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デジタル庁への出向を経て得たものとは? さくマガを立ち上げた 川崎博則にインタビュー

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さくらインターネットではキャリア支援や人材育成の一環として、本人の希望や適正に応じて、異業種の事業会社や官公庁へ出向するケースがあります。今回インタビューしたのは、マーケティング部 WEBマーケティンググループの川崎博則。デジタル庁への2年間の出向を経て、2024年10月にさくらインターネットに戻ってきました。さくマガを立ち上げた川崎は、デジタル庁での経験によって、いったいどんな変化があったのでしょうか? デジタル庁での出向についてくわしく聞きました。

川崎 博則(かわさき ひろのり) プロフィール

さくらインターネット マーケティング本部 マーケティング部 WEBマーケティンググループ
1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガを立ち上げる。2022年11月から2年間、デジタル庁へ出向。DMP(デジタルマーケットプレイス)のプロジェクトメンバーとして立ち上げを担当。出向期間満了後は、行政向けマーケティングや採用マーケティングに従事。

『さくマガ』を立ち上げ、初代編集長に

さくらインターネットの前に勤めていた会社ではWebマーケティングの仕事をしていたそうですね。大学ではそういった勉強をされていたんですか?

いえ、法学部なのでまったく畑違いの勉強をしていました。ただ、学生のころからインターネットを見るのが好きだったんです。プログラミングを勉強しようと思ったこともありましたが、実際にやってみると難しかったので、Webマーケティングに興味を持ちました。

さくらインターネットに転職後、Webマーケティングの業務を経て『さくマガ』を立ち上げたそうですね。

当時すでに『さくらのナレッジ(通称:さくナレ)』というエンジニア向けのオウンドメディアはあったんですが、エンジニアじゃない人に向けた読み物が不足していたんです。当社は「さくらのレンタルサーバ」や「さくらのドメイン」など、エンジニア以外の人が利用するサービスも提供していますので、そういう人たちに対しても情報発信できる場を作るべきだと思いました。それで、私が言い出しっぺになってさくマガを立ち上げたんです。最初の1年くらいは私1人で運営していましたが、同じグループのメンバーも一緒に運営するようになりました。結局、デジタル庁に行くまでの3年間ほど、さくマガ編集長を続けましたね。

初めてのオウンドメディア立ち上げで大変だったことは?

周りにライターやフォトグラファーが一切いない状態から始めたので、人を探すのが大変でした。自分で取材や執筆をすることも多かったですね。

さくマガで印象に残っている記事は?

当社代表の田中とロイヤルホテルの䕃山社長(当時)の対談です。それこそ大阪のロイヤルホテルで取材して、実際に宿泊もさせていただきました。さくマガの取材で初めてスーツを着ましたね。䕃山社長のような地位のある方に取材させていただく機会はなかなかないので、印象に残っています。

編集長をしていた3年間で、さくマガのメディアとしての成長は感じましたか?

だんだんと他媒体から「企画をご一緒しませんか」という話が来たり、「うちの媒体にさくマガの記事を載せませんか」というお話が来たりして、メディアとして評価していただいていることを感じました。

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デジタル庁の雰囲気は?

その後、デジタル庁に出向したそうですね。出向の経緯と理由を教えてください。

社内でデジタル庁への出向に関する説明会があり、行きたい人を募集していたので立候補しました。

立候補した理由は、デジタル庁に興味を持っていたことと、コンフォートゾーンを抜け出したかったからです。3年半さくらインターネットで働いてきて、慣れが出始めたころだったので、新しいチャレンジをして刺激を受けたかったんです。当時のデジタル庁はまだ設立して約1年半年と新しく、募集している内容も自分のスキルと近かったので、これはチャンスだと思いました。

デジタル庁にはさまざまな会社から出向しているんですか?

いろいろな民間企業から出向しているケースもありますし、民間企業から転職で入ってきた方や、自治体や他府省庁から来ている方もいます。

デジタル庁には登庁していたんですか?

リモート勤務も可能ですが、プロジェクトが落ち着いているときは週に2回くらい、リリースに向けて佳境に入ると、ほぼ毎日のように登庁していましたね。実際にメンバーと顔を突き合わせて話し合うほうがスムーズなので。

登庁のときはスーツを着るんですか?

いえ、私は着ていませんでした。国会に行く用事がなければ、基本的には私服で大丈夫です。ただ、民間出身とか民間から出向で来ている人は私服なんですけど、行政官の人はスーツ率が高いので、服装で「あ、この人は行政官かな」とか「民間から来ているんだろうな」とわかるのがおもしろかったですね。

デジタル庁で働いてみて、さくらインターネットとの違いやギャップを感じたことはありましたか?

やはり出向といっても身分は公務員になるので、公務員向けの研修などがあり、「きちんとしなきゃ!」とは感じましたね。

働いている人の雰囲気はどうでしたか?

私がいたチームは、民間から来た人が3人、行政官が2人で、行政官のほうが少なかったんです。その2人の行政官の方も、いい意味で行政官らしくないというか、かなりITやスタートアップに理解がある方でした。そのおかげもあって、さほど違和感なく働けていましたね。

行政官や政治家との仕事に刺激を受けた

デジタル庁ではどのような業務をしていたのでしょうか?

戦略・組織グループに所属し、「DMP(デジタルマーケットプレイス)」というプロジェクトに携わりました。DMPは簡単にいうと、行政・自治体と企業をつなぐプラットフォームです。行政組織が何かしらのSaaSや付随するサポートを使いたいとき、DMPに登録されているものであればすみやかに調達できます。

私はまず、サイトのワイヤーフレームを作ることから始めました。構成やボタンの配置、CTA(行動喚起)などを考え、それをもとに、デザイナーと一緒にデザインに落とし込んでいく。そういうことをやっていましたね。

では、さくらインターネットにいたときとはだいぶ違う業務をしていたんですね。

いえ、出向前はさくマガだけをやっていたわけではなくて、サービスサイトの改善もやっていたんです。おもに担当していたのは「LGWANコネクト」というサービスのサイトの改善。それこそCTAのボタンをどこに置くか、文言をどうするか、どういう見せ方のサイトにするかなどを考えて、担当者やデザイナーと一緒に作りました。その結果、当時LGWANコネクトは、さくらインターネットの全サービスのなかでもっとも資料ダウンロード数が多くなったんです。

DMPは会員制サイトのような側面があるので、行政機関と事業者にどうすれば会員になってもらえるのか、いわゆるコンバージョン増加を考えてワイヤーフレームを作る必要があります。それができたのは、さくらインターネットでの経験があったからですね。

デジタル庁の出向期間を振り返っての感想を聞かせてください。

行政官や政治家の方と仕事できたのは非常によい機会でしたね。行政官ってとても優秀な方たちなんですよ。1話せば10理解してくれるし、かなりのハードワークにも耐えられるし、視座が高い。どうしたら国がよくなるかをつねに考えている方たちなので、一緒に働けてよい影響を受けました。

また、「行政官は縦割り社会で上の意見は絶対」というイメージがありましたが、そんなことはなくて。部下の方が上司に「いや、これはこうしたほうがよいと思うんです」みたいに意見したり、上司がその意見に聞く耳を持って取り入れたり。熱い議論を目の当たりにしたことも、私にとって刺激になりました。

デジタル庁に出向して、一番よかったと感じたことは何でしょうか?

「国の仕事」に携われたことです。民間事業者だと、何かやろうとしたときに法律が壁になることがありますが、国の場合は「必要とあらば法律を変えよう」という話になる。そのスケール感で仕事できたのは、自分にとって非常に大きな財産になりました。

また、デジタル庁の一角で、岸田総理(当時)と河野大臣(当時)が参加する課題発掘対話が実施されたことがあって。デジタル庁の職員も「見学していいよ」と言われたので、ご挨拶をさせていただきました。総理大臣と目を合わせて挨拶する機会は、非常に貴重なのでうれしかったですね。

デジタル庁での経験をさくらインターネットで活かしたい

出向が終わりさくらインターネットに戻ってきて、現在はどのような業務を担当しているのでしょうか?

政府機関や自治体向けにクラウドサービスの提供を推進する「ガバメント推進室」と連携しながら、行政向けのマーケティングのプランを考えています。今期はプランを考えて、来期実行に移すフェーズですね。まだガバメントクラウドの正式認定には至っていないので、そこに至るまで、どのように活動していくかを考える必要があります。たとえばターゲットとなる自治体に対してどのようにアプローチするべきか、どの媒体で何をメッセージとして伝えるべきか、そういうことを考えているところです。

出向を経て、ご自身の仕事ぶりで変わったことはありますか?

視座が高くなったと思います。デジタル庁内ではよく「HowよりWhy/Whatを考えましょう」といわれていたので、それが身について、その施策を実行する手段よりも、目的の部分をより意識するようになりました。

今後、さくらインターネットでやりたいことはありますか?

まず今年は、ガバメントクラウド正式認定に向けて全社一丸となって頑張っていきます。正式認定されたあとはマーケティング活動が非常に大事になってくるので、そこでしっかりと成果を出せるように準備していきたいですね。

その先の未来の話をするなら、さくらインターネットと行政機関との連携に携わりたいです。行政機関ならではのルールや作法があるので、デジタル庁を経験した私だからこそできることがあると思っています。

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(撮影:ナカムラヨシノーブ)

執筆

吉玉サキ

エッセイも取材記事も書くライター。 北アルプスの山小屋で10年間働いていた。著書に『山小屋ガールの癒されない日々(平凡社)』『方向音痴って、なおるんですか?(交通新聞社)』がある。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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