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「背中を預け合える仲間と働きたい」。DBエンジニア 田中翼(yoku)が語るMySQLと仕事観

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さくらインターネットではエンジニアの採用を積極的におこなっています。今回は、2025年5月に入社した、クラウド事業本部 テクノロジー室の田中翼にインタビューを実施しました。インタビュアーは、一足早くさくらインターネットへ入社したクラウド事業本部 後藤秀宣。これまでのキャリアのほか、転職理由やこれからさくらインターネットでやりたいことなどを聞きました。

田中 翼(たなか つばさ) プロフィール

さくらインターネット クラウド事業本部 テクノロジー室 エキスパートグループ
MySQL一筋13年。とある企業のMySQLソリューションアーキテクト、とある企業のDBA、もう一度とある企業のDBAと経てイマココ。MySQL分野のOracle ACE。好きなDEBUG_SYNCはopen_and_process_table。@yoku0825

さくらインターネットへ転職しようと思ったきっかけ

後藤

yoku(田中)さんは、以前からkazeburoさん(クラウド事業本部 副本部長 長野雅広)とお知り合いだったんですよね。

田中

Webサービスのエンジニアたちが、自分たちの知見や経験を共有する「MySQL Casual」というコミュニティがあって、私もよく参加していました。そのなかで、PerlCasualやライトニングトークが大好きな人たちが集まるスピンオフ的な会もあって、そこでkazeburoさんがよく発表されていたんです。私はPerlも書くので、”kazeburoウェア”のファンなんですよ。

そういったコミュニティなどでお会いしてお話できる間柄になりました。でも、一緒に仕事をするのは初めてです。

後藤

そこからのご縁だったんですね。

田中

そうですね。たしか去年の夏ごろに、kazeburoさんがいろんな登壇で「ガバメントクラウドの要件達成のために、エンジニア採用を強化しています」と話しているのを見かけました。ちょうど同じころに、「MySQLに強い人を採用したいので情報交換しませんか」とkazeburoさんからお声がけいただいて、ご飯を食べながら話す機会があったんです。そのとき、私も前職の立場で、「新卒はもちろん、中途でも即戦力のDBエンジニアって少ないですよね」っていう話をしていて。

後藤

普通に情報交換みたいな感じだったんですね。

田中

そこから、「ところで最近スライドいっぱい出していますけど、なにしようとしているんです?」って聞いたんですよね。そうしたらkazeburoさんがガバメントクラウド技術要件が一覧になっているExcelシート(※一般公開されているもの)を見せてくれて、「これは大変そうだな」と思ったんです。

その日家に帰って、もう1回Excelシートを見ながら、「私だったらどう実装するだろう」とか、「自分たちのプライベートクラウドでやるとしたら?」などと考えを巡らせていました。たとえば、「Bring Your Own Key」とか、自分たちはユーザー企業側だったんで、いままで実装の仕方なんて考えたことすらなくて。「いまのプラグインじゃ足りないよね」とか、「そもそもこのプラグインを改造してどうにかするにしても、いまの構造ってどうなってんだろう?」とか、そんなことを考え始めたら楽しくなってしまって(笑)。

後藤

yokuさんはそういった資料を見てしまうと「自分だったらどうやるのか」を考え始めてしまう質なんですね。

田中

「これってどうやるの?」とか「こんなこともできないの?」って言われると必死でやり方を探したくなるタイプで。そうしてやってきたことをそのまま手札にしていくというスタイルです。そのときも、目の前に謎があったので、つい解きたくなってしまった(笑)。

後藤

いままで基本的にそういうスタイルでいろんなところに取り組まれてきたってことなんですね。

田中

やっぱできないことがあると燃えますね。

後藤

実際にさくらインターネットへ入社するとなって、いかがですか。

田中

社内にはすでにレジェンド級のエンジニアがたくさんいて、「お噂はかねがね」という人ばかり。正直、内定を受けたころからずっと怖さを感じていて。私はMySQLはくわしいですが、「あの人たちと肩を並べられるほどの実力があるのか?」と不安になることもあります。でも、そんな人たちと一緒に仕事をするからこそ、自分の専門であるMySQLには胸を張って向き合わなきゃ、と少し緊張しながら仕事をしています。

後藤

その気持ち、わかります。比べられちゃうのは怖いですよね。

田中

強いエンジニアが集まっているみたいなのはXとかでも見かけていて。「アベンジャーズみたいだね」って言われているじゃないですか。アベンジャーズのところに「おまえ、来月からその一員ね」って言われるこのプレッシャー……(笑)。

