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「15歳に多様な選択肢を」 山川咲さんと神山まるごと高専の挑戦

2021年1月、山川咲さんが設立構想中である神山まるごと高専(仮称、以下、神山まるごと高専と記載します)のクリエイティブディレクターに就任しました。山川さんは完全オーダーメイドのウェディングブランド「CRAZY WEDDING」の創設者で、ウェディング業界に風穴を開けた革命児として注目を浴び、情熱大陸にも取り上げられています。

そんな山川さんが、神山まるごと高専での挑戦について語りました。15歳に多様な選択肢が生まれることで「やりたいことをできるに変えられる世界」が実現しそうです。

山川咲さんのこれまでの経歴

山川咲さんのこれまでの経歴

山川 咲(やまかわ さき)さん

CRAZY WEDDING創設者。2012年に業界で不可能と言われた完全オーダーメイドのウェディングブランド「CRAZY WEDDING」を立ち上げた。2020年3月27日にCRAZYを退任し独立。2021年1月、神山まるごと高専クリエイティブディレクター就任。

私のキャリアにおける大半の肩書きは、CRAZY WEDDINGの創設者です。20代後半に会社を立ち上げ、20代・30代を全力疾走で駆け抜けていました。

創業当時、自分自身でオーダーメイドの結婚式を作ることは文化的に不可能と言われていましたが、社員4人からはじめてた会社は、社員100人くらいにまで成長しました。

CRAZY WEDDINGの仕事をしているときから、一人ひとりの人生をより良いものにするという価値観で事業をし、この気持ちは変わることなくずっと持ち続けています。

神山まるごと高専(仮称)ってどんな学校?

神山まるごと高専は、2023年に徳島県神山町で開校を目指している「高専※」です。「テクノロジー✕デザインで人間の未来を変える学校」をコンセプトにしています。

高専・・・高等専門学校の略。5年間一貫教育が特色の実践的・創造的技術者育成を目的とした高等教育機関。全国に国公私立合わせて57校ある。

去年、Sansanの寺田さんから神山まるごと高専のお話を聞いて、その時に高専に可能性を感じました。

今は多くの人が高校3年間、大学で4年間、計7年間勉強しますよね。でも高校に入れば、大学受験の準備をせっせとして、大学に入れば受験から解放されて……。そうこうしているうちに、1年くらいかけて就職活動をおこないます。その7年間をギュッと5年間に凝縮して、社会に直結した学びを得る環境をつくれたら、それはすごく可能性があるんじゃないかと思いました。

テクノロジーの発展によって、みんなが同じ情報に接続して、同じ行動様式を取っている時代です。漠然と「みんな、同じような人間になっちゃうんじゃないか」と、私は危機感を抱いていたんです。

山川さんの原体験

私自身は、独特な環境で育ってきました。フジテレビのアナウンサーの娘として生まれて、私が2歳の時に父親がフジテレビを辞めました。そこから家族でワゴンカーで日本一周放浪の旅に出たんです。旅が終わって、4歳手前くらいで千葉の片田舎に住むことになりました。もう本当にアマゾンのような場所で、大自然の中です。中学3年生まで、お風呂を薪で沸かすような独特な育ち方をしました。

私にとってその生活は、本当に嫌だったんですね。本当に嫌だったけど、自分の強いアイデンティティになっています。自分の起業した理由や自分が信じているものに向かっていける姿勢とか、いろいろなものを育ててくれたのは、子ども時代の独特な環境のおかげなんじゃないかなと思っています。

みんなが同じように高校受験して、大学受験して、就職活動をする。それ以外の選択肢を提供できるだけでも、とても価値があると思っています。

どのようにして人を育てるのか

神山まるごと高専では「テクノロジー・デザイン・起業家精神」を教えていきます。専門知識を教える高専の中でも、起業家精神まで教えていくところが他とは違う特徴です。

どんな人を育てたいかというと「モノをつくる力で、コトを起こす人」。自ら課題を発見し、モノをつくる力で解決する。そして社会に変化を生み出せる人です。

コトを起こせるところまで踏み込んだときに、物事が変わっていきます。そうすれば、人間の未来が変わっていく可能性が非常に高まっていくと思っています。

 

▲出典:神山まるごと高専(仮称)ホームページ

▲出典:神山まるごと高専(仮称)ホームページ

 

ほとんどのコアメンバーは、学校作りの点では素人です。でも、素人の私たちだからこそつくれる学校だなってすごく思うんです。これまでの常識の範疇で「こんなことだったらできるね」ではなく、「本当にいま求められている理想の学びは何なのか」を考えて、学校をつくっています。

「テクノロジー・デザイン・起業家精神」を教えることは、本当にハードです。工業系大学・美術大学大・MBAで学ぶことを一挙に教えていくような形になります。

これは、18歳からだったら難しいんじゃないかなと思うんです。15歳の柔らかい頭と人間性の中に届けていきたいなと思っているのが、神山まるごと高専の全容です。

神山まるごと高専のコアメンバー

神山まるごと高専のコアメンバーを紹介します。まず、Sansanの寺田さんが理事長(予定)です。ZOZOのCTOだった大蔵さんが学校長候補(予定)。私がクリエイティブディレクターをしていて、カリキュラムディレクターが伊藤さんです。

