さくらインターネットの「さくらのクラウド」とは?
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「すこし未来のあそびを創る」をコンセプトに、テクノロジーを通して多彩なテックエンタメを届けている株式会社U.(以下、U.)。イルミネーションとAR(拡張現実)を組み合わせた「イルミネーションダイビング」でショッピングモールを水族館に変えたり、プロジェクションマッピングと透過スクリーンを掛け合わせて桜が舞う回廊をつくったりと、技術と遊び心をかけあわせたプロジェクトを数多く手がけている。
心踊る世界を創造するU.が、さくらインターネットが推進する「BLOOMING DRIVE」へ参加したのは、2024年の秋のことだ。プログラムが進むにつれて、U.自身の事業に加え、現在のXR業界の課題がクリアになったという。これまでの想いや「BLOOMING DRIVE」での手応え、今後のビジョンについて、代表の瀧 大補さんと久保 聡さんに話を聞いた。

瀧 大補(たき だいすけ)さん プロフィール(写真左)
株式会社U. 代表取締役
兵庫県神戸市出身。奈良先端科学技術大学院大学前期博士課程卒。NGO職員などを経て、センシング技術を駆使したインタラクティブメディアアートの制作やプロジェクションマッピング作品を手がける。結婚後夫婦で300日間の世界一周旅行をおこない、得られた経験を活かしてメディアアートの手法を取り入れた映画プロモーションや体験型コンテンツ制作を続ける。2017年、株式会社U.を設立。U.のクリエイティブディレクターであり、エンジニアリングもおこなう経営者。
久保 聡(くぼ さとし)さん プロフィール(写真右)
愛知県名古屋市出身。大学を卒業後、エンターテイメントパフォーマンスをする書道家として活動。イベントでの即興制作やパフォーマンス、アート活動を通して、年間で5,000点ほどのギフト制作・販売と、ロゴや看板の制作などをおこなう。その後、法人営業の経験を経て、2021年から株式会社U.のディレクターとして事業活動に参加。営業、企画、イベント運営などを主に担当し、U.のエンターテイメント制作をおこなっている。
XRの分野で「遊び」を追求し驚きを届けたい
テックエンタメの分野でさまざまな世界を創り出すU.。現在はXR(クロスリアリティ)分野に注力し、ARの技術を用いて、現実空間にバーチャル表現を組み込み、リアルと仮想空間が融合する世界観をエンターテイメントとして届けている。
代表的なサービス事例の1つが「ソラ水族館」だ。重さ約90gのARグラス(サングラス型デバイス)をかけると、現実世界のなかにバーチャルが溶け込み、ゆらゆらと泳ぐ魚がそばをすりぬける様子や、深海の世界を体験できる。さまざまな場所で展開可能なサービスだが、神戸三宮商店街での実施は斬新だった。道行く人は興味津々で初めての体験を心底おもしろがってくれたという。瀧さんは「どの企画も、体験して驚きを感じていただきたいという想いがあります」と語る。

このような体験型コンテンツを生み出すきっかけになったのは、瀧さんが世界一周で海外を旅した経験だった。「日本人はもっと遊ぶべきだ」と痛感したという。
「漫画やアニメがいい例ですが、日本人がルールに縛られず自由につくったものほど世界に羽ばたく。それを知ってもらいたくて、自分たちが体現していこうと思っています」
「新しいもの、感動するもの、心が動くものをたくさんつくって世の中に出したい」と話す瀧さん。つねに好奇心を持ち、「遊び」を徹底的に追求してきた。現在、ディレクターとして活躍する久保さんがU.に加わったときも、「遊び仲間が増えた」という感覚だったという。久保さんも同じく、「楽しいからやっているんです。自分たちもお客さんも楽しめるっていいじゃないですか」と想いを共有する。
クライアントと共に、限られた条件のなかで、どう遊び、楽しませるかを考える。さまざまな切り口から工夫を凝らし、テクノロジーを使って「遊び」を創造することで、U.は進化を続けている。
BLOOMING DRIVEに参加してXR業界の課題が明確に
2024年にBlooming Campが設立された当初から、U.はシーズメンバーとなった。

BLOOMING DRIVEに参加したきっかけは「なんだかおもしろそう」という直感からだった。瀧さんは「私にとっては壮大な遊び場にも見えました」と笑う。しかし、その裏には自分たちの弱点を強化したいという想いもあった。
「『遊び』を大切にしてきたものの、事業継続のためにしっかりとしたビジネス的な基盤をつくる必要があったんです。でも私たちはサービスを整えることがあまり得意ではありませんでした。だから私たちのチャレンジに伴走し、一緒に考えてくれる人がいることはありがたかったです」
課題解決のために、U.にとってBLOOMING DRIVEは最適な場だったのだ。
自分たちとは異なる背景を持つ人々との出会いも新鮮だった。シーズメンバーやBlooming Campのコミュニティマネージャー、多彩な分野の専門家と、異なる視点や価値観を持つ人材にU.のテックエンタメを披露し、新たなアプローチ方法のアイデアをもらうことも貴重な経験だったという。

