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RPAとは何か簡単に解説!意味や事例、おすすめツールもご紹介

RPAとは何か簡単に解説!意味や事例、おすすめツールもご紹介

 

RPAとは、人間がおこなう定型的な作業を自動化できる、ソフトウェアやSaaSなどのプラットフォームのことです。

日本は少子高齢化が進み、労働人口も減っています。労働力の不足する日本企業が、世界的な競争力を高めていくためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可欠です。そのDX推進の第一歩として、期待されるのが「RPA」です。

この記事では、RPAについて簡単にわかりやすく解説します。

(監修:株式会社batton

RPAとは

RPA(読み方:アールピーエー)とは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」を略した言葉です。RPAは人間がおこなう定型的な作業を自動化できる、ソフトウェアやSaaSなどのプラットフォームを指します。作業を自動化できる対象は、製品によって異なります。

業務が自動化されることによって、業務時間の大幅な削減効果を得られ、生産性向上につながると期待されているのです。

RPAでできること

RPAは、マウス操作、キーボード入力、データの照合や変換といったパソコン作業を人間に代わって素早く休みなく実行できます。「デジタルレイバー」と呼ばれる、コンピューターによる仮想的な労働者を雇えるようなものです。このデジタルレイバーは24時間365日働いてくれますし、仕事を辞めてしまうこともありません。企業にとってはありがたい存在です。

具体的にRPAがどのような業務に活用できるかは、下図をご覧ください。

 

想定される部署

業務内容

全部署

  • 定期的に各種システムから利用状況レポートを配信
  • スキャンした書類をPDF化し、業務システムに登録

営業

  • 見積り依頼から自動的に見積もりを発行
  • 顧客管理システムへのデータ入力

経理

  • 入金、支払情報に応じて回収リスト、消込、システム入力をおこなう
  • 社員が入力した交通費を乗換案内サイトで照合

人事

  • 勤怠システムをチェックし、未入力者へ催促の連絡
  • 採用媒体のスカウト検索、メール配信

監査

  • 反社チェックとして、特定のキーワードを検索し、引っかかる場合に通知
  • 業務システムで与信可能な企業かを照合し、通知

経営企画

  • 会議体に応じて、各種システムから情報を取得してレポート作成
  • 稟議書の項目をチェックして、NGのものを差し戻し

制作

  • 掲載依頼に応じ、テキストを取得して原稿を掲載

カスタマーサポート

  • 問い合わせメールに対して定型メールを返信

RPAを活用できる業務
▲出所:進藤 圭,2018『いちばんやさしいRPAの教本 人気講師が教える現場のための業務自動化ノウハウ 「いちばんやさしい教本」シリーズ』インプレス,No.605

RPA導入のメリット・デメリット

RPA導入にはメリットもあればデメリットもあります。メリット・デメリットを事前に把握し、導入の参考にしてください。

RPA導入のメリット3つ

RPAの良さについてはすでに触れてきましたが、あらためてメリットについてまとめます。

業務改善

RPAによって、人間がPCでおこなってきた単純作業や定型業務を自動化できます。RPAは24時間365日稼働するので、人間が休んでいる間にも仕事してくれるのです。

紙をデジタルデータ化するOCRなど、ほかのツールと組み合わせることで、さらに業務改善が可能です。

コスト削減

RPAによって業務の自動化が進むと、定型業務にかかる人件費が削減できます。定型業務をしていた人間は、その時間を人間にしかできない知的労働に回すことが可能です。定型業務ばかりしていると、モチベーションが下がってしまう従業員もいます。定型業務をRPAでおこなうことで、従業員の満足度が上がる効果も期待できます。

生産性向上

RPAによって業務を自動化すれば、時間が削減できます。また、単純な事務作業を反復的に長時間おこなっていると、どうしてもヒューマンエラーが発生します。RPAは、ロボットが正確に決められたルール通り作業してくれるので、正確で生産性が高くなるのです。