私はこのチームを「奇跡のチーム」だと思っています。昨日寺田さんとお話ししましたが、このメンバーでないと絶対実現しないものをつくっていると思っています。

私たちは「この教育が正しいんだ」と伝えたいわけではありません。この多様な時代において”正解”はありません。

でも「学校教育でここまでのことができるんだ」と伝えることも仕事のひとつだと思っています。そうすれば、既存の学校も変化していくのではないでしょうか。

 

▲出典:神山まるごと高専(仮称)ホームページ

▲出典:神山まるごと高専(仮称)ホームページ

 

CRAZY WEDDINGの仕事をしていたとき、自分がやっていたことは業界全体からすると小さな規模でしたが、CRAZY WEDDINGが生まれてから、この5年で業界が大きく変わったとおっしゃっていただけました。

CRAZY WEDDINGがしてきたことを事例として、ウェディング業界で働くみなさんの中に、いろいろな想いが溢れて業界自体が変わったんですね。

教育業界でも、同じようなことを起こしていけたらいいなと思っています。そういうクレイジーな事例をここでも作っていきたい。これは、私の野望として持っています。

神山まるごと高専が増やしたい選択肢

卒業後のキャリアパスは、就職と編入に加えて「起業」の選択肢を増やしていきたいです。卒業後40%の人が起業してくれたらいいな、と野心的な目標を持っています。

私は27歳で起業して、自分の責任で物事を世の中に発する経験をしました。この経験は本当に素晴らしいです。自分が成長する機会でもあるし、人間として磨かれる世界でもあります。生きる喜びに近い感覚です。

起業をして自分で物事を起こしていくチャレンジを、学生さんが当たり前の選択肢として持てる。そういう20歳を迎えられることを目指しています。

 

▲出典:神山まるごと高専(仮称)ホームページ

▲出典:神山まるごと高専(仮称)ホームページ

 

もちろん、20歳のタイミングじゃなくてもいいです。どこかで働きながら自分がアントレプレナーシップをもって生きていく。それがこれからの時代のスタンダードになっていくと思っています。

未来を変える学校をつくる

2023年4月に開校予定の神山まるごと高専は、1学年40人✕5学年でやっていきます。場所は徳島県神山町です。神山町は「奇跡の田舎」と呼ばれています。それくらい地方創生の文脈では知られています。自然豊かな町の中には企業のサテライトオフィスが集まり、人の交流がおこなわれている場所です。

神山町には、20年以上前から海外のアーティストに住んでもらい、アートを作ってもらったり、いろいろな活動をしている人たちがいます。とてもイノベーティブな土壌がある場所です。

神山まるごと高専は、地域と融合してつくっていきたいと思っています。学校だけがキャンパスではなく、神山町全体をキャンパスとして、運営していくイメージです。

日本の未来を変える学校をつくっている、と私は本当に思っています。だから自分の人生を投じて活動しているわけです。

学校つくりの過程をオープンに

学校つくりってみんな興味あるし、いつかやりたいと思っているけれど、それに関われる可能性が非常に少ないですよね。そこで、学校をつくるプロセスからオープンに、誰でも参加できる「まるごと高専円卓会議」というイベントを、毎月開催しています。ゲストの方たちと一緒に、いろいろなテーマについてディスカッションをしています。

また、6月にはクラウドファンディングをさせてもらいました。「先輩」という形で参加者を募り、一緒に学校を作っていくプロジェクトです。

多くの方に賛同いただけて、新しい希望を求めている人が多いと感じました。

 

▲出典:Makuake 神山まるごと高専(仮称)設立プロジェクト

▲出典:Makuake 神山まるごと高専(仮称)設立プロジェクト

ダイバーシティー&インクルージョンの推進

最近のプロジェクトを紹介します。先月、メルカリさんから1億円の寄付をいただくとともに、ダイバーシティー&インクルージョンの取り組みを一緒にしていくことを発表しました。

ダイバーシティー&インクルージョンと聞くと、すごく難しいですよね。

社会において必須テーマとして扱われているけど、ちょっと自分にはわからない、難しいなと思っている方もいるのではないでしょうか。私自身、この取り組みをするまではそう思っていた部分もありました。

メルカリさんと話をしていく中で、私たちもダイバーシティー&インクルージョンを大切にしていきたいとあらためて思っています。

神山まるごと高専のカリキュラムでも「隣人と生きる力」を育むことを掲げています。多様性が進む時代において、他者を理解する力は必須です。

なぜこれが必要なのか。多様な時代、個別化の時代になってきている中で、みんなが違うし、違っていいし、違うことが価値になってきました。

ダイバーシティー&インクルージョンを学んで取り入れていく中で、人として進化できると思います。

まずはコアメンバーの私たちから、学んで、ワークショップをしています。

もちろん学生の授業の中でも学べるカリキュラムを共同開発したり、メルカリさんから社員の方を派遣していただくことを目指しています。

山川さんのビジョン

「神山から未来のシリコンバレーを」というのが、神山まるごと高専のビジョンです。私にもビジョンがあります。

それが「15歳に多様な選択肢を」です。これをすごく大切に思っています。

私はこの学校をつくることで「15歳になったら自分で自分のキャリアを選択できるんだ!」「自分はどんな人生でも自分でチョイスしていけるんだ!」ということをぜひ伝えていきたいです。

 

神山まるごと高専(仮称)ホームページ

 

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執筆

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

編集

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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