IoTの導入で、製造業はどう変わる?
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こんにちは、無駄なものを作っている藤原麻里菜です。「会社を休む理由を生成してくれるマシーン」とか、「仕事のやる気がなくなったら札束で頬をぶたれるマシーン」など、地球の大切な資源を使って思いついたものを作っています。この前、環境問題について怒りのスピーチをしていたグレタさんにめちゃくちゃ怒られる夢を見ました。
そんな「無駄づくり」を仕事にしているのですが、大して稼げるわけでもなく、うっすらとした貧乏暮らしをしております。「食べるものがないから塩を舐めている」「家賃4万円の風呂なしアパートに住んでいる」といった面白いエピソードがあるほどの貧乏ではなく、ただただ、うっすらと貧乏です。シャンプーを水でうすめて使っている。これが、私が持つ最大の貧乏エピソードです。うすいでしょう。
なので、高級寿司というものに縁がありません。パック寿司とか、回転寿司とか、「すたみな太郎」とか、そういった寿司は知っています。むしろ、知りすぎているほどです。
ああ、ミシュランを獲得しているような高級寿司店に1回は行ってみたい。ザギンでシースーというやつをしてみたい。「すきやばし次郎」のホームページを見てみたところ、コースは4万円からみたいでした。わー。すたみな太郎20回分じゃん。
どうにか格安で高級寿司を食べられる裏技はないのだろうか……。次郎の弱みでも握るか(寿司だけに)。そんなことをモヤモヤ考えていたら、マシーンのアイディアをひらめきました。
バーチャル寿司マシーンを作る
「バーチャル寿司マシーン」というものを思いつきました。
YouTubeで「寿司」と検索すると、高級寿司店の動画がヒットします。どうやら、高級寿司店に行った人たちが動画を撮って、これみよがしにアップしているようなのです。これみよがしに。
グググと妬みながらその動画を見ているのですが、お客さんが撮影した動画ですから、カメラがお客さんの視点になっているのです。なので、なんだかその寿司屋にいるような気持ちになってくるんですね。
動画内で板前さんが寿司を手元に置くタイミングで、実際に画面から寿司がでてきたら、これはきっとヤバイバーチャル体験ができるのではないか、と思うわけです。それはもう、実質、高級寿司店で寿司を食べているのと同じなんじゃないかと思いました。これが、「バーチャル寿司マシーン」の本質です。
寿司の革命、いっちょ私が起こしてやりますか。
まずは、キャタピラ型のラジコンを作ります。タミヤのキットを使いました。
ラジコンは1つの「DCモーター」で動くのですが、このモーターの電線を付属の電源ボックスにつなげずに、伸ばします。
DCモーターは、ミニ四駆にも使われていたり、理科の授業で習ったりと、馴染み深いかたも多いかと思います。2本の線が伸びていて、電池のプラスとマイナスにくっつけるとギュイーンと高速回転するやつです。プラスとマイナスを逆にすると、反対側にギュイーンと動きます。
このDCモーターのギュイーンという動きを歯車に連動させて、大きな物を動かす仕組みを作ることができます。今回のタミヤのキットを見てみると、いっぱい歯車がついています。こういう仕組みを「ギヤ」といいます。ギヤ。かっこいいですね。
みんな気づいているかもしれないけど、反対から読んだら、ヤギです。ヤギはかわいいですよね。 この歯車が回ることで、タイヤが動いて前進することができる……というわけです
次に用意するのは、「サーボモーター」というものです。さきほどのDCモーターはくるくる回転するだけですが、サーボモーターは、回転する角度を調整できるモーターです。
DCモーターからは2本の線が出ていて、それに電池のプラスとマイナスをあてると動きますが、サーボモーターはそんなもんでは動きません。そんな単純な女じゃありません。
サーボモーターからは3本の線が出ています。プラス(VCC)・マイナス(GND)・制御信号の3本です。 基板につなげて、「90度回る」というプログラムを書いて送れば、キュイッと90度曲がってくれます。DCモーターは電源につなげば勝手に動くけれど、サーボモーターは指示がないと動きません。これは、寿司をお皿に乗せてくれる仕組みに使います。
サーボモーターはあまり馴染みがないかもしれませんが、キュイキュイ動くロボットの関節などに使われています。キュイキュイ動くロボを見たらぜひサーボモーターのことを思い出してください。喜ぶと思います。
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DCモーターとサーボモーターとArdino
今回は、DCモーターとサーボモーターの2つのモーターを使います。この2つを「Arduino(アルドゥイーノ)」という小さな基板で制御します。 Arduino、とても名前が難しくてとっつきにくい雰囲気がぷんぷんですが、実は難しい電子工作を超簡単にしてくれるすごいやつなのです。
まず、めんどくさいし臭い煙が出るハンダ付けをせずに電子工作をすることができるのです。Arduinoにはピンと呼ばれる穴が並んでいます。その穴にモーターの線を刺すことで電源の供給ができたり、プログラムでサーボモーターの角度を指示することができたりします。
例えば、サーボモーターを90度動かしたいと思ったら、
- プラス(VCC)とマイナス(GND)をそれぞれのピンにさす
- 制御信号は、数字が書かれているピンのどこかにさす
- パソコンにつなげてプログラムをインポートする
- おわり
これだけで、サーボモーターを90度動かすことができるのです。サーボモーターを90度動かしたかったんだよね! という方はぜひ、Arduinoを使ってみてください。
次に、「スケッチ」と呼ばれるプログラムを書きます。
プログラムってなんかちょっと難しそう……って感じかもしれませんが、Arduinoは「サンプルコード」がプログラムを書くソフトにいっぱい入っているのでもうそれをコピペしたり、数字を変えるだけで大丈夫です。つまり、なんとか言語とかそういうのを知らないままでもモーターを動かすことができるのです。
とにかく、時代はArduinoです。タピオカの次はArduinoが流行ります。みんなゲットしておきましょう。理数系無理だからな……というかたに言いたいのは、3の段以降の九九があやふやな私でもあつかえているので大丈夫ということです。
次に、マシーンを格納する木箱を作りましょう。この中から寿司がタイミングよく出てくるのが理想です。まずは、カットしたベニヤ板を木工用ボンドを使って組み合わせます。
そのままだと高級感がないので、ニスを塗っていい感じにしました。これで完成です!
