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自律型AIとは?生成AIとの違いや仕組み、活用事例を解説

自律型AIとは、人間の指示なしに目標に向けて自律的に判断・行動するAI技術です。生成AIとの違い、PDCAサイクルに似た動作の仕組み、金融・製造・マーケティングでの活用事例、導入時の課題と対策まで、次世代AI技術を徹底解説します。

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1. 自律型AIとは?

生成AIの登場により多くの企業が業務効率化を実現しましたが、「人間が指示を出さなければ動けない」という課題は残されたままでした。この課題を解決する次世代技術として、自律型AIが急速に広がりつつあります。

1-1. 自律型AI(Autonomous AI)の定義と注目される理由

自律型AIとは、人間による細かい指示なしに、設定された目標に向けて自律的に判断し行動できるAIシステムです。

指示不要で目標達成する次世代AI

たとえばデータ分析などのデジタル業務において、通常の生成AIでは「顧客データを分析して、購買傾向をレポートにまとめて」と明確に指示する必要があります。
一方、自律型AIなら「売上を向上させるための顧客インサイトを見つけて」という目標だけで、データ収集、分析、レポート作成、改善提案までを自動でこなします。

自律型AIとAgentic AIは同じもの

自律型AI(Autonomous AI)は、「Agentic AI」とも呼ばれます。これらは同じ技術です。OpenAIの汎用人工知能(AGI)実現への5段階ロードマップでは、自律型AIを第3段階と位置づけており、業界全体で注目が高まっています。
具体的なサービス例として、コーディング業務を自律的に行う「Devin」が挙げられます。Devinは「このバグを修正して」と指示するだけで、コードの調査、修正、テスト、デプロイまでを自動実行します。従来のコーディング支援ツールが「コードの候補を提案する」レベルだったのに対し、Devinは「開発プロセス全体を完遂する」レベルまで進化しています。

なぜ注目されているのか?

自律型AIが注目される背景には3つの要因があります。

第一に、大規模言語モデル(LLM)の進化により、AIが複雑な文脈を理解し高度な判断ができるようになったことが挙げられます。
第二に、深刻化する労働力不足に対し、知的業務の自律化が求められていることです。単純作業の自動化だけでなく、判断を伴う業務までAIに任せられる点が期待されています。
第三に、ビジネス環境の変化が加速する中で、24時間365日稼働し即座に意思決定できるシステムの必要性が高まっていることです。

1-2. 生成AI・AIエージェント・自動化との違い

自律型AIを正しく理解するには、関連する技術との違いを知ることが重要です。

表:自律型AIと関連技術の比較

項目RPA生成AIAIエージェント自律型AI
主な目的定型業務の自動化コンテンツ生成タスクの補助・実行目標達成に向けた自律的な業務遂行
動作の仕組み事前に設定されたルールに従うプロンプトに応じて出力指示やルールに従って動作目標から自分で計画・実行
判断能力なし(人間が事前定義)限定的(プロンプトの範囲内)限定的(与えられた範囲内)高度(自律的に最適化)
環境変化への対応不可(エラーで停止)不可(新たな指示が必要)限定的(人間の判断が必要)可能(自己学習・適応)
人間の関与設計・運用時に常に必要プロンプト入力時に必要タスク指示時に必要目標設定時のみ

生成AIとの違い

生成AIは、学習データにもとづいてテキスト、画像、音声などのコンテンツを生成することが主な目的です。ユーザーが入力したプロンプトに対して出力を返す「一問一答型」といえるでしょう。
一方、自律型AIの目的は、AIによる意思決定と行動を伴った業務遂行です。業務プロセス全体を自律的に管理し、人間の判断なく目標達成を目指します。

AIエージェントとの違い

AIエージェントは、与えられた指示や決められたルールに従って動作する「補助型」です。
一方、自律型AIはその進化版で、与えられた目標に向けて自分で考え、行動を選んで実行する「自律型」です。複数のタスクを連携させ、結果に応じて次の行動を柔軟に変更できます。

従来の自動化(RPA)との違い

RPAは、あらかじめ決められた手順に沿って動く「ルール型」です。予期しない状況が発生すると停止し、人間の判断が必要になります。
対して、自律型AIは「自己判断型」で、目標達成に何が必要かを自ら判断し、新しい手順を発見します。環境の変化にも柔軟に対応できます。

