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DX人材は「ビジネスを作る人」専門性を二つ以上持てば希少性の高い人材になれる

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DX人材は「ビジネスを作る人」専門性を二つ以上持てば希少性の高い人材になれる

さくらインターネット代表の田中です。この連載は「働くすべてのビジネスパーソン」に向けて書いていきます。

日本の労働人口の約49%が、AIやロボットなどで代替可能といわれています。

▲出典:総務省 AIの利用が経済や雇用に与える影響
▲出典:総務省 AIの利用が経済や雇用に与える影響

ビジネスパーソンの中には、「AIに自分の仕事が奪われてしまうのではないか」と不安に思っている方も少なくないでしょう。ただ、AIに仕事を奪われたらいけないのか、という観点もあると思うんです。

歴史を紐解くと、コンピューターや車に仕事を奪われた人はたくさんいます。それでも新しい仕事が生まれて、「働くこと」は続いているわけです。新しい技術によって、人間はだいぶ休めるようにもなりました。

増える仕事もあれば、減る仕事もある。新たな技術によって、いままで思いもよらなかった仕事が生まれる可能性もあります。

▲出典:総務省 ICTの変化によるこれからのしごと
▲出典:総務省 ICTの変化によるこれからのしごと

DX人材とは?

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉をよく聞くと思います。DXを進めるうえで、DX人材が必要となります。私が考えるDX人材とは「ビジネスを作る人」です。ビジネスを作るにも、いろいろな切り口があります。

企画する人もいれば、システムを開発する人もいます。それぞれが分業するのではなくて、チームで一緒に仕事ができる人がDX人材です。指示待ちの人だと、これからの時代にやっていくのは難しいのではないでしょうか。

最近はウェブサービスもすぐ作れます。時間をかけて作るよりも、まずはサービスを作り、お客さまにテストしてもらって、改善を進めていく実行力が必要です。これは大がかりなシステムや設備がなくても、できることです。

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が定義するDX人材の6類型があります。

人材の呼称例 人材の役割
プロデューサー DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材
ビジネスデザイナー DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進などを担う人材
アーキテクト DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材
データサイエンティスト/AIエンジニア DXに関するデジタル技術(AI・IoTなど)やデータ解析に精通した人材
UXデザイナー DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材
エンジニア/プログラマ 上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築などを担う人材

▲出典:IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査

DX人材というとエンジニアのイメージが強いと思いますが、ビジネスの設計やデータの解析をおこなう人など、トータルでDX人材です。エンジニアやプログラマだけではありません。

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DX人材に求められるスキル

プログラミングができるだけではいけませんが、誰でもプログラミングができるようにならないといけません。さくらインターネットでも、全社員がプログラミングができるようになることが目標です。

文字を書いたり、読んだりすることは当たり前のようにできます。それと同じようにプログラミングも当たり前にできるようにしたいです。幅広く知識を身に着けて、その中で強みを探していく。専門性が二つ以上あれば、掛け算になり、希少性の高い人材になれます。

その中でもITエンジニアリングは必須になってきている、と言ってもいいかもしれません。 二つのスキルを持っていると、幅が広がります。

たとえば、京都大学で教授をされている西浦博先生は、衛生学と統計学を掛け合わせて新型コロナウイルスの広がりの分析をしています。医師としてウイルスの知識もあり、統計の知識やコンピュータースキルもあるので、希少性の高い人材といえます。

専門性が二つ以上ある人材というのは、これから何十年も経てば当たり前になると思います。いまの時代、誰もがコンピューターを使っていますから。今後はDX人材として求められるスキルは、当たり前のように誰もが持っている時代が来ると思います。

一昔前は、エクセルやワードを使える人は貴重でした。いまでは、使えるのが当たり前になっています。いまAI分析ができる人は貴重ですが、一般的になってみんなが普通に使うようになったら、それも普通の能力になっていくのでしょう。

メンタルヘルスと仕事

2020年、さくらインターネットではメンタルヘルス関連の休職者が0人になったことがありました。結果として0人になったことはすごいとは思いますが、0人にすることが目的になってはいけません。

メンタルに不調を感じた方が、相談しづらくならないようにする。これが大事です。誰もが気軽に休める会社でありたいです。

さくらインターネットでは、休みがちの人や残業時間の多い人に対して人事がケアする仕組みがあります。メンタルヘルス研修もやるようになりました。大変なことになる前に相談できる環境を整えています。

正社員率が高いことも、関係しているかもしれません。施策として派遣社員や契約社員を減らすように進めてきました。派遣社員や契約社員でも立場は変わらないはずですが、暗黙の了解的に社会的圧力のようなものがありますから。だったら、最初から正社員で採用すればいいわけです。

とはいえ、働いているとストレスを感じることは誰にでもあると思います。

私がストレスを感じたときは、三つのことを意識しています。

  1. よく食べる
  2. よく運動する
  3. よく寝る

当たり前のことですが、大事なことです。

先日、少年院を訪問する機会があったのですが、生活環境の大事さがあらためてわかりました。少年院では、三食しっかり食べて、運動して、早い時間に寝るようになります。そうすると、荒れていた子どもたちが、何日か経つと穏やかになるそうです。

