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声優とアニメプロデューサーのお仕事 福原香織さん ✕ 田中宏幸さん対談

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今回の記事では、株式会社サイバーエージェント アニメ&ゲーム事業戦略室副室長の田中宏幸さんと声優 福原香織さんとの対談の様子をお届けします。「かと*ふく」のプロデュースをきっかけに知り合ったお二人。普段なかなか聞くことのできない「アニメプロデューサー」のお仕事についてもお聞きしました。

 

サイバーエージェントでアニメのプロデュース

ーー本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、田中さんは現在どのようなお仕事をされているのか教えてください。

田中 宏幸さん(以下、田中):2年前にエイベックスピクチャーズからサイバーエージェントに転職をして、主にアニメのプロデューサーとして活動をしていますね。サイバーエージェントにはアプリゲームやAbemaTVといった事業もあるので、そこをうまく活用しながらアニメをプロデュースをしています。

 

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田中 宏幸さん
株式会社Digital Double(デジタル ダブル) 取締役 株式会社サイバーエージェント アニメ&ゲーム事業戦略室副室長 「這いよれ! ニャル子さん」「Wake Up, Girls!」「ユーリ!!! on ICE」などのアニメをプロデューサーを担当

 

ーー福原さんと田中さんはいつ頃からお仕事を一緒にされてるんですか?

福原 香織さん(以下、福原):もう8年くらいですかね?

 

田中:2011年10月からBSフジさんで放送していた「アドリブアニメ研究所」という声優バラエティ番組で一緒に仕事をしましたね。その時が初めて会ったというわけではないんですけど、ちゃんと仕事をしたのはそれが初めてです。

 

福原:その番組からかと*ふく(加藤英美里&福原香織)という声優ユニットを組んで、歌の活動にも派生したんです。そこのプロデュースを田中さんがやってくださっていました。5年くらい活動しましたね。

 

シングルやアルバムCDをリリースしたり、アニメタイアップとか、ライブとか、色々やらせていただきました。穏やかな人たちの集まりだったので、みんなで楽しくやってました。他にも、田中さんが関わっているアニメ作品に声優として何作品か出演させていただいたりもしました。

 

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ーーお二人が初めて会った時の印象はいかがでしたか?

福原:初めて会ったときは、まだ私がコミュニケーション術を身につけていない時期だったので、一回りぐらい年上の方とどう喋ったらいいかわからなかったです。

深い話やプライベートの話をできるようになったのは一緒にお仕事を始めるようになって少し時間が経ってからですね。今でこそ超フランクに話せる関係だけど、最初は”プロデューサー”ということもあり、粗相のないように気を使っていました。

 

田中:福原さんは真面目な感じでしたね。僕と福原さんが初めて一緒に仕事した当時、声優のバラエティ番組って、ほとんどなかったんですよ。今でこそそういう番組も増えてますけど、当時は僕も模索しながらやっていたんです。

番組制作にあたっていろいろと福原さんからも意見をもらったり、番組スタッフとも直接会話してもらったりしてました。 意見交換しながら番組をやった覚えがあるので、真面目な方なんだなあという印象です。

いまは真面目にプラスしてちょっとやわらかさが出てきてるけど、昔はもう少し張りつめた感じでしたね。

 

福原:確かに良く言われる(笑)。年を重ねて丸くなったのかもしれません(笑)。

 

田中:ひと現場、ひと現場に真面目に取り組んでいましたね。いまが真剣じゃないってわけじゃないですよ(笑)。

 

フリーになっても変わらぬ付き合い

ーー他に初めて会った時の福原さんと現在の福原さんで変わったなと思うことはありますか?

田中:チャレンジマインドがすごくあるから、常に新しいことにチャレンジしてるような感じがしますね。昔もいまも全力投球だと思うんだけど、少し肩の力を抜いて何のためにやってるのかを考えてやっているな、って傍から見てると思います。

フリーランスの時期を経てるから、コミュニケーションが苦手なんですっていうのは済まされない状況を自ら作ったのが大きいんじゃないですかね。

 

福原:修行でしたね。フリーランスの3年で一皮むけたと思います!

