DX の推進担当者やポストコロナのビジネスモデルを調査している人のなかには「ニューノーマル」について興味・関心がある人もいますよね。また、働き方のニューノーマルを知りたい人もいるでしょう。
当記事では、ニューノーマルについて解説します。働き方のニューノーマルや、企業に発生する課題にも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ニューノーマルとは「新たな日常」のこと
ニューノーマルとは、“New”と “Normal” を掛け合わせた言葉で「新たな日常」という意味があります。何らかの要因で生活様式や働き方が変化した際、その変化が常態化したものを指して使用される言葉です。
ニューノーマルという言葉は2003年頃からアメリカ合衆国で使用されていましたが、2020年以降は、コロナ禍以降の生活様式をニューノーマルと表現することが多くなりました。
たとえば、配膳・配達をおこなうロボットや非接触で会計が可能なキャッシュレス決済などは、生活様式に溶け込みニューノーマルになっているといえるでしょう。また、働き方におけるニューノーマルとしては、テレワークや時差出勤なども挙げられます。
このように、テレワークやキャッシュレス決済など、社会情勢の変化以降に常態化した生活様式や働き方をニューノーマルといいます。
新たな働き方がビジネスのニューノーマルになっている
新型コロナウイルス感染症の拡大や働き方改革の影響によって、新たな働き方がビジネスのニューノーマルになっています。
【働き方のニューノーマル】
テレワーク |
テレワークや在宅勤務といわれる、オフィスへ出社せずに業務する働き方。 |
フレックス勤務 |
決められた出社時間がなく、社員が決めた時間に出社できる。コアタイムと呼ばれる、かならず働く時間帯が設定されている場合もある。 |
時短や短日数勤務 |
1日あたりの勤務時間を短くする、出社日数を少なくするといった働き方。 |
副業や兼業 |
複数社に所属して働くこと。本業とは別に仕事を持つこと。 |
たとえばコロナ禍では、感染リスク低減のためにテレワークや時差出勤などを導入する会社が増えました。働き方改革によって兼業や副業などを認める企業が増えてきたことも、新たな働き方が定着した理由の1つです。
また、テレワークの導入により、子育てや介護などで通勤の難しかった人にとって働きやすい環境をつくることができます。これにより、さまざまな事情がある人たちの雇用機会が生まれているのもニューノーマルな働き方の特徴です。
働き方のニューノーマルに関する企業の課題
働き方のニューノーマルが定着してきたことで、企業には新たな課題も生まれています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、急遽制度の設計と並行して新たな働き方の導入を求められる企業があったためです。
ニューノーマルな働き方に関する企業の課題は次の3つです。
- DX の推進
- ニューノーマルに対応する社内規定の作成
- コミュニケーション機会の減少
新たな働き方の定着によって生まれた課題は、従業員の満足度や生産性の低下に関わる場合もあります。そのため、テレワークやフレックス勤務などニューノーマルな働き方を導入している会社は、当てはまる課題がないか確認しておきましょう。
DX の推進
ニューノーマルな働き方には、DX の推進が必要です。ニューノーマルな働き方では、オンライン上でのやりとりが増えたり、非接触サービスの利用を求められたりする傾向があるからです。
また、DX によって、テレワークや短時間勤務などの働き方でも、業務の生産性を下げないようなシステムやサービスにする目的もあります。
なお、DX を推進するには、DX 全体を設計する「デジタルアーキテクト」や AI を活用して知見を引き出す「データサイエンティスト」などの DX を推進できる人材が必要です。DX の推進が思うように進まない企業は、DX人材の育成や確保を検討しておきましょう。
DX人材に関しては、「DX推進には人材育成が重要?求められる人材像とスキルを解説」の記事をご確認ください。
セキュリティ対策
ニューノーマルな働き方では、これまで以上にセキュリティ対策を意識する必要があります。従来の働き方と異なり、オフィス外から社内システムへのアクセスや社内資料の持ち出しなどが発生するためです。
たとえば、テレワークを導入している会社では、社内データの閲覧権限設定の不備や悪質な無線LAN通信の利用により、パスワードや社内情報が流出してしまう恐れがあります。
ほかにも、コンピューターウィルスやスパムメールによる情報漏洩も心配すべき点の1つです。
働き方のニューノーマルによって、企業や働く人は情報セキュリティの体制を強化する必要があります。テレワークのセキュリティトラブルについて知りたい人は、総務省が公開する「テレワークセキュリティガイドライン」を確認してみましょう。
ニューノーマルに対応する社内規定の作成
ニューノーマルな働き方に対応するためには、社内規定や福利厚生制度の見直しと作成が必要です。これは、多様化している働き方によって、社員に不公平感を与えないようにするためです。
たとえば、福利厚生として、テレワークで働く人には「テレワーク手当」を用意します。一方で、出社する人には「通勤手当」を支給することで、どちらの働き方も平等に扱うことが可能です。
また、テレワークで働く社員の休憩時間や業務を管理するための規定も作成しておいたほうがよいでしょう。休憩時間や業務内容が把握できず、社内で混乱するといった事態の防止に繋がります。
コミュニケーション機会の減少
ニューノーマルな働き方では、社員同士のコミュニケーション機会が減少することも課題になります。コミュニケーションの機会が減ることで、モチベーションや生産性の低下を招いてしまう可能性があるためです。
コミュニケーションの減少を感じている場合は、日報制度やランチミーティング制度など、コミュニケーションの機会を創出できる制度の導入を検討してみてください。
なお、『「全員が楽しく働ける環境づくり」DX で社内コミュニケーションを豊かに』では、テレワーク導入後のコミュニケーションの工夫や取り組みについて、企業の事例を紹介しているので確認してみてください。
ニューノーマル時代に働く人へ求められるスキル
ニューノーマルな働き方に求められるスキルは、おもにオンラインでの業務を円滑に進めるためのものです。ニューノーマルでは、コミュニケーションの頻度や方法、使用するシステムなどが従来の働き方と異なるためです。
【求められるスキルの種類】
● オンラインコミュニケーション
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・テキストコミュニケーション |
● ITリテラシー
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・基本的な PC 操作スキル など |
テレワークを導入するとオンラインコミュニケーションが増えます。そのため、これまでは同じオフィス内で気軽にできた質問も、テキストで内容を作成するのに時間がかかる、質問の意図が相手に伝わらないといった状況になる可能性があります。
ほかにも、DX が推進されると、社内情報や顧客情報のデータ化が進むため、データを管理しているアカウントやパスワードを漏洩しないためにセキュリティ対策をする必要があります。
このように、より業務を円滑に進めるためにはさまざまなスキルが求められます。また、働き方をシフトしたことによって起こりうるリスクを想定し、あらかじめ対策をおこなうことも重要だといえるでしょう。
コロナ禍をきっかけにあらためて注目されるようになった「ニューノーマルな働き方」。今回の記事を参考に、新しい時代に即した働き方を実践する方法を探ってみてくださいね。