さくマガ公式SNS
お問い合わせ

高速SAのラーメンはなぜ美味いのか、鹿児島から青森まで全てのSAでラーメンを食べてきた。②

前回までのあらすじ

なぜか鹿児島から青森まで高速道路をひた走り、全てのSAでラーメンを食べることになった。いざ開始してみると、最初のSA(サービスエリア)でラーメンがなかったり、熊本ラーメン3連発をくらったりと大惨事に。スタート前はスピード違反など心配されたが、実際にはラーメンのインターバルが欲しくてゆっくり走る始末。

課せられたルールは3つ、①全てのSAでラーメンを食べる②残しそうならパスできる③交通ルールを守る。夕暮れと共に九州編が終了しいよいよ本州突入。いったいどんなラーメンが待っているのか!

前回の記事はこちら

f:id:sakumaga:20191126164328j:plain

山口県入りした。すっかり日が傾いていて、前に臨む山々がうっすらとオレンジ色に輝いていた。

九州から山口に入るとガラッと景色が変わる。相変わらず山々に囲まれてはいるのだけど、その山々の形が違う。九州は切り立った山で、仙人が住むみたいな形をしたものが多く、山口はゆったりしたものが多い。山の成り立ちが違うのだろうか。 

思えば、ここまで食べたラーメンは5杯。普通に3食をラーメンにしたと思えば1日に3杯食べるので、ちょっと頑張って2回おかわりした程度のものだ。なのにこの満腹感はなんだろうか。たぶん間隔の問題なのだと思う。 

高速のSAは概ね50キロに1つあるように設計されているらしい。時速80キロで走行したとすると38分くらいで次のSAに到達する計算だ。38分間隔でラーメンを食べる。これは、まあまあの悪夢だ。 

ただ、ここ福岡と山口の境の部分はちょっとSAの間隔が空く場所のようだ。なんとかこのインターバルを利用してラーメンを消化すべきである。というか、走行部分がインターバルになるとは思わなかった。

18:52 美東SA(山口県) 走行距離 398.8 km

f:id:sakumaga:20191126164512j:plain

美東SAに到着する頃にはすっかりと日が暮れていた。古賀SAで博多ラーメンを食べてから2時間以上経過しているので、まあまあお腹が減ってきている。やはりインターバルは大切だ。

f:id:sakumaga:20191126164538j:plain

お土産物が大充実のSAだ。なぜか宝くじ売り場まで存在する。高速道路運転中に「やっべ! ロト6買わないと!」となった人でも買えるという親切設計だ。僕はこれまでの人生でそういう状況に陥ったことはないけれども。

f:id:sakumaga:20191126164556j:plain

フードコートに移動すると、そこには「ラーメン花月」が入っていた。全国的に展開するかなり大きなチェーン店だ。

うそだろ、東京でいつも食べてるチェーン店じゃないか。

花月のラーメンはけっこう濃厚なので、今回の旅においては深刻なダメージを負いかねない。おまけに、いつも昼食に食べているものだ。山口県のSAにきてまで食べるのが正解のだろうか。ちょっとだけ困惑した。

ラーメン006 げんこつ花月ラーメン 700円

f:id:sakumaga:20191126164636j:plain

完全に濃厚。明らかに濃厚。いつもお昼に食べている味だ。麺が太くて固い花月独特のものだが、それに負けないようにスープも濃厚であり、力を力でねじ伏せるみたいな麺とスープの戦いを堪能できる。早い話、味わい深い。完全にいつもの昼食の味で、東京のことを思い出した。なんでおれ、こんな場所でラーメン食い続けてるんだろう、と少し寂しい気持ちになった。美味しいのだけど、この濃厚さはかなり深刻なダメージだ。

さて、すっかり日が落ちてきたが、どの時点で1日目の旅を終了にするのか決めておかなくてはならない。基本的にSAでの車中泊になると思うが、明日も運転してラーメンを食べ続けるのでできればしっかり休みたい。

この旅はSAでラーメンを食べるという鉄の掟がある。寝ている間にラーメンを消化したいので、できれば消化の良さそうなラーメンを食べた後に車中泊と行きたい。寝る前にあまり濃厚なものは勘弁。その点では、ここ美東SAはだめだ。濃厚だ。まだまだ先に進まなくてはならない。

f:id:sakumaga:20191126164718j:plain

ちなみにこの美東SA、けっこうオシャレな造りになっている。あちこちにオシャレな柱とかがある。

f:id:sakumaga:20191126164734j:plain

ただ、このトリックアート的なパネルはちょっと意図が分からなかったな。

すっかり闇夜と化した高速道路を走っていく。途中、中国地方のど真ん中の内陸を走る「中国道」と瀬戸内海側を走る「山陽道」に分かれる分岐があり、別にどちらに行っても到達する場所は同じなのでどちらでも良かったのだけど、なんとなくで「山陽道」を選んだ、すると、すぐに佐波川SAがやってきてしまった。

