楽しいTechなキャリアについて考えるラジオ、通称『しがないラジオ』。 エンジニア兼パーソナリティの「がみ」さんと「ずっきー」さんが、毎回さまざまなゲストを呼んで議論したり雑談したりする番組です。
今回はIBM久保俊平さん企画の元、CROSS2020にて、さくらインターネット代表の田中邦裕をゲストに迎え、オンライン配信をおこないました。
その模様を記事にしましたので、ぜひご覧ください。
モデレーター
パネリスト
社長みずからリモートワーク
松村和輝さん(以下、ずっきー):本日はよろしくお願いします。いきなりですが、田中さんは沖縄に住んでいると聞いたのですが、本当ですか?
田中邦裕(以下、田中):そうなんです。今日はたまたま東京に出張してきているんですけどね。すぐに沖縄に帰ります。
池上純平さん(以下、がみ):沖縄にはいつから住んでいるんですか?
田中:去年の11月からです。私は大阪市民なので、住民票も大阪にあるのですが、いつかは沖縄に住みたいと思っていたんですよ。スキューバダイビングが趣味で、よく行っていたんです。沖縄に家を借りれば、ホテル代がかからないし、交通費も少なくなりますからね。
がみ:沖縄にもさくらインターネットのオフィスがあるんですか?
田中:それが、ないんですよ。いまのところは自宅で仕事するか、知り合いの会社のオフィスを借りて仕事しています。沖縄に事務所を作りたいな、といろいろなところで言っています。
ずっきー:沖縄も高専生が多かったり、ITが盛り上がっている感じがしますが、いかがでしょう?
田中:そうですね。沖縄県としてもITエンジニアを増やすための取り組みをしています。沖縄というと米軍基地の経済が大きいのでは? と思う方が多いと思うんですが、沖縄の産業の1位は観光、2位がIT、3位が基地経済なんです。最近は、沖縄で働くITエンジニアも増えていますね。
がみ:田中さんのお仕事は対面で会わないといけないことも多いイメージですが、出張はどれくらいしているんですか?
田中:月に1、2回くらいですね。それほど多くないですよ。
がみ:代表の方がリモートで働いているのは珍しいですね。
田中:上司こそ、現場にいなくていいと思うんです。謝りに行くとか、営業に行くときが上司の出番だと思っています。基本的にはSlackでやり取りできますし、オフィスにいる必要はないですよね。
ずっきー:田中さんがリモートで仕事することについて、社内外から反対意見は出なかったんですか?
田中:新型コロナがきっかけで、意識が変わったと思いますね。以前は「会社に行くべき」という考えがあったと思うのですが、「会社には行ってはいけない」と180度変わったじゃないですか。
ただ、対面で会うことにも、価値はあると思うんですよ。毎日顔を合わせる必要はないけど、たまに顔を合わせると話が弾みますよね。
ずっきー:確かにリモートで働いて、地方に出ていく人は増えているようですね。ちょうど今日(11月3日)東京からの転出が5000人を上回るというニュースもありました。
代表取締役社長ってどんな仕事をしているの?
がみ:田中さんのような「会社の代表」がどんな仕事をしているのか、あまりイメージができないのですが、なにをしている時間が長いのでしょうか?
田中:会議でZoomに向かっている時間が長いですね。長いときは1日8時間くらい。社内の仕事はそれほど多くなくて、役員定例会議や1on1くらいですかね。意思決定と情報共有のための会議をしています。
最近はスタートアップ企業を経営している方の壁打ち相手になることが多いですね。ほぼ毎日やっていると思います。
あとは社外の会議ですね。霞ヶ関の会議や、業界団体の会議に参加しています。
がみ:やっぱり会議が多くなるんですね。田中さんはいろいろな肩書があるじゃないですか。JDCC(日本データセンター協会)副理事長、CSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)副会長などなど……。こういう協会の仕事ってどんなことをしているんですか?
田中:このあたりのお話は、ぜひしたいと思っていたんです。
IT業界全体が安心して働けるようにコミットしたいと思っています。みなさんはIT健保(関東ITソフトウェア健康保険組合)ってご存知ですか?
IT健保はCSAJの前身、日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会が母体だったんです。なので、現在もCSAJと深い関わりがあります。IT業界に勤める人が安心して働けるようにしないと、10年後、20年後、IT業界が発展しないんですよね。
具体的になにをやっているかですが、国やデジタル庁などに提言をしたり、経済産業省の方と勉強会をしたりしています。IT業界の制度などを決めて、国や政治家の方ににどんどん提言する活動ですね。
がみ:なるほど。そういう話はぜんぜん知らなかったです。
ずっきー:知らなかったけど、そうやって僕らの仕事が守られてる面もあるんですね。
田中:そこまで大げさなものではないですけどね(笑)。間接的には、という感じです。
エンジニアが楽しんで働くには?
がみ:僕も、ずっきーさんもエンジニアですが、エンジニアが楽しく働いていけるようにするにはどうしたらいいと思いますか?
田中:「楽しく仕事をする」という価値観をみんなで肯定したほうがいいと思います。どうしても「仕事=楽しくない」という価値観になりがちだと思うんです。
経営者のコミュニティでは「仕事=楽しい」なんです。でも、社長が仕事は楽しいと思っても、社員が楽しくないと思っている会社なんてたくさんあるじゃないですか。
みんな、働きすぎだと思うんですよね。もうちょっと働く時間を短くしないとまずい。残業時間を自慢することをやめたほうがいいと思うんです。
さくらインターネットでは、平均残業時間が月に4、5時間なんですけど、それでも残業時間を自慢する人がいます。いわゆる「残業時間マウンティング」ですよね。
短く働くところからスタートして、仕事って楽しいものだよね、ということを当たり前にしたいですね。
仕事を楽しくなくしている要素があると思うんです。例えば納期。もちろん、納期を守って働くことが楽しいという人もいるでしょうから、それぞれの人にあったモチベーション設計が必要だと思います。
会社で仕事したい人は会社で仕事すればいいし、リモートで仕事したい人はリモートで仕事すればいいんです。一人ひとりが楽しく働けるような仕組み作りを丁寧にやっていくといいのかなと思います。サイボウズの青野さんが言ってますが「ワガママは許そう」ということです。
昔みたいに変化の少ない時代なら効率化とか安定秩序が大事だったんですけど、VUCA※といわれる今の時代は変化に強いほうが有利なわけです。
※VUCA・・・「Volatility(変動)」「Uncertainty(不確実)」「Complexity(複雑)」「Ambiguity(曖昧)」の頭文字をとった言葉
働いている人が楽しい、お客さまが成功する、社会にとって好影響を与える、ということをすれば合理的に儲かる時代になってきています。実際、社員を使い潰している会社ってどんどんダメになってますよね。
最後に
がみ:終了のお時間が近づいてきました。田中さんからなにかお知らせはありますか?
田中:さくらインターネットではエンジニアを募集しています。よくあるケースとして、30代で子どもができて働き方を変えたい、という方が多いです。家族との時間を大切にしつつ、ちゃんと働きたい方。自社サービスが大半の会社なので、お客さまに直接喜んでもらえます。そういうところにビビっときた方はぜひご応募ください。
がみ:完全にさくらインターネットさんの宣伝回になりましたが、特にお金などはもらっていません(笑)。本日はどうもありがとうございました。
ずっきー:ありがとうございました!