古いガイドブックはタイムマシン! 妄想だけでもいいし実際に行っても面白い

古いガイドブックはタイムマシン! 妄想だけでもいいし実際に行っても面白い

タイムマシンがもし完成したら、過去に行きたいか、未来に行きたいか、という論争がある。チューブの中を車が走り、銀色で首のあたりにツキノワグマの白色の模様のような青い線が入った全身タイツを着ているような未来も見てみたい。逆に夏になれば川に櫓(やぐら)ができて、近所の子供達がそこに登り川に飛び込み、三輪の車が走る過去も見てみたい気もする。

どちらも非常に魅力的だ。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見ても、過去にも未来にも行っている。どっちも魅力的なのだろう。他の映画を見ても、未来を描いたものはたくさんあるし、やはり過去を描いたものもたくさんある。それぞれに魅力があるのだ。

ただ私の答えは「未来に行く」である。まだ見たことのない景色が広がっているはずだからだ。チューブの中を走りたいじゃない、銀色の全身タイツを着たいじゃない。もちろんそれが理由ではあるけれど、それだけではない。過去への旅は実は今もできるからだ。

 

今回はガイドブックの話です!

今回はガイドブックの話です!

 

我々は旅に出る時、ガイドブックを買う。本屋さんに行けば、国内はもちろん、国外のガイドブックもずらりと並んでいる。本当にずらりなのだ。どれを買えばいいのかと悩むほど。スマホが普及しているけれど、海外などは特にガイドブックを買う人は多いのではないだろうか。

私は海外に行く時、必ずガイドブックを買う。別に回し者ではないけれど、「地球の歩き方」を買う。地球の歩き方を持たずに海外に行ったことがない。現地ではスマホも使うけれど、保険として地球の歩き方を持って行っているのだ。ただそれだけではない。

 

古いガイドブックも一緒に買います!

古いガイドブックも一緒に買います!

 

地球の歩き方は地域によるが毎年最新版が出ている。ということは、過去のものになった地球の歩き方もあるわけだ。上記の地球の歩き方は1989年のもの。ロシアではなくソ連というのが時代を簡単に感じることができるポイントだ。 中を見ると今の風景ではない写真が並んでいる。今のガイドブックと古いガイドブックを交互に見ることで、今のロシアに行かなくても、気軽に変化がわかり、過去へタイムスリップしたような感じがするのだ。つまりタイムマシンがなくても、過去へは行けちゃっているのだ(未来に来た感じもするのだけれど、それは後述)。 

 

地球の歩き方以外もあります!

地球の歩き方以外もあります!

 

もちろん地球の歩き方以外にも古いガイドブックは存在する。上記のエアリアガイドのソ連も1989年に出版されたもの。これらの古いガイドブックを見つつ、今のガイドブックを見ると鮮明に変化がわかる。とても気軽なタイムスリップだ。 

 

1989年はモスクワ水泳場があった

1989年はモスクワ水泳場があった

 

今のガイドブックでは別の建物に!(地球の歩き方より)

今のガイドブックでは別の建物に!(地球の歩き方より)

 

今のガイドブックを見ると「救世主キリスト聖堂」というものがある。白くてとても綺麗な建物だ。しかし、その場所を1989年のガイドブックで見るとない。そこにはあるのは、モスクワ水泳場。温水のプールなのだ。新しいタイプの間違い探しとも言えるし、時間旅行とも言える。

この旅のポイントは古いガイドブックだけでは成立しないこと。新しいガイドブックも必要だ。今を知ることで過去の旅へのチケットを手に入れることができるのだ。そんなことを知ってから、本当に旅に出ると、過去を知っているので、今までの旅にはなかった感動を得ることができる。

 

ロシアは本当に行きました!

ロシアは本当に行きました!

過去のガイドブック

古いガイドブックはタイムマシンとも言える。ただ、いわゆるタイムマシンと違うのは、入力すればどの時代の、どの場所にでも行けるわけではないということ。つまりたくさんの古いガイドブックが必要なのだ。多ければ多いほど、時間旅行ができることになる。

 

たくさん集めています!