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入社して初手は「MySQL」で社内情報を検索しまくる

後藤

まだ入社から1週間ほどですがいかがですか。

田中

連休もあってまだすべての社内ツールが使える状態ではなかったんですが、それでもMySQL関連の情報やネタはないかなと思って、「MySQL」というワードでSlackや社内ドキュメント内を片っ端から検索していました。すると、お客さまが困っていそうな履歴や、古いバージョンのMySQLで出ていたエラー履歴などが見つかって。これは私の特技の1つですが、エラーメッセージから原因を推測していました。

後藤

いやぁおもしろいですね。少なくとも僕は「自分に関連するキーワードを検索して情報をキャッチアップする」みたいなことは一度もやったことないんですよ。これはyokuさんならではの動きだなと思いましたし、それを入社数日ぐらいでやっていらっしゃるのは、強いエンジニアの動きなんですよ。yokuさんにとって、それはやらずにはいられないみたいな感じなんですか。

田中

だって誰か困っていたら、なんか言ってあげられることがきっとあるかなっていう。転職は何回かしていますけど、どこ行ってもだいたい初手は同じですね。

後藤

本当ですか。初手が「検索」なんですね。それで、さくらインターネットでのMySQLを取り巻く事情など、yokuさんなりの感触を得られたんでしょうか。

田中

なんとなくですけどね。お客さま側で不便に思っていることがあるけど、責任分界点もあるので、それにフルコミットして調べられる状態でもない。ちょっとしたきっかけでできるようなこと、困りごとが多いんだろうなっていう感じがしましたね。

後藤

そういうyokuさんのスタイルが確立しているところがかっこいいですね。ちなみに、yokuさんがプロフェッショナルであるがゆえに怒られたエピソードがあるとか。

田中

ええ。以前の職場ではMySQLのサポートサービスを提供していたんですね。お客様の状況をうかがうヒアリングシートを見て、「メモリーに対してInnoDBバッファプールがデフォルトでは性能出ないんで、とりあえずこれを上げてからもう一回スローログを取ってみてください」ってお伝えしたら、失注になってしまったことがあります。そのお客さまは「すぐ見積もりに来てほしい」と言うほどすごくお困りだったはずなので、無事に失注したっていうことはそれで解決したんだなって(笑)。

後藤

治ってしまったと(笑)。

田中

はい。それで当時の上司に怒られました(笑)。

後藤

でも、それはとても良い話だと思いますよ。お金にはならなかったとしても絶対にお客さまにはよろこんでいただいていますよね。仮にそこでお金をいただいていたら、後ろめたい気持ちを引きずってしまったり、自分たちは本当に真っ当な仕事をしているのか疑念が生まれてしまったりするかもしれません。僕もあんまりそういう感じで仕事したくないんですよね。

田中

MySQLで生計を立てるのもよいのですが、それ以上に「ユーザーに不幸せになってほしくないな」という気持ちがあるんです。たとえば、my.cnfの設定を1行書き替えるだけで何十万もの費用が発生した、みたいな、そんなネガティブな経験をきっかけにMySQLに悪い印象を持ってほしくなくて。もっと前向きに、気持ちよく使ってもらいたいなと思っています。

後藤

「その1行の修正は積み上げたノウハウでしか到達できない価値なんだ」という考えももちろんあると思いますが、僕はyokuさんの考えに共感しますね。

田中

今後さくらのクラウドで提供することになったら、MySQLにしっかりお金を落としていただかないといけない、という立場にはなってしまうんですが(笑)。

コミュニティのおもしろさ

後藤

MySQLやOSSコミュニティについてはいかがですか。

田中

個人的にサイボウズさんにはお世話になっているんですけど、同社には「OSSポリシー」というものがあります。そこに書かれている「サイボウズ社がオープンソースコミュニティにおける良き一員であるために必要なことをここで定義します」という一文の「コミュニティの良き一員」っていう表現がすごく好きで。さくらインターネットも、OSC(オープンソースカンファレンス)などのイベントに出展したり登壇したりと、コミュニティ活動も盛んですよね。

後藤

さくらインターネットでは社内にチームがあって、精力的に活動されていますね。

>>社内外の垣根なく「エンジニアをつなぐ」。コミュニティマーケティングの仕事とは?

