サンミュージック所属 フィフィさん「日本の企業はルールに縛られすぎ」

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フィフィさん

サンミュージック所属のタレント。テレビ、ラジオ、ウェブメディアで活躍中。Twitterのフォロワー数は43万人超え。最近は「社会派YouTuber」としても活動中。

各業界の著名人にインタビューをしていく、この企画。今回はエジプト出身のタレント、フィフィさんにお話をうかがいました。フィフィさんのこれまでのキャリアや日本社会の働き方について語っていただきました!

フィフィさん「就活を3日で辞めてアメリカに」

ーーフィフィさんは大学卒業後にカラオケ会社などに就職されていますが、これまでのキャリアについてあらためて教えてください。

就職活動をしたんですけど、私、普通の学部生だったんですよ。留学生ではなく。たくさんブースが出ている就活イベントがあるじゃないですか。そこで面接を受けていく中で、ことあるごとに「英語できますか」ってことばかり聞かれて。 「え、普通にみんなと同じような学生なのに、そこ求められるんだ」と思って、これはまずいということになって、就活を3日で辞めてすぐアメリカに行ったんですよ。

外国人の顔をしていると外国人というものを企業に求められるんですよ。だったら、ちゃんと外国人になって帰ってこないとまずいと思って、英語の勉強で2年弱ぐらいアメリカで過ごしました。

 

でも、2年弱じゃビジネス英語はできないですよ。できないけど、とりあえず戻ってきて就職活動をまた始めたら、やっぱり募集要項に海外出張行ける方とか、英語がある程度話せる方と書いてあったんです。面接では海外に抵抗ないか、英語はできるかを聞かれたので海外に抵抗は無いし、英語はできますって答えました(笑)。

そうしたらその場で採用が決まっちゃって。びっくりしました。それで名古屋のカラオケ会社に入って制作の仕事をしてましたね。 契約社員として3年契約で入ったら、契約が更新されなくて終わっちゃったんですよ。いまだにその会社の方とは仲良いですけどね。

 

名古屋では他にエンタメ系の会社ってなかなか無くて、いままでのキャリアを生かせずどうしようかなと思って。その時にはもう結婚してたんですけど、旦那と「そういえば私たちって東京住んだこと無いよね」って話になったんです。

海外に行ったときに、東京も知らずに日本を語るのってどうなんだ?って思いはなんとなくあったんですよ。ちょうど旦那も転職するか迷っていたので、東京に住み始めました。 最初のうちは普通に就職活動してたんですけど、就職活動してるうちに妊娠したんです。妊娠した状態で就職するのはどうなるかわからないので申し訳ないなと思って就活をやめました。

フィフィさん「子どもを生んでから就活」

子どもを産んでから、就活している中で、東京に来たばかりの時に登録していたエキストラ事務所から連絡があったんですよ。妊娠してた時からちょこちょこ仕事の連絡はきていたんですけど、お断りしてて。

で、その事務所からこういう番組に出てみませんかって言われて出た時に、たまたま評判が良くて。他にも色々なテレビの仕事が来ちゃって、そのまま流れでテレビ出て今に至るみたいな感じです。

別に自分で進んでテレビ出たいなと思って出たわけじゃないんです。

 

一番ビックリしたのが「徹子の部屋」に出たとき。その前に何度かドッキリ番組に引っかかっていたので、絶対ドッキリだと思ってたんですよ! だって、あまりに早かったから。徹子の部屋に呼ばれるのが。徹子の部屋に早く呼ばれるのって急に良い成績をあげたスポーツ選手とか何か賞を取った小説家くらいだと思うんですよ。

絶対あやしいぞ。この間もドッキリ引っかかったしと思って。何かあると思ったら、本当に現場に徹子さんが現れて。それでも、まだあやしいと思ってたの。

収録が終わったあと、徹子さんに「これドッキリだと思ってたんです。本当なんですね。」って言ったんです。そしたら「本当よ」って言われて(笑)。

 

それくらい、デビューしてから早かったので何か教えてくれる人がいなかったんです。やりながら覚えた。駆け足で振り返る暇もなく、ここまで来ちゃいましたね。

最近になってようやくです。振り返ってみて、これからどういうことをやってい こうかなっていうのは。いままでは子育てもあったし忙しすぎました。

今年でデビューして16年目ですよ。息子が生後8カ月から活動していて今年16歳なので。

フィフィさん「Twitterは自分の言いたいことを言える場所」

ーーSNS運用、特にTwitterを上手に活用されていると思いますが、運用する上で意識していることはございますか?