さすがに間隔が短すぎる。まだあの濃厚ダメージから回復しきっていない。さっきの美東SAから24キロくらいしかない。ラーメンを食べ続ける人のことを全く考えていないSA間隔だ。中国道を選んでいたら違っていたのだろうか。

19:45 佐波川SA(山口県) 走行距離 423.1 km

f:id:sakumaga:20191126164812j:plain

またもや売店部分にセブンイレブンが入っている侵食タイプのSAだ。こういったタイプのSAはかなり増えている印象を受けた。もう夜の8時を前にしているという事情からか、駐車場にはたくさんの大型トラックが停車していた。おそらく、早めに休んで明日に備えるのだろう。

f:id:sakumaga:20191126164830j:plain

SAの端っこの方に「シャワーステーション」なる建物があった。どうやらお金を払ってシャワーを浴びるワンコインシャワーみたいなものと、コインランドリーが合体した施設らしい。もちろん一般の人も使えるのだろうけど、ちょっとトラック運転手さんたちの御用達みたいな感じになっていた。だからトラックがたくさん停まってるのか。謎が解けた。

f:id:sakumaga:20191126164848j:plain

けっこう妥当な値段だし、一日中ラーメンを食べ続けて体中からラード的な臭いが立ち込めている可能性もあったので浴びていこうかと思ったのだけど、そこそこに順番待ちをしている感じなので諦めた。それよりラーメンである。

f:id:sakumaga:20191126164905j:plain

なぜか心霊写真みたいな画質になってしまったけれども、このフォルムは完全に吉野家。ガチで牛丼食いてえという人生において経験したことのない“牛丼渇き”状態に陥ったのだけど、ラーメンを食べなくてはならないのだ。それがルールだ。

ここ、佐波川SAの売店にはセブンイレブンが入っている。そして吉野家もある。その逆サイドにフードコート的な場所がある。

「それにしても、さっきの花月の濃厚さ……」

ほんの20キロほど手前で食べた濃厚な花月が尾をひいている。食べきれるかなあと不安がっていると、とんでもないことが巻き起こった。

「お?」

「まさか……?」

「うそ……うそ……まじ?」

ついついそう呟いてしまう。

f:id:sakumaga:20191126165023j:plain

ラーメンがない。

うおおおおおおおおお! ラーメンが! ラーメンがない!

定食中心のお店で、特に海の幸を推してる感じの店ばかりでラーメンの影すら存在しない。

「なんだよ、ラーメンないなら仕方ないわ。ほんと、仕方ないわ、残念、ああ、そうかー、ないのかー」

うきうきと車を走らせた。ほんと、ないなら仕方がない。

途中、反対車線でアクロバティックな事故を起こしているのを目撃してしまったので、しっかりと気を引き締めなおして運転する。

20:29 下松SA(山口県) 走行距離 465.5 km

f:id:sakumaga:20191126165114j:plain

下松SAに降り立った瞬間に、なにやら気配みたいなものを感じた。ラーメンがないかもしれないというオーラだ。こう、ラーメンがあるSA独特のヒリついた感じがしない。もしかしたら二連続ラーメンなしもありえるかもしれない。なんだよー、まいったな。そうかー、まいったなー。

f:id:sakumaga:20191126165009j:plain

普通にあった。オーラとかヒリついた感じとか、全くあてにならない。

しかもラーメンは「ねぎラーメン」か「九州とんこつラーメン」の二択っぽい。九州とんこつはここまで嫌というほど食べてきたので「ねぎラーメン」を選択する。

ラーメン007 ねぎラーメン 730円

f:id:sakumaga:20191126165222j:plain

「ねぎラーメンってねぎいっぱい乗ってるんだろ」と想像していたよりいっぱい乗っていてビックリした。味わい的にはスープをかなりあっさり目にしてあり、麺も超細麺になっている。ここまで味わってきたものと随分違うので一気に食べきることができた。ねぎに混ざるようにして細切りにされた鶏肉が入っており、いいアクセントになっている。黒コショウで味付けをしてアクセントをつけているので飽きも来ない。いわゆる、酒を飲んだ後に食べたくなるラーメン、というやつだ。ずっと運転中なので酒は飲めないのだけど。なかなかさっぱりな味わいで良かった。

f:id:sakumaga:20191126165249j:plain

ちなみに、ここ下松SAは山口県だが、そろそろ広島が近いということで広島カープの勢力圏に入るらしく、カープグッズが売られ始めていた。

かなり理想的なさっぱりさで、これならここで寝ても胃にダメージが少ないだろうと考えたが、もうちょっと行けそうな気がしてきた。それは疲労的な意味合いでもうちょっと運転しても大丈夫ということではなく、もう一杯くらいならラーメン食べられそう、という意味だ。

