日本一のフリー素材モデル! 大川さんに働き方について聞いてみた。

フリー素材モデルの働き方

あの有名な「私の年収低すぎ?」ポーズを披露していただきました。

大川 竜弥(おおかわ たつや)さん。1982年生まれ。神奈川県出身。自称・日本一インターネットで顔写真が使われているフリー素材モデル。無料の写真素材サイト「ぱくたそ(PAKUTASO)」運営メンバー。モデルのほかにも、司会や俳優活動も行なっている。Twitter(@ryumagazine

各業界の著名人にインタビューをしていくこの企画。今回は、みなさんきっと一度は見かけたことのあるフリー素材モデル 大川 竜弥さんにお話をうかがいました。動く大川さんに興奮するさくマガ編集長に「そこら辺にいますよ(笑)」と穏やかに微笑み、インタビューが始まりました。

お金で買えない経験が、フリー素材モデルの糧に

ーーこれまでにどんなお仕事をされてきましたか?

ざっくりと経歴を…...。19歳で専門学校を中退して、ユニクロで準社員として4年間働きました。次にWeb開発会社、それからライブハウスの店長をやり、そこの親会社である芸能プロダクションのザ・グレート・サスケさん(元岩手県議会議員でプロレスラー)の付き人をやったり、当時流行っていたジュニアグラビアアイドル(15歳以下のアイドル)の付き人をやったり。そのあとソフトバンクの契約スタッフとして家電量販店で働いたんですが、そのときに交通事故にあってしまって。29歳でした。

 

ーーいろいろな職を経験されてますが、印象的だったお仕事はありますか?

全部印象的でしたが…...。19歳でユニクロに入ったのは、社会勉強もかねてというか、働くうえでの常識やマナーを身につけたかったから。フリースがめちゃめちゃ売れていた頃で、「しっかりマニュアルがあって教育が厳しい」っていうのをテレビで見たので、こういうところに入ればちゃんとした「働くスキル」が身につくんじゃないかと。

僕が勤務したのは、スタッフが100~200人、全国約600店舗中の常に売り上げトップ5という優秀な店舗で、みんな仕事ができるんです。でも当時は19歳で分からないことだらけ。同じ作業をしても他の人より遅いし覚えも遅い。いま考えれば当たり前なんですけど、本人としては悔しかったです。でも、なんとなくお金が稼げる仕事をするよりは、 そういう体験を早い段階でしてよかったなと思いますね。

 

笑顔の大川さん

 

ーー経験を積まれた今、成長を実感することはありますか?

フリー素材モデルを始めた当初は、なにも分かりませんでした。それまでもフリー素材のモデルはいたんですが、ひっそりと名前も出さずにやっている人ばかりだったので、参考にできなかった。僕がモデルをやっているフリー素材のサイト「ぱくたそ」の運営管理人「すしぱく」さんと一緒に、最初はほんとに手探りでやってましたね。いまでこそ第一人者みたいに言ってもらえますけど、成長したというよりは、いろいろやっていたらいつの間にか身についていった、覚えていったという感じですね。

 

ーー起業家である家入 一真さんのアシスタントもされてたんですよね。すごく面白そうですが、そのときの状況は?

SNSでアシスタントを募集していたんです。交通事故後で満足に動けなかったんですが、フリー素材モデルに応募してまだどうなるか分からず時間があったので、応募しました。 2、3カ月後、家入さん本人からいきなりメールがきて。「今日あいてますか?」と。その日の夕方に六本木のカフェでお茶してちょっと話して、そのまま「じゃあ採用」と。 家入さんもそんなに話し上手じゃないし、僕もどんなことするのか分からないし、2人でうつむきながら…...っていう記憶がありますね(笑)。お茶のあと、出資している会社のパーティに連れていってもらったんですが、みんなシャンパン飲んでて「華やかな人たちがいるんだな~」って思いました。

 

ーーそういう起業家のそばにいるって、勉強になりそうですね。

いま37歳ですが、同世代のインターネットで活躍されてる方ってだいたい高校・大学時代からインターネットをやってるんですよね。でも僕はけっこう遅くて。mixiが流行ったときはやってましたけど、TwitterやFacebookを使ったり、ちゃんとインターネットに触れたのは29歳くらいで、めちゃめちゃ遅いんですよ。

だから、いわゆるインターネット文化、インターネット上での立ち振る舞いとか、どういうものが流行っていてウケるかとか、そういうのをいっさい知らずにきたんですが、家入さんの近くにいて、それがいちばん勉強になりました。NTTの吉永龍樹さん(ブログ「僕の見た秩序。」筆者)とか、ニュース編集者の中川淳一郎さんにもよくしていただいて。すごくいい環境にいたなと。金銭的には大変だったんですけど、いい勉強になりました。お金では買えない経験をしたなって。

 

家入さんとの思い出を話してくれました。

自分らしい働き方をすればいい

ーー今は個人事業主・フリーランスとして活動されてますが、ワーク・ライフ・バランスはどうですか?

まったく気にしてないですね。フリーランスでも平日働いて土日しっかり休む人とか、半年働いて半年休む人とかいますけど、それで生活が成り立てば問題ないじゃないですか。

僕は早い段階から仕事漬けでした。休むっていうのがあまりよく分からなかったんです。両親は自営業、親戚にも会社員が少なく、自営業者か経営者が多くて。平日働いて週末休むっていうサイクルを知らずに大人になったんです。だからあまり、週5日働いて2日休む事にこだわりはないです。まったく仕事しない日はないと思います。朝から晩まで仕事をしている日もあれば、ちょっとだけ仕事をする日もある。あまり難しいことは考えていません。 人によってそれは様々だと思っていて、しっかり休みたい人はそうできるように仕事をした方がいいと思いますし、僕みたいに気にしないっていう人はそれでいいと思いますし。体力的にも問題ないので。働くこと自体は好きなんですよね。

 

ーー最近だとフリー素材モデルも注目されてきて、新しく参入してくる方も増えたと思うんですが、フリー素材モデルになりたい方にアドバイスはありますか?

