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物流DX。RPAを導入し年間3,000時間を削減し配送オーダーの自動仕分けも実現 

「すぐに届けたい、それも手間をかけずに安く」

ビジネスをしていれば、誰しも一度や二度は思うだろう。SBS即配サポート株式会社は、首都圏1都3県のBtoB向け荷物を午前集荷、当日午後納品の配送サービスで事業を拡大してきた。お客さまのさまざまなニーズを満たすため、サービスのカスタマイズをおこなっている。一方で、お客さまに寄り添い、ニーズに応えるための属人的な業務は増えていた。

RPA*1で配送オーダーの仕分け業務を自動化し、年間で3,000時間を削減。どのように実現したのか? 管理本部 経営管理部長の杉原昌吾さんとシステム管理課 課長の工藤秀人さんに話を聞いた。

 

SBS即配サポート株式会社 経営管理部長 杉原 昌吾さん(左)、 同 システム管理課 課長 工藤 秀人さん(右)

SBS即配サポート株式会社 経営管理部長 杉原 昌吾さん(左)、 
同 システム管理課 課長 工藤 秀人さん(右)

杉原 昌吾(すぎはら しょうご)さん  プロフィール 

SBSリコーロジスティクス株式会社(入社当時はリコーロジステック株式会社)にて現場配属後、LT(Logistics Technology:物流技術)部門で20年間在籍し、業務改革・物流センター/物流NW構築・共同物流等をリーダー・プロジェクトマネージャーとして推進。

その後、国際部門で計4年間SCM全体最適化等を担当後、大手商社営業企画・開発責任者として、大規模物流センター構築・システム、リニューアル対応等に計5年間携わる。2022年2月よりSBS即配サポート 管理本部 経営管理部長 兼 システム管理課長(現職)

工藤 秀人(くどう ひでと)さん  プロフィール

日本アイ・ビー・エム株式会社にて、汎用機をご利用頂いているお客さまのアカウントSE(ITスペシャリスト)SI開発案件のプロジェクトマネージャー(PMAホルダー)、ITアウトソーシング 運用リーダー(ITアーキテクト)として32年間従事した後、SBS即配サポート株式会社のシステム課長に就任。

RPAシステムの導入・運用の他に、即配事業部基幹システム構築プロジェクト、コールセンターシステム導入プロジェクト、スマホ配送端末アプリ(SmaSH)構築プロジェクト等を推進。管理本部 経営管理部 システム管理課 課長(現職)

SBS=総合・物流・システム

2021年12月現在、SBS即配サポート株式会社を含むSBSグループは国内27社、海外17社、連結売上高4,034億円、従業員数は23,950名の規模を誇る。SBSという社名は、総合・物流・システムの略に由来する。

SBS即配サポート株式会社は、2015年7月にSBSサポートロジ株式会社とSBS即配株式会社が合併し設立された。前身は、SBSグループ代表かつSBS即配サポートの代表取締役である鎌田正彦氏が1987年に立ち上げた株式会社関東即配。つまり、SBSグループ創業時の会社である。1都3県へBtoBの即日配送というビジネスモデルで成長。現在では全国への配送も展開し、BtoC向けのサービスにも事業領域を拡大している。

2021年12月現在で、売上高326億円、従業員数は583名。年間約2,500万個の荷物を取り扱い、取引先は大手EC事業者様、大手商社様などの大企業をはじめ、約4,000社にも及ぶ。

 

現在「即配事業」「EC宅配専属便事業」「環境事業」「ビジネスサポート事業」の4つの事業を展開している。即配事業は東京、神奈川、千葉、埼玉の関東圏に11箇所の拠点がある。1都3県以外はSBSグループの拠点やインフラを活用しながら配送をおこない、軽トラックと1トン車を主体に約800台が稼働している。

 

 提供:SBS即配サポート株式会社

 提供:SBS即配サポート株式会社

 

EC宅配専属便事業は大手EC事業者様が取引先で近年成長が著しい。2021年時点でEC宅配専属便として約2,000台の軽トラックが稼働している。

即配事業のビジネスは、数多くのお客さまからさまざまな荷物を午前に集荷し、当日午後に納品するサービスだ。限られた時間の制約下、優れたオペレーションを実現している理由について杉原さんはこう話す。

 

杉原さんは

 

「即配のサービスは、私たちの原点です。私たちは即配事業からスタートしているからです。お客さまに寄り添ってサービスを提供すること。これは『私たちのDNAだから』と言えるかもしれません」

当時の課題、お客さまに寄り添う姿勢は人手がかかる

即配事業ではカスタマイズの配送サービスもある。専属便や簡易梱包の荷物でも運んでくれる。どのようなフォーマットのメールでも配送オーダーを受けている。一方でこうした「お客さまに寄り添う」サービスは業務負荷になっていた。

DX導入のきっかけとなった当時の課題について、工藤さんが話してくれた。

 

工藤さん

 

「2017年、即配事業部の基幹システムを作り直すために入社しました。しかし、そこで感じたのは人手でカバーしている仕事が山ほどあることです。何百もの荷主のお客さまから、配送依頼のオーダーをメールで受けていました。それらには添付ファイルがついています。絶え間なく送られてくるので社員が1人はりつき、朝7時から夜の20時まで、1通1通ひたすらメールの確認と仕分けをしていました。

添付ファイルを切り離し、基幹システムの取り入れ口のフォルダーに格納していくのです。荷物の取扱量も増え、これではボリューム的に対応できない。なんとか自動化できないか。これがきっかけでした」

 

配送依頼のオーダー処理だけでなく、荷物の配送状況をトレースする仕組みにも課題があった。再び、工藤さんが話してくれた。

 

「荷主のお客さまには、『今、荷物はどのような状態なのか。どこまで配送されたのか』トレース情報の提供が必要でした。この処理の一部も人手で対応していました。千葉の外郭地域の配送は自社配送でなく、協力会社に委託しています。この会社では自社専用のシステムとドライバー用の専用端末を利用しています。

協力会社のシステムから配送データを取り込み、私たちのシステムへ反映させる必要がありました。配送時間の朝8時から夕方18時頃まで、ここにも社員を1人張りつけていました。1時間に1回、データを自社システムに反映させていたのです。16時に配送が完了し、ドライバーが端末に納品完了を入力しても、ホームページで配送状況が見えるのは1時間後の17時過ぎでした。お客さまにはすみやかに配送状況をお伝えしたい。サービスレベルの向上も必要でした」

課題の解決、RPAによるバックオフィス業務の自動化

当時受信していた配送依頼のオーダーメールは、1日あたり約300通。今では約400通にもなる。これらをRPAで自動仕分けをおこない、添付ファイルを切り分けている。人手にたよる属人的な作業をデジタルで解決。社員がパソコンに張りついておこなっていた操作をRPAで自動化した。

 

RPAのロボット

 

RPAのロボットは荷主のメールのアカウントとドメイン、タイトルをみて仕分けをしている。荷主のお客さまと受託契約をする際には、メールの件名もきちんと決めておく。お客さまの担当者が変わっても対応できるようにドメインで顧客ごとの仕分けをしている。メールに添付されるファイル形式もあらかじめ定義しておく。RPAではこれらの情報を用いて、基幹システムの入り口にあるフォルダーへ自動に仕分ける制御をしている。

現在では、荷主に伝票発行の専用ソフトを配布している。受信する約400通のうち、おおよそ4分の3はこのソフトで伝票が作成され送信される。専用ソフトで発行されたデータをサーバーで一旦集め、そこから再度メールが発信される。4分の3のメールは1アカウントから送付されるので、手間も減った。残り4分の1は荷主のお客さま固有のメールアカウントだ。

2018年からは配送の全国展開が始まった。1都3県であれば自社対応が可能だが、全国展開はグループ会社にも配送依頼が必要になる。グループ会社への配送情報の発信が必要となった。この情報発信の仕組みもRPAを介して自動化している。

たとえば、大手EC事業のお客さまからは24時間365日、毎日配送依頼のデータが届く。協力会社が担当するエリアの配送については、必ず配送依頼のデータを発信しておく必要がある。再配達依頼への対応も必要だった。前日の晩から当日早朝までにインターネット経由で受信した再配達依頼は、協力会社にも連携させる必要があった。

 

「RPAにはさまざまな機能をもたせましたが、システムが相互に密につながらないような設計にしました。システムの構成要素の結びつきや依存関係がゆるいため、環境の変化にも対応しやすい。1つひとつの処理が終わって、次の処理を請け負うフローになっています」工藤さんはこう話す。

RPA導入の効果

RPA導入の効果

 

RPA導入の効果について工藤さんは話してくれた。

「専用のシステムを構築するとコストが莫大になります。そのため手軽にできるデスクトップソリューションで解決しました。人手でやっていることをシンプルに自動化し、そのままロボットに移し替えただけです。RPAは確実に間違わずに処理をしてくれます。処理が正常に完了後は結果報告もメールで送信されてきます」