田中

北海道に行ったとき、さくらインターネットの社員さんにお世話になったことがあって。やっぱりOSSのコミュニティを大事にしてくれている、コミットしてくれている人たちだなと。自分もMySQLのユーザー会などのコミュニティに関わっているので、コミュニティのなかでさくらインターネットに対していい印象を持ってもらえるような発信をしていきたいです。

後藤

私もコミュニティにお世話になっているので、よくわかります。

田中

いずれは、MySQLを敬遠している人たちに、さくらのクラウド上での運用をとおして「MySQL、意外と使えるじゃん」って思ってもらえるようにしたいんです。MySQLはどうしても「Oracleが開発しているもの」というイメージが強いですが、データベースコミュニティでは、ほかにもソフトウェア研究開発しているような企業の名前がよく挙がります。そこにクラウド事業者としてさくらインターネットの名前が挙がるようになったらおもしろいんじゃないかなと。もともとOSC(オープンソースカンファレンス)などとも親和性の高い会社ですし。

後藤

目指していきたいですね。ところでyokuさんがコミュニティに関わるようになったのは、なにかきっかけがあったんですか?

田中

私がMySQLを始めたころ、「日本MySQLユーザ会」というコミュニティがあって、私はそこで育ててもらいました。勉強会や登壇に誘ってもらったり、OSCに声をかけてもらったり、Oracle側の方々ともつないでもらったりして、多くのご縁に恵まれました。

そうした恩義は、やっぱりコミュニティに返していかなければと思っています。もちろん、直接教えてくれた先輩方への感謝もありますが、それ以上に、自分がしてもらったように、次の世代の人たちにいろんな機会を提供できる人になりたいんです。

私が参加し始めたころ、発表やブログなどを通じて積極的に知識を共有してくれた先輩たちがいて、私はその姿にすごく影響を受けました。だから、自分も同じように、次の世代へと伝えていきたい。そういう想いが、いまでもブログなどで情報発信をしている理由です。

コロナ禍を境に一度落ち着いてしまいましたが、これからまた少しずつ、オープンソースコミュニティにも貢献していきたいと思っています。

後藤

たしかに。ところで、お話を聞いていると、ソフトウェアが中心にあるのはもちろんですが、yokuさんはそれ以上に、人の集まりやコミュニティへの想いを強く持っていらっしゃる印象を受けます。

田中

そうですね。オープンソースのコミュニティって、ある意味わかりやすくて「オープンソースが好き」という共通点で自然と人が集まってくる。でもじつは、商用のOracleDBでも同じように熱量を持った人たちがいるんですよ。ソースコードが公開されているわけじゃないのに、OracleDBが大好きで、その魅力を語り合うために集まっている。オープンソースか商用(クローズド)かに関係なく、単にその製品の「技術が好き」「深く知りたい」という気持ちでつながっている人たちがいるんですよね。

後藤

そういうコミュニティ、いいですよね。

背中を預け合える仲間と仕事をしたい

後藤

yokuさんはさくらインターネットでどんなふうに仕事をしたいですか?

田中

Web系ではよく「エンドユーザーファースト」「ユーザーファースト」という標語を掲げられますが、自社サービス企業でDB周りを担当していた私にとってのユーザーは、サービスの利用者ではなくて、「同じ会社の隣の島で仕事をしている人たち」なんです。ずっとそういう気持ちでやってきました。同じ会社の仲間のためにいろいろ頑張ったり骨を折ったりするのは、全然なんの苦でもないんですよ。そういう関係性っていうだけで。

後藤

プラットフォームマインドですね。

田中

企業に雇われて仕事をするうえで一番好きなのは、みんな少しずつ違うスキルを持っていて、お互いに補い合える関係性があることなんです。そのことを意識するきっかけになった職場は同じ島にインフラのチームとデータベースのチームがいて、彼らはキッティングやラッキングなど少し違うレイヤーの作業をしていました。彼らはMySQLのことはくわしくないけれど、なにか起こったときに「これ、MySQLの障害っぽいので見てもらえますか」って声をかけてくれて、こちらでも調べて「これはハードウェアかもしれません、切り分け調査お願いできますか」と返す。そんなふうにお互いに頼り合えるし「そのくらい簡単なことだからもちろん助けるよ」と自然に言える関係性が生まれる。自分にないスキルを持つ人たちと、頼ったり頼られたりしながら仕事がしたいですね。

後藤

自分の専門領域にとても強く責任を持っている感じですね。

田中

アプリケーション開発しているエンジニアの人にも「アプリのことはわからないけどMySQLのことはまかせて」とか、総務や人事労務のようなバックオフィス系の人たちにも、「俺にはそんな手続きや計算はできないけれど、あなたたちのことを全面的に信頼している。だから、いまサービスで起こっている問題はわれわれエンジニアが全員で全力で対応するから大丈夫」って伝えるような。それぞれの専門分野で「大丈夫だよ」「なんとかするよ」って言い合える関係が好きなんですよね。