XR業界全体の課題も明らかになった。瀧さんは次のように話す。
「私も含め、XR業界で働く人たちはテクノロジーが大好きで創造力に長けています。ただ、サービスの核となるキラーコンテンツはまだまだ少ないのが現状です」
おもしろいテックエンタメは創造できても、世の中に広く発信はできていない。その理由を探るなかで、BLOOMING DRIVEでの活動を通して「プロモーターの不在」という言葉が響いた。
「私たちの作品の魅力や意義を、わかりやすくお客さまに届けるプロモーター的な存在は、業界全体を見渡してもいないと気づきました。大きな発見でしたね」
業界の本質に向き合ったことで、課題解決へと一気に加速がかかった。そしてU.のサービスの核をブラッシュアップし、新たな事業展開へつなげられると確信を得た。BLOOMING DRIVEの支援について、久保さんも「ありがたい」と話す。
「普段の商談相手やクライアントと違う立場で、私たちの想いを汲み、事業を支援していただけるので、本当に感謝しています」
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「やりたいこと」は「できる」に変わる。さくらインターネットの本社機能を有する、新たなイノベーション拠点「Blooming Camp」
ARの世界を体験してもらうことでXRの可能性を追求
現在、U.がBLOOMING DRIVEプロジェクトで取り組んでいるのは、Blooming Campのフロアをリアル空間として、バーチャルを融合させて新たな価値を創造することだ。

ARグラスに触れるのもかけるのも初めてという人も多い。だからこそ、まずはBlooming Campを訪れる人にARの世界を体験してもらう。実際に技術に触れてもらうことで、技術で拡張できる未来の姿が伝われば「おもしろい未来」をより多くの人とつくり上げることができると考えている。自由な発想で未来を描けるバーチャルとリアルが融合した世界をつくり上げたい。
ただ、ここから先のゴールは明確に定まっていない。
「答えを決めないことが、XRの可能性を広げる」と瀧さんは話す。
答えを決めないのは、XRがまだまだ未知数であることが理由だ。現在、XRが生活を便利にしたり、仕事を効率化したりするという声はほとんどない。ガラケーからスマホへの移行のような、明確な変化も見えていない。業界の位置付けとして、まだまだ発展途上だと2人は考えている。久保さんは次のように語る。
「発展途上だからこそ、新しくておもしろそうって思ってもらうために、体験してもらうことからスタートして、その反応からゴールを見つけたいんです」
多くの人に体験してもらうことが、XRの可能性を広げると2人は信じている。BLOOMING DRIVEは、その想いにしっかりと寄り添ってくれると強い信頼を寄せている。

チャレンジしたい人の想いに寄り添い支援するBLOOMING DRIVE
U.の2人は、BLOOMING DRIVEプロジェクトを「イノベーション推進だけど、スタートアップ支援ではない」と捉えている。
スタートアップ支援は課題解決型で、ニーズを掘り起こし、サービスへと展開するのが一般的な形だ。しかし、それは「遊び」を大切にするU.の精神とはずれがある。BLOOMING DRIVEプロジェクトはスタートアップ的な動きと違い、どのようなチャレンジをしたいかに寄り添い、サポートする。久保さんは「大きく打てば響くという言葉がピッタリのプロジェクト」と表現する。参加側の「大きく打つ」意気込みに、コミュニティマネージャーが応え、プロジェクトが大きく広がっていることを感じている。また、さくらインターネットが実施するプロジェクトだからこそ、可能性を感じるという。
「ARグラスはまだ浸透していないものの、今後さらに高性能化が進み、将来的にはスマートフォンに取って代わる存在になると考えています。だからこそスピーディーな情報取得が重要になる。良質なXR体験を提供するには、それを成立させる広いスペースも必要不可欠です。今回の取り組みでは、Blooming Campのスペースを活用させていただくことで、実りのある実証実験をおこなうことができました。このような場所の支援があることで、XRが持つポテンシャルを存分に発揮できる環境が整います。 同時に、XR体験を支える要として、サーバーの存在は欠かせません。さくらインターネットは、その技術力と柔軟性により、XR業界においても大きな可能性を秘めた企業だと感じています」さくらインターネットだから、一緒にXR業界の未来を開いていけると2人は強く確信している。
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執筆
奥野妙子
大阪府在住。
コピーライター・取材ライターとして、広告系・情報誌系問わず執筆中。
宝塚歌劇をこよなく愛して約30年。クラシックバレエとホットヨガも好き。
大阪のデザイン制作会社(株式会社アドバンス一世)に所属中。
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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