たくさん集めています!

 

そのため、たくさんの古いガイドブックを集めている。本屋で買うことはできないので、古書店に行っては探し、懐と相談して買うのだ。意外に高いものもある。先のソ連時代の地球の歩き方は高すぎて、しばらく生活が苦しくなったのを覚えている。ここではそんな古いガイドブックの一部を紹介したい。

 

地球の歩き方香港(1991年)

地球の歩き方香港(1991年)

 

地球の歩き方南米(1988年)

地球の歩き方南米(1988年)

 

海外のガイドブックの定番「地球の歩き方」。あまり古いのは見かけない気がする。あるのだろうけれど、私はあまり見かけたことがない。また古い地球の歩き方は残念ながらカラーページが少なく、可能な限り鮮明にタイムスリップしたいので、あまり適しているとはいえないけれど、文字の情報量は多く、当時の情報を知るにはいい。これと他のガイドブックを組み合わせると、なかなか充実したタイムスリップを楽しめる。

あまり見かけない理由は、古いガイドブック全般に言えることだけれど、少ないのだ。基本的に古い情報を見ても、役に立たない。行ってみるとなくなっていることも多い。先のモスクワ水泳場もそうだ。そのため、多くは捨てられてしまい、流通していないのだ、と古書店の人に聞いた。

特に目覚ましい発展をする国などは、1年で情報が古くなる。以前、ドバイに行った時、1年ほど古いガイドブックを持って行ったら、ガイドブックにない電車が走っていた。これはなに? となったのだ。ある意味、未来へのタイムスリップができたとも言えるので、古いガイドブックで、現地にまで行けば、未来へのタイムスリップができるのかもしれない。銀色の全身タイツは誰も着ていなかったけど。

 

エアリアガイドメキシコの旅(1990年)

エアリアガイドメキシコの旅(1990年)

 

エアリアガイドペルーボリビアコロンビア(1991年)

エアリアガイドペルーボリビアコロンビア(1991年)

 

エアリアガイドアラスカ(1993年)

エアリアガイドアラスカ(1993年)

 

エアリアガイドは古いガイドブックとしてはかなりオススメ。カラーページが多くて、というかオールカラーで写真も多い。ちょっとしたコラムもカレーに少しチョコレートのような絶妙な隠し味のような感じで差し込まれていて、当時のその国の様子を知ることができて面白い。

エアリアガイド自体は海外だけではなく、日本版もあるのだけれど、私は両方集めている。人気だったようで重版がかかっていることもあり、割と見かける。できれば初版が欲しいのだけれど、別にいいかと買って集めている。

 

これとか感動の一冊です!(1990年)

これとか感動の一冊です!(1990年)

 

東欧の旅には、ブルガリアが載っている。1990年に出版というのが絶妙なのだ。1973年に、当時のブルガリアの最高指導者であるジフコフが「ブルガリアとソ連は同じ肺で呼吸し、同じ血液で栄養が運ばれる一つの肉体として行動する」と言っている。つまりブルガリアはお手本のようなソ連の衛星国だったわけだ。

しかし、1989年にクーデターが起こり、共産党独裁体制が崩れ、1990年にブルガリア共和国となる。衛星国でなくなったのだ。このガイドブックが出版された1990年は、民主化に向けて整備されている真っ最中ということになる。共産党独裁体制の様子が色濃く残る当時の様子を知ることができるのだ。レーニン像があり、「ブルガリア人民共和国の父」と言われたゲオルギ・ディミトロフ廟にページが割かれている。

ただ今のガイドブックを見るとそんな様子は記されていない。もうないのだ。そして、ガイドブックの良い点は当時の様子を当時の言葉で書かれていること。最近書かれた昔を記したものではなく、リアルタイムがそこにはあるのだ。しかも、専門書ではないのでわかりやすい言葉で。そこも古いガイドブックの魅力だ。

 

ハワイ(1962年)

