スマートハウスとは「賢い住宅」という意味です。
賢い住宅と言われても、よくわからないと思います。この記事では、スマートハウスとはどういう住宅なのか、スマートハウスにすることでどのようなメリット・デメリットがあるかを紹介します。
スマートハウスとは
スマートハウスは、住宅の概念を指します。1980年代にアメリカで提唱されました。当時はそれほどインターネットが普及していなかったこともあり、省エネルギーや節電を軸に推進されていました。しかし近年では、インターネットを活用してより便利で快適な暮らしをするための住宅を、スマートハウスと呼ぶことが増えています。
このように、スマートハウスは時代によって解釈が変わっています。今後、さらに解釈が変わる可能性もあるでしょう。今回の記事では「インターネットを活用した住宅」としてのスマートハウスについて説明していきます。
スマートハウスとHEMS
家庭内のエネルギー消費を管理する「HEMS」というシステムがあります。HEMSは「Home Energy Management System(ホームエネルギーマネジメントシステム)」を略した言葉です。HEMSは家電をネットワークでつなぐことによって、電力消費量を時間単位で記録できます。エネルギー消費量を見える化することで、省エネやピークカット効果を狙える仕組みです。
スマートハウスとIoT
最近のスマートハウスで欠かせないキーワードが「IoT(Internet of Things)」です。IoTとは「モノのインターネット」を指す言葉です。IoTについては「IoTの意味とは?社会が変わる技術の仕組みをわかりやすく解説」でくわしく説明しているのでご覧ください。
たとえば、家電をインターネットにつなげば、スマートフォンやタブレットを使って、外出先でも簡単に家電を操作できるようになります。
スマートハウスのIoTでできること
スマートハウスのIoTでできることについて、具体的には次のようなことが可能です。
- 気温が30度を超えたときに自動的にエアコンが動作する
- 起床時間になると、自動的にカーテンが開く
- 外出先でも家のドアを施錠できる
- 外出先でも家にいるペットの様子がわかる
もちろん、これ以外にもさまざまなことが実現できます。スマートスピーカーと家電を連携すれば、リモコン操作しなくても音声だけで家電を動作させることも可能です。
近年では、ホームセキュリティ会社や音響機器メーカーからもスマートハウスに関連付けた商品が発売されています。また、スマートハウスというと何となく一戸建てのイメージがあるかもしれませんが、マンションでもIoT化の流れは進んでいます。必ずしも一戸建てに限った話ではありません。
スマートハウス実現に必要なデバイスとネットワーク
スマートハウスを実現するためには、「デバイス」と「ネットワーク」が必要になります。デバイスは先ほどの例でいえばエアコンやカメラのように、実際に動作するものです。
一方、管理システムというのは、デバイスをコントロールする役割を担うものです。スマートフォンやスマートスピーカーなどが該当します。管理システムから指令を受けてデバイスが動作することによって、快適な暮らしが実現できるのです。
スマートハウスの目的と効果
スマートハウスの目的は、暮らしをより快適にすることです。
これまでは、手で操作しなければならなかった家電を、家の外にいながら動かせるようになったり、場合によっては何もしなくても自動で運転させられるようになります。生活におけるストレスが、大幅に軽減されるのです。
スマートハウスはお年寄りにも優しい
スマートハウスを導入すれば、高齢者が安心して家の中で暮らせるようになる効果が期待できます。年を重ねると認知能力が衰え、家電の操作がままならなくなるケースは少なくありません。猛暑の夏場にエアコンがあるにもかかわらず、それを使わずに熱中症で亡くなってしまうお年寄りのニュースを見たことがあると思います。
スマートハウスを導入してエアコンを自動運転するようにしておけば、室内が暑くなる前にセンサーが気温に反応して自動でスイッチが入ります。そうすれば、お年寄りが熱中症で亡くなる悲劇は回避できるようになるでしょう。
スマートハウスでセキュリティ強化
スマートハウスには、家のセキュリティを強化できる効果もあります。玄関ドアにスマートロックの製品を付けることで、スマートフォンで鍵を操作可能です。
それだけではなく、鍵をかけ忘れてもドアが閉まればセンサーが検知して自動で鍵をかけてくれる、オートロック機能もあります。スマホが鍵になるので、ドアに近づいただけで自動的に鍵が空くような機能も出てきました。このようにスマートロックを導入すれば、安心して外出できるようになるでしょう。
