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「社会を生き抜く」コツと対処方法とは?書評家がおすすめするビジネス書

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「み、みんなどうしているんだろう!?」と思うこと、ありませんか。

たとえばどうやって人の顔と名前を一致させているのか。たとえばどうやってみんな休日をつくり出しているのか。たとえばどうやって飲み会後のお礼の連絡をするかどうかを見計らっているのか……。

仕事をしていると、無数に「これみんな……どうしているんだろう……」と遠い目になることがある。会社員であれば自分の先輩に倣えばいいのかもしれないが、個人事業主であれば倣う相手も見えづらく、遠い目をしたままほうっておいてしまう人も少なくないのではないだろうか。

そんなときにおすすめしたいのが本書。借金玉さんによる『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』(KADOKAWA)。発達障害であることを公言しており、起業したり営業マンとして結果を残したりしながら「食える」人として社会に生き残っている作者による、仕事のノウハウを伝える本である。

発達障害、と銘打たれてはいるものの、本書が役に立つのは発達障害の診断がついた人だけではないと思う。診断名がつかなくとも、多かれ少なかれ発達障害的な特徴をもっている人は多い。実際、本書の解説を執筆した精神科医の熊代亨さんも「そもそも、ASDにせよADHDにせよ、発達障害とは、スペクトラムな概念です。つまり、白黒はっきりつけられるものではなく、定型発達(いわゆる正常)との間には無限のグラデーションがあります」と述べているのだ。

本書を読むことによって、「なるほど、みんなこうやって社会を生き抜いているのか」「こういう努力が陰にあって、社会はまわっているのか」と納得するところも多いのではないだろうか。

ほかの人はどのように対処しているのか

さて、内容の紹介に入ろう。本編は、おもに「仕事のコツ」「人間関係のコツ」「生活習慣のコツ」「依存しないコツ」「鬱病になったときの対処法」が語られている。

たとえば、仕事のコツ。それは、先延ばしになってしまいそうなタスクで重要なのは、とりあえず手をつけることと、ハマる状態をつくり出すこと。そのために必要な具体的な行為(ある儀式をすること、そしてサンクコストをどうにかつくり出すこと)などが本書では綴られている。もちろんこういうものを読んで「難しいな! ていうかそれができないときはできないんだよな!」と思うこともよくあるのだが、それでもほかの人がどうやって対処しているのかを知ることができる点が、本書の魅力だ。

 

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「休むこと」の重要性

さらに私がよいなと感じるのは、本書はつねに「休むこと」の重要性を訴えていること。そもそも現代を生きる私たちは休まない選択肢のほうが――とりやすい。こう言うと、「え? つねに休みたいし、休めないから困っているのだが?」と思う人もいるかもしれない。しかし休めない、というのはすでに、休まない選択肢をとっている、とも言える。頓智のようだが、本当にそうなのだ。本書はつねに「休む」選択肢をとるコツを伝える。

 月に何日の「完璧な休日」が必要かは人によるでしょうが、最低33日は取ることを心からおすすめします。そして、スケジュールを組む段階で「絶対にこの日は休む」と定義してしまいましょう。

これは、起業されたりあるいはフリーランスだったり自営だったりする皆さんにとって最も重要な概念だと思います。というのも、「休養は優先度一位だ」と腹を括っておかないと休みなんてマジで取れません。    これは僕の特質なのかある種の症状なのかはわかりませんが、休まないと動けなくなることはわかり切っているくせに妙に付き合いがよく、誰かに何かを頼まれたり飲み会に誘われたりしたら「休みが取れなくなるな……」と思いながらもつい安請け合いをしてしまう悪癖もあります。衝動性の強いADHDADHD傾向の皆さんにはあるあるではないかと思います。
出典:『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』借金玉、KADOKAWA

この個所を読んでドキッとしない個人事業主などいるだろうか! 安請け合いによってなくなっていく休み。それはじわじわと自分を苦しめることになる。本書は「休養をとるというタスクをこなすにも意志が必要」「適切な休養をとらなければ人間はどんどん崩れていく」と繰り返し伝える。そしてそれは、鬱にならないためにも、大切なことなのだ。

休むことは、基本的に後回しになりやすい。なぜなら休んだことによって何を得たのか、目には見えにくいし、数値にも出ないからだ。しかし休むことは、本当に重要なタスクである。それを本書は繰り返し伝える。そして適切に休むためにも、ある程度、ライフハックが必要な時代なのである。「適切に休む」ことは、もはや現代人の仕事術になっているのだなあ……と私は本書を読んで痛感した。

自分なりに正解を見つけていこう

とはいえ、本書に綴られているのは休む技術だけではない。たとえば人間関係をうまく構築するにはどうしたらいいのか。飲み会でどう振舞えば、なんとなく空気が読めるふうに見えるのか。お酒などに依存しすぎないためには、どうすればいいのか。仕事のタスクが増えすぎて「何から手をつけたらいいのかわからない!」という状態になっているとき、あなたに必要なものは何なのか。そういった細々とした、しかし切実な対処法が、一冊にぎゅっと閉じ込められている。

やることの多さに、潰されないために。自分がどうすれば生きやすくなるのか、世間は置いといて、とりあえず自分なりの正解を見つけていこうという前向きな気分にもなる本である。

他人がどうやって仕事のコツを身につけているのか、社会人としてまっとうに見られるために何をしているのか。それがわかる名著なのだ。

 

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執筆

三宅 香帆

書評家・文筆家。1994年生まれ。 『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』などの著作がある。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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