 

RPAの導入によって、当時300通/日の配送依頼メールの確認と仕分けに要していた時間が削減できた。朝7時から夜の20時まで、昼休みを除くと1日あたり約12時間。年間稼働日を260日とすると、3,120時間だ。複数の社員がひたすらメールの仕分けをしていたこの作業の効率化を図れた。

 

「業務の自動化は常に意識しています。大手EC事業者様のEC受注の荷物を全国配送することになったときのことです。BtoCの配送が一気に増えてコールセンターがパンクしました。再配達のコールが鳴り止まなかった。今までおこなっていたBtoBの配送は、企業向けなので再配達はありませんでした。

オフィスが開いている時間に配送すれば仕事は完了です。BtoCではそういきません。コールセンターも再配達の依頼を受けるため、WEBの受付画面を作りました。オペレーターが電話で受けなくてもいいように、プッシュ対応で受付も可能にしました」

 

新しいサービスを受注する際もRPAは解決策になりうる。工藤さんは続ける。

「弊社はお客さまに対して『お返しできるバリューがあれば、なんでもやります』というアプローチをします。でも、『やりますよ』の裏には人がやらなくてはならないことが残っています。新しい案件をシステム課に相談された時、今まで作ってきたロボットRPAを活用すれば、バリューは出せるのではないだろうか。社内にはそのような話をしています」

 

RPAを設計する際、意識したことがある。それは特定の業務に特化しないことだ。

「何パターンかのRPAが稼働しています。データを受けるインバウンドには、荷主のお客さまから配送依頼を受ける機能、トレースデータを受ける機能があります。一方、情報を発信するアウトバウンドには、全国展開に際して、さまざまなデータを発信できる機能を汎用的に作りました。

そこに乗せてしまえば、荷主のお客さまに対して情報発信できます。業務特化ではない共通機能を持たせるよう、RPAを設計する際に意識しました。特定の業務専用RPAプログラムだけ作るのはもったいないと考えます」工藤さんはそう話す。

「やりたいことをできるに変える」これから目指していきたいこと

裸一貫から年商4000億円までSBSグループを成長させた鎌田正彦社長には座右の銘がある。それは「不屈のベンチャー精神」だ。市場拡大の追い風を受け、ECでの売り上げも1,000億円を目指している。

ラストワンマイルへの取り組みも果敢におこなっている。BtoCが拡大し、荷物の受け取り方法も多様化した。2019年からグループ共通で、ラストワンマイル配送に使える端末の開発も進めている。宅配ボックスや置き配など、配送状況のデータをコールセンターと連携させて、お客さまの問い合わせにも対応できるようにしている。

ラストワンマイルの輸送には、環境にやさしい小型のEVトラックの導入が進行中だ。国内初のファブレス生産(工場を持たずに生産を他社に依存する方式)のEVで、2021年末から公道での実証実験を重ねている。今後5年程度で約2,000台のEC配送向け車両をEVに置き換えて行く計画だ。

 

提供:SBS即配サポート株式会社

SBSグループでは、物流センターの拠点の自動化にも注力している。従来型の物流センターの場合、大型のマテハン機器(マテリアルハンドリング、物流業務を効率化するための機器)を導入して大量の荷物を大量にさばく。しかし、固定化した大型設備は事業の変遷に柔軟な対応が難しい。一方ロボットは自由度が高く、応用が利く。

これから手がけていきたいことを杉原さんに聞いた。

「具体的には模索中ですが、DXを導入し加速させることで、これまでの物流のありかたを変えていきたいですね。

物流側で捉えられるトラックの情報、施設の情報、貨物の情報と、荷主様にて保持している商品情報や販売情報の可視化につなげ、今まで蓄積してきたデータを物流・商流プラットフォームに投入し、組み合わせることによって新たなサービスの提供ができるのではないか。お客さまのニーズにマッチした価値提供をしていきたいですし、新たなビジネスモデルにもつながっていく可能性があります」

 

先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代。環境の変化に柔軟に対応していくことでSBS即配サポート株式会社は成長を加速させていくのだろう。

 

SBS即配サポート株式会社

*1:Robotic Process Automation:ソフトウエアのロボットによる業務自動化。くわしくは「RPAとは何か簡単に解説!意味や事例、おすすめツールもご紹介」で解説

執筆・編集

さくマガ編集部

さくらインターネット株式会社が運営するオウンドメディア「さくマガ」の編集部。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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