ネットワークカメラは防犯カメラ代わりにもなる
スマートロックに加えて、ネットワークカメラを設置することでセキュリティ強化が見込めます。ネットワークカメラとは、インターネットに接続されたカメラのことです。
これにより、外出先でもスマホやパソコンから家の様子をチェックできます。玄関前に設置すれば、防犯カメラの役割も果たしてくれるでしょう。
スマートハウスのメリット
ここからは、スマートハウスの持つメリットとデメリットを紹介していきます。それぞれの内容を理解したうえで、スマートハウス化を検討してください。
スマートハウスのメリット1 ゆとりが生まれる
1つめのメリットは、家の中の時間にゆとりが生まれる点です。これまではエアコンやテレビ、照明などの側まで行って操作しなければなりませんでした。しかしスマートハウス化すれば、スマホ1つで操作できるようになったり、場合によってはすべて自動で動かせるようになります。操作に要する時間が大幅に短縮できるため、空いた時間で趣味などを楽しめるようになるのです。
スマートハウスのメリット2 光熱費の節約
2つめのメリットは、光熱費が節約できる点です。テレビや照明を消し忘れても、スマートハウスであればセンサーが反応して自動的に消してくれます。そのため無駄な電気代はかかりません。もっとも光熱費がかからない方法でエアコン操作ができるようになりますので、それによっても光熱費を抑えることができるでしょう。
スマートハウスのメリット3 セキュリティ強化
3つめのメリットは、家のセキュリティを強化できるという点です。先ほど紹介したネットワークカメラを設置して、侵入者が室内に入ってきたらすぐにセキュリティ会社に通報されるようにしておけば、万が一空き巣に入られたとしても、被害を最小限に食い止められるはずです。
スマートハウスのメリット4 健康管理
4つめのメリットは、健康管理に役立てられるという点です。睡眠中のデータを取れる製品をベッドに取り付けておけば、採取したデータをスマホに取りこんでさまざまな分析がおこなえます。
データが異常値を示せば、すぐに病院に行って検査を受けられますし、健康改善に向けた専門家のアドバイスを受けることも可能です。この仕組みは介護サービスでも利用できます。被介護者が一日中ベッドから動かないような場合に、その状況をヘルパーに通知できるようにしておけば、何かあった際に迅速に駆けつけてケアできるようになるでしょう。
スマートハウスのデメリット
スマートハウスには多くのメリットがある一方で、いくつか注意しておかなければならないデメリットも存在します。
スマートハウスのデメリット1 初期コストがかかる
1つめのデメリットは、導入するのに初期コストが必要である点です。ホームセキュリティなどの大掛かりなシステムを導入しようとすると、それなりにお金が必要になります。導入するかどうかは予算との兼ね合いで考える必要があります。
スマートハウスのデメリット2 多少の知識が必要
2つめのデメリットは、家電によっては操作するのに多少の知識が必要になる点です。注文住宅を建てる場合には、住宅メーカーがすべての設定をおこなってくれるケースもあります。
しかし、自分でIoT対応の家電を買ってきて設置しようとすると、インターネットやスマホについてのある程度の知識が求められます。もっとも、多くの場合は説明書が用意されていますし、複雑な作業ではありませんので、そこまで身構えなくても大丈夫でしょう。メーカーによっては設定をサポートしてくれるところもあります。
スマートハウスのデメリット3 サイバーセキュリティが求められる
3つめのデメリットは、しっかりとしたサイバーセキュリティが求められるという点です。スマートハウスは家の中にあるさまざまな家電をインターネットに接続することで実現されるもの。サイバーセキュリティが脆弱だと、外部からサイバーアタックを受けてしまうリスクを伴います。
もしサイバーアタックを受ければ、家電に搭載されているコンピューターが乗っ取られて誤作動を起こす可能性がありますし、場合によってはネットワークカメラで撮影した映像が他人に見られたり、インターネット上にばらまかれてしまう恐れもあります。
スマートハウスで快適な暮らしを実現しよう
IoTの技術が発展し、さまざまなモノがインターネットにつながりました。スマート家電やスマートスピーカーなどが、私たちの日常生活に欠かせなくなっています。
スマートハウスのはじめの一歩として、まずはこうした気軽に導入できるものからはじめてみてはいかがでしょうか。IT技術の発展により、スマートハウスはさらに進化して私たちの暮らしを快適なものにしてくれるはずです。
参考: