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AI×人によるバナー生成で、わかりやすい行政広報を支援する『POTETO Design』 

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文字が詰め込まれた行政情報を見て、「わかりづらい」と感じた経験は誰しもあるはずだ。その情報のなかには私たちの暮らしを豊かにするものがたくさんあり、伝わりづらいことは行政と市民の双方の損失になるといえるだろう。こうした課題解決のために株式会社POTETO Designが開発したのが、『POTETO Design』だ。サービスの概要や開発の背景、新サービスとの連携・評価について、同社の代表取締役社長を務める藤田健登さんに聞いた。

藤田 健登(ふじた けんと)さん プロフィール

株式会社POTETO Design代表取締役社長兼、株式会社POTETO Media取締役副社長。京都大学大学院情報学研究科卒業後、ソフトバンク株式会社でデータサイエンティストとしてビッグデータ解析や分析基盤の構築に従事。2017年より株式会社POTETO Mediaに参画。2024年に株式会社POTETO Designを設立し、代表取締役社長に就任。

AI×デザイナーのインフォグラフィック生成で質と速さを両立

生成されたバナーの一例。『POTETO Design』は2025年12月時点で33の行政団体で導入

親会社である株式会社POTETO Mediaの行政事業部から独立し、2024年9月に創業した株式会社POTETO Design。「Political Telecommunication Tower=政治の電波塔」の略称である「POTETO」を社名に掲げ、行政広報の効率化とわかりやすさを追求している。そんな同社の主力となるサービスの1つが、AIを活用した行政向けバナー(インフォグラフィック※)作成サービスの『POTETO Design』だ。
※複雑な情報を視覚的に表現する画像

バナー作成はシンプルで、おおよそ3つの工程を踏む。まずは、「イベントの種類」「行政情報」の2つから発信の種類を選択。次に、目的にあったバナーのサイズを選ぶ。そして、バナーに記載したい情報を手入力、もしくは記載したい情報が掲載されているURLやPDFを貼るだけで、2パターンのデザインが最短20分で完成する。AIは、情報の要約とデザインの2点でのみ使用される。行政が使う頻度が高い言い回しや典型文を活用するうえ、悪目立ちしない、お金のマークを使用しないなど、行政に好まれるデザインを生成するアルゴリズムを組むことで、使用しやすいツールになっている。生成されたデザインはすべてPOTETO Designのデザイナーがファクトチェックをするほか、ユーザーのリクエストに応じて修正をおこなうため、品質も担保されている。

静岡県庁では、POTETO Mediaとの契約を含めるとリリース年の2023年から現在に至るまで継続して使用。同庁がおこなったアンケートの結果では、満足度98パーセントという数字をたたき出している。『POTETO Design』に対するおもな評価点は2つ。1つはデザインの質が高いこと。もう1つは、業務効率化につながったことだ。ほかにもイベントの集客率が高まった、SNSの投稿において閲覧数が増えたなどの声が上がっている。

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デザインスキルの民主化を目指して

「行政情報は宝の山のようなものです。知ればお得だけど、自分から取りに行かないと知れない。そのことにもったいなさを感じていました。私たちは、もともと政治をわかりやすく伝えるメディアの制作をおこなっており、その過程で、文字だけよりもインフォグラフィックを使用したほうが、情報が拡散されることがわかりました。手応えを感じる一方、私たちが要約して発信するよりも、行政自体が情報をわかりやすく伝えられるようになるほうが重要だと考えたのです」

『POTETO Design』の開発理由をこのように語った藤田さん。では、なぜ行政の発信はわかりにくいのだろうか。原因はいくつかあるが、デザイン面においては人的リソースが関係している。職員は本職のデザイナーではないこと、異動によってスキルがストックされないことなどがあり、これは公務員ならではの課題だろう。

