実際に異動を経験した方や異動を受け入れた方、キャリアコンサルタントの方などにお話をうかがっています。
本記事では、データセンタースタッフとしてさまざまな業務を経験後、2020年に新設されたインキュベーション推進部に異動した鎌田 達也にインタビューしました。異動したときの率直な想いや、現在携わっている新規事業企画、社内ビジネスコンテストにチャレンジしたエピソードなどについて語っています。
鎌田 達也(かまた たつや)プロフィール
2019年に中途でさくらインターネット入社し、データセンターのスタッフとしてさまざまな業務に従事。2020年に新設されたインキュベーション推進部へ異動後は、新規事業の企画やプロジェクト管理などをおこなっている。
異動は「ラッキーだな」と思った
――鎌田さんの経歴について教えてください。
2019年にさくらインターネットに入社し、サーバーやネットワーク機器の設置・配線などの物理作業、データセンターに出入りしているベンダーやハウジングのお客さまの対応などをおこなっていました。
――さくらインターネットに入社する前もデータセンターに勤務されていたんですよね。
さくらインターネットの前に2社ほど経験していて、1社目では現地での作業がメイン、2社目では設備関係の業者の対応や、それにともなう社内の各チームとのやりとりなどをしてきました。どちらもデータセンター関連の仕事です。
もう少しソフトウェアやサーバーの中身のことも知りたいなという気持ちがあって、さくらインターネットだったら自社サービスがあるし、そういった情報に触れられそうだなと思ってさくらインターネットに入社しました。
――2020年にインキュベーション推進部に異動されていますが、どういったきっかけだったのでしょうか?
インキュベーション推進部は、当時の組織改編で新設された部署です。異動というよりも、新しい部に参加というイメージでしたね。新設されるタイミングで興味があるかとお声がけいただき、面白そうだなと思って異動を決めました。
――異動のお話を聞いたとき、率直にどう思いましたか?
ラッキーだなと(笑)。たとえば新しいことをしたいなと思っても、おそらくなかなかチャンスは巡ってきません。転職する場合は未経験OKの会社でないと難しいと思いますし、異動の場合は社内なのでそこまで条件は変わらないですよね。社内の状況など、ある程度わかったうえでチャレンジができるので、ラッキーだなと思いました。
――データセンターに残る選択肢は考えませんでしたか?
新規事業ってどうやって作るんだろう? という興味のほうが強かったです。そのプロセスを経験すれば、もし自分が将来的に新規事業をやりたいと思ったときにきっと活かせるし、長期的に見ればいい経験になるのではないかと考えました。
いろいろな人と出会う機会が増えた
――インキュベーション推進部での業務について教えてください。
インキュベーション推進部全体のミッションとしては、新規事業をつくることなので、その企画をしたり、プロジェクト管理やマネジメントをしています。
これまで、スタートアップとの協業を検討したり、スタートアップのアクセラレーションプログラムに参加し、関西の企業と協力して、スタートアップが開発したサービスの実証実験に携わりました。
――それ以前にやってきた業務とガラッと変わりましたね。
イチから勉強しないといけませんでした。大変なところはあるし、正直あまりうまくいっていないと思うこともあります。でも、僕自身は新しいことを勉強するのが嫌いではないので、面白さややりがいは感じています。
部全体の目標としては、なにかをきちんと形にしてリリースまでもっていくこと。既存の事業にとらわれずに検討できるというのは、インキュベーション推進部のいいところです。それを活かして会社に貢献できるといいなと思っています。
――異動して良かったなと思うことはありますか?
これまで接点の少なかった社内・社外の方と仕事をさせてもらえる機会が増えたことですね。
データセンター勤務のときは、本社のオフィスにいく機会がなかなかなかったので、自分がいる部署以外の方と触れ合う機会が非常に少なかったんです。社外の方も、データセンターに出入りしているベンダーさんなど、決まった方とのやりとりぐらいでした。
異動した後はいろいろな部署の方と接点ができましたし、社外の新規事業担当の方や、スタートアップの方とのやりとりもあります。いろいろな人と出会う機会が増えて、いい経験ができているのは、異動して良かったことのひとつだと思います。
――これから異動する方に何かアドバイスはありますか?