2. 自律型AIの仕組みと動作原理

ここでは、自律型AIの基本的な動作メカニズムと、実際にどのような業務課題を解決できるのかを解説します。

2-1. 自律型AIの基本メカニズム

自律型AIは、特定のサイクルを繰り返すことで学習し、目標を達成します。このサイクルは「PDCAサイクル」に似た仕組みです。

目標設定→タスク生成→実行→評価のサイクル

自律型AIの動作は4つのステップで構成されます。

①ゴール達成に必要な情報を収集
設定された目標を分析し、達成に必要な情報を外部ソースやデータベースから収集します。

②タスクを生成し優先順位をつける
収集した情報をもとに、実行すべきタスクを生成し、効率性や重要度に応じて優先順位を決定します。

③タスクを実行
優先順位に従ってタスクを実行し、必要に応じて外部ツールやAPIを活用します。

④結果を評価し、必要に応じて修正や新たなタスク生成を行う
実行結果を評価し、目標達成に近づいているかを判定します。必要であればタスクを修正したり、新たなタスクを生成したりします。

このサイクルは、PDCAサイクルに対応しています。タスク生成が「Plan」、タスク実行が「Do」、結果評価が「Check」、修正と新たなタスク生成が「Act」にあたります。
このフレームワークを自律的に繰り返すことで、AIは継続的に学習し、より効率的な方法を見つけ出します。人間が手を加える部分は最初のゴール設定のみです。

強化学習・LLMなどの技術要素

自律型AIを支える主要な技術は、大規模言語モデル(LLM)、強化学習、外部ツール連携の3つです。
LLMは自然言語を理解し複雑な指示を解釈します。強化学習は試行錯誤を通じて最適な行動を学習します。外部ツール連携により、AIはWebブラウザ、データベース、APIなどを活用できます。

自律型AIを支える計算資源であるGPUについては、以下の記事で詳しく解説しています。

GPUとは?AI開発で押さえておくべき基礎知識と活用戦略
機械学習に最適なGPUとは?選び方・重要性・おすすめメーカーを徹底解説

2-2. 自律型AIが解決できる業務課題

複雑な意思決定を要する高度な判断業務

金融業界では、市場動向やリスク要因、規制環境などを総合的に分析して投資判断を行います。自律型AIは膨大なデータを瞬時に分析し、正確かつ迅速な判断が可能です。市場の変動をリアルタイムで監視し、状況の変化に応じて判断を更新できます。

24時間365日対応が必要な監視・対応業務

自律型AIは休憩や睡眠を必要とせず、常に一定の品質で業務を遂行できます。深夜や休日の問い合わせにも即座に対応し、顧客満足度の向上と従業員の負担軽減を実現します。

属人化した非定型業務の標準化・効率化

特定の担当者しか対応できない属人化した業務は、手順が複雑でマニュアル化が難しいケースが多く見られます。自律型AIは、過去の業務データや行動パターンを学習することで、こうした属人化した業務を標準化できます。

3. 自律型AIの活用事例

自律型AIは、さまざまな業界で導入が進んでおり、業務効率化や新たな価値創造に貢献しています。ここでは、代表的な4つの業界での具体的な活用例を紹介します。

3-1. 業界別・業務別の活用事例

カスタマーサポート 

自律型AIを活用したバーチャルアシスタントが顧客対応を革新しています。従来のチャットボットは定型的な質問にしか答えられませんでしたが、自律型AIは顧客の問い合わせ内容を分析し、より柔軟に対応できます。
たとえば返品処理では、注文履歴の確認、返品理由のヒアリング、返金手続きの案内までの一連の流れを自動で完了させます。顧客満足度の向上だけでなく、オペレーターは複雑な案件に集中できるため、サービス品質全体の向上につながります。

金融

自律型AIは、過去のデータから最新の市場情報までを幅広く収集・分析し、投資判断やリスク管理をサポートします。
株式市場や仮想通貨取引では、市場動向を常に監視し、リターン最大化と損失抑制を考慮した自律的な取引を実行します。また、与信審査やマネーロンダリング対策など、複雑な規制環境下での判断が必要な業務でも力を発揮しています。

マーケティング

自律型AIは、顧客の購買履歴、Webサイトの閲覧行動、SNSでの反応など、多様なデータを統合的に分析します。
各顧客の嗜好や購買タイミングを予測し、最適なレコメンドを自動で生成できます。ECサイトやビデオ・オン・デマンドサービスでは、ユーザーごとにパーソナライズされた商品やコンテンツを提示し、購入率を向上させています。

製造

製造業では、工場全体の製造プロセスをデジタル化し自律制御を行う「スマートファクトリー」の実現が進んでいます。
自律型AIは、工場内のあらゆるデータを収集・分析し、最適な生産計画を自律的に立案・実行します。設備の予知保全では、センサーデータから機器の異常兆候を検知し、故障前にメンテナンスを実施することで、突発的な生産停止を防ぎます。

4. 導入時の注意点と今後の展望

自律型AIは大きな可能性を秘めていますが、導入には慎重な検討が必要です。ここでは、導入時に直面する課題とその対策、そして今後の技術トレンドと企業が取るべきアプローチを解説します。