RPA導入のデメリット3つ

RPA導入にもデメリットはあります。デメリットを把握したうえで、導入を検討してください。

ツールの学習コストがかかる

RPAを導入する際、ツールの使い方を学ぶ必要があります。ツールを導入してすぐに使えるものではないので、注意が必要です。

導入に投資が必要

RPAツールにもよりますが、導入時に数百万かかるケースもあります。製品によって価格は異なるので、自社の規模にあったRPAツールを選びましょう。

本格導入の前に無料トライアルを提供している製品もあるので、まずは試してみるのもおすすめです。

継続できない恐れがある

RPAを導入しても、約8割の企業が継続できていません。理由は大きく2つあります。1つは先ほど紹介したツールの学習コスト。学習しなければならないことが多くて、いままでのやり方に戻ってしまうのです。

もう1つは、何となくはじめてしまい、どの業務をRPA化すればいいのかわからないことです。

RPAの導入事例

RPAは、煩雑で定型的な事務作業が多い金融業界で先行して導入されました。金融業界で高い導入効果を発揮したことから、業種を問わず多くの企業や団体に導入されています。

金融業界のRPA導入事例

三井住友フィナンシャルグループでは、2017年からRPA活用の準備をはじめました。2019年9月末までの2年半で、累計290万時間の業務をRPAが代行しています。

顧客向け運用レポートの作成にRPAを活用。毎朝の営業開始前に自動でレポートが届くようにしました。ほかにもRPAによって集計業務や海外送金の業務を効率化しています。

自治体でのRPA導入事例

企業だけではなく、自治体でもRPAが活用されています。これにより、業務効率化と住民サービスの拡充が可能になりました。

 

RPA導入による1年間の業務時間削減効果 

RPA導入による1年間の業務時間削減効果 
▲出典:自治体における RPA導入のすすめ – 総務省

 

鹿児島県奄美市では、ふるさと納税などの業務でRPAを活用。年間に297.5時間の業務時間を削減しました。長野県塩尻市では、保育園受付など業務でRPAを活用。年間に2,412時間の業務時間を削減しました。これらは業務プロセスの見直しによる効果を含みますが、削減率の高さがわかります。

RPAには三段階のレベルがある

RPAには三段階のレベルがあり、RPAの多くは「定型業務の自動化」を範囲とするクラス1のレベルです。クラス3までいくと意思決定までを自律的におこなってくれます。

 

クラス

おもな業務範囲

作業範囲や利用技術

クラス1 

RPA「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」

定型業務の自動化

  • 情報取得や入力作業などの定型的な作業

クラス2 

EPA「Enhanced Process Automation(エンハンスド・プロセス・オートメーション)」

一部非定型業務の自動化

  • RPAとAIの技術を用いた非定型作業の自動化
  • 自然言語解析、画像解析、音声解析、機械学習の搭載
  • 非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用

クラス3 CA「Cognitive Automation(コグニティブ・オートメーション)」

高度な自律化

  • プロセスの分析、改善、意思決定までを自動化
  • ディープラーニングや自然言語処理

RPAのクラス
▲出所:総務省 RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)

 

RPA導入、成功のポイント

RPA導入、成功のポイント

 

デメリットを紹介する中で、RPAを導入しても約8割の企業が継続できていないとお伝えしました。どうすれば、RPAの導入に成功できるのでしょうか。ポイントを見ていきます。

RPAの特性に合った業務を対象に選び、徐々に広げる

RPAで何でも自動化できるわけではありません。まずは、単純で簡単な作業の自動化からはじめましょう。そこから、定型的で大量の処理を繰り返しおこなう手間のかかる作業など、RPAでおこなう業務を広げていくのが最善です。いきなり、大規模な作業を自動化するよりも徐々に範囲を広げていったほうが、成功確率は上がります。

RPA導入前に業務の整理と見直しをする

目標達成のため、現状の業務整理と見直しも重要です。RPAは定型的な作業ができるとお伝えしましたが、言い換えると定型化されていない作業はできないといえます。

RPAでは、決められたフローに沿ってシナリオを作成します。ロボットが作業の途中でつまずかないように業務整理と見直しをおこない、定型化する必要があるのです。

RPAと業務に詳しい人がタッグを組む

RPAの開発会社や販売会社、コンサルタントなどRPAの技術的な知識・スキルがある会社や人材。そうした会社や人材と、実務を担っている人材が連携していく必要があります。

RPA導入前に運用体制の確保と人材育成も重要です。社内の一部の人だけがRPAを使用できても、その人がいなくなってしまったら止まってしまいます。属人化しないような体制作りを意識しましょう。

RPAが止まったときに対応できるようにする

RPAは何かのきっかけで止まったり誤作動を起こす可能性があります。たとえば、ロボットがデータを取りに行くソフトやWebサイトのデザインが少し変わっただけで、停止してしまうこともあります。

その際に、対応できる人材を社内でしっかりと育成しておくことが大事です。これを外部の人材に任せてしまうと、対応までの時間がかかりますしコストもかかります。

おすすめのRPAツール

ライセンス料を紹介していますが、それ以外にもコストはかかると考えたほうがいいです。たとえば、技術研修の受講費用やサポート費用が別途かかります。

batton

batton社は2019年に設立された企業です。2021年12月にさくらインターネットとの連携を開始。「batton(さくらのクラウド版)」を提供しています。これにより、さくらインターネット「さくらのクラウド」上に構築された仮想マシン(VM)で、battonを動作できます。

battonのRPAにはAIを搭載しているので、パソコンや環境が変わっても以前の環境を自動検出します。

battonのRPAには画像認識機能にAIを搭載しているので、パソコンや環境が変わっても以前の環境を自動検出し画像認識してくれます。販売価格は月額98,000円~、PCインストール数は無制限です。

UiPath

UiPath社は、2005年にルーマニアのブカレストで誕生しました。世界のユーザー数は75万を超えています(2021年1月末時点)。

『RPAで成功する会社、失敗する会社』 によると、UiPathの開発用ライセンスは年間30~60万円、実行用ライセンスは年間15~75万円程度。ライセンス費用は販売代理店によって異なります。

WinActor

WinActorは、2010年にNTT研究所で誕生したRPAツールです。2014年からNTTアドバンステクノロジ社が販売しており、金融業から物流、小売業と7,000社を超える企業に導入されています(2022年1月末時点)。

こちらも『RPAで成功する会社、失敗する会社』 によると、開発用ライセンスが年間90万8000円、実行用ライセンスが年間24万8000円です。ライセンス費用は販売代理店によって異なります。

まとめ

RPAはあくまで業務効率化するための手段です。RPAによって削減された時間で、人間にしかできない仕事をして生産性を上げていくことが重要です。

2021年12月、さくらインターネットは業務効率化RPAサービス「batton」を開発する株式会社battonとの連携を開始。batton(さくらのクラウド版)」の提供をおこなっています。さくらインターネットのIaaS型クラウドサービス「さくらのクラウド」上に構築された仮想マシン(VM)で、battonを動作できるようになりました。興味のある方はぜひご活用ください。

 

参考

RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上) – 総務省

RPA 導入実践ガイドブック – 政府CIOポータル

自治体における RPA導入のすすめ – 総務省

ITを活用した金融の高度化とDX – 日本銀行

日経XTECH RPAで年100万時間超を削減した三井住友FG、ソフトロボ1400台開発の極意

進藤 圭,2018『いちばんやさしいRPAの教本 人気講師が教える現場のための業務自動化ノウハウ 「いちばんやさしい教本」シリーズ』インプレス

大西 亜希,2021『RPAで成功する会社、失敗する会社』 クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

執筆・編集

さくマガ編集部

さくらインターネット株式会社が運営するオウンドメディア「さくマガ」の編集部。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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