2か月間の新卒社員研修をフルリモートで。オンラインだからこそできること

2か月間の新卒社員研修をフルリモートで。オンラインだからこそできること

≫ フルリモート勤務も可能!「やりたいことをできるに変える」職場で働きませんか?

 

2021年4月、さくらインターネットにも11名の新卒社員が入社し、この7月から順次職種ごとに正式配属がおこなわれています。

世界的な感染症拡大の陰で働く・学ぶといった社会活動はさまざまな変化を迎えました。今回は、その変化のど真ん中で学校を卒業し、内定式も入社式もフルリモートとなった11名の新卒社員に対する研修について、当社の取り組みをお伝えします。

来年はどうなるのかなぁ……と言っていた2020年

思い返せば、最初に緊急事態宣言が発出されたのは、2020年4月7日。当社では、一部出勤必須の拠点を除き、その1か月前に社員が一斉にリモート勤務体制となっていました。もともと、リモートワークやフレックス勤務に対応できる制度・ツールを備えていたためです。

新入社員研修の企画もほぼ固まり、本来であれば入社を迎えるだけ……という状況の最中。この頃はまだ、リモート研修を実施している会社も決して多くはありませんでした。

また、関係者の心の中でも、「入社までに少しでも感染状況が収まっていれば、対面で研修できるに越したことはないよね?」という気持ちも少なからずありました。ひとまず、同じ研修をリモートでやるならどうなるか? を検討しつつも、感染状況は収束するどころか、社会活動の制限も日々増えていきます。



最終的に入社式は、新入社員のみ出社、一方でフルオープンにした結果、数百名の先輩社員がオンラインで歓迎する、デジタルとアナログが融合したセレモニーになりました。その後もオンライン化できるものは、実施方式を切り替えつつサポート体制、業務機能習熟など、さまざまな観点を考慮し、最終的には例年よりも1か月ほど早く本配属となりました。

文字通りバタバタの情勢の中で入社した2020年新卒社員も、この変化を乗りこなし、現在は各部署で活躍しています。 

対面→リモートよりも、リモート→対面のほうが運用はしやすい

こうして迎えた2021年度。オンラインをベースとした業務運営は、単なる感染症対策を越えて、いい仕事をしていくための会社風土のひとつとして定着しました。新卒採用活動についても、会社説明会・面接から内定式まで、すべてオンライン。なんと今年の新入社員は、いまのところ対面での会社行事は、ゼロです。 

企画する中で、それでも「最初の研修くらいは対面でできたほうがいいのでは……?」という迷いも少なからずありました。もちろん、業務に必要な知識を覚えるならば、オンラインでもできることは無限大です。一方で、会社の一員になった! という意識、社会に出たばかりの新卒社員へのフォロー、会社の中での人脈を作っていく……こうした側面をオンラインでやり切れるのか? こうした不安がありました。



しかし、年間を通して日本各地で社会活動の制限が示されている状況です。そういった中で、対面での実施を前提として企画するとしたら、実施できない可能性をリスクとして負うことになります。

それならば、リモート前提で設計することで、リモート→対面へ切り替えるほうが運用しやすいのでは、と判断しました。目下、リモート環境下でいかに知識付与以外のフォローを充実させていくか、に心を砕いたのです。

そうして、できあがった4月のスケジュールがこちらです。

外部研修・Eラーニング・社内理解のための研修など、例年と変わらないプログラム。

外部研修・Eラーニング・社内理解のための研修など、例年と変わらないプログラム。



全体としては、人事部門研修が1か月、その後の部門研修が2か月の構成です。今回は、おもに人事部門での研修をお伝えします。

リモート研修のための工夫

1.敢えての余白を

対面研修のころは分刻みで入っていたスケジュールを、今年は1日のうち1~2時間は余白となるよう設定しました。オンライン会議が続くと、目・腰・耳など身体的な疲労につながる懸念があったこと、個別の質問などに対応することを想定して設けた余白です。とくに取り組むことがなければ、会議をつないだまま雑談していてもOKという緩やかなものです。

結果として、ねらい通り個別の対応や面談などに充てられたほか、外部研修のために送られてくる郵便物の受け取りや、突発の体調不良などで欠勤した社員のフォローなども余白に助けられました。日によっては雑談も盛り上がったようで、終業後、仕切り直して話し込むこともあったとか……?

2.自分のことを話す機会の創出

一度も対面で会うことなく、今日まで進んでいる新卒同士です。4月の研修では、お互いの人となり、考え方や価値観がわかるようなワークショップをたくさん実施しました。心理学をベースにした自己理解・他者理解や、キャリア研修で自分自身の価値観と今後目指すものなどを意識的に言語化する機会を多く設けました。

もちろん、自己開示の範囲は個人の自由としましたが、じっくり考えたいときはカメラオフでもOK、など場づくりに配慮しつつ、活発な発言が交わされました。研修初期にこうした機会に触れることで、ともすれば起きがちな、テキストコミュニケーションでの誤解防止や、「会社・同僚とのつながり」を認識してもらう機会になればというねらいもありました。

3.日報・事務連絡はつねに見える化

研修期間中は毎日、その日の学びや自習課題などを文章にまとめ、全社員がアクセス可能な場所にアップする運用にしました。人事担当だけでなく、先輩社員もふらりと現れてコメントを残していったり、何気なく書いた疑問を翌日別の先輩社員が解決してくれたり……。日報をオープンにしておくことで、広く会社全体で新卒社員と関わりが持てるようにしています。