4-1. 自律型AI導入の課題とリスク管理

初期コスト・専門人材の確保

自律型AIの導入には、システム構築のための初期投資が必要です。AIに対応できる設備やインフラの整備、既存システムとの連携などで相応のコストがかかります。また、AI学習のための計算資源(GPUなど)やデータストレージの費用も継続的に発生します。
専門人材の確保も重要な課題です。外部のITコンサルティング会社やシステムベンダーとの連携、社内人材の育成プログラムの実施などが有効な対策となります。

計算資源の確保方法やコスト管理については、以下の記事で解説しています。

GPUレンタルの選び方ガイド。AI・機械学習研究に最適なサービスと活用法を解説
GPUクラウドとは?研究機関・スタートアップが導入するメリットと選定ガイド

AIの判断の透明性・説明責任

自律型AIは複雑な判断を自動で行うため、その判断プロセスがブラックボックス化しやすいという課題があります。特に金融や医療など規制の厳しい業界では、AIの判断根拠を説明することが求められます。
AIの判断プロセスを可視化する技術として、XAI(説明可能なAI)の導入が有効です。また、重要な意思決定においてはAIの判断を人間が最終確認する「Human-in-the-loop」の仕組みを設けることが重要です。

セキュリティ・データガバナンス

自律型AIは、業務遂行のために社内の機密情報や顧客データにアクセスします。データ漏えいや不正アクセスのリスクに対する厳格なセキュリティ対策が不可欠です。
どのデータをAIに学習させるか、どのレベルの権限でアクセスさせるかを明確に定義する必要があります。個人情報保護法やGDPRなどの法規制に準拠した適切なデータ管理体制を構築することが求められます。

4-2. 今後の技術トレンドと企業の取り組み方

AGI(汎用人工知能)への進化の道筋

現在の自律型AIは特定の領域に特化していますが、将来的にはあらゆる知的タスクを人間と同等以上にこなせる汎用人工知能(AGI)への進化が期待されています。
OpenAIのロードマップでは、自律型AIの次の段階として「イノベーション型AI」が、最終段階として「組織型AI」が位置づけられています。企業は、現在の自律型AIを導入しながら、将来的なAGI時代を見据えた戦略を立てることが重要です。

Human-in-the-loopによる人間とAIの協調

自律型AIが進化しても、すべての判断をAIに任せることが最適とは限りません。重要な意思決定や倫理的な判断が必要な場面では、人間が関与する「Human-in-the-loop」のアプローチが推奨されます。AIの効率性と人間の判断力を組み合わせることで、最適な結果を得られます。

小規模実証(PoC)から始める段階的導入アプローチ

自律型AIの導入を成功させるには、小規模な実証実験(PoC:Proof of Concept)から始めることが重要です。

①自社の業務課題を明確化し、自律型AIで解決可能な領域を特定する
現状の業務プロセスを分析し、自律型AIが効果を発揮できる領域を見極めます。

②小規模なPoCを実施し、技術的な実現可能性と効果を検証する
限定的な範囲で自律型AIを試験導入し、期待する効果が得られるかを確認します。

③成功したPoCをもとに、本格的なシステム構築と社内展開を行う
PoCで得られた知見をもとに、全社展開に向けたシステムを構築します。

④運用しながら継続的に改善し、適用範囲を拡大する
運用開始後もAIの学習を継続し、パフォーマンスを向上させながら、適用領域を広げていきます。

このステップに沿って進めることで、リスクを抑えながら効果的に自律型AIを導入できます。

まとめ

自律型AIは、人間の細かい指示なしに目標達成に向けて自律的に判断・行動する次世代のAI技術です。生成AIが「コンテンツ生成」に特化しているのに対し、自律型AIは「業務遂行」に特化し、複雑な意思決定や24時間対応、属人化した非定型業務の標準化を実現します。
導入にあたっては、初期コストや専門人材の確保、AIの判断の透明性、セキュリティ対策などの課題に適切に対処する必要があります。小規模な実証実験から始め、段階的に展開することが推奨されます。

自律型AIの実現には、高性能な計算資源とAI構築・運用を支えるプラットフォームが不可欠です。さくらインターネットの高火力シリーズは、AI学習や推論に必要な強力な計算能力を、クラウド環境で柔軟にスケールできる形で提供します。また、さくらのAI Engineは、基盤モデルを搭載したGPUサーバーで推論処理を行えるAPIサービスで、自律型AIの構成要素となる生成AI機能を手軽に活用できます。

自律型AIの導入をご検討の際は、ぜひご相談ください。

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編集

さくマガ編集部

さくらインターネット株式会社が運営するオウンドメディア「さくマガ」の編集部。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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