軽い気持ちで……というと語弊がありますが、社内の異動なら転職するよりもリスクが少ないと思うんですね。大きく環境は変わらないし、社内の人もある程度わかっている状態で新しいことにチャレンジできるチャンスです。良い経験にもなると思うので、もし機会があれば異動してみることを個人的にはオススメしたいです。
リスクは少ないと言いましたが、新しい仕事をするとなると、それまで積み上げてきたものをさらに積み上げるというよりも、新しく積み上げていく形にはなります。新しいことと、これまでの取り組みをうまくかけ合わせていけるといいかもしれないですね。
――鎌田さんご自身は、これまでの経験を活かせたご経験はありますか?
僕自身はプログラミングはあまりやらないのですが、データセンター勤務をしていると、そういったことが好きな人が周りにたくさんいるんです。なので、少しは知識があったことで、スタートアップの技術とか、デジタルツールの仕組みなど、まったく知らない人よりは把握しやすかったかなと思いますね。
スタートアップの実証実験をしたときに、他業種のパートナーの方と関わることがあったのですが、 その方はビジネスに関する監修はできても、技術的なことはあまりご存じではなかったんです。僕は調べたらわかる程度の知識があって、軽く説明することはできたので、そういった点ではこれまでの経験が役に立ちました。
あと、前職でデータセンターの設備などに関わっていて、出入りしているいろいろな業者とのスケジュール調整や折衝・交渉をしていた経験があります。いまも外部のパートナーとのやりとりや、プロジェクトを進めるうえで役立っているかなと思います。
自身が考案したツールのプロトタイプを作製
――今後チャレンジしたいことを教えてください。
新しいサービスや価値の提供に携わりたいと思っています。新規事業をつくることと、どういう形であれ新しいサービスや価値を世の中に出すのはとてもやりがいがあることなので、実現したいですね。
あと、僕は関西出身なのですが、さくらインターネットも大阪が本社です。ただ、関西での取り組みがまだ少ない気がするので、大阪発、関西発のなにか面白いことができたらいいなと考えています。
――鎌田さんは、社内ビジネスプランコンテストにもチャレンジされました。鎌田さんの「みんなの本棚」は最終選考まで進みましたね。
僕が発表した「みんなの本棚」は、社内のみなさんのおすすめの書籍を共有できるツールです。
なにかの勉強をするために書籍を探すときに、インターネットで検索する人が多いと思います。ただ、購入サイトのレビューを見ると、書いている人が匿名なので、その書籍を売りたい側が書いているレコメンドかもしれないとか、そうでなかったとしても幅広い人に見てもらうためのレビューなので、本当に自分が勉強したいことが書いてあるのか、業務に直結するかどうかなどは判断が難しいと思うんですね。
さくらインターネットには経験豊富な方々がたくさんいますし、ナレッジをたくさん持っていると思うので、そういう方々のおすすめの書籍をデータベース化してすぐに調べれらるような環境になっていればいいなと思ったのがきっかけで、「みんなの本棚」を考えました。
――ビジネスプランコンテスト終了後にプロトタイプを作られたと聞きました。
はい。現状では外部に公開はしていなくて、社内の方にテスト的に使ってもらっています。社外の人と話をしているときに、みんなの本棚の話をしたら、面白そうだから使ってみてもいいよという人もいたので、知り合いから広げていけたらなと思っています。
もともと、ビジコンのときにはアイディアを紹介しただけだったのですが、プロトタイプがあったほうがいいよね、というご意見はいろいろな方からいただいていました。
それでどうしようかなと思っていたのですが、たまたまインキュベーション推進部でノーコードをテーマに市場調査したことがあったんです。そのときに調べたツールを使えば、プロトタイプぐらいなら作れるかなと思って、なんとか動くぐらいにはできました。そういった意味では、インキュベーション推進部の業務が役に立ったと思います。