なので、なんとか頑張って車を走らせる。意気揚々と走らせるとすぐに広島県入りし、宮島SAへと到達した。

21:50 宮島SA(広島県) 走行距離 524.1 km

やはり精神的に疲れていたんだと思う。運転距離も500キロを超え、スタートから12時間。ずっとラーメンを食べ続けているわけだ。胃だけが問題、と言い続けていたが精神もすり減っていたのだろう。

f:id:sakumaga:20191126165332j:plain

一連の流れでは、SAに到着したらまずSA外観の写真を撮影していた。なのにかなり疲れてるのかな、SAにいた猫の写真しか撮っていない。なにやってんだろう。この時の僕、なにやってたんだろう。

いよいよ疲労マックスで運転にもラーメンにも支障をきたしそうなので、一日で広島までいけましたか、あとは車中泊でも、と考えていたら目の前にマハラジャみたいな輝きの看板が見えた。

f:id:sakumaga:20191126165358j:plain

これ、もしかしてホテルなんじゃないの。

SAの駐車場の片隅にあったそれは完全にホテルだった。「ファミリーロッジ旅籠屋(はたごや)」という全国チェーン店(http://www.hatagoya.co.jp/)らしい。なんと、ここ宮島SAと壇之浦PA(九州方面のみ)、佐野SAにはこのホテルがあるらしく、高速から出ることなく宿泊できるらしい。他にも旅籠屋チェーンではないが、多賀SA、足柄SAにも宿泊施設があるようだ。

これはもう泊まるしかないだろう、ということで駆け込んでみたら奇跡的に空室があった。そこまで部屋数が多いわけではないので、週末や行楽シーズンなどのピーク時はすぐ満室になりそうなので要予約だ。

宿泊人数で料金が変わるシステムらしく、1名で宿泊の場合は5000円とクソリーズナブルだった。

f:id:sakumaga:20191126165543j:plain

これが5000円の部屋かよ。充実すぎるでしょ。

ちなみに、チェックインの際に「目的地をお書きください」と言われたので、「青森」って書いてやろうと思ったが、ちょっとそれは狂ってる感じがするなと「東京」と控えめに書いておいたら「めちゃくちゃ遠くまで行きますね!」とホテルの人が驚いていた。よかった「青森」って書かなくて。

取材でこういったホテルに泊まるとテンションが上がるもので、荷物を置いてうひょー、夜の街に繰り出すぞー、地元の名物を食べるぞー、ってなるわけです。今回の僕もご多分に漏れず荷物を置いてうひょーとホテルから飛び出したのですが、

f:id:sakumaga:20191126165616j:plain

いけるのはSAのみ。高速内のホテルですからね。外には出られないわけですよ。 そして食べるのはラーメンのみ。ルールですからね。これしか食べられないわけですよ。 これまたなかなか濃厚そう。

ラーメン008 尾道ラーメン 650円

f:id:sakumaga:20191126165655j:plain

広島県の尾道市を中心としたご当地ラーメンだ。豚の背脂を浮かせた醤油ベースのスープと平打ちの麺が特徴とされている。味わってみると、確かに濃厚な味わいだが同時に正統派の醤油ラーメンであると感じる。若干、麺がやや太いと感じるが、そこまでミスマッチというわけでもない。九州からここまで豚骨系が続いてきたが、やはり個人的感覚としては高速SAのラーメンは醤油系の味である、と確信した。

f:id:sakumaga:20191126165712j:plain

ここ宮島は完全に広島なので、これでもかというくらいに広島らしい一角がある。

なんとかホテルにも泊まれたので疲労を回復しつつ、ラーメンも消化していき、明日も先に進んでいきたいと思いながら、一日目が終了となった。果たして明日は何杯のラーメンを食べることになるのか。

つづく。

f:id:sakumaga:20191126165747j:plain

つづき(③)はこちら

執筆

pato

テキストサイト管理人。ストロングゼロ(ダブルレモン)と生きるおっさん。

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

すべての記事を見る

関連記事

この記事を読んだ人におすすめ

おすすめのタグ

特集