さくらインターネットの人事戦略。人材の成長と成功を導く「5つの柱」

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さくらインターネットの人事部にあたる ES本部の活動は、近年注目されている人的資本経営と通じています。クラウドコンピューティングサービスを提供するさくらインターネットはソフトウェア中心の事業者であり、このソフトウェアを作るのは「人」です。まさに社員が会社の価値の最大化を担っているのです。本稿では、さくらインターネットの人事戦略の全体像とそれを具体化した「5つの柱」についてご紹介します。

 

成長と変化を促し、持続可能な会社にしていくための人事戦略

人事戦略の全体像

「やりたいこと」を「できる」に変える。

 

これがさくらインターネットのビジョンです。

多くの人がやりたいことを叶えられるような社会をインターネットとともにつくっていくために、さくらインターネットでは注力テーマの 1つとして「ESとCSの実現」を掲げています。ES とはエンプロイーサクセス、CS とはカスタマーサクセスのことです。

社員の挑戦がお客さまの成功につながり、お客さまの成功は新たな機会として社員に還元され、社員はさらに大きな挑戦ができる。そして会社としても成功につながる。そうしたすべての人が成功するスパイラルの実現を目指しています。

さくらインターネットの人事部門である「ES部」では、その社員の成功を導くための人事戦略と、それを支える 5つの柱を以下のように策定。2023年には、有価証券報告書やさくらインターネット初の統合報告書にて対外的にも発表しました。

 

【人事戦略の全体像】
お客さまの「やりたいこと」を「できる」に変え、サステナブルな企業経営を実現するために、社員の能力発揮を後押しする学びと実践のサイクル、多様な人材が集い挑戦する機会の提供、安心して長く活躍できる基盤づくりを通して、社員一人ひとりの成長と成功(ES)を実現し、社会やお客さまへの価値提供の源泉である人材の価値をより高めていく。

 

【人事戦略を支える 5つの柱】

  1. 人材育成と学び合う文化づくり
  2. 心と体の健康
  3. 多様な人材の活躍促進
  4. チャレンジとリーダーシップによって新しい価値を育む文化づくり
  5. フレキシブルな働き方

人事戦略策定の背景

近年、人を資本としてとらえた経営である「人的資本経営」が急速に広まりつつあり、2023年3月期決算からは有価証券報告書などで開示が義務化されています。

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。

資本には形のある「有形資本」と形のない「無形資本」があり、人材は無形資本です。企業価値の決定因子は従来の有形資本から無形資本に変わってきているというのが人的資本経営の考え方です。形がないものですが企業価値に大きな影響を与えるものとして、投資家にも注目されています。

 

この人的資本経営と、さくらインターネットの考え方は合致していました。

さくらインターネットは現在、物理基盤からクラウドが主体となる事業構造へと変革し、クラウドサービスの機能強化、ソフトウェアサービスの開発などに注力しています。モノではなく、ソフトウェア中心の事業になっており、このソフトウェアを作るのは「人」です。つまりお客さまに価値を提供するうえで、そして会社として成長し続けるうえで最も大事なのが人材なのです。

 

このような外部環境の変化、さくらインターネットの事業転換などを踏まえ、人的資本経営に舵を切り、人事戦略を策定していくことにしました。

策定にあたり、社内で何度もディスカッションを重ねました。決定までのプロセスのなか、役員の間で満場一致した会社としての意思があります。それが「持続可能な会社にしていく」ということです。

会社として今利益を生み出すことは重要であるものの、それだけではなく、次世代に続いていく会社を作っていくことを重視しました。持続可能な会社であるために必要なことは、まず、お客さまへ価値を提供し続けること。そして、社会から認知され続けることです。さくらインターネットでは、社員一人ひとりが会社の資本であり、社員の成長や成功こそが事業やお客さまへの価値提供の源泉だと、あらためて意思統一をしました。

 

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人事戦略の全体像を実現するための「5つの柱」

ここでは「5つの柱」の詳細をご紹介します。

人材育成と学び合う文化づくり

社内外でデジタルリテラシーに関する学びの場を提供するとともに、学びを生かす機会の提供、学び合う文化づくりに取り組みます。

当社のビジョンは「『やりたいこと』を『できる』に変える」です。「できる」に変えるためには、教育と得た知識やスキルを生かす機会や環境が重要です。また、デジタルリテラシーについては経済産業省が定義している、IT技術だけではなくお客さまに価値提供をするためのスキルを指していて、ビジネススキルや企画、プロジェクトマネジメントなども含まれています。

【取り組み例】
DX人材を育成する社内研修「DX Journey」は、社会全体で DX推進が一層求められていることを背景に、社員全員が一定の技術スキルを習得できるようつくられた研修制度です。バックオフィス業務をしている社員など、エンジニア以外の社員がプログラミングや ITインフラなど技術に関する専用の研修を受講しています。

心と体の健康

安全と衛生、健康推進および心と体を大切にする組織的な文化づくりを通し、ウェルビーイング経営を実現し、社員と会社の持続的な成長と成功につなげることを目指します。

 