また、各種事務連絡も、基本は社内のオープンなツールでおこないました。夕礼などのオンライン会議も1日1回は用意していましたが、結果的に、ツール上には履歴を残すことができるので、新卒同士で「これやった?」と自律的に動くにあたっても、効果的な方法になったと感じています。

4.テクノロジーのフル利用

実際に運用してみると、対面でしかできないものはほとんどないな、という印象でした。Zoomのブレイクアウト機能でグループ討議をする、Googleドキュメントなどの共同編集できるツールをホワイトボード替わりにする、投票機能やリアクションボタンの活用など、テクノロジーで大抵のことは解決できます。マナー研修では、カメラの前で遠巻きにお辞儀をしてその角度を計測、なんていうテクノロジーとアナログの合わせ技もできますし。

そして、各部門の業務体験も、すべてオンラインで実施しました!

  • データセンター見学:1日の仕事の流れの紹介や、スマートフォンのカメラで実況中継しながらのオンラインツアー!
  • 営業同行:いまはお客さまもzoom面談のご要望が多いので同席させていただき、議事録作成など。
  • 総務部門の体験(!):業務の流れ説明のほか、部門で実施している社内コミュニケーションの施策などをオンラインで支援。

意外と、できちゃいます。簡単に書いていますが、担当部門の方にはそれはそれは工夫を重ねていただきました。心より感謝いたします。

役員による創業ヒストリーの講義は、先輩社員も一緒に50名以上で聴講しました!(赤裸々な内容なのでモザイクです……)

役員による創業ヒストリーの講義は、先輩社員も一緒に50名以上で聴講しました!(赤裸々な内容なのでモザイクです……)

5.成果発表はラジオ制作!?

オンラインでもできること、からオンライン「だからこそ」できることを、と企画した研修の集大成は、なんとラジオ制作。当社社員におなじみ、作業しながら聞ける社内向けオンラインラジオ「さくらじ」を、新卒スペシャルとして作成してもらいました。

研修の感想、昨年入社した先輩社員へのインタビューから、大喜利などバラエティに富んだ企画をたて、事前の研修で学んだ仕事の進め方やロジカルシンキングをもとに取材調整、編集も各グループうまい具合に血が騒ぐメンバーが配置され、プロ仕様のソフトでアイコンまで作成した本格的な仕上がりに…!

字幕、BGM、専用背景など細部までこだわってます

字幕、BGM、専用背景など細部までこだわってます



すべてオンラインで打ち合わせし、作業の分担も難しそうなこの企画。取っ組み合いのケンカ(オンラインだけど)とか起きたらどうしよう、という人事担当の心配をよそに、納期前に期待以上の仕上がりで納品してくれた新卒社員、お見事です。全社に公開し、たくさんの反応がありました! ひとつの区切りになり、関係者一同ほっとしました。

その後は各部門でのより実践的な技術・業務研修となり、現在に至ります。

オンライン研修は、試練か? チャンスか?

まるで企画が成功の鍵、みたいな書きぶりで恐縮ですが、率直に言ってオンライン新人研修が上手くいったのは

  • 新卒同士の連携が強く、研修内容や事務連絡など、互いに協力しながら自律的に回るチームになっていた。
  • 新卒だけでなく、会社全体でもオンラインで物ごとを進めることが「普通のこと」になっていた。 

この2点が大きいと思います。



ここで、懺悔があります。新卒社員から「自分たちは、のちのち“コロナ入社世代”って言われるかもしれない。だからこそ“コロナ入社組ってすごいよね!”って称されるようにしたいです」と言われた際、何かというと新卒に「ごめん、例年は対面なんだけど……」「ごめん、ほらコロナだからさ……」と、私自身が言いがちだったことを恥じました。

コロナだから、業務体験ができない? いや、できます。

コロナだから、新卒同士のつながりが作れない? いや、できてます。



全体に目を向けると、じつは不便だと思っていたこの事情に、助けられていた部分も大きかったです。実際、今回研修に関わった人事担当メンバーは、ほかにも担当業務を持つ絶賛子育て世代。新人研修自体は複数回企画した経験こそあれど、保育園のお迎えで一足早く離脱する私と、3か月の育休を取得した男性の採用担当、育児も介護も当事者として支援に関わるキャリア相談担当者

居住地域も東京と大阪にわかれ、勤務にフルコミットできる時間帯や他業務の繁閑がバラバラなこの3人でも事務局運営できたのは、オンライン前提によって、さまざまな障壁が消えたからです。

対面だと「その場にいる人だけにしか伝わらない」情報が発生しがちですが、オープンな場で履歴が残るコミュニケーションをすることで、取り残される関係者はいませんでした。また、過去は生活リズムに慣れるまで通勤の負担で体調を崩すメンバーが発生することもありましたが、今年はそうした身体的負担もなく研修に向きあえたようにも思います。



この社会情勢が奪っていったものは、もちろんたくさんあります。でもそれ以上に得ているものも大きいはず。ポジティブに捉えて、いまある資源を最大限活用して自分の力にしていくこと。もしかしたら「コロナ入社世代」に根付いたかもしれないこの価値観は、企業が広く変化に対応していくうえで、とても大切なことなのかもしれません。そんなことに、新卒社員を通して気づかされました。

今後の彼らの活躍が楽しみです!



以上、今年度さくらインターネットの新卒社員研修についてお伝えしました。

当社に興味のある方はぜひこちらへ!

 

sakumaga.sakura.ad.jp