 

ーーフリーランス時代の福原さんと田中さんはお仕事を一緒にしたことはあるんですか?

福原:フリーになったばかりのときに、イベントの運営を手伝っていただきました。フリーになって一人ではやりきれないこともありました。そんなときに田中さんをはじめ、今までお世話になったスタッフさんたちが助けてくださって本当にありがたかったです。

あとは飲み友達のような感じで定期的に会って、積もる話があればお互い言いあったりって感じの3年間でしたね。

 

田中さんって表向きはいい意味でいつもニコニコしてて、結構ヘラヘラしてるんです。…ほめてますよ!!(笑)。でも、それは田中さんなりの仕事術のひとつだと思っています。近寄りがたさが出ないのは田中さんのすごいところですね。

いまも偉い方ですからね。昔からそういうスタンスなので、一緒にものづくりをしながらこうやって仲良くなっていけたのかなって思います。

 

ーー一緒に仕事をしていて、お互いのここがすごいと思ったことを教えてください。

田中:プロデューサーの仕事って枠組みを作る仕事が多いんですね。枠組みを作るところ以降ってクリエイターさんや役者さんに委ねる部分が大きいです。

ひと現場、ひと現場を限りある時間の中で100%の力を出してもらうことがすごく大事だと思うんですね。そんな中で福原さんは率先して他の役者さんを束ねてモチベーションを上げることをしてくれるのでありがたいです。

 

福原:皆さん「プロデューサー」っていろいろなイメージをお持ちだと思います。ただ、なんとなくプロデューサーっていうとやっぱりガツガツギラギラ風なイメージがあると思うんです。でも、田中さんって役者目線で見ると縁の下の力持ちなんです。

 

役者がスタッフさんとコミュニケーションをしたいけど、ちょっと言いづらいなってことが出てきた時に先回ってサポートしていてくれる。それも、やっておいたよって感じではなく、さりげなくケアをしてくれるんです。役者が気持ち良くお仕事できる場を整えてくれる。楽しく、そして集中して仕事をできる現場作りをナチュラルに整えてくれるのがすごくありがたいなと思ってます。

 

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インターネットにより業界に変化

ーーAbemaTV もそうですけどインターネットが発達してネットでアニメも見られる時代になりました。以前と比べて業界に変化はありましたか?

田中:まさにビジネス的に言うとアニメも視聴習慣が大きく変わりました。ビジネスチャンスは海外にも広がっているし、キャラクタービジネスとしてもアプリゲームの存在感もすごく大きくなってます。

アニメのプロデューサーとしてコンテンツ開発をすること自体は変わらないですけど、どういう環境でやるのかっていうことがシフトしてます。お客さんの動向がシフトしてる結果、自分も転職を決断してますしね。

いまはひとつの会社にずっと居る時代ではないかも知れないし、サラリーマンである必要すらないのかも知れない。特にプロデュサーの場合は自分自身のスキルが大事ですね。

 

福原:もちろん基本はお芝居が出来ることは前提の話ですが、近年は声優がよりタレント化したと思いますね。私がデビューした当時はお芝居にプラスアルファで歌とかダンスができたらすごいと言われていました。でも、いまそれができるのが当たり前で、できないと選択肢が狭まるようになってきてますね。だからこれからデビューする人は正直大変な部分も多いと思います。

 

あと、アニメのアフレコ現場なんかだと、昔は先輩がたくさんいる中で新人が数人居るような現場が多かったけど、いまは新人さんがいっぱいいる中でキャリアのある人が1人、2人のような現場も結構多くなっていて。そこで私たちができる事ってなんだろう?っていうのは最近すごく考えるようになりましたね。

先輩が少ないからスタジオでのマナーや作法を教えられる機会も減ってきてるし、私自身もどう教えてあげるのがベストなんだろうって。そもそも私なんかが力になれるのかわからないけど、でもその辺は少しでも新人の子にも貢献できたらいいなと思っています。 