人がやりがいを感じたり、成長に向かうためには、心と体が健やかであることが前提です。それは、たとえれば「足が痛ければ速く走れと言われても走れない」のと一緒。すべての活動の土台になるのが、健康な心と体だと考えています。当社では、最終目標を社員が幸福を感じられる状態(ウェルビーイング経営)とし、そのための土台づくりとして、社員の健康推進をしていきます。

【取り組み例】
「体の健康」においては、リモートワーク前提の働き方となり通勤の機会減少などによる運動不足の解消の一助としてウォーキングイベントを実施しています。そのほか、健診結果の見方や活用方法、各種健康セミナーを開催。「心の健康」においては、外部相談窓口として電話相談・カウンセリングが利用できます。また保健師を雇用し、育休復帰者や体調不良の社員などが面談可能です。

多様な人材の活躍促進

すべての社員が多様な個性を持つダイバーシティの一員であることを前提に、社員一人ひとりの個性や成長する意欲と、個々の能力を最大限に発揮できる文化づくりに取り組みます。

 

さくらインターネットの多様性の定義は、性別、地域、国籍などの属性の多様性に加え、個性や価値観やキャリアなど、あらゆる多様性を意味しています。社員それぞれが「多様性」を構成すると考え、その属性や個性を最大限に生かすことがより高い社会への価値創出につながると考えます。挑戦する一人ひとりの個性を互いに受け入れ、尊重し、個性に価値を見つけ、機会の提供の公平性を追求し、組織として生かし合うことを指しています。

【取り組み例】
結婚祝金などを同性婚や事実婚の場合にも支給するほか、女性活躍推進にも取り組み、2023年10月には新たに 4名が執行役員に就任しました。現在、社外取締役の約4割、執行役員の約3割が女性となっています。そのほか、属性(年齢)の多様性確保として、新卒採用数を拡大し、2024年度は前年度の約2倍の採用人数となっています。これは先輩社員が新入社員に教えることでの学び合う文化づくりにもつながっています。また個性の多様性としては、希望者に「FFS(Five Factors and Stress)」や「MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)」を受講してもらい、自己理解を深めるきっかけづくりをしています。

 

チャレンジとリーダーシップによって新しい価値を育む文化づくり

社員がリーダーシップを発揮し、事業創造や新規事業にチャレンジ。多様な人材がコラボレーションし、自由な発想で新たなチャレンジができる機会と環境の創出を通じて、お客さまへの新たな価値提供につなげていきます。

 

当社は学生ベンチャーとして生まれた企業です。いまでもスタートアップ精神が文化として社内に根付いており、企業文化そのものは模倣困難で競争優位の源泉であるといえます。事業創造や新規事業の創出は新たにお客さまに価値提供ができるということ。そのためのしくみや文化づくりをおこなっていくことで、チャレンジ、行動を起こす人を称賛する会社にしていきます。

【取り組み例】
新たなアイデアを形にするプロセスを通じ、新しいフィールドで活躍できる人材・サービスを増やしていくことを目的とした新規事業創出プロジェクト「さくら満開プロジェクト」を始動。その一環として、社内でビジネスプランコンテストを開催しています。

フレキシブルな働き方

会社が「働きやすい」環境を提供し、そのなかで社員個人が「働きがい」を追求できることを理想として、働き方の多様性を尊重するさまざまな取り組みをおこないます。

 

会社に縛られず広いキャリアを形成しながら、プライベートも充実させ、その両方で得た知識・経験を共創につなげることを目指しています。リモートワーク前提の働き方に舵を切り、働き方の制度を充実させ、さらに働きやすい環境を整えます。

【取り組み例】
「さぶりこ」(Sakura Business and Life Co-Creation)と総称したさまざまな制度を用意しています。各制度は併用も可能です。たとえば、業務を早く片付けたら定時30分前に退社OK な「ショート30」と、その日の勤務時間を 10分単位でスライド調整できる「フレックス」を合わせれば、7:00~15:30(早い時間)や 12:00~20:30(遅い時間)とすることができ、業務前後の私用や保育園の送り迎えなどの都合に合わせた勤務時間の調整が可能です。社員の活用頻度を見ながら内容を見直し、更新することでより使いやすい制度にしています。

さぶりこ

変化や失敗を恐れず挑戦を

現在、この「5つの柱」についてそれぞれ具体的な施策を計画し、PDCA を回していけるように体制づくりをしています。

これまでも、これからも、さくらインターネットは社員が働きやすい環境や、社員個人の成長やモチベーション向上につながるような働きがいを追求していくための支援をおこなっていきます。さくらインターネットが成長していくうえで、物理基盤からクラウドが主体となる事業構造へ方針転換したように、今後もさまざまな変化があるでしょう。社員には、いまある支援をふんだんに活用して、変化や失敗を恐れずいろいろなことに挑戦することで成長につなげてほしいと思います。自ら変化を起こし、社会の変化に対応できる人材になっていただきたいです。

そして社員一人ひとりが思い描く成功を実現していくことで、ES と CS を両輪で回し、お客さまの「やりたいこと」を「できる」に変えていく。その連鎖を作り、持続可能な企業経営を実現していきます。

 

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