バーチャル高級寿司マシーン
そんなこんなで出来上がりました。「バーチャル高級寿司マシーン」です。
見た目はすげえ気持ち悪いですが、これを使うことで普通のパック寿司を高級店にいる気分になりながらいただくことができるのです。
まず、壁にプロジェクターでYouTubeの動画を投影します。
今回は、名店である「久兵衛」で撮影したユーチューバーのかたの動画を投影しました。動画の中で、1分15秒から中とろが出てくるので、電源を入れて1分15秒たったらマシーンが動くようにプログラムを書き換えます。セッティングをして、あとは久兵衛にいると思い込むだけ! それでは、やってみましょう。
メニューが開かれるのですが、そこにバッチリ「おまかせ 1万円」と書かれていて、思わず「いちまん……」とつぶやいてしまいました。1万円あったら「クロマティ高校」を全巻買えるじゃんね。
そろそろ中とろが出てきそうです……。
で、出てきた。
もこもこしながら
マグロを持って出てきた。
皿にたどり着きました。
置きかたが雑すぎるというか、下手な人がホールケーキを取り分けたときみたいになってしまいました。が、もう久兵衛にいる気持ちになっているので、「日本の伝統はこうなんだ」と思うことにします。
かみごたえのあるマグロ、ですね。
ルンバのようなポートに戻る機能もつけたのですが、完全に失敗しました。
寿司じゃなくても美味しくなる
気づいてしまったのですが、寿司じゃなくてもおいしくなるかもしれません。YouTubeには無限の食レポがあります。高級すぎて私が食べられないものをこれみよがしに食べているユーチューバーたちがたくさんいるのです。これみよがしに。
伊勢海老をさばいて、しゃぶしゃぶにする動画をみつけてしまいました。 伊勢海老って食べたことないな……。ぷりぷりだなあ。よだれ、出てくるなあ。
海老がもこもこ出てきました。
海老をダリの絵みたいに置いて去っていきました。
こんなに悲しい風景、ありますか。
食べるけど。
私は、カニが大好きです。でも、カニって何かしら悪事に手を染めないと食べられないものじゃないですか。そんなことないか。
でも、私はカニを食べにいくお金がないので、いつもカニカマをカニだと思ってチューチュー吸っているんですよ。かわいそうでしょう。しかし、カニカマも、このマシーンを使ったらより美味くなるんじゃないかな、と思うわけです。
韓国のユーチューバーの方がカニをめちゃくちゃ美味そうに食べている動画があったので、それを見てみようと思います。
おなじみのこの光景。
やはり悲しい置き方。
去り際の事故
残されたカニカマ
おわりに
やはり、最終的には虚しさと悲しみが勝るマシーンになってしまいました。高級寿司を食べるためには、やはりお金を稼ぐほかありません。4万円、稼ごう。 稼いだところで、すきやばし次郎に1回行くのか、すたみな太郎に20回行くのか、クロマティ高校を買うのか。今の私には判断がつきません。
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執筆
藤原麻里菜
1993年生まれ。コンテンツクリエイター、文筆家。頭の中に浮かんだ不必要な物を何とか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。2013年からYouTubeチャンネル「無駄づくり」を開始。現在に至るまで200個以上の不必要なものを作る。2016年、Google社主催の「YouTubeNextUp」に入賞。2018年、国外での初個展「無用發明展- 無中生有的沒有用部屋in台北」を開催。25000人以上の来場者を記録した。
Instagram : https://www.instagram.com/mudazukuri/
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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