買おう、そもそもゴミを捨てずに家に持ち帰って処分しよう、などゴミ=お金がかかる、という意識をより身近に感じることで、結果的にゴミが少なくなれば良いなと思ってます。

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電子決済
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ゴミを捨てる

未来ゴミ箱開発、チームとしての役割はどうだったか?

チームメンバーは、アイデアに賛同してくれた4人と自分で、計5人でした。全員が初対面で、得意分野もそれぞれ異なる、という状況です。学生も2人いました。ハッカソンの期間は3週間でしたが、全員が集まれる機会が少ないため、各メンバーで実装を分担しました。

決済、モーター制御、センサ、可視化、外装、といった具合です。開発の方向性や、最低限実装する機能だけ意識合わせして、あとはメンバーの裁量に任せました。自分はプランナー兼エンジニアとして、決済部分とコンセプト設計を担当しました。

「未来ゴミ箱」に実装された機能はとても多いです。これは「スポンサー企業のプロダクトを出来るだけ使い倒す」というチームの裏テーマがあったからです。自分もそうですが、ハッカソンの参加目的は自己研鑽、という人が多いです。

普段さわれないプロダクトが無料で使え、メンターがいて、技術的に詰まったポイントはすぐに質問できる、という環境は魅力的です。

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構成図
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開発の様子

未来ゴミ箱にsakura.ioはどのように使われているか?

「ゴミステーションまで自走」を実装するには、ゴミ箱の現在位置の取得が必要でした。そのため、GPSセンサから得た情報をsakura.ioを使ってクラウド上にアップロードするよう実装しました。

ゴミ箱の満タン検知も別のセンサを使って実装していましたが、これもsakura.ioを通じでクラウド上にアップロードしました。データをクラウドに蓄積することによって、webhookなどの技術を使って別のSaaS※と連携させたり、位置情報をリアルタイムに可視化してみたりと、実装の幅が広がりました。

※SaaSについては「SaaSとは?IaaS、PaaS、ASPとの違いは?サービス代表例も紹介」で詳しく解説しています。

また、街中に多数存在するゴミ箱からデータをクラウド上に蓄積できる、ということは「街中のデータロガー」として活用できると考え、ロームのセンサシールドと組み合わせることで、気温・湿度など様々なデータを取得できるようにしました。

メンター曰く、ロームのセンサシールドとsakura.ioを重ねた構成は未来ゴミ箱が初めてだそうです。センサ担当のエンジニアが、sakura.ioと、ロームのメンターさんに動作検証を手伝ってもらいながら実装しました。

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sakura.ioが使われているセンサ部分

まとめ:未来ゴミ箱を使ってどのようなことを今後したいか?

振り返れば長丁場になりましたが、5月末に発足したハッカソンチームは12月のGUGENを持ってプロジェクトを終了しました。ただ、色んな展示会に出展する中で、一緒に開発しませんかとお声掛けいただいくこともあり、開発自体は継続して続けたいと考えています。

コンセプトにご賛同いただける団体を募り、筐体を改良して、昨年できなかった実証検証をしてみたいです。改良版をヒーローズリーグやGUGENなどに展示することを目標にしたいです。そして最終的には、当初のシートにあるように大阪万博で走らせたいですね。 

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執筆

柏木 まもる

1994年生まれ。明石高専卒。アプリ開発が得意なNWエンジニア。 在学中に高専プロコンに参加したことをきっかけに、ハッカソンに興味を持つ。 Geospatial Hackers Program 2018 優秀賞。 ROHM OPENHACK CHALLENGE 2019 最優秀賞。

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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