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ストレスとの付き合い方と可視化

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先日友人と話しているなかで、

「忙しくてストレスがたまっているときに、自分はどのようなことをしたくなるか」

という話題で盛り上がった。

――案外話してみると、人によってストレス症状は異なる。結局、「人によって違うもんだねえ」と感心し合うことになった。

 

仕事をしていると、どうしても「忙しい時期」は存在してしまう。単純に業務量の多い時期だったり、人手が急に足りなくなったり、自分にとって負荷の高い仕事が続いたり、人それぞれ「忙しい」理由は異なるだろう。しかし仕事をしていて、「忙しい時期」から逃れるのはなかなか困難であるように思う。そして普段どおりに休みが取れなかったり、遊ぶ時間がなくなったりしたとき、人はどうしてもストレスがたまってしまう。

だが、その「忙しくてストレスがたまりやすい時期」にぶつかったとき、自分はどのような行為をしやすいのか? という状態を把握しておくことは案外大切なのではないだろうか。つまり、忙しさは変えられなくても、忙しさがもたらす自分へのダメージは、自覚できるし、自覚するだけで少し軽減できたりするのではないだろうか。そんなふうに思ったのである。

ストレス症状は人それぞれ

たとえば友人の場合は、忙しくてストレスがたまると、Uber Eatsを頼む回数が増えてしまうのだという。単純に料理するのが面倒になるというよりは、Uber Eatsで少し散財しているという状態がストレス発散になるのだと彼女は言っていた。ちょっとわかる気がする。私はUber Eatsはほとんど使ったことがないが、同じように「忙しいとどうしてもこういう風になってしまう」というサインのようなものはある。

それはつまり、ストレスがたまったときの、セルフケアができていないサイン、であるのかもしれない。だとすればやっぱり、忙しいがゆえについやってしまいがちなことを日ごろから意識しておくのは、悪くないのではないだろうか?

たとえば私の場合はこんなものがある。

①返信ができなくなる。

本当にメールの返信をためてしまうのだ……! なぜ? ってくらいためてしまう。ほんとすみません。世界に土下座したい。

もちろん、忙しい時期は、必然的にメールのやりとりも多くなりやすい。そのため単純にメールのやりとりの量が多いがために返信ができないのではないか? という人もいるかもしれない。

だが私の場合は、明らかにストレスと返信の遅さに、相関がある。メールの量がどうというよりも、ストレスがたまっているときに、返信ができなくなるのだ。

そしてもっとも悪いのが、返信がたまるというストレスによって、さらにストレスが増えてしまうことだ……! 無限ストレス機関。これこそが悪循環のお手本である。よい子は真似しないでいただきたい。

こういうときは、まずは返信をする時間を、まとめて取ったほうがよい。もう「この時間は返信をする」と決めて、喫茶店に入り、メールボックスが空になるまで出ないぞと決めたりしている。しかしそうして返した返信にまた返信がやってくるので膝から崩れ落ちることになる(当たり前である)。

②甘いものが食べたくなる。

これはもう嗜好の問題だが、私の場合は、ストレスと甘いものの比例関係が存在している。当然、太る。そしてさらにストレスがたまる。どっかで見たような構図。またしても永久機関の完成である。

……書いていて気づいたのだが、私はストレスによって何かしらの二次被害が起き、そしてそれによるストレスをためているらしい。いやはや、早くこの循環を止めねばならない。

③買い物がしたくなる。

つまり私は忙しいとき、どうやら欲求を抑えるのが苦手になるらしい! 日頃、私の欲望は理性によって抑えられているが、忙しいとその理性を解いてもいいかなぁという気になってくるのだろう……。よくない。

しかしなぜか忙しいとお金を使ってしまうというのは真実だ。お金を使う時間がないときほどお金を使いたくなる、これいかに。ちなみに冒頭で書いた、ストレスについて話した友人も「忙しいと散財する金額が増える」といっていたので、忙しい時期あるあるなのかもしれない。

そういえば社会人になってからというもの、これまでも私は、忙しくなって高い買い物をしてしまった記憶がある。その買い物に後悔をしているわけではないので、買ってよかったものではあるのだが、それにしても普通に散財してしまうので注意したいところではある。お金を稼いでも使ってしまったら、意味がなさすぎる。

昔、誰かが「ストレスを抱えるほど忙しいときって、結局ストレスをケアするお金がかかるので、稼いでもたいして後に残らない」といっていた人がいた。恐ろしい話である。新社会人は気をつけてほしい。

④アイドルソングばかり聞くようになる。

これはほかの項目に比べるととくに害はない。そのままにしておいてもよいのかもしれない。しかし……忙しいときに聴くアイドルソングの効能たるや! 恐ろしいほど「効く」のである。

たとえばクラシック音楽や好きな歌手の新曲は、聴きたくなくなる。アイドルの曲ばかり聴きたくなる。そういうふうになってくると、自分は忙しいんだなぁ、と私は思うようにしている。

私は最近『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書刊行。ぜひ買ってください!)という本を出したのだが、そこで「働いていると本が読めなくなる理由は、仕事のことで頭がいっぱいのときは、仕事のノイズになることを頭に入れたくないからだ」というようなことを書いた。そういう意味で、アイドルソングはノイズのなさに定評がある。そう私は思っている。アイドルソングとは、ある一定の範疇を決して超えない、守られた世界のキラキラを提供してくれる存在である。もちろんキラキラしていない、メッセージ性の高い曲もあるが、そこにすら一定のキラキラを含ませてくれるのがアイドルの魔法ではないか。そんなふうに私は思っている。そしてそのノイズのないキラキラだけを摂取したくて、私はアイドルソングを聴き、さらに仕事をすることになる(私は原稿しながら音楽を聴く習慣があるのだ)。

 

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自分のストレスを客観的に見る

さて、私の場合は忙しいとこんな感じになる、というサンプルを書いてみたが、あなたの場合はどうだろうか。

基本的に私は、たとえば睡眠が取れなくなったり、食べられなくなったり、といった症状はあまりないので、基本的に健康ではある。

が、それでもストレスがたまったときの症状は、他人にはあまり見えない形で存在している。これを読んでいるあなたも、他人にはわからなくとも、自分だけの忙しさのストレスの二次被害はあるのではないだろうか? それを書き出してみるのもいいかもしれない。書き出してみると、自分のストレス症状が可視化され、客観的に見ることができて、無意識にストレス症状を抱え込むよりはマシな気がしている。

個人事業主としてゆるゆると仕事している日々のなかでも、たまに忙しいときは存在してしまう。これからも、忙しさに押しつぶされず乗り切ることを目指したい。

 

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執筆

三宅 香帆

書評家・文筆家。1994年生まれ。 『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』などの著作がある。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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