ハワイ(1962年)

 

パリ(1963年)

パリ(1963年)

 

ロンドン(1964年)

ロンドン(1964年)

 

保育社が出版しているカラーブックスにもガイドブック的な本がある。カラーブックスは1962年から1999年の間に909点が刊行されたシリーズで、ガイドブックに特化したものではない。「竹とささ(1971年)」「小住宅(1968年)」「ミツバチの世界(1963年)」など、様々なものがあるが、その中に海外を紹介したものがあるのだ。

 

すすきののママ101人(1989年)は人気の一冊

すすきののママ101人(1989年)は人気の一冊

 

名前からもわかるようにカラー写真がふんだんで、見ているだけで楽しい。ただガイドブックではないので、多くの国をカバーしているわけではない。ない国も多いけれど、ある国のものは全部集めたいといま頑張って集めている。

 

ヴェネツィア案内(1979年)

ヴェネツィア案内(1979年)

 

イスタンブール案内(1980年)

イスタンブール案内(1980年)

 

これは「平凡社カラー新書」。こちらもカラーブックスと同じようにガイドブックに特化したシリーズではない。ただカラー写真が豊富で、文章も割と多いので、読み物としても面白い。こちらも集めているのだけれど、カラーブックスよりも、見かける率は低い。

 

ソビエト(1966)

ソビエト(1966)

 

ハワイ・香港(1966)

ハワイ・香港(1966)

 

世界文化シリーズも面白い。いわゆるガイドブックではないけれど、写真も豊富だし、綺麗。全24冊でいろいろな国を紹介しているので、全巻揃えたいのだけれど、まだ揃わない。ハワイと香港を一冊にまとめたりと、思い切りのよさが面白い。ガイドブックだとその組み合わせはまずない。

 

そして、さくらインターネットですよ!

そして、さくらインターネットですよ!

 

紹介したもの以外にもかなりの冊数を集めていて、読んでいて楽しいのだけれど、とにかく場所を取る。さくらインターネットの「石狩データセンター」みたいな施設が欲しくなる。石狩データセンターは、地震・津波・液状化のリスクが低く、レイアウトの自由度が高く、無停電電源装置があるなど理想的な環境だ。このような環境が私の家にも欲しい。本でギュウギュウなのだ。

 

しかもエコなんだぜ!

しかもエコなんだぜ!

昔のガイドブックで中国に行った

私は海外に行く時は、手に入れば、ということになるけれど、最新のガイドブックと古いガイドブックを持って行くようにしている。2017年に中国に行った時も、最新の地球の歩き方と、1972年に出版されたカラーブックスの「新しい中国」を持って行った。

 

新しい中国

新しい中国

 

今の中国

今の中国

 

散々書いたけれど、最新のガイドブックで旅するだけでは出会えない楽しみが生まれている。最新のガイドブックだけだと「綺麗だね!」くらいの感動だけど、古いガイドブックも合わされば、「綺麗だね! 変わってないじゃん!」という感動も同時に生まれる。

もちろん変わっていれば、「綺麗だね! 変わってるね! 当時と違うね! マジかよ、時代は変わってるね! やっぱり21世紀だもんね! この調子で行けば来年あたりは、チューブの中を車が走るよ! 銀色の全身タイツ着ちゃうじゃないの! だって、変わってるもん! こんなに変わっているということは、今後もどんどん変わるよ!」

という「!」が多い感動が生まれるのだ。若干うざいと感じるほどの感動だ。 

 

当時のバス(新しい中国より)

当時のバス(新しい中国より)

 

今のバス

今のバス

未来を感じることもできる。古いガイドブックの魅力は、自宅で旅を妄想する時は、見比べることで過去にタイムスリップができて、現地に持っていけば、未来に来た気がするということになる。タイムマシンなのだ。古いガイドブックはタイムマシン、ということだけ覚えて帰って欲しい。 

 

古いガイドブックにはない、中国の新幹線!

古いガイドブックにはない、中国の新幹線!