その課題解決のため、『POTETO Design』の開発をスタートさせた藤田さんは、「とても苦労した」と当時を振り返る。AI生成が人の制作物に見劣りしなくなったのは、2024年になってからだろう。開発当時の2022年は、まだAI生成の精度が高くなかった時期だ。そんななか、行政情報に特化してデータを収集し、編集可能なデータを高い精度で出力させるアルゴリズムを構築することに多大な時間を費やしたという。

『POTETO Design』の操作パネル。シンプルな操作性を意識している

また、過去の生成データを引き継げる仕様で、担当職員の退職や異動後も、これまでの実績が失われることもないそうだ。

新サービスと連携し、滋賀県長浜市と実証実験

長浜市の浅見宣義市長と定例記者会見で発表する藤田さん

行政職員から着実に支持を得続けている『POTETO Design』。この開発経験から新たに生まれたのが『スマート広報』だ。

『スマート広報』は、行政の広報紙を、スマートフォンで読みやすいウェブ記事に自動変換するサービス。PDF化とは異なり、スマートフォンに最適化されたデザインのため、可読性に優れていること、音声読み取りのしやすさから、目が不自由な人や外国人にも情報を共有しやすいことが特徴だ。

POTETO Design は2025年8月、滋賀県長浜市と協力し、『スマート広報』の実証実験の開始を発表。長浜市は「年齢等を問わずに誰もが見やすい広報紙」「紙媒体に関心の薄い層にも届く広報」を目指しており、導入による職員の業務負担やページビュー数などを計る。

なお、行政職員が『スマート広報』で広報紙のウェブ版を作成する際に『POTETO Design』と連携すれば、ウェブ版の記事の導入部に、本文を簡潔にまとめたバナーを掲載できる仕様にもなっている。これは、記事を視覚的に理解しやすくすることがねらいだ。

長浜市では、2025年11月には、『スマート広報』を使用した『広報ながはま』をアルファ版としてリリースした。11月版生成時には、一部精度に欠ける箇所もあったが、POTETO Designは職員からフィードバックを受けてすぐに『スマート広報』のアルゴリズムを修正。12月版生成時には軽微な修正にとどまり、職員からはすでに「非常によい」「精度は申し分ない」との声が上がっている。

長浜市は広報紙のウェブ化にあたり、作業時間の短縮をKPIに設定しており、これを初月で達成。また、人口10万人に対し、いままでのPDF版は月間1000PV未満だったが、『スマート広報』を使用した11月のウェブ版は約2,800PVを記録した。2025年12月現在、実証実験は継続中だが、POTETO Designも長浜市も、すでに手応えを感じているのではないだろうか。

「行政広報ならPOTETO」といわれる存在に

『スマート広報』を使用したウェブ版の広報紙は、長浜市をはじめ、『POTETO Design』導入済みの静岡県庁、山口県上関町などでも公開されている。ほかにも、約10の自治体でテスト環境の導入と『POTETO Design』との連携準備が進んでおり、さらなる使用拡大が予定される。一方で、POTETO Designは『POTETO Design』『スマート広報』といったツールの提供だけでなく、行政広報のワンストップ支援を目指すという。

「当社は、行政から『行政広報ならPOTET』と認知される会社を目指しています。ポスターや動画、ウェブサイトの制作、デジタルマーケティング、広報コンサルティングなど一気通貫で提供し、行政の広報課題を解決していきたいですね」

東京都の2025年の世論調査によると、都民が都政に臨むことの2位に「情報をわかりやすくしてほしい」がランクインしているが、POTETO Designの活躍がその要望をランク外に押し出す日が来るかもしれない。

株式会社POTETO Design

全サービスNVIDIAのGPUを搭載。AI・ディープラーニングに最適なGPUサーバー「高火力」
>>サービスラインアップをみる

執筆

増田洋子

東京都在住。インタビューが好きなフリーランスのライターで、紙媒体とWebメディアで執筆中。ネズミを中心とした動物が好きで、ペット関連の記事を書くことも。
ポートフォリオ:https://degutoichacora.link/about-works/

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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