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国際協力は働き方ではなく、生き方だ。ワークアズライフを実践するフリーランス国際協力師

国際協力は「仕事」なのか?

国際協力は働き方ではなく、生き方だ。ワークアズライフを実践するフリーランス国際協力師

「国際協力は働き方ではなく、一つの生き方ではないだろうか。」

これは、僕が学生時代から考えてきたことです。

前回の記事で、「国際協力師」という言葉について解説しました。国際協力師とは、国連やNGOといった「団体」に所属し、十分な給料をもらいながら“仕事としての”国際協力をおこなう人々を指します。 

具体的には、以下5つの職業が国際協力師にあたるものです。

  • 国際公務員(国連職員、世界銀行職員、等)
  • 政府機関職員(JICA職員、JBIC職員、JETRO職員、等)
  • 政府機関専門家(JICA専門家(技術協力専門家)、等)
  • 有給NGOスタッフ(国際大型NGO有給職員、等)
  • 開発コンサルタント会社職員

しかし、仮に国連やNGOに就職したからといって、「国際協力は朝8時から夕方5時まで、仕事の時だけ実践していればいい」というものではないと僕は思います。

国際協力という言葉は、狭い意味ではアフリカや中東、東南アジア、中南米など、いわゆる「発展途上国」と呼ばれる地域に足を運び、現地の困っている人たちに手を差し伸べる活動を指します。もう少し難しい言葉で言うと、国際協力は大きく二つ、「開発援助」と「緊急援助」に分けられます。

しかし僕自身は、国際協力は何も、海外の現場に行って援助をすることだけを言うものではないと考えています。

仮に「国際協力」という言葉を、「世界全体を良くするために実践する活動」と広くその意味を捉えてみれば、日々の消費行動から毎日の情報発信、人との交流まで、生活の至るところで国際協力を実践する機会が存在します。

例えば、

  • 環境にやさしい石鹸を購入する
  • 児童労働が関わっていないチョコレートを購入する
  • 国際的な問題(グローバルイシュー)についてYouTubeやブログで発信する
  • 応援しているNPOに継続寄付をする l 国際協力に関するイベントを自分で開催する、もしくは参加する

…etc

こういった仕事以外の場所、日々の生活の中で実践できることも、広い意味では「国際協力」です。

なぜならそれらは、世界全体を良くすることを意図して行われているものだから。「国際協力は仕事であり、それ以外は生活」と、簡単に棲み分けできるものではないと思うのです。

ワークアンドライフではなく、ワークアズライフ

ワークアンドライフではなく、ワークアズライフ

少し話が変わりますが、近年はワークアンドライフ(Work and Life)ではなく、ワークアズライフ(Work as Life)という考え方に注目が集まっていることを知っているでしょうか。

ワークアンドライフとは、仕事とプライベートの両方を充実させ、多様な生き方を実現させようという考え方です。別の言い方をすると、ワークライフバランスと呼ばれることもあります。一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ワークアンドライフの根底には、仕事とプライベートのバランスを良好に保ち、どちらも大切にすることで、より豊かな人生を送ろうという価値観があります。言い換えると、仕事とプライベートの間には、明確な区切りを設けることが前提となっています。

昨今、あちらこちらで「働き方改革」が叫ばれていますが、特に会社勤めの人であれば、社内で「ワークライフバランスを大切にしよう」といった話が一度は上がっているのではないかと思います。

一方のワークアズライフは、直訳すると「人生としての仕事」になります。つまり、生活のすべてが仕事であり、仕事のすべてが生活であるという考え方。もう少しわかりやすく言うと、寝ている間以外は「すべてが仕事であり、趣味である」こんな感じの考え方を指します。

一般的には、毎日定時で働いているサラリーマンだと、仕事とプライベートの区切りが明確であるためワークアンドライフ。YouTuberやブロガーなどのクリエイター職、自宅で働いているフリーランスなどは、良くも悪くも仕事とプライベートの区切りがはっきりしていないため、ワークアズライフと言われることが多いです。

僕自身、この記事を書いている今日も、朝からずっと自宅にこもって仕事をしています。何時から何時までが仕事で、それ以降はプライベート…といった区切りは設けておらず、好きなだけ、気の向くままに仕事をしているのです。

フリーランス国際協力師は、国際協力をワークアズライフにする人

フリーランス国際協力師は、国際協力をワークアズライフにする人

僕は今、「フリーランス国際協力師」という肩書を名乗りながら仕事をしています。その意味や生まれた背景、どんな仕事をしているかは、初回の記事でお伝えしました。

 そしてこのフリーランス国際協力師は、「国際協力をワークアズライフにする人」だと考えています。

僕は年の半分を東アフリカのウガンダ共和国で過ごしていますが、現地に滞在している時は草の根の支援活動に携わっています。しかし、日本に戻ってきた時を含めて、現地での支援活動以外にも

  • ブログやSNSで活動の様子を発信する
  • YouTubeで社会問題について解説する
  • 講演でアフリカのことを話す
  • イベントを開催し、学生向けにキャリアの話をする

など、時と場合によって多様な“働き方”をしています。

そして、これらの仕事は、プライベートとの間に明確な区切りを設けているものではありません。ほとんど趣味のようなものであるからこそ、朝から晩まで仕事をしています。

丸一日講演の仕事が入っている日もあれば、ご飯を食べるのを忘れてYouTubeを編集していることもあります。また、買い物をしている時にはフェアトレードやエシカル消費が頭の片隅にはあり、自然と目の前にある商品がどこからやってきたものなのか考えたり、一日が終わって寝る前にSNSをチェックする時も、社会問題に関する発信をしたりしています。

どこからどこまでが仕事で、どこからどこまでがプライベートと明確な区切りをすることができません。そのため、ワークアンドライフではなく、ワークアズライフとしての国際協力を実践しているとも言い換えることができます。

僕はNGOに所属して働いていた時期もありますが、組織で働く以上は事務所に出勤する時間があり、会議の時間があり、休日があり…と、仕事とプライベートの区切りは明確でした。他の職員とも、「ワークライフバランス」について語る機会もありました。

NGOも法人格を持っていれば、基本的には普通の会社と変わらないため、就業規則がなければそれはそれで大きな労働問題になってしまいます。

しかし、フリーランスに転向してからは、文字通りワークアズライフです。仕事が好きで、趣味のようなものだと考えているからこそ、体力が持つ限りは朝から晩まで働いています。

そして、この記事の執筆を含めて、その一つひとつの仕事は「世界を良くする」ことを意図した、広い意味での「国際協力」に関するものです。だからこそ、フリーランスになってからは、「ワークアズライフとしての国際協力」を考えるようになりました。

ワークアンドライフとワークアズライフ、どちらが良いか悪いかを言っているわけではありません。しかし、多様な働き方を社会に示していくうえで、ワークアズライフとしての国際協力を実践する「フリーランス国際協力師」は、新しい可能性を持っていると僕は考えています。

良くも悪くも、「国際協力」はフワッとした言葉です。人によってその定義は異なるでしょう。 だからこそ、僕は自分の働き方、いや生き方を通じて、「国際協力」を自分なりに再定義したい。これが、今の僕を突き動かす一つの原動力です。

執筆

原貫太

1994年生まれ。フリーランス国際協力師。早稲田大学卒。 フィリピンで物乞いをする少女と出会ったことをきっかけに、学生時代から国際協力活動をはじめる。これまでにウガンダの元子ども兵や南スーダンの難民を支援。出版や講演、ブログを通じた啓発活動にも取り組み、2018年3月小野梓記念賞を受賞。

編集

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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