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活用による成功体験がカギ。社内におけるAI活用を推進する「マイナビ文系AI塾」 

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近年、AI 技術が目覚ましい勢いで進化している。業務効率化と生産性向上のための手段として注目を集める一方、AIリテラシーの欠如や活用推進のための人材不足から、AIの導入をためらっている企業も少なくないだろう。全社員を対象に、独自の研修プログラム「マイナビ文系AI塾」を開催した株式会社マイナビ(以下、マイナビ)の取り組みは、そんな企業のヒントになるかもしれない。詳細とその効果を、同プログラムの企画・運営を担当した田中裕樹さんに聞いた。 

田中 裕樹(たなか ゆうき)さん プロフィール

肩書(必要に応じて)
株式会社マイナビ人事企画本部人事戦略統括部人材育成部部長。2010年に株式会社マイナビに入社。国家資格のキャリアコンサルタントを保有。 

職種、役職を問わず実践的なAI活用を学べる内容に 

1973年の創業以来、就職、転職、人材紹介などのHR領域を中心に広く事業を展開しているマイナビ。就職・転職活動の際に、同社のサービスに登録経験のある方や、日常的に同社のメディアを目にしている方も多いのではないだろうか。 

そんなマイナビでは、2025年7月から9月にかけて全社員8,000人以上を対象とした学習プログラム「デジタルポータブルスキル学習プログラム(DPS)」を開始した。このプログラムは、職種を問わず全社員が業務においてITやAIを日常的に使いこなすことを目指すもので、業務効率化や生産性向上に必要な基礎スキルだけでなく、社内DXの実現を目標にしている。この取り組みの1つが、今回紹介する「マイナビ文系AI塾」だ。 

「マイナビ文系AI塾」は、マイナビでエクゼクティブAIアドバイザーを務める野口竜司さんを講師に迎え、AIリテラシーの向上を目的に初めて開催された。2025年7月から9月にかけて、オンラインでの講義を計5回実施。幅広い職種のプレイヤー層からマネージャー層まで約900人の社員が参加した。 

「マイナビ文系AI塾」の講師を務めた野口竜司さん

1回目の講義では、AIトレンド、すぐにでも業務利用できるAIの使い方など、AI活用への期待感を醸成できる内容で構成された。2回目は効果的なプロンプトの書き方。3回目はマイナビ社内で、AIをうまく活用している社員による活用例の紹介。4回目はプロンプトエージェントの活用。5回目は、参加者各々の課題解決のため、カスタムAIアプリの企画や設計に挑戦するチーム制のワークショップを実施し、それぞれ発表をおこなった。 

5回目の講義で発表された企画のうち、いくつかのアイデアについては、デジタルテクノロジー戦略本部のAI戦略室が主導で、実装化の検討をしているという。具体的には、求人サイトにおける職務経歴書の解析ツール、面接時の質問を自動生成する採用企業向けツール、職種・働き方を問わない目標設定支援ツールなどが挙げられる。 

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大人数の参加につなげられたのは参加ハードルの低さ 

「世間では、AIは業務効率化と生産性向上のためのツールとしてみなされています。しかし、当社ではAIを『個人の可能性を広げる汎用性の高い武器』と考え、個の強化を目的としてDPSや『マイナビ文系AI塾』を設計しました。社員一人ひとりがAIに限らず広くデジタルポータブルスキルを身につけることで、キャリアの広がりや仕事の成果につなげてほしいと考えています」 

「マイナビ文系AI塾」の設計にあたっては、社内業務における使用例として、資料作成のたたき台づくり、企画作成におけるアイデア出しのサポート、商談前の情報整理などをイメージした。 

「難しい専門用語は避けつつ、今日からでも業務に使えるテクニックを持ち帰れるような内容にしました。講師の野口さんは、他社でも類似のAI活用の研修をおこなっていますが、『マイナビ文系AI塾』では弊社の事業や、弊社で使用を推奨しているAIツールの活用などを反映したプログラムにしていただきました」 

DPSと「マイナビ文系AI塾」の開始前には、イントロダクションとして、人事企画本部とデジタルテクノロジー戦略本部の部門長から、全社員に向けてオンラインでメッセージを配信。このプログラムの意義をていねいに伝えることで、AIツールを使用することへの抵抗感や同プログラム開始の唐突感をぬぐい、理解と参加を促した。 

プログラム名にある「文系」には職種を限定する意味はなく、参加の心理的ハードルを下げるために掲げている。多くの社員が参加できるための工夫としては、時短勤務やリモートで業務をおこなう社員にも配慮し、昼に約1時間、オンラインで実施したことが挙げられる。 

参加した社員からは高評価 

AIを活用する能力を体系化。アンケートでは、これら6つの項目の増加率を測定した

実際にこの「マイナビ文系AI塾」は社内にどのような効果をもたらしたのだろうか。 

同社では、受講前と受講後、参加者へのアンケートを実施。「AI活用人材の6つのチカラ」を定量化した結果、すべての項目に成果が見られ、とくにAIキホン理解力は50.8%、プロンプト力は37%と大幅に向上したことがわかった。 

参加者からは「開始前はプロンプトに対する知識も十分でなかったが、全5回の受講を通して業務で活用するイメージがつかめました」「全5回の講義すべてが興味深く、よりAIを身近に感じられるようになりました」「5回の講義で得たものが実際の業務に活かせていることが多くあり、非常にうれしく思っております」「これまで受けてきた研修のなかでトップ3に入るおもしろさと実効性のある内容でした」などの声があり、高い評価を得られているといえる。 

田中さんは、こうした評価の理由を「社員の業務における目の前の課題にダイレクトにアプローチし、解決できる可能性を提示できたから」と分析。笑顔からは手応えを感じていることが読み取れた。 

12月には、「マイナビ文系AI塾」とは別に、DPSの1つとして、AIに関するセミナーを対面とオンラインのハイブリッドで開催。700人以上が参加したことから、AIへの関心や活用の機運は高まっているといえそうだ。 

AI使用による成功体験が活用の第一歩 

「53期(2025年8月時点)で『AIを日常業務で活用できるレベル』と回答した社員は約半数にあたる53.7%でした。今後はその割合を、54期に80%、55期に85%、そして56期に90%を達成することを目標に活動していきます」 

目標達成のために、「マイナビ文系AI塾」は継続して開催する予定だ。同時にDPSのほかのプログラムへの参加、eラーニングや学習ツールの活用を促進することで、AIの業務活用にさらなる弾みをつける。 

最後に、社内におけるAI活用推進プログラムの作り方のコツを田中さんに聞いた。 

「今回当社で『マイナビ文系AI塾』を導入し、まずは『目の前の小さな課題を解決する』という成功体験をつくることが大切だと感じました。AI活用を推進する旗振り役は必ずしもデジタル部門や人事部門である必要はないですし、決して専門的なワークフローを組む必要もないと思います。たとえば社内でAIをうまく活用している人がいたら、その人に事例共有をしてもらう。それだけでもAIの業務活用の最初の一歩になるのではないでしょうか」 

企業によってはAIを使うこと自体が目的になっているケースもあるが、AIが課題解決のツールであることを認識し、小さな活用事例を見つけることが有効活用への近道かもしれない。 

株式会社マイナビ 

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執筆

増田洋子

東京都在住。インタビューが好きなフリーランスのライターで、紙媒体とWebメディアで執筆中。ネズミを中心とした動物が好きで、ペット関連の記事を書くことも。
ポートフォリオ:https://degutoichacora.link/about-works/

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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