オリジナルアニメの企画開発

ーー現在、お二人がお仕事で特に熱量を持っておこなっていることを教えてください。

田中:いまはオリジナルアニメの企画開発をおこなっています。アニメとアプリゲームのメディアミックスのプロジェクトを制作プロデューサーとしてやってますね。

あとはDigital Doubleという会社で役員をやってるんですけど、そちらは音楽制作であったり、マネージメント事業をやる会社です。アニソン歌手の鈴木このみさんに今年から所属していただいたり、現在は、新人の声優さんをオーディションで一般募集をしています。

 

自分の中で音楽とアニメはすごく密接にやってきているので、ようやく音楽をやる場所とアニメをやる場所両方の足場ができたので、それを頑張ります。「這いよれ! ニャル子さん」「Wake Up, Girls!」「ユーリ!!! on ICE」という作品は音楽と切っても切れない関係でしたね。

 

福原:私は松岡修造さんみたいなタイプなので割と全部に熱量があるタイプではありますが(笑)。昨年11月にフリーランスから声優事務所に所属したので、環境や周りの人も変わってゼロから構築しなければならない部分も出てきました。

あと、いま過去を振り返るともっとこうできたなって事がいくつかあるんです。後悔とかそういうのじゃなくてね。それを沢山経験を重ねて30代になったいまだからこそ、実践出来るんじゃないかと思ってます。

 

例えば、チームでどう士気を上げていくかとか。昔はそんな余裕はなかったんですけど、どうしたら働きやすい環境づくりができるかな、私が今の事務所に入ったことでどうしたら事務所やマネージャーさん、後輩たちに良い影響を与えることができるかなという事を考えながら、日々の仕事と向き合っています。

みんなが気持ち良い場で、気持ち良く仕事が出来れば、結果はおのずとついてくるような気がするんですよね。

 

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アニメプロデューサー 田中宏幸さんの「やりたいこと」

ーーさくマガのコンセプトである「やりたいことをできるに変える」に関連して、いま「やりたいこと」とそれを実現するためにどうしようと考えているかをお二人に語っていただきたいです。

田中:僕は意外とネガティブ思考もあって、やってみてダメだった時にどういう価値が残るんだろうというのは常に考えてます。「この作品をやる」っていうのはただ面白いからやりたいとかそういうことじゃなくて、この作品に会社のお金を投資をしてやる事はどういう意義があって、万が一いい成績が残せなかったとしてもどういう価値が残るのかを考えています。

仮に今回がダメだったとしても、良いクリエイターと向き合えるのであれば苦労する価値があるな。といったことを考えたうえでやった結果、当たったらまた次のステップに入るみたいな感じです。

 

なので、やりたいことを考える時の判断基準としてはそういうところを考えます。 それともう一つあるのが、DigitalDoubleというアーティストや声優のマネージメント会社作り、現在はジャストプロさんと合同で、声優のオーディションも募集中なので、総合的にアニメコンテンツビジネスの広いところリーチできる環境を作っています。移籍してくれたアニソンアーティストの鈴木このみさんのライブツアーも6月から始まります。

 

福原:私は今年の11月で声優デビューして15年になります。いまは自分が何がしたいかももちろん大事ですけど、誰と何がしたいかってこともすごく考えるんです。田中さんもおっしゃるように結果が出る時もあれば、思うように結果が出ない時とか、エンタメなので当然出てくるんですよ。

万が一思うように結果が出なかったなって時にも、自分の考えや軸がしっかりあって、そこへ向けてしっかりやれていれば悔いはないっていうか、ちゃんとその先の扉も見えてくるんじゃないかなって気がしてます。

あと、やりたい!って思ってたはずなのに、いつの間にか後回しになっていたり、いつかやろう…!ってなってしまっていることが、案外ポツポツと落ちているので。それを拾っていく一年にしたいです。ファンの方にも喜んでいただける一年にしたいですね。

執筆

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

編集

天内 雅晴

さくらインターネットでWebマーケティングを担当。プロダクト企画担当を経て、現職。現在、パラレルキャリアとして、広告運用代行の業務をおこなっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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