考えてみれば、生まれたときから犯罪者の人なんていないわけです。生活環境が良くないから、心が荒れてしまい非行に走ってしまう。不規則な生活が、すべてをダメにしていることに意外と気づいていない人が多いのではないでしょうか。

ビジネスパーソンも同じです。忙しい人は機嫌が悪くて、いつもイライラしている人が多いです。「働きすぎ」は見直したほうがいいと思います。

社長自らが1か月の長期休暇

長期休暇でおこなったダイビング
長期休暇におこなったダイビング

私は2017年に1か月の長期休暇をとりました。休むことで、あらためて周りの方に感謝の気持ちを持てたので、よかったです。

長期休暇をとる前は、二つの心配がありました。ひとつは、自分がいないことで会社がうまくいかなくなったらどうしよう、というもの。もうひとつは、自分がいなくても”うまくいったら”どうしよう、というものです。

結果は、私がいなくても会社はうまくいきました。

「自分がいないと、会社はうまくいかない。自分がいなくなったら大変なことになる」と思っている人は多いのではないでしょうか。社長ですら、いなくても会社はうまくいくものです。仕事だけが人生ではありません。

クレイトン・クリステンセン教授が著書の『イノベーション・オブ・ライフ』で書いていますが、家族や友人と過ごす時間は大切です。仕事ばかりしていて、子どもが大きくなったら相手にしてもらえなかったり、定年退職したらやることが何もなくなってしまったというケースもよく聞きます。

長期休暇では夫婦で旅行をしたり、ダイビングをしたり、のんびりしました。20代のときに行ってみたかった場所に行ってみました。いつかはやりたいと思っていたことをやれたのは、その先の人生にも影響したと思います。

1on1ミーティングで意識していること

「1on1ミーティング」が上司と部下とのコミュニケーション手段として注目されています。私も社員から役員まで、いろいろな方と1on1ミーティングをおこないます。そこで意識して気をつけていることは「フラットに聞く」「相手のための時間にする」「オープンクエスチョン」です。

フラットに聞く、相手のための時間にすることはイメージしやすいと思いますので、オープンクエスチョンについて説明します。

「それをやるんですか?」と聞くと、「はい」「いいえ」でしか答えられないので、詰問のようになってしまいます。上司と部下の関係なら、なおさらです。「あなたはどう考えていますか?」と聞くことで、相手は自由に答えることができます。相手に喋ってもらうことが大事です。

また、1on1ミーティングで大事なのは「相手を変えようと思わないこと」。相手を変えようと思うと、相手も防衛反応を起こします。変わることもありますが、あくまで「変える」ではなく「変わる」です。

自分の強みがわからない人へ

自分の強みがわからない。そんなときは、壁打ち相手を見つけて自分のことを話すことが大事です。だからこそ、1on1が大事になります。自分の強みや良さを見つけたいなら、嘘をつかずに人に伝えていく。その中で気づけることがあるはずです。

自分は弱いと思っていても自分が思っているだけで、他人がどう思っているかはわかりません。弱みだと思っていることが、弱みではなくなることもあります。

たとえば障害のある人は大変だと思うけれど、それを感じさせない人もいます。リモートワークが普及してオンライン化が進むことで、さらに感じなくなりました。さくらインターネットでも障害のある社員が何人もいますが、リモートワークで、やり取りはSlackでおこなっていると、誰が障害を持っているかなんてわかりません。

身体障害を持っていても、オンラインなら車いすで移動する必要もありません。耳が聞こえない人もメールやチャットツールを使えば、テキストでコミュニケーションが取れるので問題なく仕事ができます。

多様化する社会の中で、それぞれの人のやり方を認めたり、テクノロジーを使うことで障害を感じません。まさに弱みだと思っていたものが、弱みではなくなります。

お互いが丁寧にコミュニケーションをとるようになったら、ハンディキャップを持っている人からハンディがなくなります。

副業禁止を禁止

コロナの影響でリモートワークをする企業が増え、副業しやすい環境になりました。でも副業を禁止している企業もまだ結構あります。

さくらインターネットでは、副業禁止を禁止しています。

ひとつの仕事をしていても世界が広がりません。転職して新しい仕事をしたほうが、成長できます。でも、転職されてしまうと会社は困ってしまうわけです。副業を認めれば、副業をしてくれます。副業での仕事を通じて、その人が成長すれば、会社としても絶対に得です。

副業する人自身にとっても得です。ひとつの会社で急に年収が上がることはなかなかありませんが、副業をすることで収入が増えて成長もできますから。

みなさんにも、チャンスがあれば積極的にチャレンジしてほしいです。

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執筆

田中邦裕

さくらインターネット株式会社 代表取締役社長。1996年に国立舞鶴工業高等専門学校在学中にさくらインターネットを創業、レンタルサーバ事業を開始。1999年にはさくらインターネット株式会社を設立し、月額129円から始められる低価格レンタルサーバ「さくらのレンタルサーバ」の開発に自ら関わる。その後、最高執行責任者などを歴任し、2007年より現職。インターネット業界発展のため、各種団体に理事や委員として多数参画。

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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