いや~やめた方がいいと思いますよ。競合が増えてほしくないっていうのもありますし(笑)。 っていうのは冗談半分で、現時点で専業でやってるのって僕だけなんですよ。みなさん自分の宣伝だとか、ネット上でなにかアピールしたいっていうのがあると思うんですが、お金になるまでにはものすごく時間がかかります。7年半くらいやってきて、いまでこそなんとか生活できるようになってきましたけど、先行投資に時間がかかるというか。 それも、何年やったから仕事がくるっていうのは分からない。それはミュージシャンとか役者でもそうだと思いますけど、成功までの道筋がないじゃないですか。どうやったら仕事が増えるとか、どこまでいったら売れたと判断できるかは分からないので。

あとは、利用規約上NGなんですけど、アダルトサイトや宗教色・政治色の強いものに使われてしまうこともあります。それを「モデルやりたいです」って応募してきた人に説明すると「じゃあやめます」っていうことがやっぱりあって。そういうハードルの高さもあるんです。でも、僕はそれが面白いと思ってるんですよ。 一般的なファッションモデルや広告に出るような人って、自分の写真がどこで使われてるかって分かるじゃないですか。でも僕は真逆なんです。利用規約を守れば報告の義務はないので、知らない間にドラマに出てたとか(笑)。

 

ーー当社でもプレゼン資料で大川さんを見かけることが結構あるんです、「あ、見たことある人だ」って。

最近だとドラマの小道具とかバラエティ番組でも使ってもらってるんですけど、不思議ですよね。どこから見つけてきて、なぜ僕を選んでくれるのか。 自分としては、フリー素材に向いてると思ってるんですよね。顔は無難でクセがなくて、ある程度幅広く対応できる見た目。そういうのはあるにしても、なんで選んでもらえるのかは謎ですね。

 

フリー素材の可能性について語る大川さん

フリー素材の可能性を広げたい

ーーフリー素材のサイトは、収入源になっていないんですよね?

そうですね、基本は自分たちの持ち出しで撮ってるので。中には企業から予算や出演料をいただいて依頼を受ける「企業コラボ」もありますけど、めったにないので。基本的にはフリー素材を見た企業からお仕事いただいて、そこで初めて収入になるっていう形ですね。

 

ーー新メディアのコンセプトが「やりたいことを、できるに変える」なんですが、大川さんが今後やりたいことはありますか?

どこまで広げられるかっていうのは、挑戦したいんですよね。インターネットって細分化してるじゃないですか。インターネット全体では知名度が低くても、あるジャンルで知られていればそこで仕事がくる状況なので、そうなれば写真の仕事はくるだろうと思ってたんです。それがその通りになって、あるときから動画の仕事がくるようになって、最近では動画の方が多いんです。別にフリー素材で動画を出しているわけでもなく、演技経験も一切ないのに。

フリー素材自体も、ネットでバナー広告とかニュースサイトのアイキャッチに使ってもらうのは想像してましたが、ドラマやバラエティ番組で使ってもらえるのは想像していなくて。どんどん広がってるんですよね。だからそれをどこまで広げられるかっていうのはチャレンジですね。

もうちょっと売れて、フリー素材なのにファッション誌のいいページに出てるとか、フリー素材なのにドラマでそこそこ目立つ役もらってるよとか。そういう異種格闘技みたいな、マイナーな格闘家なのにメジャーどころと戦ってるみたいな状況にしたいんですよ。そうなるとより面白いですし。

僕はフリー素材でまったく仕事がなくなるまでやってこうと思ってるんですけど、お金持ちになってもやりたいんです。そしたら、「この人は自分の宣伝のためにやってたんじゃないんだ」って思ってもらえる。たとえば年収1億円あって、その半分をフリー素材の制作費につっこむみたいなのって、なんか面白いじゃないですか。爆破シーンとか、無駄にハワイロケしたりとか(笑)。あとはお医者さんの手術シーンとか、有料写真素材でもなかなか撮れないものもガンガン撮っていきたいです。有料写真素材のカメラマンさんから「フリー素材でここまで出されたらこっちの仕事がないよ」って、いまよりもっと言われるようになりたいですね。

 

やりたいことについて語ってもらいました。


 ーー最後に、なにか宣伝・告知があればどうぞ。

宣伝・告知……この記事を見た企業の方はお仕事ください(笑)。

 

ーー当社もキャンペーン企画などがあったらお願いしたいですね~

ぜひ! 昔「さくらのレンタルサーバ」を使っていたので。ユニクロのあとにIT企業の採用面接受けようってとき、パソコン持ってなかったんです。致命的じゃないですか。面接の2週間前にパソコン買って、ワード、エクセル、パワーポイントと、HTMLやCSSをなんとか分かるくらいにしようと思って、さくらインターネットさんのサーバを借りて、自分で本を読んで勉強しながらホームページを作ってたので、思い入れが深いです。採用されたのは、さくらインターネットさんのおかげですね(笑)。

 

さくらインターネットのロゴ前で写真を撮る大川さん