いま43万人くらいフォロワーがいて、そこから勝手に記事になったりするんだけど、全部お金になってないのが悔しくなってきちゃって。二年ぐらい前からやりたいって言ってたYouTubeにフィールドを広げました。でも難しいね(笑)。Twitterみたいに言いたいこと言ってたら終わりってわけじゃないから。

やっぱ番組を作るってなるとすごい大変だったことに気付きましたけど。でもTwitterは逆にお金が発生しないから、だからこそ言わされてる感もなく、自分の言いたいことを言える場所だったんだなと思って。だから自分の良さが出たと思ってます。あそこにお金というものが発生するプラットフォームなら色々なことを考えすぎて投稿しちゃうと思う。

 

だから、いまめっちゃお利口さんですよ。YouTubeは勉強系の動画だけで言いたいこと言うものではないんですよ。誰にでも気に入られたいみたいな(笑)。

Twitterでお金が発生してスポンサーがいたら分かりやすいステマをしていたかもしれませんね。それがないので、誰にも媚びる必要が無いので、素直な意見を書いてました。

「お金が発生しない=そこの重み」っていうのが信用されていたのかもしれないです。

 

Twitterって勝手に広告流れてますけど、基本的にこっちにお金入ってないんですよね。Twitterではお金にならないことをやってます。こっそりステマでお金を貰っている方はいますけど、ステマをやりすぎると信用無くす。だからある意味の純粋な意見を聞けるツールなんじゃないかなと思ってます。

フィフィさん「日本の企業はルールに縛られすぎ」

ーー日本社会の働き方で改善したほうが良いと思うことを教えてください。

私が会社員時代に常日ごろ思っていたのは、無駄が多いってことですね。思いません? 報告書ってあるじゃないですか。あれを毎日書かされてて。 みんなコピペしてて、上司も絶対わかってるのになんで出させるんだろう。会議もそうで、もう終わっていいだろうっていうのに長かったり。効率が良くないなと思っていました。

 

もっと無駄を省いていったらこんなにネットワークが進んでいるので、多分会社に行かなくていいでしょうね。職種によっては一週間に一回ぐらいでいいんじゃないかな。

そうすればプライベートの時間とか、もっと時間の有効的な使いかたは出てくると思います。日本は規則でどうしてもそこにいなきゃいけないとか、みんなで一緒にいなきゃいけないっていうのを重要視するし、重要視しすぎてるから、それで無駄が多いんじゃないかなと思います。

 

例えば、台風の時でもみんなで駅に行くじゃないですか? 今日は(電車が)ストップしちゃってるから終わり! でいいのに。ルールに縛られすぎているような気がします。雨が降ろうがそれこそ槍が降ろうが、どんなことがあっても、駅に向かわなきゃいけないってなっちゃってるんですよね。そこから抜け出さないと効率の良い仕事ができないじゃないですか。

あと、もっと実力主義でいいですよね。無駄な評価はいらないです。真面目でも仕事できなかったらそれまでなので。会社や職種によりけりだとは思うけど、まだちょっと無駄が多いところがあると思います。

 

スマートな働き方を求められるようになると、家の中のやれることが増えて自然にイクメンが増えると思うな。社会がいちいちイクメン! イクメンにならないと!! って言わなきゃいけないとかそういう問題じゃないんで。自分の子どもを育てるんだから、自然になってほしい。何を言ってるんだって感じですよ。

アメリカで学んだ「意見を言うこと」

ーー仕事で自分の意見を言えない会社員が多く居ます。フィフィさんは意見をはっきり言うイメージがありますが、どうすれば意見をはっきり言えるようになると考えていますか?

意見を言うことはすごく大事だと思います。アメリカの語学学校に通っていた時、成績をもらったんですけど、めちゃくちゃ成績悪くて。 納得できなくて先生に言いに行ったんですよ。「なんでこんなに成績悪いんですか?私、授業わかってるのに」って言ったら、先生は「うん、そういうふうに言う気持ちもわかる。なんで成績が悪いかって言うとあなたは手を挙げて発言しなかったり、自分でわかってるってことを表現しないから」って言われて。

「いや、でも先生、私がわかってることは、わかってるでしょ」て言ったら、「あなた日本に長くいたんだっけ? 日本人の生徒みんなそう。それ悪いところだからね。アメリカはいろんな人種がいて、いろんなバックグラウンドの人、いろんな性格の人がいるから、一人ひとりの顔色をうかがって成績をつけるわけじゃない。そんな手間なことはやらない。自分を表現しない子はそれだけの成績しか与えられない。アメリカはそんな甘くないわよ!」って言われて。

 

確かに、他の国の子たちって、小学生のように、そんなの分かるじゃんということにもすごい勢いで手をあげてアピールする。日本の教育の中ではそれが子どもっぽいなと思っちゃうんですが。

そう言われて日本に戻ってきました。もともと、はっきり言うタイプではあったと思いますけど、さらにはっきり言うようになりましたね。 ただし、はっきり言うにも気をつけなきゃいけないことがあって。

実はフィフィも意外と気をつけてることがあるんです。人を傷つけないように発言をしようと思ってもわからないですよ。良いことを言っていても、それが人によっては嫌だってなるので。

