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足場をはじめとする仮設機材の総合プラットフォーマーとして、建設現場を支えるソリューションを提供する株式会社タカミヤ(以下、タカミヤ)。仮設機材の開発や製造、販売に加え、レンタル、工事の計画、設計、施工、管理など、幅広い事業を展開しているのが特徴だ。
多岐にわたるその事業領域のなかで、近年とくに力を入れているのが、受発注を確認し、製品や車の手配が一目でわかるWebオーダーシステム「OPERA(オペラ)」。建設現場の働き方を飛躍的に改善させる画期的なこのシステムについて、大阪支店業務課長兼西日本業務統括の竹井 素実さんに話を聞いた。
竹井 素実(たけい もとみ)さん プロフィール
2007年に株式会社タカミヤ入社。東京支店業務課長と大阪支店業務課長を経て、2023年より、大阪支店業務課長権、西日本業務統括。
仮設機材の総合プラットフォーマーとして、建設業界を支える多様なソリューションを形に
同社の特徴の1つは、その幅広い事業領域だ。仮設機材の開発、製造、販売のほか、レンタル、仮設工事の計画、設計、施工、管理など、幅広いフィールドで価値を発揮することで、業界における確固とした地位を占めてきた。さらに、創業当初、まだ整備されていなかった仮設機材の「レンタルビジネス」の素地である保証金や最低レンタル期間の設定などを構築したのも、同社の先進性を物語っているといえるだろう。
また開発力も特筆すべき特徴であり、“次世代足場”として業界で広く使われるようになった「次世代足場Iqシステム」がその代表といえる。
「当社では、これまでに販売・レンタルを通じて収集した現場のさまざまなニーズを、製品開発にフィードバックできるという強みがあります。そのなかから、『次世代足場Iqシステム』は誕生しました」
従来170cmだった高さを190cmに改良。パイプの肉厚も2.4mmから2.0mmに薄くしたことで軽量化が実現し、作業性、施工性、運用性に優れ、建設現場の新たなスタンダードになりつつある。
「この170cmを190cmに変えることが、いかに高い障壁であったかについては、少しわかりにくいかもしれませんね。長く使用されてきた従来通りのやり方や部品を、安全性に配慮して踏襲するのがこの業界の習わしでもあるため、よほどの利便性がなければ現場に根付かせるのは難しいんです」
そうした業界の壁を乗り越え、足場の高さを変えたことで、ゆとりの空間が生まれ、腰を曲げずに快適に作業ができるようになった。高さ180cmのコンパネの出し入れもスムーズで楽になり、従来のクサビ式支柱に比べ2kgの重量を低減。フランジに横から差し込んで取り付けるため、スピーディーな組立解体が可能になった。職人や大手ゼネコンからも支持を受け、累計保有ユーザー数も増え続けているという。
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コロナ禍以降に加速した、新たな価値を生み出すための変革
長引く不況に加え、建設業界の人手不足といった問題が山積みのなか、新型コロナウイルスの流行により、同社はさらなる変革を目指すことを決意する。建設資材製造のホリー株式会社を子会社化し、自社での開発・製造体制をいっそう強化した。そして「次世代足場Iqシステム」をはじめ、住宅用の制振装置や太陽光パネルの架台などの販売にも踏み切った。
そのなかでも、もっとも大きな変革となったのが、「これまでのFAXや電話でのやりとりを、Webで一括管理する『OPERA(オペラ)』だった」と竹井さんは振り返る。
「建設業界の建設資材は、長らく低価格で推移していました。今後は価格で勝負せずに、付加価値を持つ商品力を備えることで、当社は次の高みへ進むことができるのではないかと考えました。その結果がOPERAだったんです」
OPERAとは、簡単にいえば、レンタル仮設機材をスムーズに注文できるWebオーダーシステムだ。従来は電話やFAXなどの方法でしか注文できず、「電話をかけようと思ったら受付時間が過ぎていた」「FAXがきちんと届いているかわからず不安になる」などの課題があった。
しかしOPERAは、スマートフォンとパソコンの両方から24時間いつでも注文できるため、欲しいと思ったときにすぐに手続きを済ませられる。また、電話での注文時によくある伝え漏れや認識間違いなどのミスも起こりにくい。
当初は、OPERAのような新しいシステムがすぐに受け入れられるかと不安に感じていたという。しかし、建築業界に根付く長年の習慣を変えていくのは時間がかかるだろうという覚悟を持ち、OPERAのリリースに踏み切った。すると導入当初より、「これはいけるんじゃないか」という確かな手応えがあったと竹井さんは話す。
「OPERAをリリースした2022年は、コロナ禍の影響がまだまだ色濃く残る時期で、必然的に人との接触を少なくして、Webを活用する動きが活発になりつつある過渡期でした。さらに発注する現場や自社内においても、Webやアプリに対する抵抗感のない若い世代が次々とこの業界にも参入してきた幸運も重なり、OPERAを通じて受注件数を堅調に伸ばすことができましたね」
そうしたなかで、現場からの声を細やかに汲み取り、現在も機能性を高めるバージョンアップを日々重ねている。その結果、現在では年間で約1万6,000件もの取引がおこなわれ、想像以上の成果をあげられるようになったという。
DXのスキルをさらに飛躍させ、建設業界や日本の課題も克服したい
同社には次なる目標があると竹井さんはいう。まずはOPERAを実際に運用してから、見えてきた課題を乗り越えること。現場から上がってくる注文書がFAXの場合、それをOPERAに移し替える必要がある。これが面倒だと感じる一部の顧客には、いまも従来通りの受発注の習慣が残っている。それを解決するために、旧来のFAXなどに比べ、圧倒的にOPERAの利便性を高め、認めてもらわなければならない。
「FAXを写真で撮影するだけで入力できるようにできないか検討中です。また注文側のそのほかの事務作業はもちろん、受発注に関わるさまざま立場の方を巻き込んだ大きなサービスにすることで、建設現場に関わるすべての人たちにとって必須のツールになっていくはずです」
そうした新たな課題を解消しながら、「DXのスキルをさらに飛躍させ、建設業界や日本の抱える課題も克服したい」と話す。
「建設業界だけではなく、世の中全体で働き手が減少し、労働力の確保が大きな課題となっています。OPERAが関連業界をも巻き込んだ大きなサービスになることで、現在の日本が抱えるこの深刻な課題を克服する一助になればと思っているんです。
OPERAという最先端のシステムを使いこなしていくなかで、それはけして夢物語ではないという手応えを私自身感じています。その目標を実現するために、今後も走り続けますよ」
竹井さんは柔らかな笑顔を見せながら、そんな未来への想いを語ってくれた。
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執筆
橋本 未来
大阪府出身。
広告制作を中心に、書籍の企画・編集や記事の執筆などを行うコピーライター。
関西屈指の編集者・高田強が所長を務める、コンテンツプロダクション「エース制作所」で、各種コンテンツの企画・制作などにも従事している。
note:https://note.com/7891m/
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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