後藤

お互いそういうふうであると気持ちいいっていうか楽しいって。

田中

そうです。「お互い」っていうのが良いんです。

後藤

yokuさんのお話をいくつか聞いていると、人と一緒になにかをするっていうところ、なんらかの関係性の形みたいなのがあって、それをすごく大事にされているように思います。 

田中

あんまり言語化したことはないですけど、やっぱり大事にしているんだと思います。カジュアル面談と一次面接で合わせて2回話したのが「私はこういう相互に助け合うような関係性が好きで、一方通行なのは嫌なんです」ということでした。バックエンドの機能実装とMySQLのアーキテクチャー、お互いに背中を預けながら、ガバメントクラウドという共通の目標に向かっていく……これが私のやりたいことだったので、チームにお互い尊敬し合えるような土壌があるのかは珍しく複数回確認しましたね(笑)。

後藤

面接でそれだけ確認するぐらい、yokuさんにとってとても大事なことなんですね。

田中

そうですね。譲れないところなのかなって思います。

後藤

そういった考えを持つようになったきっかけがあったんでしょうか。

田中

10年以上前のことなんですけど、昔の職場でたまたまそういう経験があったんですよね。元旦からインフラメンバー総出で障害対応にあたったことがあって「じゃあデータベースは全部確認するから、もっと上のロードバランサーのレイヤーを調査してください」とか、タスクを切り分け、役割分担していって。幸いなことにサービスに影響はなかったんですが、突き止めるのは大変でした。ある程度時間をかけられたので、各チームお互い最後に結果を持ち寄って被疑箇所を絞り込んで、そうしたら思いもよらなかったシステムで特定のファイルが壊れていることが発覚しました。

後藤

そこだったのか、と。

田中

カタルシスですよ。みんな「俺ら頑張ったよね、今日」ってすごい楽しかった。これまでの仕事でいちばん楽しかったと思うぐらい。それ以来この考えを大事にしています。

後藤

たしかにわかりますね、その感覚。自分一人ではできないことですよね。

田中

そうです。障害対応の鉄火場とかそうなりがちですよね。「じゃあ私がデータベースを見るから、あなたはWebサーバーね」「30分後集合!」みたいな。

後藤

あうんの呼吸みたいなのでそれぞれ進みますもんね。障害が好きとか言っちゃいけないと思うんですけど、でもそのときの「チームでやっている感」の良さっていうのは、たしかに僕もあると思っています。なかなか普段の仕事の場だとそこまで感じられることがなかったりしますもんね。

田中

そんな感じでさくらインターネットでも、私のできる範囲でフルコミットして、あのすごい人たちと息を合わせて仕事をしたいなって思っています。

後藤

それは楽しそうです。ところで、ほかの人と背中を預け合うような関係になっていくための、yokuさんなりのやり方ってあったりしますか?

田中

たぶん普通に、MySQLのことを相談してもらうところからスタートする感じですよ。話していると普通に私がポンコツなのがわかってくると思うんです。とくに私はコードを上手に書けるわけじゃないんですよ。

後藤

ふむふむ。

田中

別にコンピューターサイエンスやっているわけでもないので、アルゴリズムなんかの筋が良いわけでもなく。それ以外にもいろんな駄目なところはあるんですけど、なんとなく話しているうちに「こういうところはできるけれども、こういうところは危なっかしいな」っていうのがわかってもらえるんですね。そうして、「最後のところはお願いします」って私から気持ち良く頭を下げられるような関係になりたいんです。

後藤

できる人って、何回か話せば相手の一番強そうなところとそうじゃないところをわかってくれますよね。

田中

たぶん自然と関係性はできますよね。自分でもあんまり言語化できていないけど、一緒に仕事をしていくなかで、「私はこの点でこの人のことをすごい尊敬している」っていうリスペクトが、少しずつ生まれていくものだと思っています。
これからさくらインターネットの社員として、いろいろな社員のみなさんとそういった関係性をつくっていきたいと思います。

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(撮影:ナカムラヨシノーブ)

取材

後藤 秀宣

さくらインターネット クラウド事業本部 クラウドサービス部 副部長 株式会社メルカリ、株式会社KabuK StyleのCOO兼CTOを経て、2024年10月にさくらインターネットへ転職。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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