 「ポライト」を意識

じゃあ何を気をつけなきゃいけないかというと「ポライト」を気をつけてます。 ポライトって礼儀正しいってことなんですけど、乱暴な言葉だけは使わないように気をつけてます。私のTwitterを見るとわかると思うんですけど、基本的にはポライトに気をつけているので。バカ野郎とかいう言葉を使った事も無ければ、人の名前を書く時も「さん付け」にしてるんですよ。

 

普通に意見を言っているだけでもどうしても敵って出てきちゃうし。ただ、失礼に当たらないようにしてる。

ディベートの時も考えているのは、基本的には意見を言い合うのは全然良いと思うんですけど、悪口にならないようにポライトを意識して失礼な言葉で言わない、乱暴な言葉を使わない、相手を尊重する、というのは姿勢でわかると思うんです。

 

ーー事務所の後輩も数多くいらっしゃると思いますが、後輩への教育や付き合いはどのように行っているか教えてください。

事務所に後輩って居るのかな? あのね、外国人タレントの中ではそういう意識があるんですよ。外国人の第何世代っていうのがあって。そうすると、私の上がボビーさんとかセイン・カミュさんなんです。あとゾマホンさんもちょっと上かな。アグネスチャンさんとかマルシアさんがもっと上です。

 

私の後輩って誰になるんだろう。後輩の教育とか、付き合いっていうのは無いですね。前にアグネスチャンさんが外国人会を作ろうって言って、何回か集まったみたいですけど、私は行けなかったので。

サンミュージック内でも同じカテゴリの人が居ないので、直接の後輩って居ないんですよね。お笑い芸人さんだと先輩、後輩っていうのはありますけど。 

フィフィさん「社会派YouTuberに空きがあると思った」

ーー いま気になっているニュースはどんなことでしょうか。

最近、YouTubeをやってるから、そこで使えるかどうかっていうのを気にするようになりました。私は社会派YouTuberっていうのをやりたくて。うちの子どもはドンピシャでYouTuber世代なんだけど、ほとんどはバラエティーの人たちを見る世代が(YouTuberの文化を)支えて来たところあって。でも、最近はバラエティーのYouTubeを見ない。何を見てるのかなと思ったら、芸能界の裏とか社会の闇とか、そういうのを見てるわけ。ある意味、知識的コンテンツを見てるんですよ。

 

そこで、「あ、そっか。YouTubeドンピシャで育った世代がどんどん上に上がって行くから、ただ笑って終わりっていうのは卒業していくんだ。社会派YouTuberに空いてるところがある。」って思ったんですよ。もちろん、すでに社会派やってる人は居るんだけど、環境が整ったからやってみようと思って。

YouTubeはお金が発生するじゃないですか。それも考えるといろんな人に見てもらいたいんですよ。製作費もかかってるし。 自分の息子もYouTubeを見ているので、何が大事かなって思ったら完全にカテゴリがパッと決まりました。言いたいことを言う社会派の人たちが多い中で、私は違うんですよ。

 

息子たちの世代が見てもわかるニュース解説番組を作ろう。と思っています。私は主婦でもあるので世の奥さまたちが見て、今さら恥ずかしくて聞けないことをわかりやすくフィフィの目線で伝えようって思って。だから、ニュースの見かたは完全にそういうものが視野に入ってます。

ちょうどホワイトボードでまとめられるぐらいの知識でわかって欲しいって思う親心と中学生が見てもわかりますよっていう内容にしてるんです。

 

自分がアウトプットするときは、「ソース」というものは非常に大事なので、気をつけています。いろいろ学びましたから。痛い思いをしながら。 偏ってしまったり、陰謀になってしまうと、そんな知識を私は自分の子どもに植えつけたくないですし。なので、ちゃんと政府が出している情報から取り上げています。 ソースがはっきりしていて偏らないことを目指していますね。

フィフィさんの「やりたいこと」

ーーメディアのコンセプトが「やりたいことをできるに変える」なのですが、今後やりたいことについて語っていただきたいです。

今までの自分は「やりたいこと」じゃなくて「やれること」をやっていたんだけど、それを「やりたいことをやる」に変えようしていて。

YouTubeなんて完全に新しいフィールドですから。これすげー勇気いるんですよ!テレビ出てる人って。自分の需要がどのくらいあるのか数字で出ちゃうから。

 

でも、やりたいことを選んで挑戦していかないと、新しいものに挑戦していけないってことになっちゃうので。やってみたら、まさに「やりたいことができるに変わる」で、やってみたら案外できるんだって思ったんです。最初は小さい成果かもしれないんですけどね。 Twitterでも最初は当たり前だけどフォロワー数人とか、そんなところから始まるわけじゃないですか。あの時のワクワク感みたいなものが戻ってきて。ちょっとずつ増えていくってすごく楽しいなって。

 

全然ケタも違うし、大きさも違うんだけど、元ZOZOの前澤さんが「新たなことをやりたい。会社を立ち上げたあのワクワク感」っていうのはよくわかります。

 

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